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正欲
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正欲の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.90pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全359件 341~359 18/18ページ
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何かを表現する時、 「自分の表現力の拙さ故に、うまく伝わらないんだろうな」と感じる。 同時に、「うまく伝わらなくてもいいや」と思ってしまう。 このレビューでは、本書の良さを伝えることはできない。 だから、それは他のレビュアーにお願いしたい。 それでもレビューを書くのは、 「本書は星5に値する」と私が感じたことを、 他の人にも知ってほしいからである。 あなたと”繋がり”たいからである。 本書を「面白かった」と現実世界で言うのは、少し勇気がいる。 自分の思想が透けそうで怖い。 さらに、「読んでみてほしい」とは、なかなか言えない。 それでも、どうしても読んでほしい人がいるため、 電子書籍で読み終わった後、プレゼント用に紙も購入した。 | ||||
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タイトルが言い得て妙 公式のあらすじがあまり情報がないのも納得 ネタバレになってしまうが、まるで叙述トリックのよう。 前情報なしに読み進めると段々と自分が思っていた話ではないことに気が付き始める。 クライマックスのある登場人物の吐露には感心する。みんなが思っているもやもやを言語化できる才能がプロの作家なのだろう。 自分の器の小ささを実感する作品 勧めたいけど人を選ぶし映像化は無理だろう | ||||
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同調圧力の強い社会で生きるとはどう言うことか、マイノリティとマジョリティを考えることで分断により壊れかけている民主主義をどのようにしていきたいのか、バブル世代の生き残りとして今後の作品に期待しています。一人称語りが読みやすかった。逆にそのせいなのかもだが著者が登場人物として出過ぎる感があった。 | ||||
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偏った意見のため、作品を読む前に閲覧することをお勧めしません。 ジェンダーレスや女性進出などが取り上げられている中、「じゃあ、力仕事を男に押し付けるのは…」のような声はよく耳にします。 確かに、目の届いていないマイノリティはまだ多くあり、これから少しでもすくうために探していく必要があるかもしれません。そのような中でもマジョリティの中にあるマイノリティ、そんな足元にあるような問題に気づかないことこそが特殊性癖をもたない私からすれば危惧するべきことでもあるのです。 どちらの視点からもどちらが悪いといった優劣をつけることなく、この時代背景にもあるような葛藤を映し出しているそんな内容だったと思います。 卒論のテーマの参考にします。ありがとうございました。 | ||||
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市民権を獲得した「多様性」という言葉。使い勝手のいいその言葉を安易に多用することの浅はかさと危うさを突き付けられた。 わたしが使っていた多様性とはつまり「世の中にはいろんな人がいる。いろんなバックグランドを抱えた人がいる。そういった人たちを受け入れていこう」といった程度だ。いろんな人、いろんなバックグラウンド、そういった人たちとは自分の想像の範囲内の人々で、自分の想像を超えた人たちは多様性から漏れ出る。自分の想像だけで作った多様性という網ですくい取れなかった人は存在しないことにされる。自分の想像を超えた人の存在を認めることは難しい、存在を認めないほうが簡単だ。自分が行ってきた残酷な行為をこの作品によって暴かれてしまった。 正しいとは何か。正常とは何か。正義とは何か。それらに絶対的な普遍性などないのではないか。結局は自分の考えが及ぶ範囲で思考を止めてしまっているのではないか。個人の総体である社会が生み出すルールや法律。それから逸脱すれば、非難され罪を償わせられる。今の日本で生きていくとはそういうことかもしれない。しかし、彼らの言葉にならない思いは?対話することへの諦めや他人、社会への絶望は? 自分の頭の中だけで勝手に作り上げた常識や正義で他人をジャッジなどしていいのだろうか? わたしが明日死なずに前向きに生きていくには? 『正欲』にはそういった問いが散りばめられているように感じた。 「『いなくならないから』その言葉を頼りに、明日死なず前向きに生きていこうとする人。その人が自殺を考えるような社会ではあってはならない」 『正欲』で描かれていること、作者が伝えたいメッセージを一度読んだだけでは理解できなかった。いや、何度読んでも完璧に理解などできないのかもしれない。自分の思考の限界を思い知った。しかし、『正欲』には朝井リョウの小説には、自分の思考を広げてくれる可能性を感じる。 | ||||
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広告から、自分の中の近年の多様性に対し感じていたモヤモヤの行き場があると感じ予約。確かに求めていたものはあったが、同時にそれとは違う新たなモヤモヤが自分の中に新たに出てきてしまい困惑中。 色んな気持ちになれていい意味で振り回された。文も読みやすかったし、個人的に読んでとてもよかったと思う。 | ||||
