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ノースライト
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ノースライトの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全181件 161~180 9/10ページ
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あの ノーベル賞(1921)物理学者 アルバート・アインシュタイン(1879-1955) とも接点があった日本の数学者 矢野健太郎(1912-1993)の エッセイ「アトリエ風の書斎にて」 を読んでいたところ 「ノースライト」 の意味を理解しました。 矢野は次のように書いています。 【私の書斎は父親ゆずりです。 父親はこの部屋を彫刻の アトリエとして作りました。 居心地は悪くないのですが 冬は寒いのに閉口します。 もとアトリエですから、ご多分にもれず 窓が北側に、広くとってあります。 光線が変わらなくていいんですね。 おかげで南からの陽が入りません】 向坂逸郎・矢野健太郎ほか 『私の書斎』(地産出版 1978)(p.117) 矢野の専門は微分幾何で 第二次世界大戦後、米国プリンストンの 高等研究所に留学中、同じ研究所に アインシュタインがいました。 3~4回、口をきいたことがあるそうです。 矢野の父は彫刻家で そのアトリエは広く モデルを使って等身大の物を作るのに 耐えうるよう床の構造もしっかりしていた由です よって本を大量に積み上げても 床が抜けないので書斎に向いています。 つまり 「ノースライト」とは「北向きの採光」のことです。 一般に彫刻家のみならず画家のアトリエも 「ノースライト」 の設計になっていると思われます (ただし北半球の話です)。 最初、本書のタイトルの意味が分からず 何だろうと思ったものです。 よく見ればカバー表紙に小さい文字で "North Light" とあります。 これなら意味は瞬時に分かります。 昨年12月 AMラジオで "North Up" というコトバを聞いたときも 瞬時には意味が分からなかったものです。 実は 私はクルマを運転するときは 地図帳または自分でかいた地図で 節目節目で確認するだけです。 レンタカーに乗るときは まずカーナビの電源を切ります。 しかしもしカーナビを使うのであれば 必ず "North Up" にすることでしょう。 数年前 品川駅東口の外資系ホテルで 親戚と食事をしようということになり 何年かぶりに電車に乗りました。 国電を降り駅構内のコンコースで 地図を見てホテルの位置を確認しようと したのですがどうもおかしい。 よくよく見るとその地図は "North Up" ではなくて 「電車の進行方向 Up」 になっていたのです。 まさか JRと京急が乗り入れている駅で (つまり公共性の高い駅で) "North Up" ではない地図が存在するとは 想像だにしなかったので驚くと同時に 怒髪天を衝きました。 カーナビや地図だけではなくて 社会全体までが "Heading Up" に なっている気がしてなりません。 比喩ですが目先の半径何メートル (数学で言うところの「近傍」)しか 見ていない人々が増えたような 印象があります。 本書も読み始めは 「いったいどこへ向かうのだろう?」 と感じました。 主人公の「近傍」の記述が多過ぎたからです。 しかし 建築家ないし(一級)建築士の仕事については 勉強になりました。 よく取材してあると感じました。 私はとくだん建築に興味が あるわけではありませんが 20世紀最大の哲学者 ヴィトゲンシュタイン(1889-1951)も 建築を手がけたことがあったのを 記憶しています。 私でも想像がつきますが シンプルで簡素な一切装飾のない建築です。 【追補】 ヴィトゲンシュタインが設計したのは 妹のマルガレーテ・ストーンボロー邸です。 2年かかりました。 一切装飾がなく屋根は水平、壁は垂直です。 コンクリート・ガラス・鋼材から成ります。 ヴィトゲンシュタインは アドルフ・ロース(1870-1933)という 建築家と面識があり尊敬していたもようです。 有名人の建築つながりで 「黒い知識人」 「ファシストを批判するファシスト作家」 「鵺(ぬえ)のようなイタリアの作家」 クルツィオ・マラパルテ(1898-1957)は カプリ島(ナポリの沖30キロ)の崖の上に 「マラパルテ邸」を建て 著名人を招き、もてなしました。 地中海を望む絶景なので現在では 観光コースになっている由です。 