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(短編集)
本と鍵の季節
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本と鍵の季節の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全75件 41~60 3/4ページ
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この作家の持ち味は、のんびりした、退屈なほど日常めいた話の中から、とつぜん見えてくる事件性。 表面上はあくまで静かに謎解きが行われ、その分残酷なほどひっそりと、悪意の展開が明るみになっていきます。 性格も考え方も違う図書館委員二人。 常に会話がかみ合わないちぐはぐな二人ですが、ある事件が起こった時には、それぞれが違うアプローチを元に解決を目指すという息の合ったコンビになります。 ささやかな事件ながら、解決された後に残るのは、何かを喪ってしまった胸の痛み。 主人公たちも読者も、砂を噛むような思いを味わいます。 真実を突き止めなければと正義感で推理を働かせる主人公たち。 しかし、事実を知ることは、必ずしもすがすがしさは伴わないという事実が、やるせなさを生みます。 またその余韻を残すところに、作者の優しさが透けて見えます。 今回も、派手さはないものの、身近なテーマから話が始まり、気負わず入っていける作品世界を見せてくれています。 | ||||
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高校で図書委員をしている堀川と松倉の二人が、図書室に持ち込まれる謎を解決していく6つのミステリ短編集。 どこか斜に構えて相手を信用しない松倉と、相手を信用しながらも意外な着眼点をもつ堀川。お互いに足りないところを補完しながら事件を解決していく展開で、いいコンビだと思う。 謎解きも単純なものではなく、一筋縄ではいかない工夫が多くて楽しめた。 最後の2つ「昔話を聞かせておくれよ」と「友よ知るなかれ」は、松倉の父親をめぐる話。まさかの展開にすっかり騙されてしまった。堀川が松倉に対して、「もう少し、ただの図書委員でいてくれないか」といった言葉には友への想いが込められていて熱くなった。 | ||||
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主人公が高校2年生の男子二人で設定が同じセトウツミを思い出したが、彼らの掛け合いが面白い。 謎解きの要素にも引き込まれて、一気に読んでしまった。 | ||||
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主な登場人物は二人です。両者の関係の描写は『氷菓』シリーズの二人の青年に似たものがあります。 そして、最後まで読み切ってみて、この小説は、推理ものであり、ライトノベルでもありますが、悪漢小説の片隅にも位置するものであるところが特徴となると思いました。 筆力充実。次回作にも期待します。 | ||||
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米澤穂信らしさに溢れていて良かった。日本語はきれいだし、ひねりのきいた推理要素も満載、登場人物の人物像も実に深みがあり、全部入りでした。 | ||||
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放課後の図書室に持ち込まれる謎に、高校2年生の堀川次郎と松倉詩門(しもん)の男子高校生ふたりが挑む全六編のミステリー。 二人とも、高校生とは思えない洞察力に、推理力。実に細かな伏線が、後に丁寧に回収されていく。日常の謎解きものとしてはなかなかのクオリティで、かなり楽しめる。 ただ、高校の図書室をキーとして設定する必要があったのかは、少々疑問。図書委員という設定が活かされているのは、「913」と「ない本」ぐらい。もっと徹底して、「図書室」「本」にこだわってもよい。高校生にしては、詩門がいささか老成し過ぎている感もある。 恋愛要素はほぼないが、男子のほろ苦い青春ものを読みたいなら、お勧め。 | ||||
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図書室独特の空気感が伝わるというか、放課後の文化部の部室に微かに残る埃っぽさを感じる ほろ苦い物語だなぁと思いました。 主人公の2人は、どちらかと言えば、垢抜けない根暗な男子高校生たちです。 図書館の専門的な知識など、細かくて物語とは直接関係が無いような事でも詳細に知っていて、レビューを書いた人の中では「こんな高校生いる?」と書かれてましたが、興味本位に任せてマニアックに物事を追求できるのは中高生くらいなもので、私自身の高校時代を振り返れば、古典部シリーズよりも、この作品の方が実際の男子高校生の青春に近い印象を受けました。 最後まで先の見えない展開で楽しめましたが、スッキリしないほろ苦さが残り、それが深みとなりました。 もう1章付け加えて読みたいという欲求もありますが、主人公の堀川君と同じで、その先はやっぱりいいや!と思っちゃいました。 | ||||
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普通に新鮮で面白かったです。 こういう青春ミステリ? これから流行りそう。 | ||||
