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ゴールデンスランバー
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ゴールデンスランバーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.82pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全452件 181~200 10/23ページ
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最初はまったりとしていますが、 途中からとまらなくなりました。 | ||||
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私はこの作家の構成力にしびれています。 この作品も、映画のように短いシーンを時間軸を超えて結びつけ、誰も書かなかったような構成法にチャレンジしているところに好感をもちました。大作家になってもチャレンジ精神を失っていません。そういう姿勢は大いに評価したいです。 また、登場人物たちの過去が読み手のノスタルジーをもさそう、表面上のストーリーとは別の「青春」の残像のようなものに、よりひきつけられました。そこにこそこのドラマの本質があるような気がしました。 五つ星にしても全然よい作品ですが、「アヒルと鴨とコインロッカー」の方が自分は好みなので、それと差をつける意味で四つ星とさせていただきました。 | ||||
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ケネディ暗殺事件を下敷きに、ビートルズ「Golden Slumber」のテーマ(バラバラになった旧友達の再結集への願いと挽歌)を、仙台での首相暗殺事件の犯人に仕立て上げられた主人公の逃走劇として描いた作品。従来の作品に比して国家観を扱っている点が特徴で、衆人"監視"社会の恐怖や個人の自由・プライバシー、そしてマスコミ(情報)の信憑性の問題もテーマとしている。本作における日本は、完全二大政党制など、アメリカナイズされた設定となっている。 しかし、同じ仙台での事件を扱った作品でも、例えば「ラッシュライフ」の様な構成手法の巧みさはなく、"工夫を凝らした"という感がしない。逃走劇そのものも、仕立て上げられた状況の中で「こんなに都合良く逃げられるもんじゃないだろう」と思わせる漫画チックな展開(ジャイアンに追いかけられる"のび太"、それを助けるドラエモンの様)で、緊迫感が希薄で、作者の作品としては杜撰な印象を受けた。全体として作者の特長である"切れ味"が欠如している。 この散漫さの要因はテーマの詰め込み過ぎにあると思うが、その中で一番成功しているのはやはり......「Golden Slumber」なのだろうなぁ〜。(特にある年齢以上の方にとって)印象に残るセリフ(警句)もあるが、それは作者の従来からの持ち味である"生きて行く上での姿勢"に係わるものなのである。国家観を描くには、後の「夜の国のクーパー」の様に寓話化してしまった方が良かったと思う。中途半端な印象しか受けない残念な出来だと思った。 | ||||
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「物語の風呂敷は、畳む過程がいちばんつまらない」 「いちいち描写をしなければ、言葉がなくなってしまう」 伊坂幸太郎さんのことばです。木村俊介さんのあとがき、「「偉さ」からの逃走」に書かれています。 前者については、伊坂さんによれば、初期作品については物語の伏線をどう回収してうまく畳むか、ということに力点が置かれていたけれど、『ゴールデンスランバー』についていえば、物語の風呂敷は広げるけれど、いかに畳まないか、に力点が置かれている、ということのようです。 後者については、伊坂さんによれば、「これは〜だ!」というように断定をするのがすきではないため、描写をたくさんすることによって説明し、そこから読者に汲み取ってもらう、ということのようです。もしくは、断定はできないけれど、説明はする、ということかもしれません。 ぼくはこの作品を読んで、たしかに初期作品と感触がちがう、とおもいましたが、伏線を回収していない、とはおもいませんでした。むしろ、まったくさいしょのほうに出て来た伏線が、まったくさいごのほうで回収されていたり、伊坂さんはやはりすごいなぁ、とおもったくらいです。 描写についても、そこまで描写はしているかなぁ、とおもいました。というのも、日本の近代文学(純文学)を読んでいれば、「描写」というのはあとからあとから出てくるものだからです。たとえば。たとえば、ぼくはいま、村上春樹さんの『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読み返していますが、エンターテイメント小説をたくさん読むようになると、その純文学特有の「描写」にびっくりしてしまいます。評論家の石川忠司さんが『現代文学のレッスン』で、あるいは、伊坂さんがインタビューで云っているように「描写は物語を停滞させ、じっさいのところかったるい」わけですから、エンターテイメント作品では御法度のところがあるわけです。 