ヒトラーのもとで 軍需大臣を務めた アルベルト・シュペーア(1905-1981)も もともとはミュンヘンやベルリンで 工科大学を出た建築家です (ドイツは伝統的に学期ごとに簡単に 大学をうつるのが可能である由)。 ヒトラー(1889-1945)自身 ウィーンの造形美術学校を受験しますが 人物を描くのが苦手で不合格となり その際、試験官から 「キミは建築の方が向いているよ」 と言われたエピソードは有名です。 このときもし美術学校が ヒトラーを合格させていれば 世界史はおおきく変わっていたであろうに と思います(合格者はわずか2名でした)。 さらに建築家つながりで ブルーノ・タウト(1880-1938)と言えば 「桂離宮をほめて 日光東照宮をけなしたドイツ人」 という知識しかなかったので 本書はこの点も勉強になりました。 しかし 最近になって 桂離宮と日光東照宮は ほぼ同時代にほぼ同じグループの 人たちが造った建築物であり 桂離宮=簡素で美しい 日光東照宮=装飾的で醜い という一面的な評価は変化している ‥とも聞きます。 旅行・観光・食べ歩きに一切関心がない私は 桂離宮も日光東照宮も 見たことがありません。 おそらく両者とも見ないうちに 死んでしまうことと思います (千葉県にあるネズミやアヒルの テーマパーク?も一回も行かないままで 死ぬだろうと思います。陸だろうと 海だろうと何の興味もないので)。 ここまで本書のキーワードを 3つ挙げました。すなはち ①North Light(タイトル) ②(一級)建築士 ③ブルーノ・タウト です。もしこれらに興味がある方なら いっそう面白く読めることでしょう。 私が横山秀夫氏(1957-)の 良い読者であるかどうかは疑問ですが 結果として ほとんどの作品は読んだと思います。 横山氏の印象は サツ官の夜回りを1年365日10年間 きっちりやってきた人 という点に尽きると思います。 実際にそういうご経歴かどうかではなく そのように推察できるほど ディーテイルが書き込まれている人です。 「きっちり宿題をやってきた人」であり 「その場にいた人」です。 評論・歴史・哲学・思想・数学 自然科学・随筆などを別にして 「小説」に限れば私が愛読しているのは 既に亡くなった作家が圧倒的に多く 現存する作家はあまり読んでいません。 村上春樹氏(1949-)の 表現を借りるならば 【永沢という男は(中略)僕なんか はるかに及ばないくらいの読書家だったが 死後三十年を経ていない作家の本は 原則として手にとろうとはしなかった。】 『ノルウェイの森』㊤(講談社文庫 p.66) ‥というわけではないのですが 小説は100年後も生き残って初めて小説 と思います。時代の風とか風潮という バイアス(偏り・偏位)が消えたときに 残っているものが本当の小説でしょう。 そのひとつの目安が100年だと考えています。 指折り数えてみますと 加賀乙彦氏(1929-) 庄司薫氏(1937-) 村上春樹氏 そして 横山秀夫氏の作品はおおむね読みました。 村上龍氏(1952-)と 小林信彦氏(1932-)も何割か読みました。 海外(翻訳)も含めますと フォーサイス氏(1938-) フリーマントル氏(1936-) マーチン・クルーズ=スミス氏(1942-) は翻訳ならおおむね読みました。 もともと読書は(趣味というよりも)道楽なので 目的があって読むのではなく 楽しいから読んでいるだけです。 なかでも小説にいたっては 楽しく時間が過ごせればそれでいいので 何のテーマもなく 同じ本を繰り返し読むことのほうが多いです。 面白くない本・文体が悪い本はさっさと 紙類の日にゴミに出します。 本書が「ミステリー」の範疇に 含まれるかどうかは ミステリーの定義によると思います。 警察も(私立)探偵も登場しない という点では 警察小説でも探偵小説でもありません。 過去・現在・未来において 「人が死ぬか?」と問われれば 人は死にます。 では「どのようにして死ぬのか?」 「殺されるのか?」 という問いに関しては みなさまご自分でお読みになって ご確認していただけると幸いです。 そして本書が「ミステリー」の範疇に 含まれるかどうかディスカッション してみるのも一興だと思います。 実は私は映画もあまり見ていません。 気に入った映画を繰り返し見ることが 多いのですが 逆にそのぶん本数はあまり見ていません。 「スターウォーズ」シリーズも 「宮崎アニメ」も 「ハリーポッター」シリーズも 「北野映画」も 1本も見たことがありません。 おそらくこのまま死ぬだろうと思います (何の興味もないからです)。 「黒沢映画」は『羅生門』(1950) の一本だけ何回か見ました。感想は 「これは『羅生門』ではなくて『藪の中』ではないか」 です。確かに原作は 芥川龍之介(1892-1927)『藪の中』です。 映画好きの知人の意見を借りるならば 「黒沢映画は人道的。 基本ヒューマニスティック」 という話です。 横山秀夫氏の作品もそうだと思います。 本書も基本ヒューマニスティックです。 | ||||
