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アヒルと鴨のコインロッカー
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アヒルと鴨のコインロッカーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.85pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全380件 241~260 13/19ページ
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多彩な作風を持つ伊坂氏の事、本作ではどんな趣向を用意しているか期待して読んだが、ミステリを書いていると悟った瞬間、その期待は萎んだ。 大学の新入生の僕に、悪魔のような黒づくめの河崎と名乗る男が、「一緒に本屋を襲わないか」と誘う発端(現在)。物語は、僕を語り手とする現在と、ペットショップの店員琴美を語り手とする二年前とがカットバックで描かれる。折原氏が良く用いる手法である。二年前の登場人物は琴美の他、女好きの"榎木津"のような河崎、琴美の当時の恋人のブータン人ドルジ、ペットショップの店長麗子、そして琴美と河崎は元恋人の関係。現在の登場人物は僕の他、麗子と生き返ったと称する河崎。ペット殺しの犯人を念頭に置いて、簡単な算数をすると作者の意図は自ずと分かってしまう。本線の他にも、強引な挿話が多い。動物園は動物にとってはストレス源で、憩いの場と言うよりは物悲しい場所である。パンダも模様を無視すれば、顔は熊以外の何者でもない。また、ブータンを理想郷のように描いているが、実際は政争の絶えない国なのである。私にとって本作での一番の謎は、麗子の"氷の性格"だったが、この謎は最後まで置き去りである。 「イニシエーション・ラブ」や「葉桜の季節に...」よりはレベルが上だと思うが、上質のミステリとは思えない。作者の得意な「洒脱な人間模様もの」に徹した方が良かったのではないか。 | ||||
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伊坂作品を読んだのは初めてです。ミステリーのランキングなどによく紹介されているので興味はあったのですが、なんとなく手が出ませんでした。映画のDVDもなんとなく手にとってみたのですがこれが非常に面白くて、原作もぜひ読んでみたいと思ったのです。なので本を読む時も映像の人物が自然とイメージされてしまって、先に原作を読んでいたらどうかということがわかりません。けれど、映像と本のコラボの楽しさをこれほど感じた経験はありません。映画も素晴らしく原作も素晴らしかった。「アヒル」と「鴨」の比喩の意味は途中でわかるのですが、私たちはどのようなものに生を受けてこの世に存在するのかということまで考えさせられるような作品でした。私はたまたま日本に生を受けて、日本語を話し、このような容姿で存在しているけれど、もしかしたらすぐに殺されるような動物や虫だったかもしれないし・・・なんて・・・軽いタッチの本であり、映画であるのに不思議です。何度か読み返してみたいと考えています。 | ||||
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「一緒に本屋を襲わないか」の突拍子のない言葉から始まって、次々と発せられる会話に含まれている謎めいた言葉が 読み進めるうちに明らかになっていく時の気持ち良さ。 キザだけどユーモラスがある会話がテンポよく展開されていて面白い。 現在の主人公、椎名が後半あたりで、自分はこの物語の脇役なのかもしれないと認識するところが、また面白い。 二年前の出来事の結末が思いのほかあっさりしてて、少し物足りなさを感じた部分はあったけど、 琴美の二年後の回想なんかは、先にラスト後を示唆させていて独特だなと思う。 読み終えてタイトルの意味を改めて考えると、なるほどなぁと納得させられて、やはり伊坂幸太郎はセンスがあるなと思う。 | ||||
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読後ミステリーだと気付きおどろいた。 そんな気配が全く無かったからだ。 まずタイトル『アヒルと鴨のコインロッカー』… なんだ!???…だ!! そして登場人物。 誠実なブータン人と端麗な容姿をありのままに受け止め振る舞う隣人、正義感が強く好感が持てる女の子と冷静な女性、そして僕。 時間は2年前と現代を交錯しながら 存在すべき人が現れず、現われている人は存在感を出して物語は進んでいく。 青春小説かと見紛うようなポップミステリーは『さすが伊坂!!』といいたい。 普通の男の子の新しい生活に混ざりこんで来る物語はシッポサキマルマリのように高貴で好奇心をたまらなくくすぐる妙作♪ | ||||
