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国宝
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国宝の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.61pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全623件 601~620 31/32ページ
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| 2007年の「悪人」の後、吉田修一は長期低迷に入ったように私には思えた。「路」「怒り」を除けば平凡な作品で、この2作さえ「悪人」の感動には及ばなかった。しかし、考えてみれば「悪人」のような高い完成度の作品を次々に発表するのは無理というものだ。だが、10年たってようやく「悪人」を凌駕する作品が現われた。「国宝」は、歌舞伎界という設定もユニークなら、そのストーリー、構成、文体にも凝った作者渾身の作品である。何より、上下巻700頁を一気読みの面白さなのだ。これは吉田修一の新たな代表作であり、現代日本の小説のなかでひときわ光彩を放つ傑作である。 任侠一家に生まれた少年・喜久雄が歌舞伎界に入り、稀代の女形として芸に生き抜き、歌舞伎の頂点を極め人間国宝になるまでを描いた小説である。喜久雄は長崎を出て、大阪を経て東京へと移り、歌舞伎俳優の息子の俊介と切磋琢磨しながら、次々に襲い掛かる苦難を乗り越えてひたすら芸の道を極めようとする。悪魔と取引してでも、世俗の欲や幸せに背を向けてひたすら芸に打ち込み、だれも見たことのない世界へと歩を進める。そして、極めるほどに喜久雄は孤独の境地へ向かう。芸を極めるとは何と業の深いことか。挑戦し続ける狂気のような役者心理が見事に描かれている。ラストの花吹雪舞い散る中に閃光を浴びながら花道を行く喜久雄の姿の妖しいほどの美しさに、私は胸が震えた。 当然ながら舞台の場面が多い。演目ごとに解説が入り、役者の踊りと演技が描写されるが、舞台や衣装、身のこなし、役者の顔つきまでの詳しい説明は臨場感にあふれ、役者の踊りを髣髴とさせる。この作品の取材のために作家は黒子として舞台を務め、全国を廻って200演目を観たという。物語は喜久雄と俊介を中心に進んでいくが、彼らの親、子、友人、師匠、ライバルたちの人生も並行して語られる。どの登場人物にもドラマがあり、各々の人物像がくっきりと描かれていてこの小説を重厚なものにしている。また、東京オリンピック以降の時代の変化もしっかり書き込まれていて、作家の視界の広さと目配りの確かさに感嘆する。 すでに指摘されていることだが、この小説の特徴は「語り」にある。一人称でも三人称でもなく、講談風の語りがこの小説の案内人になって読者を導くのだ。それが時間と空間を超えて、自由自在に物語を運んでいく。演目の解説もこの語りが受け持つことで自然な流れとなっている。「国宝」の成功は講談風語りの発見によるところも大きいはずである。 本作は、身を削るようにして芸道を極めた役者の怒涛の人生を描いた作品である。吉田修一も同様の決意をもってこの小説の執筆に臨んだのではないか。その労苦の末に彼の最高傑作が生まれた。新しい手法を駆使して、自分の限界を打ち破り頂点をめざして孤独な作業を続ける作家の姿を私は読みながら思い浮かべた。この小説に出会えたことを喜ぶとともに、本作が多くの人々に読まれることを私は願っている。 | ||||
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| 言葉は「力」であるという。がこの作品にはその力を超えた何かがある。敢えて抑制された筆致が読者に その何かを伝えているように感じる。芝居だけに生きてきた男の、完璧を超え「神の域」に達した姿をどの 様な切り口でレビューしようと言葉を用いている限り虚しさを覚えてしまう。ただ「凄い!・・・」としか 言いようがない。 | ||||
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| 生まれつきの美しさが周りの世界や自分自身の経験によって磨かれていくのがよくわかります。どの時間断面をとっても、その時の美しさが見える生き方。 波瀾万丈という言葉が相応しい。一気に読みきりました。 | ||||
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| 語り手の丁寧な言葉遣いが新鮮。まるで生き字引のような、歌舞伎の舞台の精のような、俯瞰した視点からの語り。 歌舞伎を観に行きたくなった。 主人公とその周りの人びとの、性格や姿が目に浮かぶよう。 | ||||