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横山秀雄さんの本はすべて読んでいますが、これほど外れのない作家さんもいないのでは。 前作64には本当に度肝を抜かれましたが、最新作のこの「ノースライト」もまた素晴らしい一冊でした。 建築士というお仕事小説でもあり、家族の小説でもあり、時代を描いてもいて… ミステリーとはいえない、というコメントもありますが、 建築雑誌に載るほどのすばらしい注文住宅が、住んだ形跡もなく、空室のままだった… って、たしかに人が次々に死んだりはしませんが、十分なミステリーだと思います。 なによりいつもどおりですが、最後まで一気読みのおもしろさ!です。 こうなるともう、ミステリーだろうがなんだろうか関係ないです。 とにかく小説としておもしろい! サイコー! ああ、おもしろい本を読んだな~とその感想しかありません。 分厚いですが、あっという間でした。もっとこの世界に浸っていたかったです。 | ||||
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主人公の父親の純粋さに心打たれた。岡嶋もまた父親である。吉野兄弟の父親もいた。そしてまた主人公青瀬にも心優しい娘がいる。終わってみるとみんなそれぞれに人を傷つき、人に傷つられている、心優しい人々である。葉室麟、青山文平、そして笹本稜平の読後感と同じ清々しさがある。別の言い方だと確かな明るい再生の兆しである。強くお勧めします! | ||||
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謎解きというより、家族、主に父と子のストーリーかな。 警察ものもそうだけど横山さんの本は全て『人と人』が描かれているから読後自分を見つめ直してしまう。 あと建築物に興味が出てきます。 | ||||
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家族とプライドを失った男性が 再生していく物語。 傑作。 | ||||
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今回はめずらしく警察モノではないです。とある建築士が主人公です。 その建築士が思わぬ依頼を受け、建てた家の物語です。 横山秀夫さんというとどうしても警察モノが頭をよぎりますが、なかなかどうして今回の作品も感動を与えてくれます。 もう読むのが止められないくらいにおもしろくて気付いたら7時間!ぶっ続けで読んで読破していました。 おすすめの一冊です。 | ||||
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好きな作家は、ときかれるとまず浮かぶのがこの人。 当然作品のハードルが上がる。 そこでこの本。 まず、ミステリーではない。 謎解きをミステリーの定義とすれば。ミステリーの範疇に入ろうが、世間的にはミステリーではない。 この作品を読みだして200ページぐらいまでは、堂場瞬一作品を読んでいるかの錯覚にとらわれていた。 なぜなら、自分自身で謎を作り、それを自分自身の頭の中だけで解きあかした気になっているからだ。 そして別角度から見るとまた謎が・・・。 そもそも横山秀夫が、ある登場人物がどんな人間かを、直接的に違う登場人物に語らせることはなかったと思うが、 ところが、この作品はそういう描写が多い。 デビューした頃の短編を読むと、登場人物の家や部屋の様子をしてその人物を語らせている。 間接的に語るのがこの作者のすごさであり、それを味わうのが好きだったのだが・・・。 「旅」という初出の雑誌を読んでいないが、初出の原稿を読んでみたい。単行本化するにあたり大幅に改稿したと書かれているので。案外そちらの方が高評価かも。 横山秀夫の思考の迷宮に付き合わされ、申し訳ないが体調が悪くなったのかと心配である。 他の人のレビューに、「読者がおいていかれる時がある」とあったがまさにそのとおり。 そして、270ページあたりでほとんどの横山秀夫ファンには唐突に謎が解けてしまう。 この作品、横山秀夫のものとして評価するなら星3つ。それでも多いぐらい。 ただし、横山秀夫は直木賞と訣別しているので、彼が直木賞を受賞することはないだろうが、 堂場瞬一あたりがこの作品を上梓していたとしたら、直木賞を取っただろう。 そういう評価ができる作品。 もっと直接的にいうと、横山秀夫のものだから星3つだが、それ以外の人が書いていたら星5つということ。 ドラマ化してほしいとの声もあるようだが、その時は「横山秀夫サスペンス」という謳い文句は外してほしいなぁ。 5話程度のシリーズが適しているが、1話目と2話目で視聴率が取れないだろう。 それか大きく脚本を変えてしまうか。 | ||||
