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盤上の向日葵
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盤上の向日葵の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全188件 161~180 9/10ページ
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| 女性作家とは思えないハードボイルドな筆の運び、「孤狼の血」。 「ウツボカズラの甘い息」では甘いワナに誘われ深く入り込んでいく姿を描写。 「慈雨」は元刑事の背負う悔恨の情を。 そして、本書は最近話題の将棋をテーマにしたサスペンス。 名駒をめぐり、地道に各地に足を運び、コツコツと事件のパズルを解いていく刑事。 幼少の頃から、ものがたりの経緯を辿っていく累積効率曲線。 その曲線は追い打ちをかけるがごとく苦悶の唸り声が聞こえてくる。 その接点が着地点となっていくタッチ。 駒はひとつひとつ熟慮され意味を持って進んでいく。 盤上に向け自らが指した駒はもう取り返すことはできない。 ゴッホの描いたひまわりが太陽のごとく力強く荒々しくも、寂しげな表情をみせている。 そこには確かに”盤上の向日葵”が見えてくる。 | ||||
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| 平成六年、山形県天童市。注目の若手棋士同士による対局の会場に二人の刑事がやってくる。 理由は約四か月前、埼玉県の山中で身元不明の白骨死体が発見された。一緒に埋められていたのは名匠作の伝説の将棋駒。 かつて棋士を目指していた佐野巡査は、県警捜査一課のベテラン刑事、石破と組んで駒の持ち主をつきとめるべく、地べたを這うような捜査を進める。 同時に進行する昭和四十六年から始まる一人の少年、桂介の物語。 幼いうちに母を亡くし、父親からは虐待を受けて育ち、彼を気にかけていた元教師がその人並みならぬ将棋の才能に気づき、東京へ出てプロを目指すよう助言するが父親の支配から逃れられず――。 以上、そんな作品です。 まずは作家さんが前々から素晴らしい力量と感じており、今作品も文章力や構成力が素晴らしく、中盤まではぐいぐい引き付けられて魅了されました。 ただ、将棋の文章のみの戦いや、いくら名匠作の駒でも木材の将棋の駒に400万円や、賭け将棋の醍醐味等は理解出来ず、 それでも僕は中学まで将棋を楽しみ、戦法や防御の囲いも何となく覚えていたのでまだ楽しめましたが、 将棋を全く知らない読者は尚更付いていけないような気がします。 また、ラストは予想を裏切る更にレベルの高い悲劇でしたが、悲劇の根本も特殊過ぎて『可哀相』とは思っても共感は出来ませんでした。 救いのない悲劇作品の場合、今まで読んだ作品だと、そこに様々なテーマが込められていると感じるのですが、今作品は作者が何を伝えたくて救いのない悲劇を書いたのか分かりませんし、 前述のように将棋ワールドが特殊なので一般的に通じるとは言い難いように感じました。 (同じような将棋ワールドの悲劇作品だと、将棋の戦いを分かりやすく変換した貴志さんの『ダークゾーン』の方が素晴らしいです) せっかく作者の力量は素晴らしいのに、舞台やテーマが勿体無いなとも思います。 とは言え、もし作者が将棋好きであれば自分の好きな事を舞台に作品として昇華するのは良いと思いますし、そういう理由の作品なら及第点だとは思います。 ですが、一般的に素晴らしいとアピール力を備えた本屋大賞2018ノミネート作品に相応しいとは思えませんでした。 | ||||
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| 埼玉県の山中で身元不明の白骨死体が発見される。一緒に埋められていたのは初代菊水月作の名駒。かつて棋士を目指していた若手刑事・佐野は、ベテラン刑事・石破と組んで駒の持ち主をつきとめるべく、捜査を進める。 同時に進むのはある少年・桂介の物語。 読み進める内に、離れていた2つの物語が段々近づいてくる緊張感とワクワク感がたまらなく、グイグイと引き込まれる。また、丁寧な描写で描かれる勝負の対局の場面は迫力満点で、手に汗を握る。実に重厚なミステリー。 将棋はルールを知っている程度だが、十分に楽しく読めた。 | ||||
