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たとえ天が墜ちようとも



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【この小説が収録されている参考書籍】
たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)

たとえ天が墜ちようともの評価: 4.30/5点 レビュー 10件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.30pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(4pt)

「これはソシオパスの所業なのだ。」

一事不再審の法則を計画に入れた知能的殺人事件、見事な法廷ミステリーだ。
たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)より
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No.9:
(4pt)

カスタマー

妻殺しを捜査する刑事と容疑者を弁護する教授(弁護士)との物語です。
刑事の家族、過去の捜査、教授の今までの弁護の話、殺された妻の姉妹の話、会社の話など、物語の進行とともに挿話されます。少しくどいように思いますが、これらが徐々に収束されていきます。
最後の方での目撃は都合よすぎるのでは、と思います。教授の法廷での弁護には読んでいて力が入ります。タイトル通りの結末になります。
内容だけでは☆5つですが、事件が解決した後の刑事のこと、教授のこと、一人残された娘のこと、隣人の夫婦のこと、妻の姉妹のことなど書いてほしかった。それで☆4つにしました。
たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)より
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No.8:
(3pt)

書き手が誠実であること。それが時間を共有できるヒントです。

この作者は知らなかった。ミシェル.ビュッシの大のファンで翻訳本は読み尽くしたので手持ちぶさたになっていた。そんなとき、amazonからのプロモーションでこの作者を知った。これが当たり! あっという間に三作目になる。なぜこうも居心地よく読みすすめるのだろう。本編に登場する刑事も対局的な立場で奮闘する弁護士も、奥底にあるのは『誠実』なのである。だからストーリーの中に抵抗感なく入っていけるのである。次の新作が待ち遠しい春である。
たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)より
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No.7:
(3pt)

意外性でなく不自然さで終えている。

アレン・エスケンスの『償いの雪が降る』を読んで他の作品も読んでみようと本作『たとえ天が墜ちようとも』を読むことにした。
『償いの雪が降る』で登場した刑事マックス・ルパートとロースクール教授のボーディ・サンデンの二人が主人公のクライム&リーガルサスペンスである。
ただ二つばかり納得いかない点があったので書いてみました。
その1)辣腕刑事のマックス・ルパートがなぜ共犯がいるということに気が付かなかったのか。
その2)唯一の検察側の証拠しての目撃者マリーナ・グウィンが証言を翻したのに陪審たちが有罪にしたこと。
この二つが最後に一つになる不自然さ(意外性ではない)が、評者はどうにも納得できなかったのです。
著者の弁護士としての経験や知識を生かした作品にはなってはいますが、『償いの雪が降る』を超えている作品とおもえなく読み終えました。
たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)より
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No.6:
(5pt)

素晴らしい

最初から最後まで飽きさせずに読ませる作品でした。
最後のパートは動悸が激しくなるほどの展開。

大どんでん返しってこういうのを言うんですよ。
たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)より
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No.5:
(5pt)

名作だと思います

これは名作だと思います。
ストーリーが良いですし、訳もよくて、何度でも繰り返し読んで楽しめるでしょう。
私自身、数カ月前に読み終わったのですが、近いうちにまた読みたいです。
たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)より
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No.4:
(5pt)

<生き様>に拘るW主人公の運命を描く胸アツ物語

状況設定が凄い。前作『償いの雪が降る』では、若き大学生ジョー・タルバートの眼を通して、ヴェトナム戦争を引きずる余命幾ばくもない三十年前の殺人事件の容疑者の真実を探るという作業のさなか、ジョー自身やそのガールフレンドであるライラ・ナッシュを襲うハードな運命と歴史の闇が彼らに試練と経験を与えることになった。

