夜の国のクーパー



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初公開日(参考)2012年05月
分類

長編小説

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夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫)

2022年01月27日 夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫)

僕の小説の中では もっとも本格ミステリー度が 高い自信作です。 今でいう特殊設定ミステリーなのでは? と思ったりもします。――伊坂幸太郎 恐怖と信頼、欺瞞と驚愕、猫と鼠、そして人・・・・・・ 壮大かつ野心的長編ミステリを装いも新たに贈る 目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。胸にはトムと名乗る灰色の猫が座り、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と言うものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きて」猫は摩訶不思議な隣国との戦争と「クーパー」について語り始める――。新たなカバーで贈る、伊坂ミステリの到達点。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.40pt

夜の国のクーパーの総合評価:7.29/10点レビュー 89件。Bランク


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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(6pt)

喋る猫、交渉する鼠、兵士に変身する杉・・・国家と戦争のファンタジー

伊坂幸太郎の10冊目の長編小説。猫が喋り、鼠が交渉する世界で起きた戦争と国家支配と住民の不思議な物語である。
妻に浮気された40歳の公務員が船で釣りに出て遭難し、気が付いたら体を縛り付けられており、しかも胸の上に乗っかった猫が「ちょっと話を聞いてくれ」と語りかけて来た。その話は、猫が住む国で起きた戦争と敗戦と占領と国民の間に伝わる伝説の兵士たちの物語だった。
現実とパラレルに出現する異世界で現実の世界を反映しためるくめくようなファンタジーが展開するという、伊坂幸太郎お得意の世界の話である。そこの部分を楽しめるか否かが、本作への評価の分岐点であり、個人的にはどっぷりと浸り込むことは出来なかった。
ファンタジックな物語で現実世界を照射するという伊坂ワールドが好きな人にはオススメする。

iisan
927253Y1
No.4:
(8pt)

現実と幻想の交錯のようだが

戦争に敗れた国の話を描いた本作は、あらすじからは全くストーリーが想像できず、読み進めていけばあまり伊坂幸太郎の作品とは思えないようなファンタジー感が新鮮だった。猫が主人公で、話し声が人には聞こえないというところは「ガソリン生活」に似通ってはいるか。

後進的なとある国は鉄国からの支配を受けるようになり、その中でさまざまな抵抗を見せながら、過去にあったクーパーと呼ばれる杉の木の怪物の話を混ぜてくる。そしてもう一つの軸が仙台の公務員である男がこの国の近くにさまよってしまい、猫から話を聞く場面だ。この2つがどう混ざり合うのか、いつ猫はこの男と出会ったのか、この辺りが注目してしまうポイントだろう。
正直オチとしてはイマイチでしかなかったが、それでも高評価とするのは斬新な世界観に引き込まれたことが全てだ。非常に面白く読めた。

陰気な私は地球を回さない
L1K3MG03
No.3:
(7pt)

夜の国のクーパーの感想

人間の根底にある醜さと優しさをテーマに、日常と非現実的な世界が錯綜しながら話が進む。
杉が「さなぎ」になって、脱皮して暴れだすなんて、クーパーとは何者なのか?
透明になったクーパーの戦士はどうなるのか?
その中で、妻に浮気されて迷い込んだ男がどんな役割を果たすのか?
突拍子もない設定は作者独特で、でも、その突拍子もない設定の結末が気になってしょうがありません。
最後は爽やかに終わろうとするのも作者らしいのですが、設定がさすがにファンタジー過ぎたかな。

Hidezo
GX0TU62Y
No.2:
(7pt)

猫好きは、ぜひ。

妻に浮気された男が会った1匹の猫。

その猫が語る、クーパーのいる世界は
男のいる世界とは色々違うことがあるようで……。


ミステリーというよりはファンタジー。
でも、伊坂作品ならではの、驚くような結末も待ってます。

猫好きなら、ぜひ。


▼以下、ネタバレ感想

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jack
J1EJ4V2U
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

夜の国のクーパーの感想

いやあ、面白かったよ

なんといってもラストで今までの伏線という伏線が回収されたところはいいですし、途中から読む手が止まりませんでした

友達の伊坂幸太郎好きは伊坂幸太郎にしては…と言っていましたが、僕としてはかなり面白かったかと。

伊坂幸太郎の今までの作品で言うと、最初の方でオーデュボンの祈りに似ているかなぁと思いました。

他に最初似ているなぁと思ったものもあるのですが、ネタバレになりかねないので、ネタバレの方に書いておきます。

▼以下、ネタバレ感想

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アンコウ
BKBVHN0W
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.84:
(4pt)

猫のトムとサレ男公務員「僕」が国を救う!?

