帆船軍艦の殺人
- 鮎川哲也賞受賞 (28)
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全体的に力作で受賞はわかるんですが、面白くはなかったです。 まずミステリとしては1つ目の事件の脱出トリックはちょっと面白いですが、あとは特にこの舞台でなくても成立する微妙な物理トリックです。それといずれもトリックが図を見てもわかりにくく、横溝『本陣殺人事件』みたいに映像化しないとまず伝わらない内容と感じます。 歴史ミステリとして考証は健闘していて新人離れしており感服するものの、人物描写、人間ドラマとか一部のセリフは安っぽくコテコテで急に漫画みたいで、こまかい生活や船上の描写とか光る部分があるからこそ出来不出来のコントラストがもったいなく感じます。クライマックスの展開も安手のB級映画みたいでがっかりしました。打ち切り漫画みたいに急にハッピーエンドになるのですが、選評ではこれを好意的にみるむきもあり、首を捻りました 全体的に力作で、心意気を評価したいし作家としてのポテンシャルを評価したいので受賞には肯定的ですが、面白いかつまらないかでいったらあまり面白くなかったです。ただ新人賞というレースの枠組みを離れて歴史劇の方面で自由に筆を振るえた時に、この作家は本領を発揮できる気がしますので応援します | ||||
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第33回鮎川哲也賞受賞作ということで、辻真先さんなど錚々たる方々が賛辞を送っていらっしゃいます。たしかに、日本人が書いた帆船時代の海洋冒険小説など、多島斗志之さんの「海賊モア船長」シリーズ以外読んだ記憶はなく、舞台背景としては異色。 1795年の英仏戦争時、フランス革命半ばでナポレオン台頭のちょっと前。対フランス戦争を続ける英国海軍戦列艦ハルバート号(90門?)に強制徴募された靴職人ネビル・ボートを主人公に据えた、日本では珍しい帆走戦闘艦の物語。さすがに冒険譚としてはいかず、主人公が巻き込まれた殺人ミステリ仕立てですね。──帆船ファンとしては興味津々で、語られるさまざまな蘊蓄を楽しみました。 とはいえ最初の殺人があまりに偶然すぎましたし、基本的に「文官」である主計長が、帆船水夫の花形であるトップマンのような技量を発揮するとか、なんか無理がないかな。それらを含め、ミステリとしてはまあまあかな。 気になったのは最後の締めくくり。あり得ないと思いましたが、どうなのかな。 あり得ないというのは、乗艦が喪失したからといって、乗船している強制徴募兵が「人があまることになったから帰りたいヤツは帰っていいぞ」になるはずがないと思うから。あの戦争のさなか、慢性的に人員不足な英国海軍が下級水兵とは言え熟練者を簡単に手放すはずがないんじゃないかなァ。 | ||||
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第三十三回鮎川哲也賞、受賞作。 1795年。英国、サウサンプトンの港で物語が始まります。フランスと戦火を交える英国海軍。ほとんどの舞台は、その海軍の軍艦「ハルバート号」の中。酒場で無理矢理徴募された靴職人のネビル・ボートが主人公。彼は新米水兵として様々な労苦を味わいながら、故郷に残された妻と生まれてくるであろう子供のために何とか生き抜こうと心に決めます。しかし、いつフランス軍の敵艦に遭遇するかわからない緊張感の最中、艦内で連続殺人事件が発生し、彼はあろうことか犯人に名指しされそうになります。果たして、犯人は一体誰?その動機は? 三つの殺人事件が発生しますが、やはり当時の船上で発生する殺人トリックが出色でした。状況は異なるものの森村誠一の或る山岳ミステリなども思い起こしました。他は、まあアベレージだと思います。 むしろこのような時代の、このような状況を創造した「冒険小説」作家としての力量こそ注目されて然るべきではないかと感じました。特に後半は謎解き以上にそのストーリー・テリングの巧みさに読書の歓びを得ることができました。 時間軸を「点鐘」で表現された瞬間、故アリステア・マクリーンなども想起したりして、もしかすると「クライブ・カッスラー」が描くところのUp-to-Dateな海洋冒険小説などが書ける作家が現れたようなとてもウキウキした想いに包まれました。 | ||||
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