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「64」のような刑事モノとかミステリーものという期待はしない事。どちらかと言えば池井戸潤の漢気を見せつける、骨太のヒューマンドラマです。中盤、遅々と進まない謎解きに???と愚痴りそうになりますが、終盤近くにドラマは大きく動き出します。そういう意味では編集に工夫が欲しかった。それでもエンディング辺りで泣かされます。悔しいけどwww。 | ||||
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やっぱり横山秀夫は警察小説のほうが断然おもしろい。最終盤まで引っ張り過ぎ。64の後だけに期待が膨らみすぎたかなぁ。 | ||||
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出だしからまさしく今の時期 春になると雨が多くなる そんな3月の雨から始まる 「64」がヒリヒリした酷暑の8月 真冬の物語としたら 「ノースライト」は3月から5月までの物語 ミステリーの体裁を確実に保ちながら 読み終わって 優しく、幸せな気持ちになれます 仕事っていいなぁ 家族っていいなぁ 友人っていいなぁ 自然っていいなぁ 誰も殺されないので(!?) ミステリーとはいえない感じですが 一気に読ませてもらえます(*^-^*) さすが横山さんです 次回はまた ヒリヒリするような 極寒の酷暑の物語を 期待してしまいます。 読者って贅沢ですね~ ああ幸せ! | ||||
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発売日に到着した本作をじっくり、ゆっくり味わいながらの読了となりました。 クライマーズ・ハイ、県警モノと最新作が都度最高傑作と評価を得ていた横山秀夫サン。 しかし、希代の傑作『64』を超える作品は発表されないものと思っていたところ発表された 本作は『動の64』に対して『静のノースライト』または『深のノースライト』だと感じました。 久しぶりに読書好きの友人に『横山秀夫のノースライト読んだ?』とメールを入れたくなります。 映像化されるのなら、64で原作の意図をブチ壊した単発モノ映画ではなくWOWOWか公共放送協会の 連続ドラマが良いですね。 | ||||
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待っていた新作でした ゆっくり味わいながら読み進めていきましたがまったくの期待外れ 何かこれ?って感じで読了しました | ||||
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まず重い、本の重さが534gある。「534」と名づけて欲しいくらいである。 本の重さが内容に繋がっているのかも知れない。最後に向けて、数々のプロットが散りばめられているが、 時に、読者が置き去りにされる。主人公の頭の早走りに読み手の頭がついていけないことが時々ある。 最近、タウトの「緑の椅子」についての本が出版されて、タウトの椅子にも興味が湧く。 最後は、怒涛のような結末で一気に読ませる。 | ||||
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やはり「64」が秀逸だったので、そのイメージがついてくる。 文章にはペンを塗り重ねていくような手法が伺える。 一見、警察関連のイメージが漂うが、違うカテゴリー。 建築設計に関連したユニークなミステリアス題材。 桂離宮の真価を評価したといわれるブルーノ・タウトにまつわる話。 不穏な空気と建築美に包まれてストーリーが展開していく。 家族、職場関係のほろ苦くて切ない人間模様が描かれていく。 | ||||