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| 昨今の将棋ブームで、ゆづきゆうこという著者は、わたしの不勉強で知らなかった。通勤電車の中で読んでいた。 読み終わって、著者には悪いが松本清張の「砂の器」にストーリーが似ていると思わずにはいられなかった。 犯人の生い立ち場面や将棋の場面はそれなりに面白いが、登場人物に全く魅力がなく、捜査する中年刑事と真剣将棋の 棋士は、同一キャラクターであるし、元奨励会の棋士だった刑事も、結局はそれだけの意味でしかない。あとは犯人の悲惨な 少年時代と賭け将棋の棋士の話がほとんどだ。救われる場面は、犯人の将棋の師匠とのふれあいだけ。底が浅いし、ミステリー としての展開も、「砂の器」にそっくりである。作者は、推理小説をかなり読んだということだが、抜け落ちもかなりあるのではないか。 | ||||
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| 柚月裕子氏の作品はほぼ全部読んでいるが、久々に読み応えを感じた。 将棋には詳しくないし、ストーリーも奇抜ではないものの、何故かしら心に響いた。 この作家の守備範囲の広さにも改めて関心する作品だった。 | ||||
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| いい話だ。この作家の話にはいつも情(なさけ)がある。しかも情が深い。上条と東明この二人の関係。将棋を通してお互い情を深めていく。その真剣さに引き込まれる。その過程で読む側も同化していく。殺人か?(誰を誰が) 読後の結果は読者個人の判断にゆだねられる。冒頭から二人の刑事の捜査で始まる。書評で「砂の器」というのを目にしたが、「砂の器」と重ね合わせて読むと違いも判り面白い。将棋の対戦を万人に文章で表現するのってかなり難しいと思うがすごい努力。年の初めに人間味あふれる話に出会えて満足の一冊でした。ゴッホ好きです。 | ||||
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| なんかもう、読みながら終盤は血液が身体中音を立てて巡る感じでした。一気読み必至です。 | ||||
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| 「孤狼の血」を読んで女性らしからぬ筆致に舌を巻きました。しかも将棋はわからねども「聖の青春」「3月のライオン」愛読者とくれば、読まずにはいられまい!と早速購入。 が・・・血のせいで向日葵に惹かれるものの、狂気と感じられる部分は東明の将棋を見ているもしくは指している時くらいで、それは将棋指しの性としては当たり前のような気が。 出自と向日葵と将棋の必然性にいまいち納得がいかず。佐野の存在も消化不良。奨励会を退会した苦い過去が必要だったのか疑問。 文章力のある作家だけに、残念。なぜ、これが賞候補なのかな、もっといい作品書ける作家だと思うけど。 | ||||
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| 展開は面白く、『砂の器』を思い起こさせる人物背景に引っ張られ、最後まで一気に読めた。 けれど、それも含めてどこか既視感のあるのも否めない。 棋譜の読み方などがわかれば、更なる楽しみ方ができたのかも知れない。 ラストの終わり方ももう一工夫欲しかった。 佐野の扱いは、もっとどうにでもできた気はする。 | ||||
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| 白骨死体の遺留品として見つかった初代菊水月作の名駒を頼りに捜査を進める刑事と、一人の少年、桂介の少年時代から大人になるまでの物語が並行して描かれてた。 563ページの長編だが、おもしろくて一気に読んだ。 初代菊水月作の名駒から関係者を洗い出していく警察の捜査も緻密で読み応えがあったのだが、それ以上に桂介の生い立ちや虐待、将棋を教えてくれて食事の世話までしてくれた唐沢夫妻との出会い、真剣士の東明との出会いなど、将棋との関わり方など、桂介の生き様に引き込まれた。 また、将棋の対局についても、東明と元治との真剣勝負や、壬生と上条との竜昇戦の大一番など、緊張感が凄まじくて手に汗握る展開が伝わってきた。 将棋を知らない人にもお勧めの一冊だった。 | ||||
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| 5時間かかりました。セリフだけ読む癖なので言葉尻でキャラクターが区別されてるのが読みやすかった。羽生、小出、などモデルもいいし、アキバの受け師、月下の棋士、聖の青春など色んなものが混じった上になんでも鑑定団も入った小説だが柚月ワールドを作ってます。サイコパス、虐待など時事問題も取り入れゴルゴ13も入って欲張り過ぎ? | ||||