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弛緩した文体が三分おきに眠気を誘う。高速道路の直線を一定速度で走行し続けると、睡魔に襲われるのと同じように。 2年の時の往来毎に覚醒するが、同時に、大きな横揺れに三半規管が不調を訴えるごとく、平行線を描く二つの物語の往復に疲労する。 さて、二つの道はやがて緩やかなカーブにさしかかり、同時に急な坂道となっていく。現実と記憶とがドルジという直線上のある一点で交差する。その交差点で、記憶が現実へと昇華し、現実が虚構へと蒸発する。 コインロッカーはその象徴として、適切な場所であるし、埋め込まれるキーワードとして、物語を交差した三人の写真とボブディランの歌は適切なアイテムだ。沢山の人が死ぬ。それぞれの死には意味づけが必要だろう。それが物語だ。だからこの物語の中の死にも意味が語られる。 弛緩した文体は最後まで続く。しかし物語を締めくくる最後の出来事の緊迫を浮き彫りにした。 そこまで作為だとすれば、この小説は実に意地悪である。 | ||||
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昔と今が錯綜している構成が活きてる。 言葉がリンクしてハッとさせられたり ちょっとしたエピソードで人物をより際立たせたり。 この方はキャラ作りが上手いのかな。 濃く思い浮かんで、それだけでも惹き付ける。 それと、気になるのは言葉。 「一緒に本屋を襲わないか」 目的は広辞苑 とか。 「神様を閉じ込めに行かないか」 突拍子も無いけれど ちゃんと収束して意味あるものに形を変える。 その持っていきかたが好み。 | ||||
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2年前の話と現代の話が交互に展開されていく中で、それぞれの登場人物が交わっていく様子が分かりやすく、丁寧に描かれていた。本屋を襲うという突飛な発想もおもしろかったのだが、それ以上に河崎と琴美、ドルジの軽快なやりとりが好きだった。テンポがよいためスラスラ読めるし、ミステリーとしての事件も楽しめた。 | ||||
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飛び切り風変わりで居て、何処か憎めない登場人物たちにより、 交互に展開される、現在と二年前の出来事。 アヒルと鴨の描く線が互いを呼び合い交わる時、明らかにされる謎。 冒頭とラストに出てくるボブ・ディランの2つの唄のチョイスのセンスの良さに詩的な美しさを感じた。 タイトルは言えないが、唄の内容が、この物語の結末に様々な意味を持たせているから。 読了後、まるでアメリカン・ニューシネマを見終わった時の様な、ざらついた青春の質感が残った。 震えた。正直に告白すると、最初の内。 独特の比喩表現や、交わされる会話、感情の描き出し方等々に至るまで、 癖がありまくりなので読み疲れ本を閉じようとした。 が、そうしようとする度に、絶妙なタイミングで動き始める物語を読まされる。 気づくと僕は、一種の中毒性を持つ伊坂さんの文章の虜になってしまって居た。 その辺りは好き嫌いは分かれるかもしれないが、これだけは間違いない、 あなたはきっと読み終えずには居られないはずだ。 | ||||
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「現代」「過去」を 交互に描く手法は、もう今では当たり前。 でも、テンポのよさが、とても良い。 ラストの締めなんて、 特筆もの、でしょう。 | ||||
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2003年に出た単行本の文庫化。 著者をブレイクさせた本。確かに、それだけの価値のある本だろう。物語に仕込まれたトリックが秀逸で感心させられた。このタイプのトリックの、新しいバリエーションになるだろう。 ただ、好きにはなれない話だった。「悪」が強烈すぎて、生理的に耐えられない。読み進めるのが苦痛ですらあった。みんな、どうして平然と読めるのだろう。 著者の一貫したテーマであるらしい「私刑」の話は面白いと思う。 | ||||
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伊坂作品はほとんど読んだけど、俺はこの作品が一番好きだ。テーマは結構暗めだし、残酷な感じもするんだけど、過去と現在をとてもうまく表現しているし、ミステリーと言うだけあって驚きや感動も大きい。物語の始まり方、一緒に本屋を襲わないか?ってのも興味をそそるし、椎名が3人の物語に途中参加していく感じがすごくいい(なんて表現していいかわからないけど、とにかくいい!)始まりも終わりも文句なしだけど、過去と現在での登場人物の変わり様もだんだんなぜギャップがあったかわかるし、そうなった人達がすごく好感がもてる。 一番の魅力は人の心の変化や感情がとてもよく書かれた作品だと思いました。 | ||||
