■スポンサードリンク
ローズ・コード
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
ローズ・コードの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ナチスドイツの暗号解読に携わった女の子らの話。読み応えあり。面白く読みました。ただ、誤植?変換間違いを3か所見つけた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「戦場のアリス」ほどスリリング感はなく、 しかもロマンスの部分が全般につまらなかったけど(特にフィリップは読みとばし!) 女主人公3人のキャラ立ちと後半の盛り上がりは上出来で 戦前英国の香り漂うような映画を観ているような鮮やかな終盤。 ケイト・クインは現代版ケン・フォレットのように史実とフィクションを織り交ぜて 歴史のすき間を覗かせてくれて、深い読後感が与えられる。 しかも彼女の3部作どの作品でも、 今は名も残っていない女たちが、なんと勇敢に生きて任務を全うしていることか! その姿に力をもらえる。 そして、前作では「ソ連女子空爆隊」や「ナチハンター」をWikipediaで調べたように 今回は「ブレッチリー・パーク」を調べ 知らなかった事をたくさん教えてもらえて感謝もするのです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この作品にはどこにもブレーキが付いていない。読み出したら止まることができない。約750ページに渡る長大な本なのに、どこにも。それだけでも凄いのだけど、この作家の歴史に材を取った取材能力も努力も凄い。あらゆる歴史的事実の上に重ねてゆく個の物語は、途轍もないエネルギーを持つ。それを抱えた主人公たちは、実在の人であれ、架空の人であれ存在感が半端じゃない。そこがケイト・クインという作家の最大の強みなんだ、と三作目でも改めて再認識。 そもそも複数主人公を並行させ、それぞれの物語を疾走感たっぷりに交錯させたスケールの大きい物語を作るのが上手い作家なのだが、本作では、大戦中の英国を舞台に、個性豊かな三人の女性、オスラ、マブ、ベスの物語を交錯させつつ、それぞれのラブストーリーと運命とを描き分けてゆく。 壮大なスケールの作品である。第二次大戦において英・独の戦略を分けた、知られざる暗号解読戦争。そこに携わった人々の運命。綴られるのはそうした確たる事実の上に載せられた物語と個の人間たちの魅力。 実際にあった暗号解読の秘密施設は<ブレッチリー・パーク>ことBP。この場所は、戦中はトップ・シークレット下に置かれた極秘の施設であり、暗号解読戦争の勝利を英国にもたらした基地なのだが、用済みとなった戦後は、多くの職員ともども用済みとされ、放置され、廃墟化したようである。現在は、マル秘事項が多分に解除され、丁寧な復元の上公開されている大変美しい場所となっているので、是非訪れて欲しいと作者があとがきで保証している。 物語はもちろん史実を題材にして個々のストーリー時は作者の創り出したフィクションである。しかし現実の記録や歴史に基づいたところが多く、実名で語られている関係者も多い。驚くのは現エリザベス女王が幼少の頃から登場すること。夫であるフィリップ殿下の、婚姻前に実際に交際していたのがヒロインの一人オスラであること。フィリップ殿下の若かりし頃がとても活き活きと描写されてとても庶民的で親しみやすい存在に描かれていること、なお戦地となった大西洋で従軍していること。オスラは実在の人物を作者が慮って、苗字こそ架空とされたが、実在の人物をモデルにしていること。ケイト・クインという稀有な作家の、史実に材を取った小説の面目躍如たる史実からの豊穣な想像力が多分に活かされた作品なのである。 またトリッキーでミステリアスな作品構造も魅力である。1939年12月にメイン・ストーリーは始まるのだが、1947年11月「ロイヤルウェディングまで11日」というような謎めいた章が挿入される。そこでは短いページ数の間で、三人の女性のそれぞれの運命が暗示されているかに見える。中でも暗号解読の中核にいるベスは<時計の中>という別立ての章を用意され、彼女だけは奇怪な場所で拘束され、ロボトミー手術まで暗示されている、という異様で危機的な状況にあることが、初期時点で描かれてる。いつもながらの意味深な凝った構成である。1939年のメインストーリーが1947年の現在に追い着くまでの壮大な物語を読者は辿ってゆくことになるだろう。 暗号解読という困難な仕事を引き受ける特殊だが実在したという機関ブレッチリー・パークは、それにしても魅力だ。読んでいるうちに愛着さえ覚える。ここに集まる職員たちの強い個性とそれぞれの能力。それ以上に、きつい労働条件と秘密保持の制約の中で結束する仲間、師弟の絆の強さ。ラスト近くでこのことが確認される。涙腺を刺激される感動的なシーン。 職場では、章が変わる毎に登場する<ブレッチリー空談>という数行のユーモラスで謎めいたコラム。<いかれ帽子屋お茶の会>という名の仲良し職員たちによる青空読書会では世界の古典が取り上げられ、一部人気や書評が聴かれるので、この辺りも読書子にとっては電気的刺激もの。何と多面的に楽しむことのできる物語だろうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