ちなみに、以上でぼくが云ったこと(「伏線を回収している」「描写をしていない」)はもちろん「いいこと」です。伊坂さんは「そうしていない」と云っていますが、ぼくにはそうではないように「感じられた」というだけです。 さて。 題名の「ゴールデンスランバー」の意味は、訳すと「黄金のまどろみ」。ビートルズの曲の題名のようです。伊坂さんはビートルズがすきなようですね。p154とp565に書いてありますが、「昔は故郷に続く道があった」、「今はもうあの頃には戻れない」ということらしいです。つまり、主人公=青柳雅春の境遇を云っているのでしょう。 この作品にはとても大きな敵=システムのことが書かれていますが、これは『モダンタイムス』とおなじことなのだとおもいます。伊坂さんのモチーフなのでしょうか。ぼくもこれからの時代は明確な敵がいるのではなく、システムが問題になってくるとおもいます。 とてもおもしろい作品でした。まるでハリウッドの映画を観ているような。おすすめです。 以上です。 | ||||
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まるでテレビドラマをノベライズしたような、あるいは最初から映像化を狙ったような印象の小説です。 引き込まれる語り口や大筋はとても面白いのに、細部があまりにも雑なため途中で興醒めしてしまう残念な作品ですね。 多くの方が指摘しているような何も解決しないで終わるのは別に良いと思うのですよ。 多少のご都合主義なら目を瞑れるのですが、総理大臣暗殺犯として指名手配されている主人公に係わる人々がなぜか好意的に逃亡を手伝ったり、射殺も厭わないほど本気の警官や政府の追手がマンションやファミレスを包囲もせず簡単に主人公を取り逃がしたり、医者が好意で(?)タダで外科手術してくれたり、いくらなんでもこれはないだろ!というシーンの連続はちょっとひどすぎ。この作者の売りであるパズルのように張り巡らせた複線を収束したり時系列を入れ替える手法も手品の種としては古いし、しかもやはり雑です。緻密な作品だと思って読むとがっかりします。 ボロクソに批評していますが、よいシーンもたくさんあるしそれなりに面白いし、返す返すも残念な作品なのです。 この小説はもしかしてツッコミを入れながら読むのが正しいのかなあ? | ||||
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この小説は主人公が首相暗殺のぬれぎぬをきせられて警察から逃げる話です。 主人公の味方は仕事仲間や家族や学生時代の友人などです。 家族や学生時代の友人たちが昔のおもいでをおぼえていて、 そのおもいでを警察からはわからないサインとします。 時が経っても結ばれつづける強いきずなに感動しました。 主人公が無事に逃げ切れられるのか最後までハラハラしながら楽しめました。 一つ残念なのは、黒幕の正体が不明のまま物語がおわった点です。 その一点を除けば最高に楽しめる小説です。 | ||||
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「ミレニアム」にハマったもののあっという間に読み終えてしまったので、新たにハマれるミステリーを求めて、知人に借りて読みました。 しかし、、、 あまりにもがっかりでした。 以下、がっかりポイントです。好きな方申し訳ありません。 '伏線が長い。読み始めがつらい。引き込まれない。 '魅了されるようなキャラクターを持つ登場人物がいない。感情移入できない。 'セリフに凝ろうとした結果、かえって不自然で味気ない会話になっている。個人的には漫画っぽく陳腐に感じた。 '敵が滅茶苦茶過ぎて、リアリティがない。怖く書いてあるはずなのに、あんまり怖くない。 '主人公の感情描写が乏しく、共感しづらい。気持ちが盛り上がらない。 '微妙な内容のエピソードが不自然に突然現れては無理やりその後につながっていくストーリーに疲れる。ひたすら付き合わされる感じ。 '伏線を貼りまくってゆっくり前半が進んだのに比べ、後半は急にドタバタと事態が動き、伏線は全て解明されないまま結局中途半端に終わる。←これが一番許せない '事件後のエピローグが急に連載打ち切りになったかのごとく、あまりにも乱暴。 オチがなんとなく予想できてしまって、それも陳腐に感じてなんかモヤモヤする。 「ミレニアム」の伏線は気づかないくらい自然だったし、キャラクターはもっともっと読んでいたいと思わせるくらい魅力的だったし、敵は悪夢を見そうに怖かったし、事件はスカッと解決したし、事件後も丁寧にその後が描かれていたなあ、、、と、ついつい比較しながら読んでしまいました。 私個人としては、読後のモヤモヤが止まらない、イマイチな作品でした。映画化したそうですが、こんなん映画で観たらよけい腹が立ちそうです。 好きな方、改めましてごめんなさい。 | ||||
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はじめに、この小説はミステリーではなく大衆小説です。 主人公の男が首相殺しという無実の罪を着せられる。 しかしそこから何故無実の罪を着せられたのかを暴き、真犯人を見つけて自分への疑いを解こう!と、つながるわけではない。 明らかにおかしく、まるで血が通っていないかのように簡単に銃を撃つ警察。これは実は警察ではなく別の組織なのか、または警察の中でもものすごく特殊な架空の部署なのか、など考えていましたが、物語途中の「今が異常事態だから」という説明がそのまま本当だったり。 これは謎を解くのではなく主人公が周りの人間に助けられながらも逃げるさまを楽しむ小説です。 これはこれで面白いけれども、普段の伊坂作品と比べるとかなり見劣りしてしまう。 これを読むのは実は二度目なのですが、この作品があまり印象に残っていない理由がわかりました。 | ||||