 前作でも登場の刑事マックス・ルパートと弁護士ボーディ・サンデンは、彼らがダブル主人公として実に印象深い活躍をする本作に限らず、その後のアレン・エスケンス作品にはおなじみのメンバーともどもそれぞれレギュラーやセミレギュラーとなって登場するらしい。本書では姿を見せない前作の主人公ジョーも、今後の作品で変身を遂げてきっと登場することだろう。作者は、決して決まったキャラクターによるシリーズ小説ではなく、どれも独立作品だと語っているらしいが、読者の楽しみとしては、活き活きとした魅力的なキャラクターが何人もいるこれらの物語、やはり彼らの人間としての変化や個性は忘れずに、そこをも楽しんでゆきたいと思う。

 さて最初に戻る。状況設定が凄いのだ。本作では刑事マックスと未解決事件となってしまった妻ジェニの交通事故死が一つのストーリー。一方でマックスの差し出した容疑者を弁護する側に回るボーディとその助手ライラの物語がマックスと対峙し、双方がやがては法廷で激突するという構図を描く。どちらも愛すべき主人公なのに、どちらかが勝ち、どちらかが敗れる? この設定がともかく凄いのだ。作者はどのような結末を我々に提示するのだろう? その疑問に終始付き纏われつつ、複雑な想いで、二人の男たちの正義や強さや弱さにまでも情を移してゆく、という、実に複雑な心的作業を読書中ずっと強いられるのだ。

 無論、最後にはこれらの大いなる疑問に答える真実が待っているはず。

 前作のレビューで、こういう一段をぼくは書いている。

 『全体はミステリ色でありながら、ほとんど冒険小説と言っていい。男の矜持。気位。そして人生の傷の深さと、再生へ向かう意志と友情。そうした人間的な深き業と逞しさとを含め、時にダイナミックに、時に静謐に描かれた、相当に奥行の感じられる物語である。最近、冒険小説の復権を思わせるこの手の小説が増えてきた。シンプルに喜ばしいことだ、とぼくは思う』

 本書でもこのことは言えると思う。『ザ・プロフェッサー』『黒と白のはざま』のロバート・ベイリーについてもぼくは思うのだが、人間の気位を描いた魅力的な主人公を描く小説は、ミステリーというよりも、ヒギンズやマクリーンの系譜を継ぐ冒険小説のような作家ではなかろうか。もしくはジャンルはどうであれ、<生き様>に拘る主人公たちの胸の熱くなる物語を描く作家は、現代には極めて稀なように思うので、ぼくはこのような本に単純に燃えるのだ。

 さて本書は冒険小説どころか法廷小説でもある。真実を追い求めつつ、法廷で既に進められた審議をどのように決着し、検察側、弁護側がどのようにこの出口のなさそうな迷路を小気味よく脱出してくれるのか、という一事にしか作品の終わりはないような気がする。だからこそこの作品の持つアクロバティックな終盤が魅力だ。

 今年の『このミス』が10月頭の投票だったため、ぼくは10月に読んだこの作品を入れていない。でも従来通りこれが11月締め切りの投票であれば、ぼくは年間傑作6選の上位にこの作品を押し込んだことだろう。順位はともかく、安全牌の作家がまた一人、ここに登場。アレン・エスケンスの名は、人間の正義と情熱を優先する上質な書き手として是非記憶にとどめて頂きたく思う。そして本書は翻訳二作目の傑作である、と。
たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)より
4488136095
No.3:
(5pt)

