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東の果て、夜へ
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東の果て、夜への評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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英国推理作家協会賞のゴールドダガーと新人賞をダブル受賞し、日本でも刊行当時「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」といったミステリランキングの上位を席巻した大傑作。最近の海外大作ミステリと違って分量はさほど厚くはないが、描かれるスケールと作品世界の濃密さはトップレベルだと言い切れる。 犯罪組織の構成員の黒人の少年たち4人がアメリカ西海岸から東に向かって約3000キロ、人殺しをするために旅をするというロードノベルだ。少年たち同士は全然仲が良くなく、なんならむしろ険悪で、最初から破綻の雰囲気に満ち満ちた状態で物語はスタートする。ひたすらヒリつく長旅の描写だけでも面白いのだが、その移動の過程に伴って、ロスの殺伐とした環境しか知らなかった主人公の少年イーストの心情が次第に変化していく描写がとても丁寧で実に見事だ。 イーストは組織の命令に忠実であるがゆえに孤独で、他の少年たちと軋轢を抱えることになるが、中でも際立ってぶつかることになるキャラクターが弟のタイである。一行で最年少のタイはずっと携帯ゲームで遊んでばかりという年相応さもあるものの、すでに組織内での立ち位置は「殺し屋」であり、暴力に躊躇いがない。彼とイーストの兄弟同士の対立は本作の読みどころであり、ショッキングな展開は強いインパクトを残す。 ガラの悪すぎる皮肉と興趣に満ちた会話の数々や、黒人少年たちを取り巻く米国における人種差別問題のディテールも、さらりと描かれながらもどれも印象的だ。暗殺指令というこの世の終わりのような状況を経て、孤独で空虚だったイーストが変わっていく物語(とくに後半の第三部でイーストがある場所に流れ着くエピソードは情景・心理描写含め傑出している)は、この作品がただならぬ犯罪文学であることを示している。デニス・ルヘインなどのクライム小説を好む読者にとっては是非お勧めしたい。暗闇の中で少年が最後に選んだ選択が心に沁みるラストまで、一気に読める作品だ。 デビュー作でいきなりこんな名作を打ち立てた著者のビル・ビバリーは残念ながら2023年現在短編を数本を書いたのみで、新たな長篇小説は発表していないようだ。いま新作が最も待たれるミステリ作家である。 | ||||
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旅行中の証人を消す組織の命で、陸路大陸を北東へ横断するチンピラ黒人少年四人。ヤマの区切り以降、突き上げる感傷で泣きそうになる。 | ||||
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主人公は15歳の黒人の少年。LAから一度も出た事のない彼が、組織のボスの指令でウィスコンシンまで弟を含む4人のチームでバンに乗って走り出す。指令は証言者の判事を殺すと言う事。20歳以下の4人の黒人少年達が西から東へ、車の中で眠り、食べ、ガソリンスタンドのトイレで身体を洗う。人目につかぬように、目立たぬように。ロードノベルは好きなジャンルで、よく読みますが、シンプルなストーリーなのに、車の窓から過ぎ去る景色、チームの軋み、不安がこちらにも伝わって、ざわざわします。人の死を重く受け止めている主人公イーストがまさかの殺人指令を受け、アメリカを縦断の旅をしているのだから。生まれながらの血なのか、責任感なのか、親に甘えることも無く、泣きもせず、これまでいきてきたイーストが切ない。ラストまで夢中で読みました。 | ||||
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街、建物、風景、太陽の光、夜の闇、読み進めると移動して行く主人公イーストが見ているものを一緒に見ている気がします。 解説の最後にありますが、この物語の登場人物が次作にも登場するそうです…私的には、タイであって欲しいです。話が展開する度にこの少年はとてもミステリアスで魅力的です。 | ||||
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解説にもあるとおり、ロードムービーのようであり、クライムムービーのようであり、成長ものがたりのようである。章ごとに切り替わるのだが、滑らかなのでさほど気にならず、ずっと読める。流石ゴールドダガー 。洋書っぽいざらついた感じを読み慣れてる人なら面白いのでオススメ。 | ||||
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発売直後、本屋でタイトルに曳かれて手に取り、面白そうだという直感を。 40年以上の読書生活で、あまり直感が外れたことがないものの、 ここのところの本の買い方の定番で、「amazonレビュー見てからにしよ」と、一旦保留。 発売当初のレビューは、低評価のものが多く、「うーん、面白そう、という感が外れたか・・・。」。 しかし、その後も、ずっと気になる一冊であり本屋で何回も手に取る・・・。 つい最近、思い切って購入して読了。 やはり、直感は正しかった。 クライムノベルのように、ひたすら突っ走る犯罪小説でもなく、 他の方も書かれているように、ロードムービー的要素も強い。 さらには、ノワール小説の雰囲気も。 この3つが組み合わさった小説って、あまり読んだ記憶がない。 スーパーマン的な悪党がいるわけではなく、 犯罪が成功したり、大失敗したりっていう、映画的な派手さはゼロ。 アメリカの、ごく普通(?)のワル少年達の、抜け出せない世界が感じられて、 この作家の次作が楽しみだと感じました。 ネットのレビューって、読者がそれまでどんな小説をどれくらい読んできたか、 どういう展開、結末を期待しているか、好みが影響されるんだな、と 改めて実感し、自分の直感を信じていこうと思った次第です。 | ||||