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| 埼玉県の山中で白骨化した刺殺死体が発見された。高価な将棋の駒を胸に抱きーー。シチュエーションからして面白い。ワクワクしながら読める。ただし、読み進むに連れ将棋の狂気が顕現する。最後の方ではもう犯人が誰なのか関係なくなってくる。それ以上に、文字通り命を削りながら将棋を指す上条桂介や東明重慶らの生きざまに心を打たれる。勝負の世界の非情が狂気を生む一方で、そんな世界に憧れる自分がいたりして、非日常の世界に引きずり込まれる。自分が安全な場所にいるからこその狂気疑似体験、アトラクションとしての狂気を感じているだけなのかもしれない。一気に読ませるストーリーテリングは見事。これだけ怖い将棋の世界を見ながら、将棋を指したくなった。 | ||||
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| 過日の読書会で著者の「慈雨」を会読し、大いに堪能したところへ、本書が発刊された。一作家一作品をモットーにしているので、 主宰者の私が一冊購入して6人の会員に回し読みをしているところです。本の内容は漏らさないように、とんでもないどんでん返しが 先にわかったら、面白くないからと厳重注意しています。私は碁も将棋もやらないので、折角の息詰まるはずの対局場面がわからず 残念だったけど、それでも十分楽しめる佳作です。謎めく将棋の駒の出所を遡る捜査の苦労や、ふたりの刑事の呼吸が圧倒的な迫力でよく 描かれていて、親子、兄弟の仲もこうありたいものだと思いました。平成版「砂の器」以上の出来栄えでおすすめの一冊です。 | ||||
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| 埼玉県警捜一の石破警部補と大宮北署の佐野巡査は死体遺棄事件の捜査で山形県天童市に降り立った。将棋の駒で有名なこの街で棋界の最高峰といわれる竜昇戦が行われていた。若き昇竜王の壬生に元企業経営者の異色の棋士上条圭介が挑んでいた。しかし、石破は対局のモニターの上条をみながら、「人ひとり殺してもなんでもねぇって面ァしてやがる」、と囁く。 序章に繋がっていくことになる地道な捜査と石破という刑事のキャラが読みどころの警察小説の面白さと、天才棋士上条圭介の生い立ちの人間ドラマとが融合した物語です。遺体と共に最高級品の駒が発見されるという謎の設定も見事だし、それと関係するだろう昭和の香りが漂う真剣師もこの小説の核心に共感を持たせる存在として緻密に描かれています。エンターテインメントの醍醐味溢れる小説です。 | ||||
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| ミステリーとしては、正直先が読めるところが否めないのですが、小説としては面白く読めました。他のレビューにもあるように、人物達のキャラがたっているところが魅力だと思います。 中盤まで大変面白かったのですが、上条の視点から語られる部分に入ると、希死感についての唐突感が強く、その後、これが氏素性から来るものであるということになってきて、結構な陳腐さを感じました。昔の横溝正史などに氏素性からくる狂気というものはよくあったと思うのですが、あれは独特の世界観と融合していたから、そういうものだと思って説得されて読めたように思います。こちらは、もっと普通に、20年ほど前の日本が舞台のリアル感を大事にした小説だと思って読んでいたので、途中から、急に『金と銀』(漫画)と横溝正史の混ざったような世界になってきたため違和感が。 最終シーンも読者には容易に予測できるものなので、おそらく筆者もそこに予想外のものを用意しようとはしていなかったのかもしれませんが、やっぱりな残念感はありました。さらに、終着駅(東京)ホームに到着しようとする新幹線のスピードを思い出してしまい困惑。ラストシーンが成り立ちません。 そんなこんなで評価に迷う作品です。もっと雰囲気に流されて読めればいいのかもしれませんが、自分には無理かも。 文章は上手いと思いました。ページ数が多い作品ですが、苦にならずに読めると思います。 | ||||
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| 妥当な結末・・・といったところだろうか? 構成が上手いですね。独立したものが並行して、そして交互に進んでいくのは読みやすいですね。 将棋界の表裏の歴史も入っていて、ちゃんと味わって読むことができました。 クライマックス、ラストは少し物足りなくも感じましたが・・・有り!ということで。 | ||||