伊坂氏の作品をこれまで大分読み進めてきました。初期のものから22作読み進め、これで23作目。

本作は2012年の作品。2000年の「オーデュボンの祈り」はじめ初期の疾走感に満ちた雰囲気から考えると、大分落ち着いた筆致かなと感じました。

とはいえ、洒脱さや奇想天外感は今回も健在で、十分堪能させていただきました。

・・・
本作、いい意味で切れ目がありません。

目次も章立てもなく、途中途中で猫のマークで節のストップがあるだけ。トム君がメインキャストですからね。

・・・
また構成も、三つの場面を行き来します。

一つは猫のトムが語る、彼がいた国が鉄国に占領される状況。一つは猫のトムと、仙台の公務員の「僕」とが会話する場面。そしてもう一つはクーパーの兵士が遠征に行く場面。

状況がかなり異なる上、断片的な情報のみが与えられるため、欠けた部分を埋めるべく初めは読み進めました。そして、その埋まる部分が増えていくにつれ、今度は三つの場面の繋がりが分かってくると、物語の全体像が見えてきて、これまた気持ちよくて止まらなくなる。ミッシング・パーツをもっと埋めたくて、展開を知りたくて、更にページを手繰る手を止められなくなる。

この読ませるテクニックも伊坂マジックと言えましょう。

・・・
もう一つ。

伊坂作品では、何というか、人間の良き部分に信念のある性善説的なキャラづくりが物語を方向づけている部分があると思います。

今回でいうと、猫のトム。

本能から鼠に飛びかかってしまうのですが、おのが国を占領される最中に<中心の鼠>から、今後鼠を狩ることをやめてほしい旨、団交を申し出される。

鼠たちは狩られるリスクを冒して猫のトムに賭けたわけですが、その態度はトムをして
「疑うのをやめて、信じてみるのも一つのやり方だ」(P.300)
と語らしめます。

この信じることの可能性は、パッとしない仙台の公務員「僕」が、浮気した妻を今後信じてゆくかどうかという事で一つの道を示しているように思います。

難しいことではあるのでしょうが、そこを敢えて信じてみるのは、文字通り一つのやり方であり、そういう生き方もあっていいんだと思います。

また猫のトムが、本能から鼠にとびかかりたいのを少しづつ押さえていく様。これもまた理性の可能性を寓意的に示しているようにも思えました。

ああ、うまく表現できないのですが、伊坂氏はこういう「人の力」みたいなのを本当に上手にストーリーに練りこんでくるのですよ。で、私はこういうのが好きなんです。

ちなみにトムは猫ですが、まあ喋って考えることができるという時点で既に人と同等ですよね。

・・・
ということで伊坂作品を堪能しました。

未知なるクーパーと戦う+国中を塀で巡らす、という当初の描写で、すわ進撃の巨人か、と思わせましたが、全きツイストに私の予想は見事外れ、思っても見ない結末となりました。あっぱれな結末。

戦争敗北・政治(王族)腐敗というひんやりした設定は、「魔王」や「モダンタイムス」などにみられるファシズム的ネガティブエッセンスと通底しますが、本作はそうしたひんやり風味を残しつつ、どこか明るいユーモラスさが漂うエンターテイメント小説に仕上がっていると感じました。
夜の国のクーパーAmazon書評・レビュー:夜の国のクーパーより
4488024947
No.83:
(5pt)

途方もないホラ話として、これ、とても面白かった!