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すごい。その一言に尽きる。 物語は現在の普通の大学生・椎名と、二年前の利発的な女性・琴美の間をカットバック形式で進んでいく。 まったく違うような話でいて、河崎や麗子さんといった人物が共通して現れて、片方では本屋襲撃、また片方ではペット殺しとの遭遇といった事件が展開していく。 理解しきれないまま後半に突入すると、急に現在の椎名が体験する奇妙な事件と、過去の現実味のあるスリリングな事件が結びつき始める。そして、冒頭に張られた伏線や二年前の「思い出」が、一気に収斂して行く。 「アヒルと鴨」とは何のことなのか、書店襲撃の意味とは、、、。 読了後、物語すべてを見つめた「神様」ボブディランの歌声が頭の中で渦巻いて離れない。 | ||||
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女たらしのイケメン、色白無表情の美人、強気な女、ブータンからの留学生とどのキャラクターにも感情移入できず、思った程残酷さもなく、思った程笑いも涙もなく、全体的に中途半端に感じられた作品だった。過去と現在のシンクロストーリーはそれなりの構成だったものの、なにかしら長所の欲しい平均的な作品に感じられた。 | ||||
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素晴らしい作品でした。 【以下、ネタばれ注意】 本屋襲撃の共犯者としてドルジは椎名を 何故選んだのだろうか? それは神の声ボブ・ディランを椎名が口ずさんでいたから、 ということだが、勝手な想像をすると 大学を辞めて家業の靴屋を継ぐようにと母親から 告げられても、あわてることなく 「僕は靴屋が嫌いなわけじゃない。派手な職業でもないし、 利幅の小さそうな商売は、それで生活できるかどうかを 別にすれば、性格に合っているようにも思う。 靴というのは生活に必要な品物だし・・・・・(略)・・ お客さんの足にフィットしたら嬉しいだろうし、 『自分の売った靴を履いて、それで誰かが一日を生きているんだな』 と勝手に想像して幸福感を得ることも、僕にはできる気がする。」 と、地元で大手スーパーの進出に晒され苦戦は強いられるだろうが、 靴屋としての自分を想像し、その生き方の中に幸福を見出す豊かな想像力を持っている 知性ある青年の波長と、ブータンの青年の波長が合致したから とも考えられるのではないでしょうか。 【さらにネタばれ・・名作なので、未読の方は特に注意!】 「二年前」の出来事はは琴美=「私」が語るスタイル。 まさか、その語り手がラストで・・・とは・・・ 琴美が最期に見た光景が「現在」で実現された時には 架空の人物ではありながら、この小説が琴美を弔うための もののようにすら思えてしまいました。 そして、生まれ変わった3人が、一「婦」多夫?生活を営む未来を想像 してしまいました。 | ||||
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冒頭からエイズとペット殺しの印象が強く、特にペット殺しの部分ではとにかく息苦しく感じてしまう。ペットを面白おかしく刻んで殺す3人にいつ「わたし」である琴美が犯されていたぶられながら殺されてしまうんだろうと、物語が進むごとに気になって仕方なくなる。感情移入させられてるが故のことなのでやっぱり作者は上手いんだか、私自身が単純なのか・・・ただあまりにアッサリとした事件の幕切れに、ただ引っ張られただけ、という印象は否めない。 河崎という男の発した最初の一言で普通の感覚ならエイズだと気づくと思うのだが、登場人物と読者である私との感覚の差が出すぎてしまって少々冷めてしまう。ただこの本の中で唯一私自身が魅力的だと感じた人物はこの河崎という男。逆に言うと登場人物の多さの割りに人物描写に魅力が乏しかったのが残念。 物語そのものというよりは、構成オチありきの作品のように感じました。「重力ピエロ」は構成はハッキリと最初から判りきっているのに物語や登場人物そのものに強烈な力がありましたが、本作は全く逆でそのギャップに驚きました。 | ||||
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非常にいい作品であるのは間違いない。 2年前と現在の2つの時間を交互に見せながらものがたりは進んでいく。 段々と展開が読めていく感じがしてやや冗長であるかと思う場面も多かった。 読めなかった点は、実はあいつは・・・・であったこと | ||||
