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地図と拳



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【この小説が収録されている参考書籍】
地図と拳

地図と拳の評価: 3.83/5点 レビュー 69件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.83pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全42件 21~40 2/3ページ
No.22:
(5pt)

満洲という動乱の地・時代を舞台にした素晴らしい人間群像劇!

恐らく日本を取り巻く近代史において、満洲ほど波乱・動乱に満ち、(日本人にとって)儚く夢と消えた地は他に無いであろう。
満州事変あたりから太平洋戦争末期までの満州を舞台にした長編小説としては、五味川純平の「戦争と人間」と船戸与一の「満州国演義」が挙げられるが、この二つが「満州」の史実を忠実・詳細に追いながら、激流に翻弄される(架空に設定した)主人公達の姿を描いているのに対し、「地図と拳」は、史実は簡単な描写にとどめ、むしろそこで繰り広げらる人間達(日本人、中国人、ロシア人)のドラマが描かれている。前二者が、「満州」を舞台にした長編ドラマ(実際、「戦争と人間」は日活の映画になっている)であるのに対し、こちらの方は「満州」という時代背景のもとに、「李家鎮」という架空の地を舞台に人間が繰り広げる群像劇(演劇)とでも言うのであろうか。むしろ、それだけにこちらの方が人間の言葉を通じ、表題の「地図と拳」の意味するところを読み手に強く訴えかけるものがある。凄い小説である!
ただ、「満州」という史実についてある程度の知識が無いと、この小説は読み切れないかもしれない。興味を持たれた方は是非船戸の「満洲国演義」を読んでいただきたい(あくまで個人的評価だが、「戦争と人間」に比べ「満州国演義」の方が、船戸与一独特の「人間の儚い夢、ロマンス」が描かれている)。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
4087718018
No.21:
(5pt)

最高

歴史も大変参考になる。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
4087718018
No.20:
(5pt)

読ませる文章

ヘヴィな題材だが、読ませる文章で書かれており、どんどん頁をめくってしまう。
こんなに重い(内容も、物理的重量も)本が結構売れているのを見ると、日本もまだ捨てたもんじゃないと思わされる。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
4087718018
No.19:
(5pt)

王道

特に複雑な伏線があるわけではないが、しっかりと登場人物が噛み合っていく様はとても気持ちが良い。同時受賞作より、はるかに重厚でかつ丁寧に仕上がっており楽しめました。もっとも、頭にスッと入ってきたのは、私自身がこの時代の小説をいくつか読んでいるからかもしれず、予備知識が無いとちょっと辛いかもしれません。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
4087718018
No.18:
(5pt)

■間に合ってよかった、紙の⁉️本との出会い。

■「地図と拳」。やはり、買ってしまったビョン。ジャケ買い。でもある。川名潤。の装丁がお見事。本。としてでなく、置物。としても、2200円➕税。の価値を感じる。
■こう言うテーマには、僕はイチコロ。です。広告も、作り込まれている。

◉ひとつの都市が現われ、そして消えた。
日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。

◉小川哲(おがわ・さとし)
1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。

■ウクライナ戦争前の連載だけれど、すごくシンクロしていて、鳥肌が立つほど。生きているうちに、出会えて幸せだった。僕も、このような物語を編める作家、編集者になりたかった。のだ、と気づかされる作品の一つ。羨ましい限り。1986年生まれ。僕が社会人になった翌年生まれ。やるじゃん。30代の若い人。

■耽溺読書。スタート。
早逝した伊藤計劃。の、アニメにもなった「虐殺器官」、「ハーモニー」も、そうだが、日本のSF界の土壌から、現代課題の本質を切り取る素晴らしい作品が生まれていることに、喜びを感じる。ハヤカワ生まれを、すばる。で引き取る集英社の興業力にも感謝したい。ありがとう。

■「地図と拳」。今年の直木賞。この作品は、ある意味、コンセプト/イメージ。のサンプリング小説でもある。
■僕も、そのように、多くのコンセプト/イメージ。をサンプリングして、20年間、商品企画開発に遊んだ。

