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(短編集)

ふがいない僕は空を見た



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【この小説が収録されている参考書籍】
ふがいない僕は空を見た
ふがいない僕は空を見た (新潮文庫)

ふがいない僕は空を見たの評価: 3.91/5点 レビュー 183件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.91pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全183件 121~140 7/10ページ
No.63:
(5pt)

おもしろい

久々におもしろい新書に出会った。読み始めは、電車の中で読んでいたら痴漢にあうんじゃないかとひやひやしたが、進むうちにこれがただの淫猥な私小説でないことを確信する。登場人物それぞれの視点、というより世界からなる各章は、あるひとつの地域のひとつの町の一角、それも同級生からなる数人の関係者だけの物語とはとうてい思えない広がりをみせている。現代の縮図であり、日本の縮図であり、人間の縮図がここにある。
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4101391416
No.62:
(5pt)

希望を感じることができてよかった

登場する人物が生きるのに疲れた絶望的な人ばかりで
読み進めるのが大変な小説だった。
とはいえ、主人公を替えての目線なのでペース良く読めた。

助産婦をやっている斎藤くんのお母さんの
前向きな生き方に希望を感じることができてよかった。
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No.61:
(5pt)

なぜだか共感できる「ふがいなさ」。女性ならではの表現に違和感はすこしあります。

山本周五郎受賞作でもある高校生と主婦の交わりを中心とした作品

作者の窪 美澄さんってwikiで確認したところ、フリーランスの編集ライター
なんだそうです。新人の作品はスムーズ感が少ないものが多い中
なんだか手管なラノベ作家のように引っかかり無く読み進めることができました。

この単行本は5つの作品から成り立っています。
1.ミクマリ..高校生の主人公(男の子)にコスプレをしながら不倫する
      主婦あんず。男の子に女子高生の彼女が出来、あんずと別れるも
      再びあんずと会ってしまう話 R−18文学賞だそうです。
2.世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸..この不倫主婦あんずのお話になります。
      実はあんずは高校時代酷い「いじめ」にあって楽に入れる
      大学に入り、大学時代言い寄る男性の友人に体を許して
      いたことが原因で不妊になったこと。そして不妊治療の
      厳しさなどの背景が交えた作品になっています。
3.2035年のオーガズム..2が主婦あんずのお話とすると、これは
      もう一人の女性、女子高生の七菜中心のお話。彼女には
      優秀な成績の兄がいて、お約束の様に大学に入ってカルト教団に
      はまり、ぼろぼろになって「引きこもり」。
      七菜の彼氏、つまり主人公も、主婦あんずとの写真や動画を
      ばら撒かれて、登校拒否になって「引きこもり」。そんな中、
      大雨が来て、引きこもりと言っていられない事態になった
      話です。
4.セイタカアワダチソウの空..主人公の友人と、七菜の友人二人を中心
      とした話です。二人とも貧民街のような公団に住み、コンビニで
      バイトする仲間でもあります。特にセイタカアワダチソウとの
      あだ名を持つ、主人公の友人は、父親は自殺し、母親は男が出来て
      次第に家に帰ってこなくなり、認知症が進みつつある祖母を
      食べさせてゆく、まさに「底辺」のような話です。
5.花粉・受粉..主人公の母親、助産婦を中心としたお話で、〆にも
      なっている作品です。彼女のなかなか大変な半生を通じて
      息子(主人公)の事件がそんなに大きなことではないこと
      そして、最後に主人公の感情がふきだします。

全体の構成としては、ミクマリでおきた大きな事件に対して、主人公の周辺の
登場人物を通じて展開してゆく手法で短編連作のように軽く読めてしまう
構成になっています。 確かにR−18文学賞を受賞しているように、
エッチな表現はあるものの、女性ならではの書き方なのであまり
卑猥さなどをほとんど感じず読み進めることが出来る作品でした。
ちょっと違うかなと思うのは、どうしても女性作家、男子高校生である
主人公の行動が、なんだかこんな行動は男だとしないんじゃないというのが
多い気がします。

 ちょっとエッチな表現があるものの、女性らしい作風なのでそんなに
どぎつさも無いし、なにより書きなれた文書はこの作品の中に引きずり
込まれる力があります。なんだかこの「ふがいなさ」は自分の中にも
ある世界で、共感を覚える作品に感じました。読後感も良いこの作品
本屋大賞であることがよくわかる作品でした。お勧めです。
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No.60:
(3pt)

文才?どこが?