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あえてレビューなど読まず、全く情報を入れずにまっさらな頭で読んでみた。現在と過去が交互に語られる構成は、先が読めず、着地点も予想出来ず…。早読みの方だが、結構時間と労力を要した気がする。だが、真ん中あたりから、ページをめくる手が止まらない!前半部分の先の読めなさがとても重要!読めないからこその「驚き」と「切なさ」が、後半怒涛のように押し寄せる。ただ「驚き」の方には年齢は関係なさそうだが、私が感じた「切なさ」は、比較的若い世代の方が、敏感に感じるのではないだろうか?現在30代半ば。去年読んだのだが、高校時代に読んだらもっと…という感じがする。ちなみに後に映画も見たが、私の中での去年の邦画ナンバー1である。 | ||||
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大学入学のために引っ越してきたばかりの「椎名」、同じアパートの向かいの部屋に住む正体不明の「河崎」。 「河崎」の過去に関係する「琴美」、「ドルジ」、ペットショップを経営する「麗子」...。 不思議な人物のオンパレードです。 現在と2年前の出来事が交互に展開されていきますが、現状との折り合いをつけながら色々な人生を生きている上記登場人物の物語に途中参加した主人公「椎名」が、戸惑いながら着いていきます。 ペット殺し、HIVなど決して軽い内容ではありませんが、物語り全体としては軽妙に仕上げています。 まぁ、特殊なケースだなと思って読んでいたのですが、他人の物語に途中参加するのは我々の人生でも決して珍しいことではなく友人、恋人、夫婦、会社の同僚もお互いに他人の物語に途中参加していることに気が付き愕然としました。 伊坂幸太郎の作品を読んだのは2作目ですが、人生の機微や悲しみを扱いながらも軽妙に仕上げる独特の力量を感じます。 引き続き他の作品も読んでみたいと思います。 | ||||
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この作者の作品は初めて読みましが、正直いって、微妙な感じです。 例えば「何故警察へ行かないのか」「親しくもない隣人の誘いに乗る」や「店長がある人間を殴る」など、 設定がアリエナイと思える箇所が多かったです。 ただ、現実的ではないと感じたものの、文章そのものは読みやすいので、それほど悪い印象はなかったのですが……。 ◇現在◇と◇二年前◇が交互に語られ、◇現在◇の語り手は琴美、◇二年前◇の語り手は椎名です。 それらにどのような繋がりがあるのかはすぐ分かるので、その先の展開が予測しやすく、意外性は感じませんでした。 それから、小説として問題があると感じた箇所もあります。 文庫を読んだのですが、P28で「琴美」とあるのは駄目でしょう。 ◇二年前◇の語り手が琴美だと、最初は分かりませんでした。 それが分かる文章をこの前に入れないと……。 ほかにも気になるところがあり、P81のバスの運転手の行為も、別のやり方をするべきだと思います。 賞賛はできませんね。 また、不快感を覚えるような人間も登場するので、読んでいて楽しいものではありません。 好感を持てる登場人物が皆無なのは、エンタメとして高評価できないですね 椎名は割合と普通の人間ですが、「一緒に本屋を襲わないか」という訳の分かない申し出を何とはなしに受けてしまうのは理解できません。 琴美は、元恋人を嫌っているといいつつも、その男に対しての態度は曖昧です。 このあたりは理解できないこともないのですが、その男に魅力を感じる要素が書かれていないので、どうも感情移入ができません。 せめて、琴美の彼に対する思いをもう少し良いものにしてくれたら、説得力も出たと思います。 真相(といって良いのかは分かりませんが)そのものは、結構好みですね。 しかし、残り80ページであることが語られるのは、「早いな」という印象です。 その後は、じっくり読もうという気には、あまりなれませんでした。 河崎のことに関しては、おかしいだろという気持ちもありますが(彼が最後にとった手段)、 二年前に何があったのか……それについての読ませ方(目新しいものではありませんが)は面白かったので、☆は4つです。 それしても、河崎がもっと魅力的なら……返す返すも、残念ですね。 読後には、あまり残るものがないという印象を受けた作品でした (再読したいと思うほどではないということです)。 | ||||
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賛否が分かれますが、彼と同世代の作家にくらべて、 ちゃんと深い内容になっている作品でした。 キザな文体は好みによるでしょうが、 私はそんなに気にならなかったです。 ただ、この物語の本質が本当に理解できず 「つまらない」と評価された方は、読み方が足りないと思います。 軽い物語でありながら、同じアジア人に対して 何故日本人は、抵抗を感じるのだろう? 事件の前と後で ペットショップの店長の意識の変化に 敏感に感じた方は、多分共感できる話だと思います。 | ||||
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