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ローズマリーのあまき香り
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ローズマリーのあまき香りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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20年にわたって謎解きができなかった殺人事件を天才探偵・御手洗潔が過去に遡っていとも簡単に解決する、という推理小説には違いないのですが、そこへ行き着くまでの「過程」が読みどころの小説です。 「ユダヤ教」「キリスト教」「聖書」「ナチスの狂気」「人体実験」「白鳥の湖に代表されるバレエ芸術」「数の概念」「不思議の国のアリス」そして「ニューヨーク」「館的要素の建築物」などなど著者の博識はとどまることを知らない『大河』です。 ミステリとしては550ページを読み倒して初めて明かされる『真実』がありますので多少「?」となりました。でも確かに読むだけで「ローズマリー」の香り漂う不思議な読後感を味わうことができました。 | ||||
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島田荘司の『ローズマリーのあまき香り』を読了した。2023年4月24日リリース。7年ぶりのミタライ、ということで相当に期待して、集中して読んだ。そして、期待は全く裏切られなかった。 今『島田荘司全集』もIからVIIIまで読了していて、島田荘司の全作品のコンプリートも近づいてきた。島田荘司の手練手管はほぼ知り尽くしていると思う。その上での最新作、しかもミタライということで読者としても容赦なく読むわけだが、島田荘司の基本である、 ・まず、ありえないくらいの奇想がある ・その奇想をいくつかの別の奇想が加わり、より深い奇想になる ・それを最後には論理的に帰結させてしまう が、ほぼ完全なカタチで構築されている。しかもそれが、歴史や宗教、そして脳科学(ブロードマンの脳地図も出てくる)、ユダヤ人とユダヤ教、カザール王国に、ロックフェラー(この作品では、『ウォールフェラー』になっているが・・)、そしてバレエと様々な要素を見事に組み合わせて構築されている。その深さにまず驚く。 ぼくは、2019年6月にロシアのサンクトペテルブルクに旅行し、そこでバレエを観てきた。演目はチャイコフスキーの『白鳥の湖』だった。世界トップのマリインスキーではなかったのだが、それでもロシアのバレリーナ、特に白鳥を演じたバレリーナの素晴らしさは格別だった。その様が、この本を読んでいて鮮やかに蘇ってきた。ロシアでは、今でもバレリーナは、全て『公務員』だったと思う。その共産圏独特の凄さが彼女たちのバレエには間違いなくあった。 それを見事な構成力で描いてみせる。その筆力に唸ってしまう。こんな小説は、島田荘司以外には書けないと思う。 『島田荘司全集』もIからVIIIまでの作品を読み、それ以降の傑作群をほぼ読了し、最新作の本作を読み、そのベクトルの指す方向の確かさ・強さに圧倒される。 ミステリー愛好者なら絶対に読み逃してはならない一冊である。 | ||||
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御手洗潔シリーズは大好きです。現在の社会情勢も取り入れられて、人間の心理が深く掘り下げられていて興味深い。もっと読みたいな! | ||||
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全作品読んでいる御手洗シリーズの7年ぶりの長編。 自分は推理小説・探偵小説・サスペンスが好きですが、トリックを最優先に置いて楽しむタイプではありません。 そういった立ち位置とシリーズのファンの観点から言うと、この小説は文句なしで楽しめました。 島田荘司の作品は、登場人物の心情描写の美しさが特徴だと思っています。ただ感傷的な訳ではなく、時にファンタジーや一見関連のない物語の顔を借りて描かれる描写には、美しくも人間味が溢れていて愛おしくなります。 描かれている感情が決して美しいだけのものではなくとも、受け入れることが出来る。 本筋から外れたように見える部分も楽しく読ませる手腕は健在で嬉しかったです。 むしろ作品を重ねて良い意味で優しく、取っ付きやすくなったかな?とも思いました。 (前作の「屋上の道化たち」は悪い意味で登場人物ほぼ全員がどこにでも居るような風情の人間味に溢れすぎており、あまりに誰も物事を深く考えていない様子に辟易し途方に暮れさせられました…。そのため今回も実は警戒しながら読み始めたのですが、全くの杞憂でした) ネタバレがないようにレビューを書いているので内容がふんわりしていますが、シリーズファンなら読んで損はない小説かと思います。前提知識もそこまで要しないため、シリーズ初読でも楽しめるのではないでしょうか。 追記:余韻を感じさせる本作のタイトルも素敵でした。 | ||||
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面白くて一気読みだったのですが、読み終わって我に返ったら、 「これ、ノックスの10戒にも、ヴァン・ダインの20則にも違反してない?」 と思ってしまいました。 | ||||
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御手洗ファンとしては待ちに待った最新作。 いろいろ突っ込みどころはありますが、概ね満足です。 高所恐怖症の私としては「摩天楼の怪人」を彷彿させる描写部分ででビビりましたが 大好きな「ネジ式ザゼツキー」のようなファンタジーもあり、結構楽しめました。 今後も破天荒な謎を望みます。 | ||||
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正直、敬愛せし巨匠であれど、このまま作家人生を終えて行くのかと思っていた。 せめて、予告されていた名探偵・御手洗潔とマイルス・デイビスのカンボジアを舞台にした作品だけでも読みたいと思っていた。 そしたら、普通に、島田荘司黄金期のような大著が本屋に並んでいた。 時間と空間を包括した大きな謎、童話のような迷宮へ誘うようなストーリーテリング。 堪能した。 惜しむらくは、最後に明かされる大仕掛けを、『摩天楼の怪人』の時みたいにビジュアル(図像)で見せて欲しかった。 現場の見取り図も。 図からの推理が出来ないから、最後に明かされたものに唐突感が起こった。 『アトポス』の頃なら、そのまま押し切れるほどの勢いはあったよなぁ。 ナチスの研究の人物は、読んでいる途中でWikiで調べてしまい、「それ」が語られていないからこそ、トリックがわかってしまったのは痛かった。 しっかし、1997年ごろの話ながら、ウクライナ情勢やコロナ禍を未来予想図として語る、島田荘司の貪欲さには呆れつつ感動し、まだまだ創作意欲が衰えていないことに感動した! | ||||
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久々に御手洗先生に逢えて嬉しかった。 現在と過去をリンクさせ、そのリンクに人間の愚かさ、悲しさを感じる。 繰り返すことは、愚かなこと。学ばないことが罪なのだと。 ミステリを超越した、深く染み込み内容だ。 重々しい事実があり、ほんの少し救いがある。 読んでよかった。 | ||||
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御手洗シリーズ最新作という事で首を長くして待っていました。 商品紹介でもある様に事件が起きた期間が占星術殺人事件の前という事もあり、御手洗の関わり方が気になっていましたが。 御手洗シリーズ中期のあたりの作風に近く、冒頭から物語の後半までクレスパンの死の謎に悩まされるわけですが、解決に進み、解き明かされる真実に懐かしさを感じました、 今作の凄いところは、全ての描写が一つに繋がっていく過程だと思います。 関係ない事件や宗教の話、作中作など、いずれもストーリー構成に絡み、相互作用を生み出します。 非常に壮大な作品で、文字数も多いですが、島田荘司はこうだったなあと御手洗シリーズの初期作品や中期作品を思い出しながら感じていました。 その他、御手洗周辺を解説するとネタバレしますので、どこで登場するのか楽しみながら体感してほしいと思います。 | ||||
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