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| 長崎のヤクザの息子が、紆余曲折ありながら歌舞伎を背負っていく役者になる過程を描く。 主人公はもとより、周囲の人物達がいきいきと描かれている。 今までの吉田修一のノスタリジー的な作品や人間の内面を描く作品とは少し毛色は違うが、人間味ある人物描写、自然な会話、対立と共感など、著者らしさは変わらず楽しめる。 まるで実際に存在した歌舞伎役者を描いているような、リアルさがある。 若手時代の活躍と苦悩、また認められるよういなっても起こる周囲との軋轢や嫉妬。 人間の業を丁寧に違和感なく描いている。 主人公を支える人間、また反発する人間、それおれが良くも悪くも魅力的で読ませる。 歌舞伎に興味なくても、十分に楽しめる作品。 | ||||
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| 芸のためには悪魔に心を売ると誓った女形役者の凄まじさ。 決して家庭をないがしろにするわけではないのに、何よりも芸のために生きていることが、周囲の人物との軋轢を生んでしまう面もある。 上巻に比べ、下巻は急いだ展開になってしまうのは仕方ないが、ラストはもうちょっとすっきりしない面も。 それを差し引いても、上下巻通して、一人の人物を描きながらも周囲の人間の魅力も決して色あせることなく、素晴らしい作品だった。 | ||||
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| こんな波乱万丈の人生あるんだろうか。と思いつつもどんどん引き込まれて一気に最後まで。本当に登場した全てのキャストが愛おしい。 | ||||
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| 朝日新聞の連載当時から、毎朝楽しみにしてた。本になるのを心待ちにしてたので、早速購入一気読みでした。歌舞伎の世界を知ってる人も知らない人も楽しめる。素晴らしい書きっぷりでし | ||||
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| 感動しました。読了後、2日たっても不意に泣けます。今は歌舞伎役者をテレビで見ただけで泣きそうです。悪人以来、やっと来たー!待ってました。映画化期待しています。 | ||||
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| 一気読み。 読み始めたら、あっという間に物語の中に引き込まれてしまった。 主人公喜久雄の魅力、取り巻くいろいろな人々も魅力に満ちている。 歌舞伎の入門書のような丁寧な説明の作品紹介の文がいい。 | ||||
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| 歌舞伎の女形として、登りつめていくにつれ、社会や、業界の狭間で傷つき、傷つけながら芸を磨き上げていく主人公喜久雄の圧倒的な魅力。 喜久雄を守り続けてきてくれた徳次が離れていき、ますます孤高の人となっていく喜久雄はもはや人間というよりは魔物にさえ思えてくる。 歌舞伎作品の説明文が演目の紹介のようで、歌舞伎をしっかり見てみたくなった。 | ||||
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| 読了後、下巻を手に取らずにおれる方は少ないのではないでしょうか。平易でありながら奥行き深く心に浸透する文章が読み進むスピードを加速します。 | ||||
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| 上巻からの一気に読み。 まさに大河小説。「蒼弓の昴」のような、「双頭の鷲」のような読後感でした。 歌舞伎会の慣習、歌舞伎演目の手引きが絶妙適度に鏤められ、劇場で歌舞伎を観たいと思わせる傑作だと思います。 日本経済新聞の書評掲載日に購入。 | ||||
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| 私の歌舞伎好きを知っている同僚から勧めてもらい、どっぷりはまって一気読みしてしまいました。 もともと吉田修一さんの『悪人』以前の本が好きで読んでましたが、しばらく手に取ってなかったのですが、こちらは抜群に面白く、その世界に引き込まれてしまいました。 主人公は、長崎の任侠の世界に生まれて女形の歌舞伎役者になる喜久雄。 彼を中心に、人情味あふれる弁慶役の徳次や、ライバルの政党は歌舞伎の血を継ぐ俊ぼう、春江など、魅力的な登場人物がそろいます。 この舞台装置そのものが歌舞伎の世界のよう。登場人物という役者がそろい、華やかでありながら、どこか作られていて、歌舞伎調の語りを含めた文体が、どこかよそよそしくかしこばってる感じがします。 歌舞伎を知らなくても、その世界観にどっぷりはまり、喜久雄とともに激動の時代を共に生きることができると思いますが、歌舞伎好きであればより一層、興味深く楽しく読めると思います。 舞台や舞台裏、客席やロビーの描写を読んでいると、生き生きと脳裏に劇場の雰囲気がよみがえり、いくつもの演目の描写シーンでは頭の中に浄瑠璃が聞こえ、ひいきの役者で見た歌舞伎が思い出されます。 作者の吉田修一さんのインタビューを読むと、中村鴈治郎のところで黒衣となって取材されただけあって、そのリアルさには、歌舞伎の世界ではまだまだ知らない舞台裏があって、だからこそ舞台の上では、THE歌舞伎なのだなーと納得しました。 ちなみに、、特定の役者さんをモチーフにされているわけではないと思いますが、女形だからか玉三郎さんに重ねることが一番多かったかも! 特に、喜久雄と俊坊が初めて踊る「京鹿子二人娘道成寺」は、歌舞伎座の初演時に見た玉三郎と菊之助の衝撃的な二人道成寺をイメージしながら読んでました。あの二人道成寺の初演を見られたことは、私の歌舞伎観劇史の中でもかなり思い出深いできごとでした。。 | ||||
