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わざと忌み家を建てて棲む
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わざと忌み家を建てて棲むの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.08pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全25件 1~20 1/2ページ
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好きな作家さんです。私には丁度いい怖さで、ワクワクしながら読み進める事ができます。 この作品も確かに面白いのですが、前作のように驚きの謎解きを期待していたので、そこは肩透かしを食らった気分でした。 また他の方も指摘していますが、文章だけでは間取りが分かりづらいです。図面があってもよかったのでは、と思います。しかし、新たな驚きを期待して他の作品もまた読んでみるつもりです。 | ||||
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普通、こういう物語の中で物語を話す入れ子構造のストーリーは現状部分にとうとう怪異が忍び寄ってきたという恐怖が醍醐味のはずが、あまりに都合が良すぎる情報提供者、長くつまらないうんちく、どうでもいい身内話、ぱっとせず語り手だけが意味不明にビビり散らす異変、こじつけでしかない推測、それなのに何か終わるカタルシスのない展開で白けてしまう。 | ||||
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惨劇のあったと思しき家を、いくつもつなぎ合わせて一つの建物とした『烏合邸』。 ここに住んだ人の手記2つ、入り込んだ人の残した音声テープ1本、調査した人のレポート一つ。 主にこの四つの資料を読み解く、主人公とその相棒的立場の三間坂。 それぞれの資料にあたるたびに、主人公と三間坂の周囲にも怪異がおよぶ…… というような、実話仕立てのお話です。 『全体的に中途半端で、今一つまとまりきっていない』というのが、最初の感想でした。 一番気になったのは、ほかの方もレビューなさっている通り、 怪異資料の合間に挟まれる主人公と美作のやり取り。 仮説がほとんど根拠のない憶測に過ぎず、なんだか大げさで、飽き足らない気持ちにさせられます。 また、著者の他作品の紹介も頻繁に見られ、『実話っぽさ』も確かに高まるものの、同時にこの作品が商業作品だということを思い出させられ、現実に戻される作用の方が多く働いている気がします。 中途半端なのです。 実話系怪談であれば、たとえば『耳袋』あたりが人気の火付け役だったと思います。 「どこかの誰かが、作者に語った日本のどこかの怪談」は、今も沢山の作家によって脈々と受け継がれています。 また、2ちゃんのオカルト板の果たした功績も大きかったでしょう。「だれが何のために書いているかわからない」有象無象の、玉石混合の怪談の群れは、ホラー好きには中々ワクワクさせられるものでした。これはTwitter(いまはXですね)に場所を移して、続いているように思います。 実話系怪談の一番のキモは、「どこの誰かよくわからない語り手が、何の目的もなく(少なくとも金銭を目的とせず)語っている」「実話系とはいえ、本当か嘘かわからない」という、得体の知れなさではないでしょうか。 そういう意味で『わざと忌み家を建てて棲む』は、目的が『本を売ること=金銭を得ること』と明らかになってしまっている段階で、一歩遅れを取ってしまうわけです。 ですからここで、この作品のオリジナリティーが発揮されなければなりません。 実話怪談という体で、一つ一つの資料を、主人公と三間坂がまとめ、最終的に一つの大きな流れに収斂させる。その必要があったはずです。 ですが、先に書きました通り、資料と資料をつなぎ合わせまとめていく役割であるはずの、主人公と三間坂のやり取りは、それには役不足すぎるのです。あまりにも。 そこに何か意味があるのではないか? と思ってしまいました。 すると思い当たるのは、幾度も出てきた『猟奇者』という言葉です。 古い言葉ですよね。今どき中々使わない言葉かと思います。ホラーが好きな人を指して『ホラー好き』『怪談好き』というのはわかりますが、『猟奇者』とはそうそう言わないのではないでしょうか。 『猟奇殺人』なんていえば、昭和中期以前には新聞にも使われていたと思いますが、現代ではトンと見ない言葉です。 考えてみれば、主人公が繰り返し話題に出していた作品群も、ずいぶん古いものばかりです。ネット以前に流行した『怪奇小説』、あるいはすこし内容がずれますが、『猟奇小説』のような。 主人公による、情報源をネットにのみ依存することへの警句のセリフ、その後の三間坂のセリフ、”そのネットが今回の件では、さっぱり役に立たないわけですからね。