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これまでに読んだのは「重力ピエロ」「チルドレン」「グラスホッパー」「死神の精度」「魔王」「終末のフール」など。どれも期待を裏切られることなく読了したけれど、これはどうもピンとこなかった。他の人も書いているように、人物の造形が弱いような気がするけど、人物描写も含め全体的に新鮮味に欠けるように感じるのは読んでいる自分が伊坂作品に慣れてしまったせいか。期待が大きい分、評価が厳しくなってしまうのかも。 ただ、小説としてどこか中途半端というか、フォーカスが曖昧という気もした。実在の事件をモチーフにしているから、読む方は謎解きというか、史実に絡めた奥行きのようなものを期待してしまうし、事実そういう視点を匂わせるような書き方をしているから、結局何も明らかにならないと肩すかしを食らったように感じてしまうのではないか。またこの作者のファンであれば、物語のスケールは予想の範囲内であっても、個々の登場人物の書き分けが過去の作品に比べて弱いように感じるのでは。 それから、この本を読んでいて最も気になったのが文章のリズムの部分で、他の作品に比べるとやや雑というか、大急ぎで書いたような印象を受けた。前からこんな文体でしたっけ? | ||||
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死神の精度がとても面白かったので、続けて重力ピエロとゴールデンスランバーを読んでみたのですが…。 読むのが苦痛でしかなかった重力ピエロに比べると、まだこちらの作品の方が読めました。 しかし逃走パートと過去パートが交互に出てきて、せっかくの逃走パートの緊張感がいちいち途切れテンポが悪く感じました。 それと著者はクセのある文章を書きます。 他のレビュアーの方が「こじゃれている」「気が利いた」「厨二」「劣化村上春樹」などと表現するような、要は不自然な表現をするわけです。 この文体が小節からリアリティーを削ぎます。「こんな事言うやついるかよ」と。 終始物語に入り込めない。作り物の世界だという醒めた意識が拭えません。 それを言うのが死神ならまだ面白いんですが、生きている普通の人となると…なんかださいんです。 ださいとか敢えて言いますが…。 そしてこの著者の特徴にもうひとつ、伏線とその回収があるのですが、どうもその伏線が下手と言うか、歪つと言うか、このお話の為に 用意された不自然なもの(こと)が、最後にピタリとはまる。 ピタリとはまるんだけど、もともとピタリとはめるために不自然な形に切り出して配置してあるんだからはまるのは当たり前というような、 最後から逆算してこの設定にしましたという作者の思惑が透けているような感じがどうしてもしてしまいます。 死神の精度が面白かったのでさすが人気作家と思い、続けて読んだのですが、もういいかなというのが正直な感想です。 | ||||
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私は伊坂さんの小説はミステリーではなくヒューマンドラマだと思っているので 出てくる人たちが魅力的であれば満足できます。 ほかの方のレビューをみていて気付いたのですが、 確かにミステリーとしての伏線は放置しっぱなしですね! そういう風に読んでいなかったので、目からうろこでした笑 人間関係の方の伏線はきちんと回収してくれているので 私はとても気持ちのいい話だと思って読んでいます。 ラストに向かっていろいろな要素が集まっていくのがとてもいい。 そしてラストも素敵です。 | ||||
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ネタバレ注意。 三部『事件から二十年後』を読み終えた後に、なるほどジョン・F・ケネディの暗殺事件を重ね合わした話なのは分かったし、 さまざまな憶測が飛び交い結局真相は明らかにされないのはまさにケネディ暗殺事件だと思った。 しかし、章末に青柳雅春が逃げ続けていた二日間、いったい何を考えていたのか誰にも分からないとあったが、 読者はこれからその二日間を知ることができる。 だから、きっとその中で徐々に真相が明らかにされ、結局伊坂幸太郎がケネディ暗殺事件の陰謀説のどれを選択したのか、またはまったく新しい伊坂幸太郎の陰謀説が飛び出すのだと思った。 未だ解明されていないケネディ暗殺事件の真相を知ることができるような気がしてとてもわくわくした。 しかし、結局ゴールデンスランバーの世界の人たちと同じで真相が分からなかったが悪い意味で裏切られた気分がして残念だった。 とても楽しみにしていた約束の待ち合わせに急いでいってたら、横断歩道で車にひかれた気分で、寝る間も惜しんで急いで読んだのを少し後悔した。 ストーリーに関して言うと、 無闇に人を信用し、根拠もなく人を信頼するお人好しは、かなりの高確率で裏切られ痛い目に合うは、お人好し界のあるあるだと思うから、ちょっと出来すぎな感じがした。 ただ、ハリウッドのアクション映画で、主人公がたった一人で敵のアジトに乗り込んで、ばったばたと敵を倒して行く姿にありえねーと思いながらも楽しめるように、おもしろいことはおもしろかった。 主人公にとって都合のいい展開って、ある意味大前提だと思うし、そういった展開は予想の範囲だから特別な嫌悪感はなかった。 感想としては、おもしろいことはおもしろいが、スカっとしない。 | ||||
