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スクールボーイ閣下
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【この小説が収録されている参考書籍】
スクールボーイ閣下の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 21~26 2/2ページ
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1977年 CWA ゴールドタガー賞。週間文春1979年 総合9位 ”サーカス”=英国諜報部 ジョージ・スマイリー 三部作の第二作目。 ”もぐら”のために壊滅的なダメージを受けサーカスは、ライバル ソ連諜報部 指揮官 カーラの”金脈”の端緒を見出す。スマイリーは、(イギリス殖民地時の)香港、カンボジア、ベトナム、中国へ舞台をかえて、サーカス起死回生の闘いを遂行していく。 上巻は、なかなか話が展開していかない。途中で、挫折しかけるのだが、ここで、じっくりと読み込んでおけば、下巻の面白さは十分堪能できるはず。タイトルにある”スクール・ボーイ”こと、ジェリー・ウェスタビー臨時工作員が活躍するのは下巻から。ウェスタビーを主として話が展開してからが見所が多い。特に、戦時下のカンボジアでの諜報活動は、緊張感が高く、社会情勢という点でも興味深い。 組織としての権力闘争が背景に、末端のものの悲哀を描いていたりして、ラストは第三作目への余韻を残している。 第一作『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ 』より、暴力描写は多いが、臨場感は、本作品の方が楽しめるし、続きが読みたくなるという点でも、優れている。ただ、第一作を読んでいないと、本作品の冒頭から、隠語がわからなかったりするので、順に読むことをお奨めする。 | ||||
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この種の作品でここまで貪るように読んだのはこれが初めてであるように思う。イギリス統治下の香港というエキゾチックな世界で繰り広げられる複雑な人間ドラマは実に読み応えがある。英国政府部内の情報関係部署の間の会議や、米国の情報機関との会議など、やけに地味かつ実務的な場面が多く、いわゆるスパイ小説とは一線を画している内容になっているのだが、これがこの作品にリアリティと臨場感を与えている。 本作は三部作の第二作である。第一作目(『ティンカー・・・』)は必ず読んでおいた方がいい。読んでおかないと本作のプロットは理解できない。また、本作の訳が優れているというのも目立たないが重要なポイントである。 | ||||
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比較的アクションの要素が他の作品よりも強めの小説ですが、それでも恐ろしく地味です。 ただその地味さ加減が恐ろしいほど計算されているようで、筋立てそのものよりの怖いくらいです。 例えば第1章は、それだけで短編小説としても成立しそうですが、香港の記者クラブの喧騒(物語時点の描写)とサーカスの思い出話として語られる本事件の断片(物語の未来の時点)が、口語に入り混じり、徐々に香港を都落ちしたイギリス情報部の惨めな現在と、そこから如何にスマイリーが反撃を成功させたのかが語られるのだと、語られぬ悲劇を暗示しつつ読者に知らせていきます。 また、第2章は全編の序曲ともいうべきエピソードで、一見、無くても成立する章ですが、このときのウェスタビーのしたこと、出来なかったことが、変奏曲として全編を通して語りなおされています。 精密に構成された本作は、物語自体の魅力もさることながら、小説としての構成や語りの妙を如何にエンターテイメントとして昇華させるかという理想的な姿をわれわれに提示してくれているようです。 | ||||
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スマイリー対ソ連諜報部との戦いを描く三部作の第二弾。前作「ティンカー、テイラー、ソウルジャー」および次回作品の「スマイリーと仲間たち」と3部作を形成するスマイリー対カーラの死闘の一作だ。今度は香港、カンボジアと言ったアジアが舞台であり、またソ連の中国への二重スパイをめぐって、一匹狼的スパイであるジェリーの活躍の場が多い。しかし、やはり、スマイリーを支えるのはコニーやドクといったプロ中のプロ、まさに職人的な人間である。報われない地道な仕事からカーラが中国に送り込んだスパイの形跡をたどっていく。こういった描写はまず他の作者には出来ない。前作でカーラにがたがたにされた英国諜報部を立て直すべくスマイリーはほんのささいな手がかりも逃がさず、中国人実業家を洗い、彼の 弟を見つけ出す。これにジェリーのリーサへの純愛が絡んでくる。ルカレの作品には結構純愛を描くものが多い。スマイリーのアンに対する気持ちや、「ナイトマネジャー」や「ナイロビの蜂」に出てくる主人公も純愛といったテーマで描かれていく。ここまでくれば次回作の「スマイリーと仲間たち」も読んで、カーラへの彼の復讐劇の結末を見ざるを得ないと誰もが思うだろう。 | ||||
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経営していた会社が倒産の危機に瀕したとき、持ち歩いて読み続けたのがこの本だった。 読んでも、ちっとも明るい気持ちにはなれない。何か新しいアイデアが生まれてくるわけでもない。もちろんハッピー・エンドなわけがない。そんなお話のどこに魅かれたのか。 それは「時間と共に何かが内部で熟成することへの信頼」である。主人公のジョージ・スマイリーは、本作では確か60代のはずである。自動車を運転するのでさえ、億劫になる年齢である。彼の行動、彼が底力を振り絞って繰り出す手立てには、通過してきた時間と経験がそのままに反映されている。言葉をかえるならば、衝動ともっとも遠いところで成り立つ人間の行動を、これほどリアルに描いた言語表現は、そうめったにあるものではない。この本を読んでいたとき、評者は人生で一番「キレてはならない」時期にあたっていた。無意識のうちに、「絶対にキレることのない、それでいて血の通った人物像」を、ロール・モデルとして求めていたのだろう。そういうお話を読みたい人々は、そう多くはないけれども、なくなることはないだろう。 | ||||
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おなじみジョージ・スマイリーの宿敵カーラとの対決3部作.その真ん中にあたる巻です.第1部「ティンカー,テイラー,ソルジャー,スパイ」や第3部「スマイリーと仲間たち」よりもボリュームがあり,2分冊の文庫本になっています.私はこの3部作の中では,これが一番好きです.イタリア・トスカーナの村にひっそりと身を潜めるスパイ,ジェラルド・ウェスタビーのもとへロンドンから電報が届く.イギリス情報部からの「お召し」である.こうして小学生(スクールボーイ)というあだ名のスパイが,香港から東南アジアを舞台とした陰謀に挑んでいく...舞台や人物像の書き込み方が尋常ではない凝りようです.渋すぎると思う人もいるかもしれませんが.いかにもイギリス流の正統的なエスピオナー!ジ(スパイ)小説.派手なアクションはないが,おすすめ. | ||||
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