■8ページにおよぶ参考文献は、かなり、僕の書棚の本と重なる。満州。都市デザイン。そして、戦争。これらの3つのテーマの集合円の重なり合いが、大きな意味の重力を生み出し、参考文献を引き寄せていく。まさに、この作品の地図が、作者の中で、相互補完されていく。で、著者の筆力の個性/拳が、上がるのだ。地図と拳。この作品を描く、体験からくるものでもあるのか。な。

■著者の選書発射台の目利き。から、が、確かだから、このような重厚なハイブリッドかつ、キメラな個性が、作品として現出するのだな。と、合点がいく。間に合って、良かった。さあ、読もう。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
4087718018
No.17:
(5pt)

映画化して欲しい

面白かったです。映画を観ている気持ちになりました。映画化して欲しいと思います。
あと架空の都市が舞台でしょうが、当時の地図が本の中にあれば、と思いました。
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4087718018
No.16:
(4pt)

読み始めたら止まらない

本の書評を読んで気になり、早速購入、読み始めると止まらずに一気に読んでしまった。徹夜になり目が痛くなってしまったので、星一つ落としました。
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4087718018
No.15:
(4pt)

重厚な歴史小説。読み応えあります。

登場人物が多く、物語の視点がコロコロ変わるが、ちゃんと物語についていけました。
前半・中盤と読み進めても、どういう展開になるかが全く予想できず、ハラハラさせられ続けました。
ただし、最後の方で失速した印象があり4つ星としました。
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4087718018
No.14:
(4pt)

事実?創作?

どこまでが史実でどこまでが空想なんだろうか。あまりにも詳細な設定や展開に作者の知識に驚かされる。直木賞受賞もさもありなんと納得。私も引揚者だから帰国の場面などそうだったのかと改めて知ることも多い。骨太の小説はいつまでも忘れない。
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4087718018
No.13:
(5pt)

新しい感覚の時代小説

弁当箱のように分厚い時代小説というと、購入するのに勇気が要りましたが、読み出すとまさにページターナーで、あっという間に読了しました。厳しい時代に材を取りながら、地図という新しい切り口を加えることで、軽やかな読後感が現代性があると思いました。さすが直木賞と思わされました。
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No.12:
(5pt)

満州を舞台にした一大叙事詩

読んでいる途中で、直木賞を受賞した。なるほど、確かに読みごたえはある。ここには真実がある。架空の都市をめぐる物語ではあるが、孫文と蒋介石と関東軍とソ連がぐっちゃぐちゃに戦っていた満州で、実は何が起こっていたかということを丁寧にひも解いてくれた。時系列にして、背景を語り起こしてくれた。明らかに架空の超人や変人が何人か出てくるが、彼らは結局、歴史を案内するガイドにしか過ぎない。どこか諦念を抱えていて、運命に逆らうことをあきらめている。
 最後に参考文献をあげているが、参考文献の羅列だけで8ページもあるのだ。満州とは何だったのか、少なくとも日本にとって満州とは何だったのか、がわかったような気がする。
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4087718018
No.11:
(5pt)

作家の想像力の凄み

冒頭の時代設定が絶妙。山田風太郎ファンが追い求めるような明治末期なのだが、荒唐無稽ではなくめちゃくちゃリアル。白熱かつ迫真のシーン展開の連続で息もつかせない。あたかも実際にタイムトラベルして見てきたかのような情景描写の連続で、読みながら、まるで超大作の映画を見ているようだった。クロニクルに推移しながらさまざまな視点で物語が進むのも、読み手側に憑依の錯覚を覚えさせて心地よい。
実力のある作家の作品というものに久々に出会った感がある。今回、直木賞を獲得したのも当然というしかない。
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No.10:
(5pt)

最高!