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| この人、ウマいなぁ。 過去と現代がリンクしながら物語が進むけれど、全然読みにくくない。 物語の展開もスピーディーでかつ中だるみもないから、読書が進む進む。 人物も十分に描かれており、全ての小説が水準以上と思っている彼女の作品の中でも、トップレベルの出来。 買って損はない。 | ||||
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| 310頁「あと8手で詰む」は相手の手番は変だし、 312頁の「7七角と銀をとって」は角成としないと(藤井聡太のように銀なら成らずも多いけど)いけませんが、 将棋界について本当によく調べての執筆は立派で、また芸域を広げたように思いました。 真剣師の東明重慶は、団鬼六も書いていた小池重明がモデルかと思いますが、 「めでたいことがたくさん重なる人生を送るよう」(460頁)と名前の由来を作ったのにも感心しました。 やや「二年で(10人で)年商30億を達成」とかのご都合主義も感じましたが、ほかの方々が書いているとおり、 560頁を一気読みさせる筆力はさすがです。 うつぼかずら以外はすべて読みましたが、久々に佐方検事が読みたくなったのは私だけでしょうか? | ||||
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| 名作だと思います。ただ、不満の残る点もあります。 まず、優れた点。多くのレビュアーが書いておられるとおり、登場人物のキャラが立っています。 特に石破警部補が良いですね。「孤狼の血」でもそうでしたが、この作者が描く粗野で我が道をゆくタイプの刑事は実に魅力的です。 次に、主人公上条桂介6段の生い立ちの描き方が凄い。フィクションと分かっていながら、気の毒すぎて心が痛くなるほどです。 そして、後半に登場する賭将棋の鬼、真剣師東明重慶が異彩を放っています。そのほかの登場人物も、現実感に溢れています。 不満の残る点。将棋のシーンが何度も出てきます。指し手が具体的に示され、その意味が説明されるのですが、盤面が掲載されていないため、今ひとつぴんときません。当レビュー子は、新聞の将棋欄を読んだり、NHKの将棋番組を観たりして理解できる程度の棋力で、本書の記述の意味(その局面における意義)は何とか理解できますが、やはり真の理解のためには、その一手が指された状況を盤面で見たいと思います。本書が将来文庫になるときにでも、本書を監修された飯島栄治七段に、付録として盤面を示して解説を書いていただきたいものです。 そして、本書の構成にもやや不満があります。現代における警察の捜査と、上条桂介の半生を交互に記述するやり方で進みますが、その結果、読者の方が警察よりも事件の背景・経緯に関する情報を豊富に持っているということになります。その上で警察の捜査を追っていくので、一種もどかしいような感覚になることがあります。このスタイルのミステリは珍しくないので、この作品に限ったことではないのですが、どうも気になります。これは好き嫌いの問題かもしれません。読みようによっては、それが逆に味わいを深めることになるという見方もあるでしょう。 最後に、ラストはあっけない感じがします。こうなるのではないか、という読み手の予測どおりの終わり方です。もう少し余韻の残る終わり方がなかっただろうか…という感想を抱きます。 以上、若干辛口になりましたが、多くのレビュアーと同様、当レビュー子も細かい字で563ページある本書を、ほぼ一気に読み終えました。それだけの力のある重量級の名作であることは間違いありません。 蛇足ですが、今話題の藤井聡太四段に読んでもらい、感想を聞いてみたいものです。 | ||||
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| 将棋の世界を舞台にしたミステリーですが、一気読みでした。 タイトルの盤上はわかるが向日葵は何を意味するのか、作品の中でどうかかわってくるのか、興味をもって読み進めていきましたが、なるほどそうつながってくるのかと。 本の帯にもありますが、殺人犯は一体誰なのか、殺人に至った経緯を解きほぐしていく過程がとても面白かったです。 | ||||
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