寒いので家にいることが多い季節。暇だから本でも読んでみようと思い立ちネットで探していたらこの本と出会った。
レビューを見てたら文才があり、なかなか実力の持ち主らしい。うむ、うむ。タイトルも気に入ったので早速購入。
ミクマリで、文才?どこが?
世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸で、あれっこれ一冊の小説じゃなかったの?
でも、読み進んで行くうちに「おれ」や「あたし」が登場人物の私小説になっていて全体で繋がっているのね。
もしかしたらこんな小説初めてかも・・・。本あまり読まないのがバレバレ?
でも、自分の中ではこんなの小説じゃない。というか文学じゃない。この本は、自分の中では上手な作文的な位置づけになる。簡単に映像化できてしまうというか実体験に基づいて書いているだけと言うか・・・。だからつまり上手な作文な訳です。
やっぱり文学って簡単に映像化できないんだよね。簡単に映画化できないのですよ。そこに文学ならではの良さがある訳で・・・。
という訳で文学好きな人には不向きだと思います。
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4101391416
No.59:
(5pt)

本当に伝えたいことはいつだってほんの少し

5つの連作短編集。主人公が入れ替わっていくことで、それぞれの立場からの切なさがこみあげてくる。
恋は一人では成り立たない。しかし、「ミクマリ」と「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」の対で終わらないところが、いい。
主人公達の息ができなくなりそうなほどのどうしようもない気分に現実感を感じる。それが不妊であれ、貧困であれ、嫌がらせであれ。
単なる恋ではなく、性行為ではなく、この世に産み落とされた命というものの物語であったことが見えてくるのだ。
全体を通じてひとつの物語になっており、完成度が高い。引き込まれるのに十分な魅力があった。
主人公たちと一緒に泣き出したくなった。神さまって祈りながら。
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No.58:
(4pt)

僕は、息子の事があってこの一年間、障害という概念に向き合わざるをえなかった。

僕は、息子の事があってこの一年間、障害という概念に向き合わざるをえなかった。
結果、健常者と障害者、定義としての説明は有ったとしても、
人生においてその線引きに意味は無い様に思うようになった。

だって、子に対し、親が必要とするエネルギーは変わらない。
彼らが健常者であっても、心に大きな傷を負う事だってあるし、その可能性は思ったより高い。

この小説に出てくる登場人物の全てが普通の人たち。僕はそう思う。
普通の人たちが、弱さゆえに、傷ついたゆえにとってしまった行動が他人の理解を得られない事は、それほど珍しい事ではない。
彼らをノーマルとして捉えるか、アブノーマルとして捉えるかで、この小説の意味合いは全く違ってくるはず。

その傷ついた彼らを救えるのは、家族だけなんだろうなと思う。
「救う」なんて、おこがましい気もしなくはない。
でも身近にある事実として、娘や息子は僕を救ってくれている。そう思うと、その言葉もすっと受け入れられる。
今は、傷ついた主人公卓巳をお母さんが抱きしめる時だけど、
かつてお母さんが一番傷ついていた時、きっと卓巳に救われたはず。

障害者。健常者。
不思議な物で、今や違和感を感じるのは「健常者」という言葉の方。
傷の無い人なんているのか?みたいな。

切ないお話しでした。
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No.57:
(2pt)

読者によって評価は変わりやすい

背景・設定はそのままに、章ごとに主人公が変わって別の視点で語られてゆく連作集。
そのテーマは性、恋愛、妊娠・出産、夫婦・嫁姑や親子などの家族関係と、それぞれの章によって微妙にずらされてゆく。

文体や語り口は、練れていて素晴らしいと思う。
しかし、各章で扱われているこれらのテーマは、すでにこれまで語られ尽くされているもので、本作で決して新しい視点を提示しているわけではないため、新規性には欠ける。

自分はどうしても小説をプロット重視で読むクセがあるため、個人的には面白いと感じられなかった。
ここの登場人物の造形は、かなり陰影が深く描かれているので、登場人物に自己投影できれば、評価は真逆になるかと思う。
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No.56:
(1pt)

何か物足りない

表現が卑猥すぎて、何が言いたいのか分からなくなります。
最後の終わりかたも、結局、どうなったの?と思ってしまいます。
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No.55:
(4pt)