分厚かったけどまだまだ読み足らなかった
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No.9:
(5pt)

満州を舞台にした大河小説 建築と都市計画という視点が斬新

この著者の本は初めて読むが、600頁を超える大作である。
巻末の参考文献を見ると満州と日中戦争に関する文献だけでなく、建築と都市計画に関する文献も含め膨大な資料を渉猟した労作であることがわかる。

物語は日清戦争後の1899年の序章から戦後の1955年の終章まで、編年体の歴史書のように時系列で満州を舞台としたドラマが語られる。
この時代の満州は、日本から見れば、日清日露戦争を経て、戦前の旧日本帝国が満州開発に着手し、ついには満州国の設立に至る経緯と、日中戦争から太平洋戦争へと戦火が拡大する中で満州がうち捨てられていく過程であり、中国側から見れば、ロシアに次いで日本という外国勢力の支配に抗する民族解放闘争と中国内の国民党と八路軍の内戦が展開していた激動の時代である。
それゆえ、従来は<戦争と民衆>あるいは<侵略と抵抗>という視点で歴史や小説が描かれることが多かったのではないか。
これに対し、本書は「地図と拳」という表題の視点で描かれている。「拳」とは軍隊と戦争のことであるが、「地図」とは未開の土地を開発する都市計画とそれに基づく建築を意味している。もちろん、都市計画と建築といえども旧日本帝国の支配政策の一環であり、日本の支配が失われると破棄される運命となる場合もあるが、その土地の風土と民衆に適った都市計画と建築であれば日本の支配が失われても残る可能性がある。このあたりはいわば超時代的でコスモポリタンな建築家の夢想とでもいうべきかもしれない。

本書に登場する人物の中には、大日本帝国のイデオロギーを体現した憲兵も配されているが、主たる登場人物はイデオロギー的には比較的自由な学究肌の人物が多い。
実際にこのようなイデオロギー的に自由な人材が満州開発にかかわっていたのかは疑問であるが、都市開発と建築という視点で満州を描くのは斬新な視点といえる。
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4087718018
No.8:
(5pt)

地図は時間を記録する。拳は時間さえ破壊してしまう。

第二次世界大戦前後の満州を舞台に、都市を造ろうとする人々の群像劇。地図は歴史を刻む。拳はロシアによるウクライナ侵攻のように地図を変えようとしている。地図とは何か、地図を作成する目的は何か、地図に盛り込まれる情報は何か、都市計画と戦争と歴史が絡み合う中で、最後に残るのは何か。作品自体は大きく盛り上がるようなものではないが、600ページを越える作品ながら、ずっと読んでいたいくらい読ませる作品だった。
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No.7:
(5pt)

深遠に問いかける。

惹き込まれた圧巻の640P。
その”燃える土”の物語は1899年春から1955年春まで。
それは満州のとある地から始まった。
描いたその地図は建築とともに拳は衝突していく。
その過程で”地図とは何か”を深遠に問いかける。
”光は命”
”時間を無限に延長させる”
思慮のもと、主観的な光を設計し、白紙の地図を連綿と旅すること。
つねに読み手の内面に問いかけられて、見えてくる道がここにある。
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4087718018
No.6:
(5pt)

未だ見ぬ街に想いを馳せる

不思議な物語。時間は一方向に流れつつ、視点が次々に変化する。それら人物を内包していた空間の物語。空間の変化とそこで行われた業の物語。
決して読みやすい作品ではない。視点変化と中国独特の固有名詞が読むリズムを時折阻害する。しかし、冷めた目線で描かれた毒を含んだエピソードが、無知と暴力の歴史を伝え、読む手を止めさせない。
そこには罪に対する意識があり、それは新しく描かれた戦争の物語でもある。我々は何をしていけば良いのか、どう生きていくのか、あの時代に想いを馳せながら静かに考えさせてくれる。
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No.5:
(5pt)

久しぶりに出会った、読むのがやめられない小説!

面白すぎて読むのを止めるのが難しい小説に久しぶりに出会いました。
無駄のない、しかし表現力と展開力のある文章に作家の力量を感じます。
おそらく、ものすごく多くの取材、読書をしないとこれだけのストーリーは書けないでしょう。
膨大な情報を、小川哲さんの脳を介して、こういった作品として読める、その凄さ、素晴らしさにも感動します。
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4087718018
No.4:
(5pt)