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| 上巻、下巻共に読破。 「創作物である」ということすら忘れて夢中になって読み進めてしまいました。 終盤に近づくにつれ、少しずつ狂気が満ちていくような、同時に美しく研ぎ澄まされていくような、不思議な感覚を味わえます。 また、この作品に満ちている昭和という時代の熱気は平成生まれの私が感じたことのないもので、とても新鮮に感じました。 | ||||
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| 長年、朝日新聞の朝刊小説を読んでいましたが、この作品は今まで読んだなかで一番面白かったです。毎朝、ドキドキしながら読みました。主人公はじめ、彼の親友でありライヴァルでもある俊ぼんや、兄弟分の徳ちゃんなど、脇役たちも主役並みにインパクトがあって飽きさせません。確かに、その分女性たちが添え物みたいになっていますが、時代背景もあるのでしょう。私はこの作品を読んで歌舞伎に興味を持って、初めて見に行きました。 それにしても、ひとつ残念なのは、書店で本を手に取ってみると、作品の素晴らしさに比べて、装丁が地味で軽いようで……。これほどの名作にふさわしく、もう少し凝ったものにして欲しかったです。 | ||||
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| 歌舞伎が好きというベースはありますが、本当に面白かったです!少し、盛り込みすぎ?な感も否めませんが、映像がまざまざと目の前に浮かぶ文章でした。こんなに一気に読んだのは久しぶりです。 | ||||
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| 歌舞伎など全く興味ないのですが、一気読み!ヤクザの新年会と「…ございます。」という特徴的な文体のギャップに戸惑いながら、気がつけば、引き込まれての一気読みでした。おすすめ! | ||||
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| 歌舞伎に題をとった作品であることはもちろんだが、歌舞伎に携わる人々の人生を丸ごと描いた傑作でしょう。 舞台の描写の豪華絢爛なことはもちろん、舞台裏の人生までまるごと描かれている。 舞台同様、それぞれの人生には喜怒哀楽、艱難辛苦にみちていて、その清も濁もすべてこの本に閉じ込めてある。 主人公の喜久雄や俊介はもちろん、登場人物たちのなんと魅力的なことか。 ど真ん中の娯楽小説であり、文学。 今年のベスト1小説に間違いないのでございます。 | ||||
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| まるで講談のような話し言葉で書かれた文体で、これまでの吉田修一作品とは随分違った印象を持ちますが、魅力的な登場人物らの生き生きとした会話文に、やはり吉田修一らしい巧さが感じられます。 吉田修一の文体は、自然でリアルな会話文が非常に魅力的で、特に本書では、主人公喜久雄の故郷である長崎弁と芸養子先の関西弁でのテンポの良い会話のやり取りが、まるで目の前でやり取りがなされているかのように生き生きとした情景が浮かびます。 本書上巻「青春篇」は、主人公喜久雄が、原爆の爪痕がまだ残る長崎で生を受け14年、昭和39年の任侠の世界における新年会での大乱闘の場面から物語が始まり、芸養子として関西に出た後、歌舞伎界の新星として一躍注目を浴びるも運命に翻弄され続ける波乱万丈な半生が描かれています。 喜久雄を「ぼっちゃん」と呼ぶ任侠時代からの腐れ縁である徳次が、唯一の喜久雄の理解者としての存在感をみせ、この二人のやり取りがとても良く、徳次が登場するたびに雰囲気が明るくなります。 また本来なら親の後を継ぎ、三代目半二郎を襲名すべき「俊ぼん」こと俊介の人生も一筋縄では行きません。 第二の主人公たる「俊ぼん」の凄まじさは、本書後半から下巻にかけて展開されます。 それにしても主人公喜久雄への本書後半での仕打ちは、あまりにつらい。 そんな仕打ちをうけることを予言するかのごとく、芸親かつ師匠である白虎が喜久雄にかける言葉が 「どんなに悔しい思いをしても芸で勝負や。ほんまもんの芸は刀や鉄砲より強いねん。おまえはお前の芸でいつか仇とったるんや。」 芸を愛し芸に取りつかれた、そんな喜久雄の物語です。 | ||||
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