よい小説ですが、敢えて文句を言います。

ミステリー手法に頼らず最後までぐいぐい読ませる「おもしろさ」の詰まった1冊。
肉欲というものをうまいこと処理したものだと感心する。

ただ、若干勢いに任せた部分もあり、例えばいつまでたっても卓巳がニートのままなのが、なんとももどかしく、鼻についてくる。
松永、福田、母のそれぞれの不幸を際立たせるための舞台道具として引きこもりの卓巳が使われているような感もあり、読むのが辛い。
また典型的な全能キャラ「リウ先生」を出したのも正直気持ち悪かった。(余談だが、こうゆう気持ち悪さは重松清にもある)
また「オプション」という言葉の意味を履き違えているのが非常に気にかかった。
(オプションとは単なる付属品という意味でなく、こちら側に選択権のある状態を言う)
これは決め台詞になるべき箇所なので、もう少し繊細になってほしかった

ということで☆4つ
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No.54:
(3pt)

232ページの中に5人の主人公

長い正月休みを退屈しないように,薦めてもらった本です.
簡単に読み進められる本です.

読後は,「何か自分の中に残るものはあったか?」と自問しつつ執着せずにあっさりと本を置きました.

だけど,薦めてくれた人はこの本で号泣したという.

何故・・・?

もしかして私は,このテの本(R-18という事ではなく)を読む時に心を閉ざしてしてから読む癖があるのかな?と思いました.

最初の「ミクマリ」は斉藤(息子)が主人公で始まり・最後の「花粉・受粉」は斉藤(母)が主人公で終わる.

物語で起こった出来事に傷つく主人公たちは,未成年だから傷つくのではない.(この本では,高校生でも小学生でも精神的には個人(大人)と見て良いと思う.小学生でも万引き行為の善悪はつく.)登場人物が自身の人生の中でトラウマになりそうな嫌な経験をするのにダラダラと日常は過ぎて行く.主人公が別の章を語り始めても並行して既出の登場人物たちの時間はダラダラときりなく続く.斉藤(息子)が登校拒否の時に嫌がらせをする友達と斉藤(母)の助産院に陰湿なメールを送り続ける近隣の人々に大人の世界・未成年の世界などという境界線はない.”妬み”・”嫉妬”・”いじめ”・”犯罪”にかかわるのに,大人・子どもの区別なんてない.長い人生を歩いていく途中で,生傷のようにぱっくりと口を開けて痛みそうな・・・そんな経験を書いた小説だと思う.しかし,作者の表現したかったのは何か?私にはわからない.だからこの小説の最初の方で,読者である私の方が心を閉ざして読みすすめてしまった.その方が読後感も軽いし不快感も減る.田岡や斉藤(母)の様に大人になってもふと,昔の傷を生々しく記憶に蘇らせる事がある.特に田岡は性犯罪者で病的で自身の行動に歯止めが効かなくなっている様子.加害者である田岡がどんなに悲惨な心情でも,自分で自分を救い様がないなぁと思う.まさに田岡自身もお手上げだと感じているのに,救いようもなく”生”が続く.

そう考えると,この小説の5つの章からなる短編集は中身があまりに重く暗い.斉藤(母)の助産院をはじめ日本中で新しい生が産声をあげるかもしれないが,成長する環境が悪くないか?この本の世界が日本の縮図とは思いたくないが,心が重いのは何故か・・・?

星は4つ付けたいところだが,読後感が良くなかったので星3つにする.
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No.53:
(3pt)

現実味があまりないですが小説の世界としては

非常に読みやすかったです。しかもそれなりに面白い。

但し、私の人生経験が不足しているのかもしれませんが、
各話の主人公が置かれてたシチュエーションに現実味が
感じられず、別世界の人間の話のようでした。

ただ、そういう状況にもし万が一陥ったら、こんな風に
考えたり、行動したりするかも、という部分が若干あり
その点で、少し共感は覚えました。
少年の「性」が「生」へと昇華する第1話のラストは
とても上手いと思いましたし、友達を思いながらも、
友達を傷つける行動をするお話も良かった。
ので、星は三つです。

本屋大賞の「謎解き・・」よりは良い作品ですけれどね。
(但し、この作品も大賞になるクラスのものではないと
思います。)
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No.52:
(5pt)

ふがいない君に魅せられた。

むっちゃくちゃ面白かった。

前から評判になってるのは知ってたし、
著者のデビュー作である「ミクマリ」を読んだ選考委員に
「ここまで書けるひとがいるのなら自分が書く必要なんかない」
とまで言わしめた作品だというから一体どんなもんなんだろうと思っていたら。