まったく何の関係もないとはいえ、今のお話は妙に暗示的かもしれません”。このセリフも、それ自体が暗示的に見えてきます。 今どき、怪談の語りは紙媒体からネットに移ってきているわけです。 そこで怪談の語り手がネットを見ないなんて、そんなことは不自然ではありませんか? いっそのこと、怠惰では? 本当にホラーが好きなのか? というレベルです。 話を戻します。 そう考えてみると、主人公と三間坂のやり取り、描写が、なんだか外連味たっぷりの、昭和の『怪奇小説』チックに見えてくるではありませんか。 大仰な言葉で恐怖をあおり、けれど内容はそれほどない、こじつけとも思われる推察に満ちた、育ち切っていない文学。 あるいはかつて量産されたオカルト系雑誌の、今一つまとまりきらなかった記事の最後に載っている、『これについての情報をお持ちの方は、ぜひ編集部に連絡してほしい』(!)というような、あのノリ。 まさにこの小説の序文です。 著者が目指したのは、そのあたりの雰囲気だったのでは? という、一つの結論に達しました。 そう考えてみると、このラストは「やりやがったな」という爽快感すら感じます。 ただ、怪談が読みたかったのです。私は。 『わざと忌み家を建てて棲む』なんて最高のタイトルじゃありませんか。 どれだけ怖い思いをさせてもらえるんだろう、と期待して読んだのです。 私の感受性が原因かもしれませんが、そこまで怖くなく、、、 阿澄思惟は三津田氏の別名、なんて噂がありますが、どうなんでしょうね? あちらは完全にネット文化に乗っかった、新しい怪談という風情ですが。 「みさき」は非常によくまとまったホラー小説だと感じました。 | ||||
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面白かったホラー本の作者さんがこの方の作品の影響を受けているということを知って、期待して購入したのですが…正直小説としてのクオリティは低いと感じました。 描写がラノベかと思うほど稚拙で(これってライトノベルなんでしょうか?)、 情景がわかりにくく感情移入もできないし、会話パートも不自然できついです。 最初の日記〜手記の内容は非常に面白く引き込まれたのですが… とにかく作者視点のパートで冷めます。 ・内輪の話や必要ないオカルト語り(かなり冗長) ・過去作への言及(宣伝と思うほど多いです) ・まさかの自己擁護?(一部読者に対する意見) これらが本当に多く正直げんなりしました。 おかげで全然今回の話に入り込めず途中から読むのが苦痛になっていました。 そもそも序章の時点で本題に入るまでの無駄が多く、とにかく内容に気持ちが入りませんでした。 設定や怪異の内容はたしかに面白かったのですが、感情移入できないし全然怖さを感じられませんでした。 申し訳ないですがこの方の作品は二度と読まないと思います。 | ||||
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幽霊屋敷シリーズ第二弾。 第一弾は正直、最後のこじつけのような推理に辟易してしまいましたが、 こちらはそんな印象も抱かず楽しめました。 1話目の不可解な点が、2話目の人間の手記によって解明されるなどの各話の順序もよかった。 今回は怪異にあった人物が残した手記や録音を聞いた 作者自身にも怪異が降りかかることで、幕間も退屈することがなかったです。 ただこの作者の場合、他の多くの作品でも屋内の間取りを言葉を尽くして説明してくれるのですが、 詳しく説明しすぎて目が滑ります。 (物語と関係ない部屋などもキッチリ文字で説明してある) 刀城言耶シリーズ文庫版で採用していた見取り図を 家がメインのこちらのシリーズにこそ採用してほしかった・・・。 | ||||
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読み終わったタイミングで部屋の電気がふわりと消えました。不思議です。 | ||||
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途中までは最高に面白かった。 事故物件をつなぎ合わせた烏合邸と呼ばれる奇妙な館に住む住人達。 それぞれの怪談を繋ぎ合わせる事で、烏合邸の真の姿が見えてくる。 と言う話だったはずが、ぼんやりと曖昧なまま終わる。 本当に烏合邸あったのかすら分かんない。 毎回そうなのだが、結局作者と編集者のやりとりが本筋で行われるので、その合間の推理も何処か他人事なのだ。 勿論他人事ではすまず作者にも怪異が降りかかるのだが、正直ぬるい。 烏合邸の真相を解決するには、最終的に作者自身が烏合邸に住むくらいしないとちゃんとは解決しない。 シャーリー・ジャクソンの「丘の屋敷」を彷彿とさせる面白い設定なのに、投げっぱなしで終わるのは勿体ない! | ||||