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とにかく巧いの一言に尽きる。 ひとつひとつの言葉が慎重に選ばれている。 職人技を思わせる情景描写、比喩の上手さにため息。 アップから引いたり、引きから寄ったり、全てが画像で届く。 物語もいい。ややスイートよりのビターか。 今後もたくさん書いて楽しませてほしい。 | ||||
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麻薬販売所(もちろん違法)で見張り役のイーストは、仲間4人(イーストの異父兄弟のタイ)と共に判事を殺害する旅に出る。車での長距離移動であり、道中は4人の間で様々な事件が起きる。無事に予定していた殺人は完遂するが、物語の真相はそこではなかった。 本書の最後の方でその真相が明らかになったとき、単純に読者が驚くだけではなく、これまでのイーストの行動がフラッシュバックし、そんな物語だったのかと、二度驚くことになる。物語の構成が良いのだろう、とても楽しめた。 | ||||
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ミステリー、クライムノベル共に普段読まないジャンルながら、読み始めるとすぐに引き込まれる内容・展開で、ラストまで一気に読めました。 少年の成長物語、米国の経済社会不安、不良文化と暴力、ドラッグなどをテーマにし、全編に緩急をつけながら進んでいくストーリーは、圧倒されっばなし。 映像化しても、映えそうなストーリー。 また、翻訳が素晴らしくすらっと読めるところが素敵です。 海外作品は翻訳になると日本語の微妙な言い回しが気になったりするものもありますが、 本作は黒人少年達の会話部分も違和感がなく、 テンポ良く読み進められます。 | ||||
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ハードなクライムノヴェルを思わせるスタート。 途中から友情物語ではないスタンドバイミー。 そしてラストは再生の物語に。 文体も、ところどころにエルロイを彷彿とさせる短いセンテンスが入って心地いい。 | ||||
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ハードボイルトとはいえ、渋いおじ様が主人公ではなく、ハイティーンの少年、それも黒人男子が主人公という異色作。 ロスの犯罪エリアで生きる少年たちに下された指令は、組織の審理に不利な判定を下すであろう判事の殺害。少年4人は車に乗り、はるか東の果てへ向かう…。 少年4人のロードムービータッチの小説(ロードノベル)でありながらも、常にメンバーの不協和音が奏でられ、暴力と10代の無軌道な行動がせめぎあい、徐々に悪夢を帯びていくクライムノベルでもある やがて、単純なストーリーの様であったクライムノベルが、実は少年の自立と再出発の物語と変わる。 どこまでも孤独ながらそれを当然のこととして受け入れ、淡々と生きる主人公の姿が切ないと同時に力強い | ||||
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ほぼ全編時系列に展開される。組織のボスから殺人の命令を受け主に十代半ばのグループが旅立っていくクライムノベル。 若さゆえの未熟さ、青臭さ、虚勢、不器用さ。脆く危うげな一触即発の軋轢に満ちた仲間たち。大きな不安。 全てが恵まれた条件でない環境で、まだ見ぬ初めての外界に旅立ち社会に揉まれていく。 新しい経験の数々。社会の洗礼、未熟さ故の風当たり、理不尽、それらを決して悲観的に絶望せず等身大で受け止める主人公イースト。 無常で過酷な旅(人生)の中から、人の出会いと別れ、残るもの、失うものを、主人公の成長と共に描いている。 犯罪という目的以外を除いたシチュエーションは、誰にでも起こり得る大人になるための通過点。 まさに、誰もが経験しうる(経験してきた)肉体と魂の彷徨ともいえるのではないだろうか。 それ故に、読者は主人公イーストに感情移入し、その愚直なまでに命令にひたむきな主人公の先の見えない行く末を見守りたくもなるのだと思う。 ある者は現在進行形の自分、ある者は過去の自分と照らし合わせて。 壮大なアメリカ東西2000マイルにも及ぶ自然や人々の暮らしを交え繰り出される若者たちのドラマ。 ビル・ビバリーのデビュー作にして傑作。 | ||||
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裏切り者を殺しに行くために少年たちが東へ旅立つ。第一部の立ち上がりの時点では割とよくある犯罪小説といった趣だが、ロードノベル風の第二部では主人公のイーストがことごとく状況に翻弄され、続く第三部ではそれまでとはガラッと異なる展開になる。こうした部ごとに大きく変わる印象によって、イーストに対する印象が変わっていく。最初は組織にひたすら忠実で冷徹なところもあるように思えたが、ページを追うごとに彼の心情や迷いがよく分かる仕掛けになっているのだ。そうした変化を踏まえた上で読むラストの1行は非常に切なく、感動的。構成が見事だ。 話自体とは関係ないところで残念だった点をいえば、本の巻頭にアメリカの地図をつけてくれたらもっと物語に入り込めた。 ドン・ウィンズロウなどが好きな方には是非おすすめしたい傑作。 | ||||
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