巻末に(文庫版付記)として、著者がこんなことを語っています。
《どうせ小説を読むのであれば、聞いたこともないような「とんでもないホラ話」がいい。しかも、現実社会とどこか地続きのものがいい。ずっとそう思ってきたので、この『夜の国のクーパー』が書けたことは本当に達成感があります。》p.447

「とんでもないホラ話」として、話の中にぐいぐい引っぱり込まれていく面白さがありました。読み終えた後味も良かったです。

出てくるキャラクターの中では、猫の〈トム〉君が一等良かったっすね。しゃべる猫なんてのがいたらこうであろうという、実に親しみの持てるキャラでした。

話の終盤、謎がするすると明かされるくだりで二つ、びっくりサプライズがありました。
ひとつは、ある人物の正体について。もうひとつは、ここでは異邦人である人間の〈私〉と、この異世界に関わるあることについて。
詳しくは言えないけど、後者のからくりには全くびっくり。心地よく驚かされましたね。英国の諷刺(ふうし)小説の名作のこと、思い浮かべました。

文庫本巻末の解説、松浦正人さんの「敗戦と占領をめぐる緊迫の物語」も読みごたえあります。でもこれ、《本書を読み終えたかたのみを対象に書いていくことになりますので、どうかご諒承ください。》p.454 とある文章が後半を占めてますし、本作を読み終えたあとにすでて読むのが良いかもです。まっさらな白紙の状態で本作の世界の中に飛び込んだほうが、より楽しめる気がいたします。

私が本書を読んだのは、『ミステリースクール』(講談社)てガイドブックの中、【特殊設定】担当の杉江松恋さんが取り上げていらしたから。その作品紹介の文章を読みまして、「へえっ! 面白そうじゃん」てんで、手にとってみました。
夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫)より
4488464033
No.82:
(5pt)

なんとも愛おしき世界

読み終わった後に、この本をギュッと抱きしめたくなりました
現代社会を生きるために大切なことが、そこかしこに散らばる、ユーモラスで温かく、優しく、切ないお話です
ギスギスしていた心を、静かな風がソッと撫でて行くような、そんな気持ちになりました
Kindleで購入しましたが、書籍として手元に置いておきたくなる作品です
こんな気持ち、久しぶりです
夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫)より
4488464033
No.81:
(4pt)

自分が正しいと信じ、疑うことさえ想像しなかった事象について、疑ってみるべきではないか

いくつかの視点があり、文体自体もどことなく他の伊坂作品と比較して硬い印象(著者が完成までにかなり苦労して作り上げている印象)で進む本書ですが、中盤あたりから本来の伊坂幸太郎らしく、ぐいぐいと面白くなってきます。
 『ガソリン生活』では自家用車の視点による自家用車一人称小説というまさかの構成でしたが、本書では猫の「トム」の語り(章の冒頭に猫の絵)と、妻の不倫から家を飛び出した「私」(章の冒頭に男性の立ち姿の絵)と、クーパーの兵士である「ぼく」(章の冒頭に歩く男性の姿の絵)の3つの視点で構成されています。
 猫のトムはアニメ『トムとジェリー』同様ネズミを追いかけ壁に激突、ぺしゃんこになるといったパロディーもあったりしますが、本書の構成として猫の視点を入れることで、猫だからこそ見ることができる場面の描写が可能となり、だからこそ猫の知る真実が人間には届かない、といったもどかしさを感じさせるなど、小説を面白くする要素となっています。
 この猫のトムは「きっと僕が死ぬことがあっても、それは非常に残念な時ではあるがいつかやってくる場面ではあるだろう、その時にも、鼓動を止め動かなくなった僕の体を、僕の尻尾がそっと撫でてくれるのではないか」と考えたりする、なかなか文学的思考をする憎めない存在です。
 特にネズミたちとのやりとりがとても良いです。
 さて、本書における最大のテーマはレビュータイトルにも書いた「自分が正しいと信じ、疑うことさえ想像しなかった事象について、疑ってみるべきではないか」ということかと思います。
 このテーマは本作に限らず伊坂幸太郎作品の多くの作品でも見られるものですが、本書ではこの言葉が随所に登場します。
 ネットが浸透した現代社会では、間違った情報を信じ込んだがための誤った正義感に基づく個人攻撃などが問題となっています。そういった社会に対する伊坂幸太郎らしい警鐘だと受け止めました。
夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫)より
4488464033
No.80:
(4pt)

面白かったです。

人間以外の語り手の視点を通して人間社会を描くのは、著者がよく使う手法であるが、本作ではその語り手が猫となっている。その語りが時と場所を目まぐるしく変えて展開して読者の混乱を招くが、それが全て後半に続く主人公の物語への伏線となっている。猫の目を通した人間社会の描写は現実社会の問題点を炙り出す様に示唆に富んでおり、この難解な小説で著者が意図する現代社会の課題の指摘には共感を覚えた。
夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫)より
4488464033



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