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入居者の手記はまあ楽しめたが、作者と編集者のやり取りが如何せんくどい マニアックなホラー談義や作者の愚痴など個人的には無くてもいい(もしくはもっと簡潔でよい)と思われる部分が長々と書かれており飽きてしまった | ||||
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怪談話が読みたくて購入してみました。怪談自体は怖いのですが、途中に挟まれる作者の話で怖さをそがれてしまうというか結局結末もなんだかわからない感じで終わられてしまって残念に思われました。この作者のほかの作品も読んでいたら何か違ったのかな。 | ||||
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ん~本作の中にやたらと作者の別の作品を紹介する文面が目立つ。まるで広告?と思えるような頻度で こういうのはどうかと… | ||||
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私は作者の民俗学的ホラーを愛好しているが、本作はもう一つの柱である作者自身が顔を出す実録系怪談で、テーマは「忌み家」である。主に関係者の手記で構成されている。屋敷を用いた怪談は国内外を問わず定番なので、作者のアイデアが楽しみだった。 舞台となる屋敷は実験のために曰く付きの家々の一部を纏めて建て増しを重ねたその名も<烏合邸>。被験者として住人を募ったとか。第一の手記は息子連れの母の日記である。どうやら(被験者として)日記を書く事を義務付けられていたらしい。<烏合邸>には妙な雰囲気が漂っていて大きな目玉に見えるとか、音や何かの気配がするとか、母子が黒く塗られたとか書いてあるが、怪談としては弱い。ただし、日が進むに連れ、日記が短く意味不明となって行き、「親子三人」とか「私一人」とか書いてあって、母親が狂気に陥ったのか、初めからウソを書いていたのか虚実不明である。第二の手記は作家志望の青年のノートで、上述の母親とほぼ同時期に入居していたらしい。作家志望らしく饒舌で説明臭いが、<烏合邸>を白い屋敷と呼び、上述の母子は火事の焼け残りの部屋に住んでいて、常人とは異なる世界を見ていると書く。青年も一日毎に増えていく藁舟、書いていた半伝記風の原稿が突然空になるという映画「シャイニング」風の恐怖を味わう。 作者と編集者は上述の母親には実際に娘が居たがネグレクトしていたとか、青年は家族全員殺人事件の犯人であって<烏合邸>に逃げ込み、、原稿の代りにノートを書いていたとかの推理をするが、興醒めである上に、何故、母親や青年のその後を調べないのであろう。怪談に論理はいらない(構成力は必要だが)。作者と編集者も怪異体験を味わうがこの説明もない(これは怪談らしいか)。そして、ラストの推理に至っては身も蓋もないものでガッカリした。作品に統一感がなく、読者に恐怖心を抱かせる気のない駄作である | ||||
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最初の二編、黒と白の話の段階では、両者が上手く絡み合い、ミステリ的な見事さと設定のおもしろさもあって、 これは大傑作になるのではないかと感じさせました。 ただ残念ながら、残りの二つの話と、最終的なすべての話と屋敷の目的の統合、謎解きはあまりうまく決まらなかった印象。どうにも曖昧なラストでお茶を濁された感じです。 ホラー短編四本としてみれば悪くないのですが、この作者にはホラーとミステリの融合した瞬間の快感を求めてしまっているもので。 もう一つ、この作者の好きなところは、作中で本人が行う楽しそうなエッセイ風の怪奇ネタ語り。 こちらはいつも通りに満足させてくれました。 文庫化ということで、作中では原題で紹介されている『abattoir』という映画は、現在は『ホーンテッド・サイト』という邦題で見ることができます。 また、ウィンチェスター館に関する話題が出ていますが、別の解釈を増改築の理由に持ち込んだ『ウィンチェスター・ハウス』という映画も後につくられています。 | ||||
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白の部屋で黒の部屋の詳細が次第に明らかになるあたりは面白かったし、記録を読み進めるごとに怪異が読んでる本人に近付いてくるあたりが怖かった。 読み進めていくうちに全容が明らかになるのかと思いきや、後半(赤の部屋と青の部屋)からは怪異の種明かしが段々と少なくなってきて、結局は投げっぱなしのまま終わる。 特に、烏合邸は何なのか結局何も明かさずに終わったのが納得いかない。 途中までかなり怖かったのに、最後まで読み終わった瞬間適当すぎる締め括り方のせいで「はぁーしようもな時間と期待かえして」って感情とともに一気に怖さが消失した | ||||