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途中までは著者の筆力にぐいぐい引っ張られて、読書の楽しみにひたることができた。 「陰の季節」や「動機」同様息詰まるほど心の襞を精密描写する圧倒的な筆力は健在。 読者は謎の結末を知りたくてページをめくるのももどかしいくらいだろう。 ところが、最後に解き明かされる謎があまりにも不自然な動機で一気にシラケた。 大木こだま・ひびきの漫才を思い出してこう叫んでしまった。 「そんなヤツおらへんやろ~! 往生しまっせ~!」 あるいは古今亭志ん生が話のマクラでよくやる見世物小屋の小咄にも似た感じかな。 「さあさあ、見ないと損だよー。山から生け捕った六尺の大イタチ!そばによると危ないよ!」 「大イタチってどれ?」と見世物小屋に入った客。 「お前さんのそばにあるだろホラッ! 近寄ると危ないよっ!」 「大きな板が立てかけてあるだけじゃないかね?」 「そうさ、六尺もあるんだその板は。板の真ん中に赤いもんがついてるだろ? それは血だよ、血! だから、六尺の大板・チ!」 「山から生け捕ったって言ってたじゃないか!?」 「そうさ、川じゃ取れないっ!」 「近寄ると危ないって言ってたじゃないか!?」 「倒れると危ないだろっ!」 (お客爆笑) これはミステリーではなくファンタジーなのか?やはり横山秀夫は警察小説で光る小説家。 大好きなファンの一人としては次の作品に期待したい。 | ||||
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64から6年強。横山秀夫が時間をかけると、緻密でレヴェルの高いミステリーになるんですね。 時間的・地理的なコントラストもイイ。必然性やリアリティにもかなりの推敲を重ねたんでしょうね。いつもの警察ものじゃないのに、建築を長年得意分野にしてきたかのようにすら感じる。ミステリーとしても当然レヴェルが高く、伏線が敷いてあることに気づいても中々、解けない。御見それしました。 64の次が平成最後の年に出版ってのも意味深でイイですね。 | ||||
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ここ最近の本屋大賞、直木賞などがこの本の前では霞みます。一文、いや、一語一句のがさず、ゆっくり大切に読み進めるべき本です。行間もまたしかり。帯の文句はあまり信用しない方ですが、この本に限っては間違いではありません。美しい静かな物語りです。大人なら、是非御一読を。 | ||||
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帯に「横山ミステリー史上最も美しい謎」「熱く込み上げる感動」とある。確かに物語は、そのように展開する。しかし著者横山秀夫の念を入れ過ぎた作り込みと、硬い2字熟語や見慣れない画数の多い漢字の使用、そして短く突き進むような乾いた筆致は、大団円に終わる心の物語のリアリティーや味を削ぐことはあっても、深めるではなく、その不適合さに鼻白む思いがした。専ら謎を追う「64」とは真逆の効果、となっている。 | ||||
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住まいの設計においてはリビングなどの主要スペースは陽射したっぷりの南面に配することがあたりまえになっているが、もし北面にレイアウトしたらどうだろう。陽はダイレクトには射さないが、青空や木々に照り返されたマイルドな光が優しく降り注ぐ。南面だと窓外の風景は逆光になってしまうが、北面なら順光で、まさしく一幅の絵画となる。南向きの人生と北向きの人生。フラッシュバックのように挿入される少年時代の記憶も元妻との思い出も建築家としての自恃も、すべてが最後に環となってつながる。南からの光では陰になって見えなかったものも、北からの光によって美しく映える。単純な謎解きを超えた、心の淵に寄せ来る幾重ものさざ波。これこそが本を読む感興というものだろう。凡百のミステリーを超えた、実に奥深い物語世界は、そのまま人の心の奥深さに通底する。ある程度の人生経験を経た中高年限定です。 | ||||
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「64」から6年ぶりの新作です。発売日に購入し、いっきに読み切りました。 帯に「横山ミステリー史上 最も美しい謎」とありますが、それと同時にひとりの建築士の再生の物語だと思います。 建築家ブルーノ・タウトの椅子が、物語に厚みを与えています。 文章を読んでいくだけで、目の前に「メモワール」が、次第に建ち上がっていきます。 読後は、暖かいものが胸に広がりました。 | ||||
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