ポルノ小説が嫌いな私でもどんどん先が気になってすいすい読める。
連作集になっている各話の主人公たちの心理描写が、淡々とした筆致ながらも
おそるべきリアリティをもって迫ってくる。
特に全編を通した主人公である斉藤くんの描写が秀逸。
高校生ってこんな感じだよなー、まだ危うくて勝手に突っ走って
失敗して号泣して不貞寝したりそれでもやっぱり前に進んだり。
読んでいて圧倒される反面微笑ましくも思った。

アダルト小説に対する偏見を、本作は見事に払拭してくれた。
彼女の次回作が楽しみです。
ファンだ。
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No.51:
(4pt)

繋がり続く毎日。一気に読んで欲しい。

本屋大賞1位に唖然…
2位となり初めて目にした著者に興味を持ちました。

小説のエロ描写は正直苦手で、村上氏のものなどは嫌悪感すら感じますが、
こちらは興しろく読み進められました。

巻き起こる問題、願ったり叶ったりなんて続かない。でも積み重ねる日々。
繋がった人々に時には救われ、時には泣かされ…
自分とは立場の違った登場人物でも、彼らの思い・悩みが非常にリアルに響きます。
登場人物それぞれの人に向けた思いを感じ、受け取るには是非一気に読みきることをお勧めします。

次の1冊も楽しみな著者が増えました。
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No.50:
(2pt)

第2話で終わっている話を、単行本化のために、だらだらと延ばしているだけに思える

各賞受賞作の中には、「この作品がなぜ?」と思う作品も少なくないのだが、この「ふがいない僕は空を見た」は、私にとって、その最たるものだった。 

この連作短編集には5話が納められており、その語り部、つまりは主人公が、全て異なっている。このうち、まず、斉藤とあんずの物語である冒頭の2話、特に、「ミクマリ」は、性描写が露骨過ぎる。私は、文学の中での性描写に目くじらを立てるタイプではないのだが、はっきりいって、この性描写には必然性が全く感じられず、露骨さと卑猥さだけが際立ってしまっていると思う。私は、通勤電車内を読書時間にしているのだが、満員電車の中で読むには、さすがに気恥かしかった。

私は、この連作短編集は、結局は、この第2話までの斉藤とあんずの物語だったと思っているのだが、この後の作品の主役は、七菜、福田、斉藤の母となっており、あんずは、直接的には全く登場してこない。斉藤の方は、その後も各話に登場してくるのだが、各話の付け足しのような扱いで、最後の書き下ろし作品「花粉・受粉」で、辛うじて、彼のドラマに落とし前を付けているといった感じなのだ。そういった意味では、この連作短編集は、実質的に、第2話までで終わっており、後は、斉藤の周りの脇役たちの、それこそ単行本化のための付け足しのようなエピソードをだらだらと書き連ねているだけといっても過言ではないと思う。そもそも、作者に、もともと第3話以降の構想があったのだろうかと思ってしまう。 

後の作品には、たとえば「セイタカアワダチソウの空」の田岡のように、掘り下げて描けば、さらにドラマがふくらみそうな、魅力のあるキャラも描かれている。斉藤とあんずはもちろんのこと、全ての登場人物のキャラとドラマの掘り下げが浅過ぎて、消化不良の作品ばかりの連作短編集に終わってしまっているのが勿体ないと思う。
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No.49:
(5pt)

閉塞感に満ち溢れた時代を乗り越える人間賛歌をしみじみと味わえ!

エロくてグロい第1篇で読み進むのをやめた人がいるかもしれません。あるいは第1篇の途中で…。

斯く言う私も第1篇を読み終えた時点で、何故このような作品が『本屋大賞第2位』なのかと???でしたが…

2編・3編と読み進むにつれ、エロ・グロは一つのキーワードに過ぎず、『性』が(多分)著者にとって極めて重要なテーマではあっても
決してそれだけではないことに…
コスプレ・不妊治療・徘徊老人・団地の荒廃・小児性愛・いじめ・貧困・産婦人科医の減少etc.etc.時代の閉塞感を表す出来事が次から次へと提示され、
何故か行き詰ってしまった“現代日本”こそが、メインテーマであることに気が付かされます。

