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少女たちは夜歩く
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少女たちは夜歩くの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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つい先日、同じ著者の短編集「角の生えた帽子」を読み、その中で一番気に入ったのが「城山界隈奇譚」。著者の故郷である四国の松山を舞台にした話で、そこで生まれ育ち隅々までなじんでいるそんな空気感が伝わってきました。 こちらの作品も同じく松山が舞台と知って、ぜひ読んでみたいと思いました。 最初の作品に登場した人物の1人が次の作品にも出てきて、その中の人物がまた次の作品に・・という人間関係が連なっていく連作集です。「角の生えた帽子」でもそうでしたが、人間の裏やいやな面、狂気じみた部分がクローズアップされた重い話が続きます。登場人物はみんななんらかの問題を抱えています。恋人のDV、アルコール中毒、壊れた家庭の育ち、知的障害、配偶者の浮気・・などなど。メンタルが弱っている時にはしんどいかもです。 そんな話が6話続いた後で「白い花が散る」だけはユーモア含みのほっこりした話になっていて、そこで一息つけます。 登場人物は結婚で姓が変わっていたり、私という一人称で書かれていて名前が表記されなかったりで、そのあたりはひとひねりしてあるというか、注意して読まないと誰と誰が同一人物なのか気がつかなかったりします。たとえ気がつかなくとも、最後になってざっと見返してみればわかってくると思います。 昔の領主の城がある小さな山が町の中心に聳え、みんながその周りで右往左往しながら生きている、山には高校や大学、図書館もあり、緑深くいろんな生物が生息している、超自然的なことが起きたとしても不自然ではないと思わせる幻想的で不気味な雰囲気がある、その山の存在感が圧倒的です。 悪どい者は罰されるという爽快さもあり、それなりにカタルシスも得られます。後味は決して悪くはありません。最後にそういうことだったのか・・と、うならされます。 松山に旅して城山を歩き、路面電車に乗ってみたくなりました。が、この不気味な印象が残って怖く感じてしまうかもしれません(苦笑)。 追記:あとがきでネタばれに近いことが書いてあります。あとがきを先に読まないように! | ||||
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第一章、二章を読んで「あれ?、これって短編集だったのか…?」と勘違いしたが、第三章辺りから、決して少なくない数の登場人物が、山の頂上に聳える城の下、奇妙な点と線で繋がっていくことに気付きました。まるで難度の高いジグソーパズルを組み立てているようで、最後に出来上がったジグソーパズルの絵柄は、自分が想像していたのとは全く違った絵柄で、しばらく放心状態となったほど。著者のストーリーテリングの技は相変わらずですね。やはり天才というしかない。 | ||||
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内容も良いし、読みやすい。 最初から最後まで絶妙な繋がりを持っているので飽きがこない。 読み終わった後に仄かな喪失感がある。 | ||||
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ホラーだったり、オカルトだったり、ミステリーだったり、ファンタジーだったり。 そんな松山城周辺で起こる話が、微妙な感じで絡まる短編集です。 とにかく、その絡まり具合が絶妙でお見事の一言。 途中から、やっぱりそういうことか、と気が付くラストまでの濃密な流れが ちょっと快感にすら思える作品でした。 | ||||
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四国のとある街には、中心に小高い城山がある。この城山の森とその周辺では、奇怪なことがいくつも起きる。それは、人間の狂気が引き起こしたものであったり、不可思議な能力によるものであったり、異界の者のなせる業であったり…。 八編とエピローグからなる連作短編集。読み進めるにつれて、バラバラに見えていた個々のピースが、網の目のように絡まっていたことが明らかになる。連鎖する死のおぞましさに、慄然となる。 和紙にポトリと落ちた墨滴が広がっていくように、怖さがじんわりと背中に広がっていき、やがて背中一面がぞわぞわと寒くなる。 冬に読むのはお勧めしない。 | ||||
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四国のとある城下町を舞台にした、不思議で恐ろしくて悲しいオムニバス作品。 ごくありきたりな「日常」への観察眼、そこに潜む怪異をあぶりだす。 人間の心の闇に居場所を見つけて住みつく魔物たちが、静かに狂う様子を丁寧に描く。 ミステリー、ホラー、ファンタジーの要素がそれぞれのジャンルを超えて絡み合い、不思議と恐怖にゾクゾクし、切なさと苦しさに胸を掴まれる。怪異と恐怖、切なさと苦しさに全神経が研ぎ澄まされる感覚を覚える。 城山を中心とした人々の愛と憎しみの情念が繋がっていく様に恐怖が止まらない。 城山の植物たちの四季と年月もめぐりめぐる。その緑の描写も生々しく印象的で、鬱蒼とした緑や花の蜜の匂いが目の前に広がり、情念と一緒になってとぐろを巻く。 世界は環となり、繋がっている。 互いが互いに影響し、顕在的、潜在的に支えあい傷つけ合う。 教師との禁断の愛に狂う、魔性を持つ女子高生。 義実家にあった怪異な油絵の修復を頼まれた女性。 癌を告知されてから孫を見守るようになった男。 謎の生き物を見た、児童養護施設住む知的障害のある少年。 他人の物語が見えるという、同じ病室の女性患者。 愛猫が行方不明になり狂気の中探す女性。 怖がりな自分は最初、序盤、読むのが怖くて何度もやめそうになった。だが中盤から手が勝手に先へ先へとページをめくる。その速さが読み進めるうちにどんどん加速して止まらなくなる。次を知りたい、知らなければならない。自分の意志ではない。繋がっていく。なんということだ。 運命が人々の背負った罪をかたときも忘れることのないように威嚇している。 恐怖の連鎖は続いている。 ーーー城の森山の登り口は底知れぬ世界への入り口のような緑の隧道に沿って闇がくだり下りてくる。---(引用) 底なしの森に踏み入れ、永遠に森の中をさまよい続ける彼らたち。彼らに救いは訪れるのか? | ||||
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はでなストーリーはありません。 少なくとも、あるようには見えません。 しかし、読み始めるとずるずるとひきこまれていくのは、ひとえに濃い文章のせいでしょう。 語り口、雰囲気で読ませる連作短編集です。 連作短編を読み進むにつれて、四国にあるという城を囲む町の、なんとも不気味な印象が頭に構築されていきます。 とてもここちよいです。 ただ、ラストの「おわりのはじまり」で、無理に整合性をとろうとした、あるいは、ひねりをいれようとしたのは、ちょっとシラケる感じがしました。 それを割り引いても、幻想小説や怪談の好きな方なら読んで損のない本です。 | ||||
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10話で構成された連作短編集。 1話づつでも十分恐ろしいが読み進めて行くと 各話が微妙にリンクされている事に気付き 浮かび上がる人物相関図と背景に恐ろしさが上書きされる。 舞台となっているのは街の中心にある城山の魔界 この場所で次々と起こる不可思議な事件の数々。 最初から最後まで文中から不穏で陰鬱な空気が溢れ出しゾワゾワしながらページを捲り続けた。 「白い花が散る」で祖母の孫に対する深い愛情を感じ涙するも、一筋縄では行かないラストにゾッとする。 魔界に呼ばれた者達の複雑に絡み合った運命の結末を知った時、恐ろしさは更に増す | ||||
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