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蹴りたい背中
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蹴りたい背中の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.63pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全175件 101~120 6/9ページ
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これは、うまい。 こんなことを言うと自画自賛してるみたいでイヤラシイけど、これは玄人向けだと思うよ。 ありきたり、とか、退屈、とか言ってる人は、よく理解できていないんじゃないだろうか? まあ好みもあるけどね。 | ||||
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史上最年少で芥川賞を取ったという、話題が先行してしまって、 結構叩かれがちな作品ですが、 私はこの作品の主人公のようなタイプだったので、とても共感出来ました。 ですが、芥川賞=これが日本の文学の代表、としてしまうと、 「そうかな〜?」と思う人も多いと思います。 まあ、芥川賞は新人賞的な位置づけでもありますが、それにしても…という。 村上春樹もなんだかんだ嫌いな人も結構いますが、 彼の方が確かに文学と言うと納得出来る感があります。 もっと地味な位置、 雑誌のダ・ヴィンチ辺りでもそれほど大々的に取り上げられないような程度の存在なら、 それなりのファンが付いて、あまりバッシングや過度の期待を受けずに、 今のように寡作ではなくやっていけたような気がします。 実力が発展途上の内に檜舞台に立たされてしまって、ちょっと可哀想な気も。 著者本人は、期間限定でやっていたツイッターでの人柄の良さ(必ずリプライしてくれました)なども 分かるので好きなんですけどね。 | ||||
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斎藤美奈子さんが解説で、青春(思春期)前期は潔癖で、読者の共感すらも拒絶するほど潔癖なのだ、という言葉がまさにそうで、あまりに純粋でこの世と真剣に対峙するゆえ彼女なりに一生懸命神経を鋭敏にして他者との関係さえも距離感が上手く掴めない、まして異性ともなれば…そんな初々しい美がハツであり、これは綿矢さんが理想化した初な女子高生象なのかなとも感じる。今時の女子高生なら、それは恋愛感情だよ、とさらりと言ってしまうようなにな川への視線(実際そう言う代表がここでは絹代)。思春期特有の自意識の芽生えにより生じる感性を淡々とだが非常に繊細に、描いている。蹴りたい背中とは、自分自身の過敏な自意識の煩悶による居たたまれなさでもあり、異性であるにな川への屈折した感情でもある。恋とか愛とかで簡単に感情をひとくくりにしてしまう今の若者。思春期特有の初で危うい名のつけがたい感性を綿矢は表現したかったのかなと思う。ジェットコースターのような小説を望んでいる人は、期待しないほうが良い。 | ||||
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甘酸っぱい青春時代。夢イッパイキラキラ学生生活。 …という作品ではない、正反対の 青臭さ漂う感じがたまらない作品でした。 なぜ「蹴りたい」「背中」なのか、味わいながら読むのが本当に面白かったです。 自分の本当の気持ちを隠した反抗的な思春期の少女の主人公のストレートな表現は少なく、 主人公の感情は分かりにくいけれど、ストーリーはストレート。 パッとしない一見クラスに1人はいる暗い感じの男の子、にな川くん。 主人公の女の子の彼に対する感情 蔑視、軽侮、興味、好奇心、エロス、挑発、嫉妬、愛情、母性、…そして「蹴りたい背中」。 読む時代で「蹴りたい」「背中」の自分の感じかたが変わっていく作品で、 手元に置いておいて、長く楽しめる作品だと思います。 学生時代ひねくれ少女だった方にお勧めです。 | ||||
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綿矢りささんによる小説。2003年に書かれ2004年には芥川賞を受賞し話題になった。 今更ながら話題作であったことを思い返しながら、当時を思い出しながら読んでみた。 19歳、大学生になったばかりの1984年生まれが書いたのかと驚かされた。 友人が少ない少女の心的描写が細かく的を得たものに思える。 考え方が対照的なにな川(友人が少ない点は同じ)との交流する中で変化する行動。考え方。 本書を読むといわゆる一般的な青春とは異なる。 それがかえってリアリティーを感じさせているのだろうか。 斎藤美奈子さんの解説を読むことで、この小説のポイントが見えてくるように思います。 ただ表面的にすらっと読むだけでは、だから??のように思えてしまうでしょう。 何気ない日本語表現の奥深さを感じ取るべき作品の一つなのかもしれない。 | ||||