それでも何故か読後感が爽やかなのは、最終編に向かって、重苦しい閉塞感の中でも前に向かっていこうとする
普通の人々が描かれていて、何よりも産婆という職業を通じて新たな命の誕生=『生』への賛歌が力強く謳われているから。

但し、この小説を本当のハッピーエンドにする為には
私たち現役世代には、ただ漫然と新たな『生』を迎えるだけでなく、少しでも“この閉塞感を打ち破る何かを
ひとりひとりが積み重ねていくこと”が求められているのでしょう。
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No.48:
(5pt)

どうなんだろう。人を選ぶような。

最初の三章だけを読んだ感想は「なんだよただの官能小説じゃん」。
しかし最後までよんでみると、ただの官能小説じゃないことが分かります。

これは人の成長を書いた物語です。しかもものすごくリアルに。

本編は連作短編の形式になっていて、どれも主人公は異なります。
どの主人公も性に溺れ、その中で自分の生き方、人生と向き合い、それぞれの歩幅で前に進んでいく様子を描いています。

単純に面白い。
ただ、性描写が非常にきわどいため、人を選ぶ。
その性描写をリアルと受け取るのか、エロいだけと受け取るのかで、この本の評価は分かれると思います。
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No.47:
(1pt)

欲求不満の中年女性の気持ち悪い作文

評判がいいので読んでみたが単なるエロ小説で辟易する。40過ぎのライターが高校生の言葉遣いをするとこれほど不自然で気持ち悪くなるのかと嗚咽をもよおした。

女も年齢を問わず欲望はあると言うことを素直に表現しているのは分かるがそれにしても気持ち悪い。

バイト先のリーダーがT大出でプリントを作って勉強を見てやるとか高級マンションに住んでいるとかすべて不自然でとても読めたものではない。

読もうとするのは時間の無駄である。
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No.46:
(4pt)

読者として選ばれた心持ち。

読むものを選ぶ作品であるが、読むものに選ばれる人間でありたいとも
感じた。

内容の概要は聞いていたけのだが、冒頭から衝撃的な描写があり読む姿勢を問うてくる。
身に覚えがある閉塞感、やるせなさを感じながら、それでも作中内の現実から目をそらすことは
したくない。自分が引き込まれているのか、負けじと入り込んでいっているのかは
自らの中ですら境目は曖昧だ。

宣伝文句に性と生を真正面から取り上げた小説、とあった。
性の部分を描いているのは事実だが、その部分をプッシュするのは作品にはそぐわないような
気がした。性と生の比重は著者の中では明確に異なっているように思う。

こういった作品を読める人間でありたい。
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No.45:
(4pt)

時代の閉塞感がじっとりと・・・・・

コピーに惹かれて興味本位で読みました。文体としては読みやすいです。
4つの家庭、延べ5人の物語が交差しますが、奥田英朗の一部作品のように、救いのない描写が続きます。性描写もこれでもかというくらい、特に前半に集中します。
貧乏な、あるいは若くしてはや人生に疲れたような人物が登場するかと思えば、認知症の祖母のために自分の食べる分まで分け与えるやさしい高校生たちが描かれます。全体に暗い雰囲気で物語が進みますが、ただ、奥田のように毒を含んではいませんし、問題提起をしているようにも思えませんでした。あえていえば、貧困の拡大再生産は、現実世界の大きなテーマではあると痛感はしました。とはいってもねぇ・・・。
「まぁ、女性にしては思いっきりよく書いたなぁ」という感じ。電車の中で読む本ではないですね。度胸がいります?!
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4101391416
No.44:
(3pt)

ほっこり、ではないあたたかさ

日常のやり切れなさが性描写や性的事件をもって語られる。のはありがち。
登場人物の視点が章ごとに一人称で切り替わって新鮮に。というのもありがち。

ということで展開に特に新味はなく、内容も決してハッピーではないんだけど、読後感は悪くないです。

それは、最終的にはみんな救われてほっこり、といった類いの安心感ではなくて、
うーん、やっぱ誰でもドロドロした悩みを秘めてるんだよなっていう共感や連帯感みたいなものであって。
読後に感じる温かさも、決して気持ち良くはなくて、生温かい感じ。

途中までは★★だったのが★★★にしたのは、最後の章の語り手(一人称)が意外で、
さらにその章の心情描写が比較的丁寧に思えたから。
で、読み終わったあとに著者の経歴を見て、なるほどなと思いました。
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