対ベテランの盲点を突いたリーガル・ミステリー

被告側と検察側で対立することになった刑事マックスと弁護士ボーディ。
本来は友人であり、善人同士の戦いであり、被告人の弁護士プルイットも途中からは悪人にみえず、一体どちら側が勝つのかわからなくなるように描くところは見事だ。
ただ、当初はふたりの戦いだと思っていたのだが(むしろ主人公はマックスだと)、第二部以降、三部に至っても主人公はほとんどボーディになっている。
マックスは本来の業務を行いながらも、序盤から常時亡くなった妻への未練で頭の中が埋め尽くされており、後半に至っては妻が殺された未解決事件について何者かから横やりが入ったため、すっかりそちらに傾倒してしまう。
まったく別個のふたつの事件、主人公ふたりの関心もばらばらなものにして、それらをひとつのストーリーに押し込めているな、と半分思いながら読み進めていき…、終盤は驚きの展開、大どんでん返し。
ここも見事だと思った。
私は『償いの雪が降る』で、この作者に関心をもった。
あとがきによると、作者はシリーズものとはしていないが、前作主人公の青年ジョーを含めて、今作のマックス、ボーディを登場させたものを次々と発表しているとのこと。本作ラストは中途半端で一瞬納得できなかったが、直接的な続編があるとのことで、そこで真相が明らかになるのか。
前作に続き、人間のこころ、善のあり方、正義の追求を綿密に描く作家。次作の邦訳出版が待ち遠しい。
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No.2:
(5pt)

正義の激突レビュー1編を記す。

法廷ミステリーです。
事件は弁護士の妻で財団理事長の殺人事件。被告は夫である弁護士プルイット。
被告の依頼を受けて弁護をするのが、ロースクール教官ボーディ。法曹倫理の授業で、「天墜ちるとも、正義を為せ」と語り、自ら実践する。
検事の下で事件の捜査をし、ブルイットが犯人と強く信じる刑事がマックス。
第一部マックスの捜査、第二部がボーディのディフェンス、第三部が公判。
マックスはボーディの恩人であるが、そんなことは関わりなく、法廷は二つの正義の激突の場となり、様々な法廷テクニックが繰り出される。
法廷ミステリーの魅力をまき散らした法廷ミステリー。
だが、この本の一番の価値は、最後30ページの大逆転。
驚いた。あきれた。感動した。
ボーディの助手を務める大学生のライラ・ナッシュが良い。
たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)より
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No.1:
(4pt)

物語のすべてがタイトルへと収斂していく

「償いの雪が降る」の著者による新しい翻訳「たとえ天が墜ちようとも "The Heavens May Fall"」(アレン・エスケンス 創元推理文庫)を一気に読みました。
 舞台は、ミネソタ州・ミネアポリス(ツインシティーズ)。ケンウッド地区と呼ばれる高級住宅街の路地で女性の遺体が発見されます。捜査の担当刑事・マックスは、目撃者の証言から被害者の夫である刑事弁護士・プルイットが犯人であることを疑いながら彼のアリバイを調査し始めますが、「状況証拠」だけが積み上がり、確証を得ることができません。一方、プルイットはかつて共に働いた仲間でもある引退した弁護士・ボーディに己が潔白を証明してくれるよう弁護を依頼することになります。突然ですが、今回は特に(笑)、これ以上のストーリーを描くことができません。
 事件そのものが小ぶりでドメスティックなこと、<プルーフ>が明らかになるタイミングが遅いことなどから途中少し心配もありましたが、第三部「公判」以降の陪審員裁判+αの予想を超えた展開は(曖昧な言い方で、もどかしいですが)かなりスリリングだと思います。
 轢き逃げにより最愛の妻を亡くした刑事・マックス。ある事件によってマックスとは過去に因縁のある容疑者・プルイット。そして、そのプルイットをよく知りながら、弁護士・ボーディは(これもまた過去のあるできごとによって)命の恩人でもある親友のマックスと今回の事件では敵対することになります。その三者三葉の立場、過去、思いが「メビウスの輪」のようにうねりながら物語を進行させ、終わってみれば、「たとえ天が墜ちようとも」というタイトルが象徴する「正義」が(織りなす糸のように)二重の意味合いを帯びて、この物語にある深い「哀しみ」を与えていることに気付かされることになります。
 そして、「家族にとって、精神的支えと支配の境界線が曖昧になることはめずらしくない」という<精神性>と「警察は、合理的疑いの余地を残さず犯行を証明しなければならない」という作者のミステリに対する姿勢が渾然一体となったリーガル・スリラーの秀作と呼べる内容に仕上がっていると感じました。
たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:たとえ天が墜ちようとも (創元推理文庫)より
4488136095

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