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著者の自伝的要素がある作品なのだろうか? クラスメイトのオタク男性に無意識にひかれていく話。 高校生ならではの価値観というか,中学から高校にあがってからの葛藤から,次第に個人と集団について考えて悩む姿も描かれている。 主人公の場合は,望まないで孤独になっている。オタク青年にな川の場合は自分で選ぶことで孤独な立場を貫いている。それに対して,中学からの同級生の従来通りに集団の中で楽しく生きようとする絹代との対比が自分の中では伏線であったように感じた。 | ||||
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一部の高校生にとってこれほどまで心を奪われる小説はない。 そしてこれは文学ではない。複雑に考えず、いま友達がいない、学校が楽しくない、そんな人はぜひ一読を。 可愛い著者のさびしく美しいプレゼント。 平成生まれこそ共感が強い。 | ||||
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芥川賞どうこうは忘れて、ただ一つの作品として読みましたが、なかなか良い作品だと思います。 160ページ程度の短編ですが、どこの学校にもいそうなクラスの余り者のリアルな青春を感じました。 蹴りたい背中。たしかに、自分も読んでいて、「にな川」の背中を蹴りたくなりました。 | ||||
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売れた当時は話題性が先行していてなんかミーハーっぽい小説かなあと思って適当に読んで適当に流してたけど、今 改めてまっさらな気持ちで読んでみたら新鮮な発見がたくさんでびっくり。 そっか、これ青春小説のセオリーをぶっこわした青春小説なんだなー、とか さびしさは鳴る、のか。すごい研ぎ澄まされた聴覚、嗅覚、その他感受性もろもろとそれを言葉にするセンスだなあ、 とか リストカットとか売春じゃなく「蹴る」ことが女の子の鬱屈した感情の暴発を表現してるなんて誰も思いつかねーよ、とか これ恋愛でも友情でもないしなんなん?って感じのあぶなっかしくて変な関係性がキュートだなあ、とか さらっと読めちゃうだけにさらっと読んでエンターテイメント系通俗小説としてポイ!とした読者が多いきがするけど、 いやー、もったいねえ。 ちゃんと読み返した方がいいぞ綿谷りさ。あんなにかわいいのにけっこうえげつなおもろいぞ。 かわいいことで損してる。 斉藤美奈子のナイス解説もついててお得。 | ||||
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心理描写や情景描写がわかりやすく、それでいて浅はかでない。 純文学らしく、平凡な高校生達の日常が描かれているだけであるが、 巧みな表現によってそうとは感じさせない。 忘れてしまっていた何かが心に残る。しばし感傷的な気分に浸れるような読後感。 いかんせん重く、鬱になりがちな純文学において、こういう軽さ・爽やかさも必要であると思う。 | ||||
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私が発売当初この本を購入した時は確か高校生だったと思います。 そして今、久々に引っ張り出して読んだのですが全くと言っていい程内容を覚えていませんでした。 あれ、こんな本だったっけ・・・と。 この本は最初から最後までこれと言った大きな事件は特に起きません。例えるなら一本の緩やかな曲線のよう。読者の感情を大きく揺さぶる様なシーンは無いんです。 ですので退屈に感じた方も少々いらっしゃるようです。 確かに賛否両論あるのは理解出来ますし、私もこの本を片っ端から周りの人間に薦めるかと言えばちょっと違う。 しかし、だからこそ登場人物の心情が細やかに表現されていて、とても丁寧で綺麗な小説だなぁと私には感じました。鬱屈とした、少しひねた性格を持つ女子高生の日常。 毎日の生活での出来事に対して抱く小さな感情。 私は少し吉本ばななさんの小説に近い物を感じました。 日々色々な事を感じて生活する私たちも、それを上手く文章化するのはとても難しい。19歳という若さでこの本を書き上げた作者にはただ感服です。 | ||||