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理解できないかも。途中まで読んだ時に思ったのだが、身の回りの常識を説く声を聞いた時ものすごい違和感を持った。向こうの人がこちらの人より多数なら、私は隠れて生きることになるんだ。その判断は誰が行い、どこで線が引かれるんだろう?正しいと言う言葉を、しばらくは使いたくないなと思っている。 | ||||
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僕たちが生きてるこの世界の「正常」ってなんでしょうね。逆に「異常」ってなんでしょうか。 当たり前って実は当たり前じゃなかったり、当たり前じゃないことは当たり前だったり。 ある考え方に賛同する人が多数だからって、その考え方はスタンダードな考え方として捉えていいのでしょうか。 この世の中に本当のことなんて、正しいことなんて、あって無いように思います。 朝井リョウさんの作品は、いつも僕たちに何か大切なことを教えてくれる。 | ||||
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マイノリティの中のマジョリティ、というフレーズが印象的でした。 時代が変わるというのは、色々なことが明るみに出ることなんだと思います。 朝井リョウさん含め、作家の想像力には驚かされます。 | ||||
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①なかなか哲学的な内容を持つ短編集である。第1話では、児童ポルノに手を出すパーティーのリーダーが逮捕されるが、犯罪を否定する。子供に性欲を感じることと、同性に性欲を感じることに何の違いがあるのかと思う。性欲の対象は年齢や性別を問わず誰に対しても向けられ得るものだ。 ②子供を性犯罪から守るために児童ポルノ禁止があるが、正しい性欲とは何なのか、考えさせられる。 ③第2話は不登校になる私立小学生を対象に、学校で同じことを学ばなければならないことに意味はあるのかと正しい教育とは何かを問いかける。険峰で定められた教育を受ける権利・義務とは別な問いかけである。学校へ行かなくても、好きなことを自分で学べば良いのではないか? ④教育に学校が必要なのはなぜなのか?人生のレールの上を歩かせられるのはなぜか?人格の完成は学校へ行かなければ不可能なのか? 本質的な問いかけに対して答えに詰まる。 こんな問いかけが詰まった本である。 お勧めの一冊だ。 | ||||
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「正義は人の数だけある」などという言説には納得できない部分がある。ある人が正義だと信じていることであっても他人の命を奪ってはいけない、それと同じ意味で考える。 タイトルを見た時、著者のファンである私ですら本書もその類の話なのだろうかと少々躊躇った部分があった。 しかし、全く違っていた。 朝井リョウ氏の物語は、深く感情が入り込むほど背後から急に殴られるような感覚になる。本書はそれがとても痛かった。 私にもこれだけは許してはならないと思う価値観が存在する。それらが間違っているかもしれないとは思わない。しかしそれらが不確定なものだということを決して忘れてはいけないということを本書に学んだ。 ただ、"いてはいけない人間なんてこの世にはいない"この言葉だけは絶対に何があっても覆ることのない正しさだと信じていたい。 | ||||
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まず、この時節にこのタイトルを最初に思いついた時点で勝ちが確定したようなものだと思った。 あとはどれぐらいの大勝となるか、まずまずの勝利となるかといったところで、この作品はなかなかの大勝を得たのではないかと思う。 この作品の一つのキーワードである「多様性」。現在は多様性の時代とされ、今まで抑圧されてきた様々なマイノリティや差別全般が見直されている。この価値観の変動自体は文句なしに「正しい」ことだろう。 実際、セクシュアルマイノリティへの理解やジェンダーギャップの是正といったこと自体に反対する人というのは、よほど極端な右寄りの人でもない限りあまりいないだろうと思う(ポリコレに嫌悪感を示す保守派の人々でさえ、こうしたお題目自体に反発している人は見たことがない)。 にもかかわらず、こうした多様性の称揚やポリコレといった言葉に居心地の悪さを感じる人は多いのではないだろうか。理性的には正しいと考えつつも、感情的な違和感が拭いきれないのだとすると、そこには何があるのか? 小説では様々な立場から割り切れない現実が描かれる。それぞれがそれぞれに正しくあろうとしても正しい結果にたどり着くとは限らないという結末の先に、理解という希望があるのかもしれない。 | ||||
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世間で良いとされる価値観、つまり多様性を尊重しようという価値観を複数の視点から描いている点が面白かったです。 主題は「極めて珍しい性的趣向を持つ人の生きづらさ」ですが、この主題を、マイノリティの立場、マイノリティを擁護する立場、マイノリティを断罪する立場から描き分けています。読者がどの登場人物に共感するかが、自分がマイノリティを普段どう見ているかのリトマス試験紙になる作品だと感じました。 さらにマイノリティを断罪していた人物が実は自分自身がマイノリティだったと気付かされたり、マイノリティを擁護していたはずの人物が、マイノリティ側から拒絶されたりと価値観が揺さぶられる場面も多かったです。こうした意味で『何者』に似た皮肉が効いていて好きでした。 ただ最終的にはマイノリティの悲哀に重点が置かれているように感じたので、朝井リョウも何かマイノリティに属する人に言いづらい特性を持っているのかなと疑問に思った読後感です。 | ||||