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題材にもなっている忌み家。 色々といわれのある家を一つに合体させた家を作った人がいる。そこに、金で集めた人達を一軒一軒に住まわすと言うのだから、それを行った人は、題名より狂ってる。 まぁ、読み進めると、家主には行うだけの理由があったと推察されるが、やはり狂ってるよね( ̄▽ ̄;) 他の人も書いていますが、最後の推察は蛇足だったかなぁ。ただ、一つ一つの話は、怖かったです。一番怖かったのは、さいしょの忌み家の話に出て来る母親ですが。 暑い夏の夜に読むには、いいと思います。試しに図書館で借りて読んでみてください。 | ||||
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やっばい怖かった。変なことが我が身に起こりそうで一人で読めなくなった。 | ||||
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話自体はあまり好みではありませんでした。が、読み終えた翌日右目が異様に腫れてうまく開きません。この本のせいでしょうか? | ||||
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この方の作品を卒業しようと決めた一冊です。 いわく付きの家の一部のみを寄せ集めて建てられた集合住宅の、それぞれの部屋の怪異が語られるのですが、これが全く怖くない、面白くもない。「思わせぶり」の一言に尽きます。 この方の作品は相当読んできましたが、読むにつれモヤモヤが溜まっていき、もういいやって感じです。 辛口ですが、読んでいて思ったこと。ネタバレあります。 ・空間の説明が上手くない 全ての作品で思ったことですが、建物などの説明に東西南北を使いすぎ。 「西の方から近づいて」とか「母屋の北東には蔵が」みたいな、構造が思い描けている著者本人にしか想像できないような説明文だらけ。読んでいて非常に疲れます。 北でも南でも何でもいいよ、何が起こったんだよ、という気持ちになってきます。 ・「感覚」の恐怖に頼りすぎ 経験している本人の「ぞっとする」感じや「鳥肌が立つ」感じの描写ばかりで、読んでいるこちらはちっとも怖くない。 しかもそれを延々と描いた挙句、怪異そのものは目にも見えず正体不明、「真っ黒い影」だの「人の形の何か」でしかない。 散々引っ張ってるけど、どうせ遭遇直前で逃げ出すんでしょ?直接的に何もわからないんでしょ?と思うようになってしまった…。そしてその通りになるという。 ・気配だの擬音だの多すぎ この作品は少ないほうだけど、「ずるっ」だの「ざああ」だの、音ばかり繰り返されて体験者が「ぞっとする」だけで、やっぱり何も起こらない。 「実体験」だからあまり嘘っぽいものを出すわけにいかないのでしょうが、要はつまらないんです。読んでるこちらは。 一応、お金出して買ってますから… なんか今回は読者をやんわり批判してましたけど。 ・内輪話がくどい これは最初は物珍しく読みましたし、これが魅力だという向きもあるでしょう。ですが、いい加減しつこいです。 著者が関わった書物や抱えている仕事や、周囲の「優秀な(要はお気に入り)」編集者など、こちらには何の関係もなく、興味もあまりない。 彼らが経験する「恐ろしい出来事」も、お約束通り実体がない。どんなに恐ろしげに描いていても、先がわかっているので怖くないのです。 ・結局「何も」起こらない これまでの作品ではそこまで感じませんでしたが、今回はひどかった。ラストを読んで唖然としました。 よくこれ作品として出版できたなと。まさか拡げた風呂敷を拡げっ放しで丸投げとは…。 実話怪談としてネットに載せればいいようなオチ。わざわざこんな綺麗なハードカバーの書籍にする必要はないのでは。 というわけで、今は新刊の帯の煽り文句を見ても、手が伸びなくなりました。ああまた何も起こってないんだろうなと。 今まで楽しませていただいたし、手元に残すものもありますが、これで卒業しよう!と思えるクオリティの話であったことは間違いないです。 | ||||
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「どこの家にも~」が怖くて面白かったので、続けて続編のこちらを読みました。 前作は、似たような怪異が起こっている怪談話を集めていくと、実は…といったオチが用意されていましたが、 今回はオチがふんわりとしていて、消化不良な点は、他の人がレビューでも挙げている通りかと思います。 それは、著者が実際に体験しているといった体裁で書かれている以上仕方がないことなのですが、煽ればあおるほど、 フィクション系のホラーであればもっと怖いオチ(追いかけてくる何者かに関係者あるいは著者本人が殺害されてしまうなど)が描かれるのだろうなあと残念に思ってしまうという点につきるというか…。 あくまでも実際に体験した話として発表できている「としなければいけない」以上、 まあ(フィクションのオチに比べて)大したことがなかった、ということになってしまうからです(まわりくどい書き方ですみません)。 