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高校2年生の堀川次郎は同級生の松倉詩門と学校の図書委員を務める。日常に潜む小さなミステリーを二人が解決していく連作短編集です。 ◆「913」 :図書委員を引退した先輩・浦上麻里が、今は亡き祖父が遺した金庫を開けてほしいと二人に依頼してくる。祖父は金庫の中身も暗証番号も告げずに突然亡くなったというのだ。ただ、生前の祖父は「麻里が大人になったら金庫の番号はわかるはず」と語っていた。その言葉の意味するところを探る次郎と詩門は、祖父の書斎に残された本棚に目が留まる……。 主人公の二人は図書委員ならではの推理で、書棚に残された4冊の本の意味する暗号を解読していきます。そうしたミステリーの面白さもさることながら、主人公が高校生だからといって、決してお話は軽くなく、謎解きを依頼してきた先輩の抱える闇の深さに慄然とさせられます。 ◆「ロックオンロッカー」 :次郎は行きつけの美容院で、友人を紹介したら4割引になるチケットをもらう。そこで詩門を誘って夜7時に予約を入れたところ、誰も他に客がいない。しかも店長は「必ず貴重品は手もとに持っているように」と告げる。いつもと違う店内の様子に、詩門はある仮説を立て始める…。 この謎解きに本は関わりません。馴染みの店に起こりつつある異変に二人の男子高校生が推理合戦のように知恵を出し合う姿はほほえましいのですが、その一方で最後に明らかになる真相の闇はこれまた深く、苦いものです。 ◆「金曜に彼は何をしたのか」 :図書委員の後輩一年生・植田登は兄・昇のことを次郎と詩門に相談する。金曜に職員室のそばの窓が割られた事件があったが、あの犯人として昇が教師たちに疑われているというのだ。昇は素行の悪さで確かに教職員の間で評判が悪い。その昇は弟に、自分の無実を示す証拠が部屋にある、と意味深長な言葉を告げていた…。 登と昇の二人が暮らすアパートに向かった次郎と詩門が、部屋に残された様々な物品をもとに鋭い推理を進めていく様子が痛快です。巨大なジグソーパズルや使われた様子のないエレクトーン、ラーメン店の割引券など、なんの意味もなさそうなものの数々が最後にひとつの可能性を指し示していく展開が読ませます。 しかしこれまた、二人の高校生探偵が見つけた真相がなんとも苦いのです。そしてこのたどりついた真実に登が果たしてどう向き合うことになるのかはオープンエンドになっていて、物語を包む空気はどんよりと重たくよどむのです。 ◆「ない本」 :三年生の長谷川先輩が次郎と詩門に、図書室にあるはずの一冊の本を探してほしいと依頼してくる。先週自殺した同級生の香田努が生前、図書室の本に何か遺書らしきものを挟み込む姿を目撃したと言うのだ。しかし長谷川は書名までは見ていない。貸出記録は見せられないため、図書委員の二人は長谷川のおぼろげな記憶をもとにその本を推理していくのだが…。 いよいよ図書委員らしい推理劇が展開されていきます。ここまでの3編を読んで、結末はまたしても重たいものになるであろう、この長谷川先輩が香田の自殺にきっと関与しているのではないか、と恐る恐る頁を繰っていったのですが、私の予想は意外な形で外れました。その外れ方が苦いものではあると同時に、切なさも感じられ、その意味では結末に心が添いました。 ◆「昔話を聞かせておくれよ」/「友よ知るなかれ」 :詩門は次郎に昔話を聞かせる。――現金をため込んでいる自営業者のもとへ警官がやってきて、近所で窃盗事件が多発しているから注意するようにと警告する。そこで自営業者は現金を移すことにした。その後、くだんの警官は偽物だと判明。この警官が窃盗で逮捕される。自営業者は移した現金を自宅に戻す前に死亡した――。そして詩門は自分がその現金を探していると言う…。 中編の「昔話を聞かせておくれよ」と短編の「友よ知るなかれ」が連作となっています。推理を進めながら現金を探す二人は果たしてたどり着くことができるのかがお話の焦点になっているかと思うと、詩門が意図的にある事実を隠していること、そして次郎がその真実をつきとめてしまう結末へと物語は苦い展開を見せるのです。 春に図書委員として知り合った二人の関係には距離と遠慮と配慮が見られます。全6編を通して少しずつ立ち現れてくる、非力で不器用な男子高校生二人の友情関係が印象的な好編です。 そしてこの書の最後に置かれたこの重々しい二編の先に何が待ち受けているのか。それを読者が目にできるまで、どうやら今しばらく、続編の出来(しゅったい)を待つ必要があるようです。 . | ||||
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高校の図書委員二人が関わるミステリ。 あの図書室の独特の匂いや静寂さを感じられる作品だった。 いろんなジャンルの相談事を受けて始まるミステリだが 設定も展開も飽きないところは、さすが米澤作品だった。 ラスト前作品とラスト作品の展開の結論を知りたいような 知りたくないような…。でも、続編を読んでみたい。 なんともない顔で図書室に登場することを願いつつ…。 | ||||
