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生贄の木



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【この小説が収録されている参考書籍】
生贄の木 (創元推理文庫)

生贄の木の評価: 4.33/5点 レビュー 9件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.33pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

長いだけで物語が発散しており、ミステリとしての体を成していない完全な失敗作

題名の「生贄の木」とは犯人が3人の被害者、一家は富裕層のパーティー・ガール(昏倒→回復)、狂信的聖女(重体→死亡)、小児性愛者(瀕死)を「吊るした木」の事である。当面の可愛いヒロインは小児性愛者に連れ去られていたと思われるココという妖精の様な少女で、ウィリアムズ症候群(特殊な能力と幼児性を併せ持つ)を患っている。自身も里親育ちの男勝りの女性警察官マロリーがココの病状や身元不明といった状況を鑑みながらも、小児性愛者の身元や犯人を追及するという物語。マロリーの知人(恋人?)兼警察のアドバイザーの心理学者チャールズが徹底的にココを保護する立場を取るのに反して、どうしてもココ(証言は当てにならない)から事件を割り出したいという2人の相克もテーマらしい。

しかし、読み始めてガッカリした。長大作なのは一見して分かるが、それだけ内容も濃密と期待していたら空疎なのである。この設定なら、3人の被害者の関係を洗う、過去の類似の事件を調べる、ココの心を和らげ糸口を見つける等の方法が考えられるが、作者は自身の皮肉交じりの文体やレトリックを過剰に披露して、警察内部の事情を説明するだけで一向に話が進まない。その退屈な物語を我慢して読んで行くと、結局、過去の類似事件は"1件"だけで、今回の被害者3人を含む6人の(当時)少年・少女グループが浮上し、小児性愛者の素性、その内の1人が警察によって殺人犯として「生贄」になった事、その内の数人がその内の1人を「木に吊るした」らしい事が"自然と"分かってしまうという安直さ。これではマロリーの造形・推理が全く活きておらず、ミステリとしての体を成していない。加えて、ミス・リードのためか、市警長官代理や弁護士が殺人を隠蔽・実行していたり、グループの中にサイコ・キラーがいたりするので物語が発散している。ラストで明かされる真犯人にも全く意外性がない。そして、これだけの頁数を割きながら、本作の趣旨だった筈のマロリーとココとの心の交流の描き込みが全く不十分で完全な失敗作だと思う。
生贄の木 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:生贄の木 (創元推理文庫)より
4488195180

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