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とても小さな世界しか見てない中で、多様性という言葉を頻繁に使っていた自分への嫌悪感に、良い意味で襲われました。 どんな人にも繋がりは大事だと感じ、 自分にも真にそう思える人ができれば良いなと思わせていただきました | ||||
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「和をもって尊しとなす」の国の私たちは、極端に人と違うことを避けようとしますし、 多くと違う人を「異物」として排除する傾向があります。それは良し悪しを超えて、もはや 私たち日本人のDNAとも言えるかのようです。 最近では、グローバル化の進展によって「多様性」が叫ばれるようになり、情報社会の高度化 によって簡単に「繋がれる」になってきています。 その傾向を否定するものではありませんが(良いことなのでしょう)、その言葉のきれいごと を掘りおこして、生々しい現実を直視するならば、虚構であるはずのこの小説のように、多数 派がもち、広く認知されている「正常な欲=正欲」だけが安心して社会に受け入れられ、そこ から外れた欲は、「異物」、「特殊性癖」、「この世のバグ」として精神的に、そして時には 社会悪として排他されているのが現実であり、そこから出られない人は、巨大な諦めの中で 息を殺して生きるしか手立てがありません。 こちら側とあちら側。しっかりと線が引かれているかのようです。 ですが、朝井リョウさんは、それを見事にひっくり返してみせます。 【ネタバレ避けのため、少し変えています】 自分が正しいと思える唯一の拠り所が ”多数派である” というのは、大いなる矛盾だ ”ずっと多数派に居続ける” ことは、立派な少数派なのだ 考えてみると、この小説の主題になっている性癖だけに固執せずに、欲望や嗜好性で語るなら 私たち一人ひとりは、かなりオタクやフェチズムといった他人には理解され難いこだわりを もっているものです。 それは誰にもわかってもらえないから、ひっそりと隠し持って生きていくしかありません。 では、これからも誰もが誰にもいえない秘密を抱えながら生きづらさに耐えて生きていくしか ないのでしょうか? この小説には明確な解や救いは書かれていません。 ですが、ヒントらしきことは見つけることができるかもしれません。 それは、表面上の安定を重視した「会話」から踏み出して、お互いの違いを違いとしてわかり あうことからはじめる「対話」へと進化させることかもしれないですし、あなたといる(いな くならない)というすごく基本的な繋がりにかえることなのかもしれません。 この小説は、傑作か問題作か、の域を超えたところにあります。 | ||||
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色々考えさせられるんだが、なんだかんだで一番印象に残ってるのは 「なんか人間って、ずっとセックスの話してるよね」 という文章。 そして、食欲とかはいろんな楽しみ方、多様性が認められているのに、性欲だけが制限されているという事実。 今回も面白かったです。 | ||||
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多様性が叫ばれるようになった世の中でさらにその外側にいる人間の心情を切り取った作品。啓喜や八重子、彼女の兄のような正常側でしか生きられないと考える人間の苦悩も丁寧に描かれている。今、社会的地位の高い人がキーワードとしてよく使う「マイノリティへの理解」「差別や偏見をなくす」という言葉たち。その裏にある精神の底の浅さを改めて認識させられた。 マイノリティに生まれた絶望や理不尽が描かれる一方で、どんなマイノリティの人にも繋がりを作って現実を生きる術があるというメッセージも感じた。 | ||||
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まず、これは、傑作だと思う。ただ、読む人を選ぶかもしれない。露悪的なわけではないし、後味がひどく悪いわけではない。ただ、哀しいお話であり、また、自分を省みることになる可能性が高い。 この作品で題材として書かれている「欲」は、朝井リョウのフィクションだと思われる。きっと、実在の苦しみをこういう風に題材にはしないだろう。ただ、同じようにコントロール不能なレベルで、「正常」から遠い指向を、選んだわけでもなく与えられた人がいるのだろうことは想像できる。 性欲に限らず、自分には感じられない苦しみを持っている人がいるのだろうことを、自然に想像できる。それは、ルッキズムについて声を大にして語られるよりも、ずっと腑に落ちる。あるいは、肥満についてもそうかもしれない。多くの肥満は怠慢かもしれないが、生理的にコントロール不能なレベルで食欲を与えられてしまう人や時期もあるのだろうと思う。コントロールできたり、選べるものなら、抑えた方が健康にも社会にも多くの場合いいんだろう。ただ、そうでないものはどうしたらいいのか。そういうことを考えたり、語りたくなってしまう。傑作だと思う。 ラストの「いなくならないから」が泣ける。絶望ではなく哀しい気持ちで読み終えられるのは、このセリフがあるからだろう。 | ||||
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彼の本は「良い意味で後味が悪い」 誰もが少し気になっているけど、言語化出来ない事を言語化し、僕たちに突きつける。 「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、 そりゃ気持ちいいよな」 これは共感を呼ぶ傑作か? 目を背けたくなる問題作か? 今回も考えさせられました。 ありがとう、朝井リョウ。 | ||||
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