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戦争獣戦争



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戦争獣戦争の評価: 3.67/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(4pt)

戦争とドロップ

作中に出てくるドロップは、僕の世代だと子供の頃に食べていたもので、
懐かしかった。
缶の底にひっついたドロップが出てこなくて、割りばしをつっこんだり、
強く振ったりしていた。
これを読んで、山田正紀氏が自分より上の世代だと、改めて認識した。
僕たちより、戦争に対する実感が、特にアジアにおける戦争のリアリティが
あるんだなと・・・。
時空にまたがって存在する何かを、実感を持って描くのは難しい。
戦争を描くのも難しい。
山田正紀氏は、アジアの神話、土俗性をベースに、力技で描いた。
山田氏が、今の世界状況を予測していたのかどうかは、わからない。
これを読むと、まるで今の世界に起こっていることを予測して書いたみたいだ。
読み終えて、何か苦いものを飲み込んだような感覚と、それをやわらげる
かすかなドロップの甘さが残った。
SFが、強く現実と結びついている事を感じさせる作品。
余談ですが、さくま式ドロップの会社が廃業を決めたというニュースを
聞きました。
現実との妙な暗合を感じます。
戦争獣戦争 上 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:戦争獣戦争 上 (創元SF文庫)より
4488777023
No.8:
(4pt)

ハードSFではない。誤解を招く売り方をすべきではない

「巨匠渾身のハードSF」という煽り文句は誤解を招く。そもそも山田正紀は『神狩り』や『弥勒戦争』の頃から、科学的な厳密さ・整合性など追求していない。
この小説も、クライマックスにおける世界認識は自然科学的にではなく、人文科学的・社会科学的・宗教学的になされる。日本国内では定着しなかった言い方だが、これはむしろ「ソフトSF」なのだ。
世界をどのように認識すれば、ヒトの魂は浄化され、最終戦争による滅亡を避けられるのか?
そこに答えはない。答えがないからこそ、時空を超えた戦いは継続される。
文庫版で2分冊の長編なのに、答えがないことに不満を覚える方もおられるだろう。
答えを得られないがゆえに、輪廻する。
だが、迷える衆生を輪廻からの解脱させるには、最終戦争という「浄化」が必要なのであろうか?
戦争獣戦争 上 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:戦争獣戦争 上 (創元SF文庫)より
4488777023
No.7:
(3pt)

ハードSFを求め過ぎてしまった

SF的アイデアの種がバラ撒かれてるのだが、そこから物語として発展するものはあまりない。
だからさわりを読むとバカでかい風呂敷が広がってどう折り畳まれているのかと凄く面白そうなのだが、
物語として読みどころがあるかというとそうでもない。
話の断片を纏めて一つにしているが、細部はぼんやりとしている。
そこら辺の独特の世界観をどう読むかが好みの分かれ目か。
「ミステリ・オペラ」は量子の雲ほどにぼんやりとしたものを理路整然と強烈に纏め上げたのが面白かったが、そもそもSFとミステリで基本的なスタンスが違ったのかもしれない。
戦争獣戦争 上 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:戦争獣戦争 上 (創元SF文庫)より
4488777023
No.6:
(3pt)

上下巻とも読みましたが・・・

あまり読まない作家だが、以前から気になってたタイトルなので、文庫化を機に読んでみた。

・・・う~ん、あらすじだと凄く面白そうだが。
実際、戦争獣の設定は凄く良いが・・・
物語があさっての方向に向かうと言うか、
肝心なところを描かずに時代も場所もスッ飛ばしますねー。
ぼかしたまま焦点が定まらない感じ。
まぁラストまで読めただけマシですけど、読む前の期待感はまるで超えちゃいないし、物凄く面白かったわけでもなく。

・・・読み終わってみれば、凡作の扱いです。
戦争獣戦争 上 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:戦争獣戦争 上 (創元SF文庫)より
4488777023
No.5:
(2pt)

話がなかなか進まず退屈

●神狩りシリーズや崑崙遊撃隊、ツングース特命隊、魔境密命隊など初期作品は寝る間も惜しんで読
んでいた。最近はあまり著作を読む事はなく、暫くぶりで本書を手に取った。何か趣が異なっている
印象。現実感というか実体感が感じられず、モヤモヤ感が残る。しかも中々話が前に進まない。
 刺青獣や戦争獣、異人(ホカヒビト)などユニークなSFガジェットを登場させているが、詳細な説
明がなく軽く流している。
 キャッチーなタイトルに惹かれて購読したが、物語のテンポが遅い事と想像していたテーマと異な
る展開なので、途中で飽きてしまった。give up! 下巻をまとめて買わなくて正解だった。
戦争獣戦争 上 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:戦争獣戦争 上 (創元SF文庫)より
4488777023
No.4:
(3pt)