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確かにセンス抜群の青春小説なのだが、自分は前作『インストール』のほうが好きだ。あのへにゃちょこ女子高生の穿った世界の捉え方が面白かったのに、今作は幾分真面目に書かれすぎているように思う。ともあれ、今回も綿矢りさの「なんだかなぁ」といった小生意気な人の捉え方は健在なので、それを楽しんで読みましょう。世のおじさんたちは、そんな彼女に説教したくてしたくて、読みながらウズウズしてしまうでしょうが(その結果がここのレビューです)。 | ||||
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綿矢りさは学校のクラスや会社の人間からすこし孤立した(それを苦悩するほど深刻ではないにせよ)女の子が少しずつ友達や恋人との交流をすすめる、というプロットを一貫して描いている。寡作ではあるが、どの作品にもさりげなくハッとするような洞察が清潔な一文で描かれているので、それを求めて読む。本作ではまだ文学的な比喩が気恥ずかしい部分もあるけど、最近の著作ではもっと自然な気負いのない文章に帰結していて、個人的には好きだ。 特にこの作品では、インターネットや携帯が広まる前夜の微妙な年代の雰囲気がよく描かれている。主人公の長谷川は、思春期にありがちな型に嵌った自己イメージで自分を武装して孤立しているのだが、にな川や絹代とのやりとりのなかで(それを長谷川本人はバカにしているものの)、すこしずつ心を緩ませていく。その微妙な変化は本人には意識されないが、にな川への「蹴りたい背中」という気持ちとして表出する。それが妙に愛おしく、またそれを共感させることができるのは著者の力量の表れだと思う。 同世代の人間としては著者がこういった現実的な空気感をもつ小説を、著者自身の加齢を反映しながら数年ごとに送り出してくれるのがとても嬉しい。昔からの友人の手紙を受け取るように読める。 | ||||
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とにかくタイトルが秀逸だと思いました。 この「背中を蹴る」という行為に、主人公の感情はもとより、この本の要素すべてが集約されていると言ってもいい気がします。 「蹴る」という行為の裏にあるのは、決して「嫉妬」や「怒り」といった単純な感情ではなく、もっと複雑で鬱屈した感情なのではないでしょうか。何て言ったらいいかわかりませんが、あたかも感覚だけは刃物のように研ぎすまされているのに、自分の気持ちや身体を自由にコントロールできずに持てあましているモヤモヤ感というか。 安い青春小説であれば、その捉えきれない若い感情を、「愛」とか「恋」といった通り一遍の言葉で置き換えてしまうのでしょうが、この作品ではそれを、あくまで「蹴る」に代表される身体感覚で表現していて、その描写がとにかくうまいと思いました。 | ||||
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作者との年齢も近く、高校生時代の頃を思い返して見ると、共感出来る光景がありました。 主人公が周りと溶け込めないのは、少し主人公が客観的な目線が養われているからなのかと思います。だから他の生徒とは合わないと。強がり。 彼女の問題はただ孤立ということで、何かもっと精神的に辛い事情があるようには見えない。 が、孤独な辛さはその描写からよく伝わった。 話の内容はもう一人のクラスの余り者のにな川との交流で、自分と近い立場で、だけど、同じとは思いたくない、と思う彼女が面白い。一つ一つの描写も、蹴りたいと思う気持ちも少女らしく、どこか可笑しかった。 | ||||
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なんだか特徴のつかみづらい作品だなと思いました。 文章力が際立って良いわけでもなくストーリーに特別面白味があるわけでもない。 むしろ序盤に出てくる「……っていうスタンス。」という高校生のメールを思い起こさせるような今どき風の文体に賛否両論分かれるなと思いました。 しかし、特徴をつかみづらい原因は、この作品の描写力があまりにも優れているところにあると思うのもまた事実です。 登場人物のささいな仕草や行動を的確な言葉と臨場感あふれる比喩であますところなく描写。 たとえば終盤のライブ会場のくだりなんかは秀逸です。 周りのファンがオリチャンに熱狂を浴びせる空間のなかで、オリチャンとの距離を縮られるはずのライブが逆に彼女との世界の違いをリアルに思い知らされてふさぎ込んでしまうニナ川の描写がありますが、これはニナ川の心情をストレートに解説することなしに、ニナ川の一挙一動と主人公ハツの視線を以て、ニナ川の憂鬱な心境を読み手にわかりやすくかつ感覚的に訴えています。 