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派手さは、ないけど面白かった。 少年探偵もので、基本は図書委員の高校生二人が図書室に訪れた学生の相談に乗る、という構図。 特に設定として面白かったのが二つ。 まず、ヒロインがいない。ここが氷菓や苺タルトシリーズと異なる点。 そして、二人とも賢い。別タイプの探偵の推理合戦、という構図が良い。 馬鹿な助手や上司を出して、主人公の推理能力を引き立たせるという手法は、だせーと思うので。 また、この作品がシリーズ化されるかは知らんけど、今作は短編集ながらも薄い伏線が張られていて、最後の二話のエピソードで回収している点も満足度に繋がっている。 最後に星5つにしたが、パートナーの詩門はさておき、主人公の設定は、話が進むにつれて微妙に上方修正されていっている気がする。常人と天才、って構図で始まって、最終話には違うタイプの天才が出来上がっていたが、通しで読むと、ちょっと序盤のキャラ設定が固まってなかった印象。詩門が父の遺品の推理するエピソードの為に後付けで修正されているように感じた。 | ||||
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著者の古典部シリーズは殆ど読んだことはありませんが、本書単独で読んでも楽しめます。只、読んだほうがより深く著者の世界観を味わうことは出来るかもしれません。 主に、高校生の二人の図書委員が同級生等から持ち込まれる謎を、本格ミステリーばりに解き明かす連作集。その設定から、何となくライトなものを想像していましたが、読みやすい文体とは裏腹に、ビターな結末の作品が多いです。大きな事件はおきないけれど、どれもしっかりと練られ、高校生が主人公とは思えない緊張感も孕んだ秀作揃いのミステリーです。 | ||||
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本を読んでいる時点で「本好き」が多いので図書館はテーマとして受入れられやすい。 図書館と事件、日常と非日常というコントラストもイイ。 伏線の敷き方も上手。短編集としながら、後半の盛り上がり、加速感もイイ。 何か斬新なところがある訳ではないけれど、いろいろな面でレベルが高い | ||||
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面白かった。たから探しは書き下ろしの伏線と考えるとつじつまが合う。しかし、シリーズ化は難しいのかな? | ||||
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2人の高校生が互いの能力を補完というより、多面的な視点で捉えながら推論を進めていく。 正直に言って私は、米澤穂信さんの作品に関していえば長編よりも短編の方が切れ味が鋭くて好き。 話的には「古典部シリーズ」というより「犬はどこだ」「ボトルネック」といった作品により色合いが近い。 が、こういった人間くささを描き出すのが米澤穂信さん作品の真骨頂だと思う。 | ||||
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米澤先生の作品は、全般的に好きなのですが、一番好きなのは「古典部」シリーズです。これは京都アニメ制作の傑作動画との合わせ技ですが(京都アニメの絵は本当に綺麗かつ丁寧ですよね、ご興味があれば、絶対にお勧めです)。本作は古典部シリーズと通じる所があり、同作がお好きな方は気に入るのではないでしょうか。「少しビターな」と表していますが、さほど辛口でもないです。古典部シリーズも「氷菓」をはじめ、そこそこ人間の悪意や身勝手さが出て参りますし。 古典部シリーズと同様に、若干、強引な推理はありますが、魅力的な状況設定(良くこんなに多彩な話を思い付くなと単純に感心)が上回ります(どのエピソードも犯人逮捕を目指した内容ではありませんので)。 図書委員二人のキャラクターも好きです。熱中型ではないが、内にシンプルでお仕着せではない倫理観と共感力を保っている点が古典部のホータローにも通じるものがあります。若干、ネタバレかもしれましが、最後にお金で悩む点ではピュアな子供たちだなあと感心してしまいました(自分なら税務署対策をまず考える?)。 根っ子は、二人の頭が抜群に切れる良い子たちの友情の話です。二人の子を持つ身としては、最後、堀川君が図書室で友を待つ姿には「本当にいい子だなあ。来るといいね。」と、ホロっと来てしまいました。 | ||||
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出てくる単語がどう考えても高校生の知るものではなかったり、「こんなの絶対無いわ笑」と思う一方で、だからこそ小説として夢中になれる作品でした。続きが気になります。 | ||||
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軽妙な筆致、軽やかなトリック、そして描かれる青春時代の苦い経験。作者お得意のジャンルに舌鼓を打ちながら読み進めています。さんざん他のレビューでも言われてますが、古典部よりはかなり、小市民よりもやや苦み強し。ただしさよなら妖精ほどではなし。そこら辺のテイストをぜひ味わってください。 | ||||
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おもしろビター。 羊たちの〜と同じ、一話完結で読み易い。 [友よ知ることなかれ]からの続きが知りたい。 | ||||
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図書委員である主人公達の学園ミステリー。 各話完結の短編集ながら、話が進むにつれて主人公達の関係性も変わってくる心情の表現は結構好きです。 青春と言うには爽快すぎず少しほろ苦いくら位の程よいリアルな感じが米澤さんらしいなぁと感じます。 | ||||
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