物語の「閉じ方」が秀逸すぎる

小川哲氏の作品は「ゲームの王国」「嘘と正典」(特に表題作)共にとても面白く、今回も期待して読み進めました。ただ、それは、良い意味で裏切られることになります。

「ゲームの王国」(文庫)では、上巻での圧倒的リアリティに対して、下巻のSFチックな内容にどうも没入できない自分がいました。今回も「始まり」でその要素が垣間見えたのですが、抑制が効いており、日露戦争から満州事変へと進行する物語の現実感を損ないません。逆によいアクセントになっているほどです。

また、いわゆる歴史群像の形をとりながらも、一貫して貫かれる軸が存在し、物語をつなぐ縦糸としての機能を十二分に果たしているのが大きな特徴でした。それゆえに、「どう物語を閉じるのか」が私にとっての焦点でしたが、想像のはるか上をいく内容に圧倒されてしまいました。

「地図と拳」
読者それぞれに「地図」が象徴するもの、「拳」が象徴するものの解釈は違うのだと思います。
しかし、タイトルは「地図と拳」以外にはあり得ない、そう感じています。
間違いなく、小川哲氏の最高傑作です!
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No.3:
(5pt)

地図も建築も時間を保存する。同じ場所に同じ形の建築が存在することで、人間は過去と現在が同一の世界にあるのだと実感します。

あまりの面白さに悶絶しそうになった『ゲームの王国』のように、動乱期の国を舞台にその時代の歴史的事実を背景に作者の法螺話を見事に融合させ、これがSF小説に転換していくという構成となっているのかと思いきや、本作の舞台は1904年の日露戦争の数年前から1945年の終戦まで(1899年の序章と1955年の終章を除く)の満州を舞台とした群像時代小説となっています。
 したがって、『ゲームの王国』のようなSF小説を期待すると肩透かしと思われるかもしれませんが、『嘘と正典』のいくつかの短編小説のように、小川哲には、SFというジャンルに捕らわれない幅広い作品を生み出す力を感じていたところ、本作はなかなかの力作だと感じます。
 もちろん本作においても『ゲームの王国』の中に登場する不可思議な能力を発揮する人物(孫悟空)も登場しますが、そこにはそれほど大きな力点は置かれていません(個人的には孫悟空の活躍がもっとあるのかと思っていましたが・・)。
 ただ、本書においては物語を語る視点が章を追うごとに変わっていくのですが、当初は誰がメインとなる主人公なのか戸惑いながら読み進めていくことになります。

 日清戦争後、不凍港を求め南下政策を行うロシア帝国との間の朝鮮半島や満洲の権益をめぐる争いが原因となり引き起こされた日露戦争。
 絶対に勝つことはないと言われていたロシアとの戦争で勝ってしまったことによる成功体験。
 ロシアの本拠地であった満州を日本が統治する

 何もない場所に鉄道を走らせ、駅を作り、駅の周辺に都市をつくる。
 鉄道が都市をつくるのであれば、その鉄道の路線を決めるのが地図。
 いわば「地図」が都市を生む。
 国家とは。
 国家とは法であり、為政者であり、国民の総体であり、理想や理念であり、歴史や文化でもある。どれも抽象的なもので、形のないものだ。その国家が唯一形となって現れるのは、地図が記されたとき。すなわち国家とは地図であるとも言える。国家の歩みは、更新されてきた地図の歩みでもある。

 満州という広大な土地の地図を作る。
 それが本書に登場する細川やロシア人宣教師クラスニコフ、須野、須野の息子明男らの目的だ。
 地図も建築も時間を保存する。
 同じ場所に同じ形の建築が存在することで、人間は過去と現在が同一の世界にあるのだと実感する。
 一方、世界地図を見て明らかなように人の住める世界は狭すぎるがため、暴力によって何かを解決しようとする「拳」、つまり戦争がなくならない。

 世界中の地図を読み込み、どの国家がどの土地を狙っているのか、戦争となったときには、どこが戦場になり、どういった戦いがどのくらいの期間行われ、各国の備蓄資源や技術力から、どちらが優勢か、そして、そもそも有事に至るかどうかも含め推測することが、戦争のなくならない世界においては重要となる。

 世界では、今まさに、戦争が続いている。
 拳によって地図を変えようとしている。
 本書は、今こそ読まれるべき物語と言えるかもしれません。
地図と拳Amazon書評・レビュー:地図と拳より
4087718018

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