同作者の本で3冊目。面白かった。戦場のアリスほどハラハラしなかったが。後半になるに従ってストーリーが複雑になり、この作者の術に嵌ってしまう。ページをめくるのが止まらなくなっていく。ただ全体として前半が冗長な感あり。760ページは長すぎ。特に私の様に寝転がって読み続けたい人間にとっては、この文庫は重すぎて腕が痛くなるし、厚すぎて見開きの奥まで文章が続くので、ちょっと読みづらかった。 ただそれを考えても、この本は十分面白く、読みごたえがあり、次作を楽しみにしたいです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ストーリー展開と登場人物の関わりが興味深く 面白かったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書を注文したとき、バーバラ・W・タックマンの『決定的瞬間 ー 暗号が世界を変えた』(ちくま学芸文庫、2008)が念頭にあり、類書を期待した。期待はみごとにはずれ、戦時にこと寄せたハーレクイン・ロマンスとも呼びたいヤングアダルト向けの小説が来た。 実在の人物や史実に取材しているとはいえ、手堅いノンフィクションとはほど遠く、3Dプリンターで作った精巧な造花のような作品である。(ガールズノベル、シスターフッド、ローマの休日が好きな人には迷わずお奨めします) 重なり合う薔薇の花弁の如く多層的な人間ドラマにしてミステリ、と言われればまあそうなんだが、謎解きと犯人探しのスリルはほぼない。暗号の解読作業をめぐって、楽器の調弦のようにジワジワと良い感じで張り詰めてゆくBP(ブレッチリー・パーク)の空気。それを一気にたるませてサスペンスを台なしにするメロドラマ。その繰り返しで物語が進行する。メロドラマが入るわりにはラブシーンが陳腐で退屈である。(個人の感想です) 故フィリップ王配殿下の独身時代の描き方も、あまりにハーレクインすぎて赤面した。元ガールフレンドのオスラ・ベニング(作中ではオスラ・ケンドル)との交際の模様が虚実ないまぜて語られているが、実際のフィリップの性格を思えば相当なギャップを感じざるを得ない。 若き日のギリシャ王子フィリップは、確かにスーパー・イケメンではあったが、夢見がちな女性読者の過剰な期待に応えられるほどロマンティックな恋人適性は持ち合わせていなかった。後年の素晴らしい失言語録からも察せられるように、如才なさとは無縁のざっくばらんなお人柄であり、遅かれ早かれひどく無神経なことをひどく無邪気に口に出して女性を苛立たせたり幻滅させたりするタイプなのだ。 こういう人は、時々(もののはずみで)誰彼と浮名を流すことはあっても、本質が散文的すぎてラブロマンス小説の王子様には向かない。色恋にダラダラと時間を費やすよりは、もっと確実に心の隙間を埋めてくれる安定した価値観の象徴を尊ぶ傾向がある。例えば友愛、チームスピリット、家内安全、履き慣れた靴などを。 『著者あとがき』によると、オスラとフィリップの「ロマンス」は、著者が「大切に心を込めて」書いた創作(p752)だという。 二人が愛をささやく代わりに、丁々発止の失言の応酬や礼儀正しいビンタの交換で、ユーモアを維持しつつ骨太の同志愛を育み、月並みな愁嘆場を当たり前のように回避して「恋愛より友情」というwin-winの選択に大満足で着地するような展開だったら、この小説にはもっと英国らしいドライな旨味が加わったのにと惜しまれる。 『あとがき』は作品本体よりおもしろい。著者には申し訳ないが、人物も出来事も、創作前の未加工のナマ素材の方がずっと美味しそうだ。 著者ケイト・クインは史実に題材を採ったロマンティック・フィクションを多作するアメリカ人で、時代考証を怠けない点は好感が持てる。英欧の歴史・文化・習俗のリサーチにも熱意が感じられる。 だが、第一英語がBrE(イギリス英語)だった読者の中には、アメリカ人作家の 「文化的なりすまし」 を好まない偏屈者が必ずいるものだ。 本作がそうだとは言わないが、彼らの顰蹙を買うのは、英国が舞台のはずなのに歩道が “sidewalk” だったり、ロンドンの王立病院で外科医が “elevator” に乗って移動して “operation room” で手術をしたりするような小説である。