登場人物を客観的にとらえると同時にその解説をあえて取りのぞいた描写で人間の心情をきめ細かく読み手に伝えるというのは、小説家であれば誰でもできるレベルのものではないくらい技術を要するものだと思います。それもこの作品の場合はかなりわかりやすく伝えています。 その技術力をにおわせる描写がこの作品にはたくさんつまっているので、ここがこの作品のすごいところだと思いました。 ただストーリーの展開に起伏があればもう少し楽しみながら読めたかなと思います。 | ||||
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主人公は高校に入学したばかりの女子生徒のハツ、「仲間グループ」を拒絶して、クラスやクラブでは孤立している。周りの人間がすべて演技しているように見え、それに合わせて自分も演技することに疲れきって、あえて孤立を選んだのだが、それにより自意識はより過敏になる。観察班を自主編成する理科の授業、喋る相手のいない10分間の休憩時間、一人で食べるお昼の弁当、同級生の中学時代の友達とのつきあい、このような場面ごとにきしむ心理が繊細に描かれる。 仲間グループからはみ出したもう一人の男子生徒、ニナ川がいる。彼は或る人気女性モデルに夢中になっていて、モデルの情報を収集することにしか関心のないようなオタクである。主人公がモデルと偶然出会って話したことを彼が知って、二人の奇妙なつきあいが始まる。モデルにしか興味を示さず演技のできないニナ川に、ハツは苛立ちつつも惹かれていく。しかし、それはまだ恋からは遠いできごとのように見える。イメージの世界で生きているニナ川はやがて生身のモデルを間近にすることになる。これが事件になってニナ川の世界は変容し、ふたりの関係もリアルな関係へと発展していく予感をもって物語は終わる。 16歳の少女が独白するというスタイルで、その表現が新鮮で飛躍があって的確、それが何よりこの小説の美質だと思う。 | ||||
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この小説を批判している人は、いい歳こいた大人の方がほとんどだと思います。 それは合わないのは当然ではないでしょうか。 子供が書いた子供向けの小説ですから。 子供の私は素直に共感できましたし、青春のなにげないひとときがよく書かれていると思います。 文章が少しくどいと思いましたが、そこはあまり気にせず読めました。 内容も面白かったです。 オチがないのは、そういうゆるい小説だからです。この物語でラストにドンッと大きなオチがある方がおかしいでしょう。 ある意味青春小説。 | ||||
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なぜかいまのいままで読まずにきてしまって、遅ればせながらやっと読みました。読めば数時間なのに不思議なものです。記憶が定かでないのですが、「インストール」よりも進歩しているというか、たとえば、すこし前にサンダルで駆けてしまって怪我をした足で、「にな川」を「蹴る」主人公の足の痛みにあえて触れないラストなんかに作家としての成長を感じました。ただ逆に、こういうこと書いてたかなと思わず首をひねりたくなるような、作者の「素」の部分を思わせる、地の文の視点をはじめ、やはり世代の違いというのか、読む自分との隔たりを強く意識させられたというのが正直な感想です。 | ||||
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この作品ある程度読んで思った事はテーマがちゃんと決まっていて、しかもそのテーマにあった書き方が出来ていると思いました(その逆の場合も) 主人公はグループからの疎外感を苦痛を覚えながらも決して交わろうともせず、同じように疎外されているにな川に興味を持ち始め……という流れなのですが、にな川は外の事をどうとも思っておらず、その事に主人公は苛立ちと軽蔑を覚えているが、とてもうまく伝わり一人でいるのは嫌という微妙な感情で動いている自分の感情に気づかないようにしている事など。 若い、学校という特別な場所での特別な場所で行っている事も分かり(物語の時間も短いので)、十代の揺れ動く微妙な気持ちを表現しきれているなと思いました。 当然、これは青春小説なのでそんな事を忘れてしまった人達には訳の分からない作品に見えるとおもいますが。 | ||||
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