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現在と過去が交差するので、最初はわかりにくのですが、濡れ衣を着せられた主人公が逃げるのを応援しながら読み進めることになります。追い詰められて、さてどうするんだ、というときに伏線が活きてきます。ここであれが出てくるのか、あの人に助けられるのか。なるほどなるほど、と思わせる巧さはさすがです。最後まで巧さにやられますよ。でもでも、少し予定調和的に感じられるので、そこが残念。 | ||||
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ほかの方もおっしゃってますが、一番の魅力は構成力であると思います。 こういったことが、実際にありえたケネディ事件を思うと、怖さが増します。 最後まで読むと、結局あの事件の黒幕は?とか考えますが、それがメインで はないとわりきって読むことをおすすめします。 | ||||
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伊坂氏の作品は、初めて読みました。 冒頭の部分はスローなテンポで話が進んでいき、特に面白いとも思いませんでした。 しかし、主人公の逃亡が始まると、そこから物凄いスピードでストーリーが展開され、伊坂ワールドに引き込まれます。何日かに分けて読む予定だったのですが、面白すぎて1日で読み終えてしまいました。 この本の評価が分かれているのは、やはり、結末のすっきりしない感でしょうか。個人的には、ある程度、未解決事項が残されている方が、それがストーリーの余韻となり面白さを増すのではないか、と思います。 | ||||
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一気よみした。 映画をみているような躍動感、 展開の早いストーリー、 今と過去、そして人物の視点もめまぐるしく変化する。 でも、なんだか違和感。 国の総理大臣が爆殺されるような事態。 濡れ衣をきせられ逃げる主人公に現れる連続殺人鬼。 ありえない設定にありえないシチュエーション。 ノリよく彼を助けようとする友人達、 事態の重さと彼らのノリのミスマッチに入っていけない。 2時間夢中になってでも時間がたつと忘れてしまう ハリウッド映画のようでした。 それはそれでまあいいかもとも思う。けど。 | ||||
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事件の謎が謎のまま残されていてちょっと消化不良気味です。 | ||||
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日本ではあり得なそうな設定なのにも関わらず、 ジョンFケネディ暗殺に絡ませて、あり得そうな空気感を作り出せていて、 この手の設定があり得なすぎるものは冷めてしまいがちな私も冷めずに最後までのめり込んで読めた。敵が国家だとしたらと考えると恐ろしい。 期待を裏切らず、小説の中で次々と期待を裏切ってくれた作品。 | ||||
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最初は読み進めるのに時間がかかったけど、 最後は一気に読んでしまった。 登場人物が個性的で、 主人公の青柳との会話は面白かった。 伏線の張り方も秀逸で、 思わぬところで登場人物たちが 絡み合っていくところがすごい。 最初から最後までハラハラする作品でした。 | ||||
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1冊の本が、人生観を変えてくれるとしたら、私はその1冊に挙げたい。 もちろん本書はサスペンス小説である。奇抜な設定でありながら、さまざまな要素が少しずつ関連性を持ち、意味を成していく集約の仕方はさすが伊坂さんと思わせる。 日本の小説は、表現に力が入り、売れる本の多くは設定の奇抜さ(事件の特異性、人物の特殊性、時代の面白さなど)が目立つ中、伊坂氏は抜群の構成力を持つ。そして、もうひとつ、本書は、人物によって視点が異なることのだいご味を示してくれている。 起きた「事実」は一つでも、立場によってその人の「真実」は異なるのだということを示唆している。読者はそれぞれの人物の視点からの「真実」を共有し、自分の立場に近い人物の「真実」を支持するように作られている。作者の意図は感じるが、作者の押しつけがないところも自由でいい。 夢中で読み終わっった時、これは、現実の世界でも言えることだと得心した。そして少し、自分の身の回りの出来事を他の視点から捉えなおすことができるようになった。 | ||||
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