当の英国人たちはまず気にしてないような些細なアメリカニズムにも、いちいち眉を上げて反応し、“pavement” でなきゃイヤだ、“lift” でなきゃイヤだ、“(operation) theatre” でなきゃダメなんだと駄々をこねた挙句、しまいには「こんなのイギリスじゃない!」と一方的に慨嘆する。 自分は不幸にしてそういう狭量なマイノリティに属するのではないかと懸念しつつ、本書を読み終えた。明日からもっと寛容になることを誓おう。だから、今日はまだ重箱の隅をつついて言いたい放題言っておこう。(ただし若者向けのフィクションであることに鑑み、エニグマ関連の荒唐無稽な創作にはこのさい目をつぶる) 1. クラリッジズはクラリッジズ:翻訳でも英国らしさを強調したいのであれば、“Claridge’s” を「クラリッジ・ホテル」と和訳表記してはいけない。(宿泊施設だと知らない)読者への気配りからであってもNG。不親切でもそのまんま、「クラリッジズ」で通したい。 2. キンならぬギン:花嫁のブーケに使われる “myrtle” は「キンバイカ」でなくギンバイカ。2度続けて「キン」になっている(p635)ので第二版で修正求む。ちなみにキンバイカなる花は存在しない。 3. 「揺蕩う」のルビにまさかの誤植(p684): 【誤】たくさんの言葉が彼の唇の上でたこたっている。 【正】 〃 たゆたっている。 かつての恋人同士の切ない再会場面なので、彼の唇の上で言葉がたこたったりして読者を無駄に笑わせないでほしい。 あと一つ。誤訳や誤植ではないが、「脳みそ」という単語への偏愛が気になった。(他書と比較して、幻臭を伴うほどの頻度で「脳みそ」が出てくるような気がする) 私が知らないうちに “brain” の訳語の最優先候補は「脳みそ」と決まったのかもしれないが、他にも「頭脳」「知能」「知力」「脳細胞」「脳髄」「脳漿」「あたま」「おつむ」「ブレイン」等々、場所や状況に応じて適度に意訳も混ぜながらヴァリエーションをつくることは可能だと思うので、「脳みそ」一強状態は勘弁してほしい。 出版翻訳データベースによれば、訳者の加藤洋子氏は2010年9月のインタビューでも「脳みそをフル稼働して」という表現をさらりと口にしている。よほどミソが好きな方なのかな? 私は脳内フル回転で泡立つ miso shake を想像しただけで胃がでんぐり返っているけれど。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
おそらく帯の広告の「第二次大戦下の英国で、暗号解読に挑む女たちがいた。」の部分に誘われたのでしょう。 1940年6月以来の話の展開です。このお話を組み立てた作者の込めた、表現することの意味を確認したいと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
なかなか癖の強いトリオ。 760ページ(解説含む)の分厚い文庫本で中盤までは緩やかな展開、少し眠くなるかも。 しかし暗号解読していく過程はまるでガリ勉達が集まって受験勉強しているようでなかなか面白い。 ムカつく無能上官、ステキな男たち、登場人物も個性豊か。 後半の展開がかなり熱く読後感が良い。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
第二次世界大戦下のイギリス。それぞれ全く異なるタイプの女性3人が、暗号解読(ドイツ空軍の無線指令を傍受)の職を通して出会う。 一方、その7年後(戦後)その中の一人が精神科病院に強制収容されている。 その間に何が起こったのか? 異なる年月を交互に語りながら、時間を追って、3人の友情、職務、恋が主たるテーマだが、暗号解読の手法、厳格な機密保持、時代背景や女性の立ち位置等が描かれ、―――事件の謎が明かされていく。 終盤、犯人のめぼしはつくが、その後のエピソードには驚かされた。ちょっと曖昧で物足りなく感じた点もあったけど、国家機密的事項なのでこんなもんかな、とも。 700ページを超える長編で全体的にペースはスロー。冗長に感じたところもあったが退屈感はなかった。 現実で先月エリザベス女王のプラチナ・ジュビリーの祭典が催されたが、物語の中ではその王配フィリップ殿下が、婚前に主人公の一人と交際しているという設定で実名や経歴そのままに登場する(私はイメージを膨らますために、ネットで若き日のフィリップ殿下の画像を何度も見てしまった)。 著者あとがきによると、かなり史実を織り交ぜており、多数の実在した人物のエピソードに多少の色付けをして物語化したようだ。よく調べ上げたと思う。 重くて窮屈でたいへんな時代だったけど、女性が社会進出し解放されていく明るさもあり、読み応えのあるいい内容だった。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!