スリリングです

惹句や内容紹介から迸る「おおお、これ渾身の傑作だ絶対」という
事前のワクワクに引っ張られすぎたのでしょうか。
正直、肩透かし。
実は『ここから先は何もない』『カムパネルラ』も同様の感慨でした。
(『バットランド』はやっぱ凄い、先生を読み続けててよかった、と思いました)

弥勒戦争2を目指しておられるうち、今作と化したのだろうとも推察します。
が、なんだろうこの「で、なにを私は読んでるんでしたっけ」な感覚。
相変わらず、めくるめく奔放なアイデアを惜しみなく投入いただいてるはずなのに、
気宇壮大なそのスケールに、先生ご自身が納得するためのロジックを模索する、
そのドキュメンタリーをひたすら読まされてるような気もしてくる。
そしてその思考実験の痕跡が、とてもスリリングでもあることも事実。
ですが、未だ決定稿に到達しない、それこそ第3稿っぽい手触りがあります。
あるいはやがて紡がれる弥勒戦争3へのインタルードなのかも。
戦争獣戦争 (創元日本SF叢書)Amazon書評・レビュー:戦争獣戦争 (創元日本SF叢書)より
4488018378
No.3:
(5pt)

読み始めは弥勒戦争的な感じがした。

異人、戦争獣、刺青獣の甲虫、蝴蝶、蜥蜴、睡蓮とか、現世、狭間、死界、死態系、死命という単語を読むと「宝石泥棒」や、「崑崙遊撃隊」を思い出して懐かしい。
久々に初期の頃のような物語で先の展開が楽しみでワクワクして面白かったな。
別系統の異人の双子の由来らしきものはラストで明かされたが、玄孫だったとは。
戦争獣戦争 (創元日本SF叢書)Amazon書評・レビュー:戦争獣戦争 (創元日本SF叢書)より
4488018378
No.2:
(4pt)

山田正紀健在なり

1945年8月6日と9日、増大するエントロピーを餌とする戦争獣が生まれた。
刺青獣を身に宿した異人(ホカヒビト)たちは、果てしない闘争を繰り返す。その果てには何が待つのか。

近年の山田正紀には失望させられることが多かったが、本作は久しぶりに物語に引き込まれた。
SFガジェットによって語られるもうひとつの近代史である。メインとなるのが朝鮮戦争というのが斬新だ。
数十年間の「現在」を体感するというアイデアには驚嘆した。
過去や未来に旅するのではない。すべてが「今」なのだ。

台湾山地民族をモチーフにした叛族のディテールが興味深い。
オ・ジオンと冬二が闘争するあたりが一番面白かった。「宝石泥棒」の興奮が蘇える!
理系要素が尖鋭的すぎて、完全には理解できなかった。通常ならわからないものは退屈だ。
だからイーガンも円城塔も苦手だ。が、本作は面白かった。
物語の力とガジェットの魅力が、理論の難解さを圧倒している。
異人のひとりがメインのストーリーにまったく絡まないのは、構成ミスか。このキャラは不要だったのでは。
山田正紀健在を実感する嬉しい一冊だった。
戦争獣戦争 (創元日本SF叢書)Amazon書評・レビュー:戦争獣戦争 (創元日本SF叢書)より
4488018378
No.1:
(5pt)

弥勒戦争を超えてしまった

戦前の華麗島の結晶林(マガタマカガミノモリ)、そこには異人(ホカヒビト)と戦争獣である黄帝・蚩尤との物語が繰り広げられる。人は戦争をやめられない愚かな生き物なのか、それを異人(ホカヒビト)は世界を変え、戦争を浄化できるのか。
時空を次から次に飛び回るストーリーに頭がついていけなくなりそうになるが、それでもいつの間にか物語の展開にのめり込んでしまう。いつもの山田正紀の物語。ラストは個人的に気に入ってる。お勧めです。
(追記)
共に戦後の朝鮮戦争から始まり、死を最終目的にするホカヒビトと滅びることが宿命の独覚、原爆で生まれた戦争獣と弥勒。登場人物の類似、とうとう弥勒戦争2が出た!と読み進めていったが、弥勒戦争を遥かに超えるストーリー。弥勒戦争から40年後の山田正紀は、彼自身がすでに弥勒の時空域を超えてしまっていた。
戦争獣戦争 (創元日本SF叢書)Amazon書評・レビュー:戦争獣戦争 (創元日本SF叢書)より
4488018378

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