とはいえ、ネタとしては非常に魅力的。 怪異が起こると言われている幽霊屋敷を集めてきて、なんと一つの家の集合体を作ってしまうという、 まさに狂気の沙汰と言えるような建築物が出来上がります。 そこに、「適性がある」とみなした人を住まわせて、レポートを書かせ、何が起こるか観察する金持ちがいたらしいという、なんとも悪趣味な話な話です。 前作では、集めてきた怪談を読んだだけでは大した怪異に見舞われなかった著者(三津田さん)も、心臓がふるえるような怪異に見舞われます。 読むだけで怪異が「追いかけてくる」のです。 自宅にも、公園にも、そしてなんと三間坂が用意してくれた編集部の会議室にまで現れます。 この、「何か」がどこまでも追いかけてくる描写は非常に怖いのですが、「メリーさん」ではないけれど、やっぱり「いよいよ捕まるところ」までいかないと、 「で、どうなるの?なんだったの?」といった、ホラーとしては中途半端感が否めなくなってしまいます。 ちょっとネタバレになりますが、今回は「いろいろなもの」が追いかけてくる中で、 唯一「しゃべる人間」も追いかけてくるので、ぜひその人とは直接会話して問い詰めてもらいたかったです。 ただ追いかけてくるだけで何もしない怪異は「なんだ、結局ついてくるだけか」と、途端に怖さを感じなくなってしまうからです。 各家に滞在した人の怪異から「最後まで体験してしまった人は死んでしまったのではないか」と予測させることで、 「三津田さんについてきたものも、最終的には三津田さんを殺すのではないか」と想像はさせるのですが、 各家に滞在した人の記録ももちろん「手記」「日記」「録音」といった体裁をとっているため、 本当に死んでいるのか、何が起きたのかは本人が書けない(録音できない)ため、当然記録に残っていません。 すべて想像するしかないのです。 記録できていない以上、各家に滞在した人の話も、尻切れトンボとなってしまってい、 全体的に「すごく怖いことが起こりそうな家だけど、何が起こったのかは結果的にわからない」となり、怖さが半減してしまっています。 ネタが面白いだけに残念なのだが、三津田さんには、ぜひ、同じネタで良いので、オチをつけてフィクションとして仕上げてもらいたいです。 実話系の体裁をとっていたとしても、どうせフィクションなのだからw 唯一オチがついていてすっきりするのは、研究者が幽霊屋敷に潜入する話でしょうか。 長くなりましたが、「実話」という体裁をとってしまうといろいろと制限ができてしまうので、「ブレアウィッチ~」以降「実話系ホラー」もよく作られるようになりはしましたが、 こういう「良いネタ」は、「著者が描く実話系ホラー」といった体裁を取らずに、とにかく怖がらせること(エンターテイメント)に徹して仕上げてもらいたかったと思いました。 | ||||
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大御所三津田信三氏の書き下ろし長編。 ここ最近の2作品「どこの家にも怖いものはいる」「怪談のテープ起こし」は何方も秀作で 本作も期待を込めて発売日当日に買ったのだが、読み終えるのに数ヶ月を要した。 三津田氏といえばホラーとミステリを融合したような作品が味だが 本作では何方の面でも消化不良で終わっている。 ホラー面では漠然とした描写が多く、ミステリとしてはまさかの投げっぱなしと 安定して読める三津田氏の作品とは思えない出来上がりである。 特にミステリ面では推測の推測のような感じで、これでは唯のおっさんのボヤキである。 ならせめて怪談の方に面白いのがあるかと言うと、一本目の親子の日記が凡作で他は並以下というところか。 こんなのだから読み進める気が起きずに、だらだらと積んでしまったのだが 発起してなんとか最後まで読んだはいいが、結局損してしまった気分である。 次作は前2作品のような、ホラーとしてもミステリとしても読み応えのある作品を望む。 | ||||
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何らかの惨事あるいは凶事があった4軒の家を、 移築して1か所に集めるというのは、なんと酔狂な 金持ちの物語だろうと思って読んで行った。 しかし、4軒の家についてそれぞれ1つずつの 記録はあるものの、建てられた場所も時代も判明せず、 各家でどんな惨事や凶事があったのかも推測の域を 出ない。挙句には、「もしかすると烏合邸(4軒の 家を集めて作った邸宅の名称)なんて建物は、この世に 存在していなかったのかもしれないな」という言葉で、 ウヤムヤなまま終わってしまう。 謎解きの小説としては成り立っていないし、怪談話と しても、「なにか怖いものがいるけどその正体は不明」 という中途半端な小説だと思った。 | ||||
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