■スポンサードリンク
(短編小説)
下り"はつかり"
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
下り"はつかり"の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.67pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
40年ぶりくらいに鮎川氏の作品を読みました。 読み始めてまず去来したのは「あ~昭和だなあ」という古さと懐かしさが混じった感情です。 「ポマード」「ルンペン」「トヨペット」「バット(←タバコの銘柄)」などの言葉、写真のフィルムを一般家庭で焼付していたり(かつて父も家に暗室を作りそれをやっていて、機材や薬品が家にありました)、女性の「あたくし」「~ですわ」というセリフ、九州から東京まで丸一日以上かけて走る列車… 読み進むうち自分も少しずつ昭和モード?に回帰し、作品世界に入り込めるようにはなりましたが、昭和時代の記憶がほとんどない世代が読んだらどのように感じるのか、興味深いところではあります。 比較的新しいミステリでよくある、登場人物達の本筋とは直接関係のないおしゃべりや、探偵とその相手役が漫才やってるみたいな会話がほとんどないため、全体に真面目で硬派な印象を受けますね。 ラノベ的なキャラがチャラチャラしているミステリには少しウンザリしてた自分にはちょうど良かったです。 トリックは割と簡単に見破ってしまったものと、分からなかったものが半々くらいでした。 「地虫」「絵のない絵本」はファンタジックな作品で、鮎川さんてこんなのも書いてたのね…と意外でしたが、なかなか面白く読ませていただきました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
商品説明に光文社文庫とあり写真も文庫本の写真でしたが届いた本はカッパノベルスでした? このシリーズを文庫本でそろえようと思っていたのでビックリしました 状態が悪いので無料にしてもらったので文句は言いませんが 文庫本か新書は正解に記載して欲しいです | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
北村薫氏編纂による鮎川氏の初期短編傑作選シリーズの2作目。 1作目が鬼貫警部や星影探偵ものなど、オーソドックスな本格志向の作品で統一されていたが、この2作目は冒頭の地虫や絵のない絵本など本格推理要素の皆無の幻想譚や鮎川氏の短編の中では最も遊び心が炸裂した犯人当てものの達也が笑うなどより鮎川氏の広い作風に配慮したバラエティに富んだ構成になっている。 本格度は1作目の方が高いが、この2作目は更に作家としての鮎川氏の技の巧さを堪能できる一冊である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
まさに本格推理小説。 さまざまな作品が出てきますが 巧妙なトリックを用いた作品が目白押しで こちらの目をあきさせません、もちろん想像力もです。 この作品の目玉といったら もちろんフェアかアンフェアかで物議をかもし出しそうな 「達也が嗤う」に尽きるでしょう。 読みなれない人は間違いなくアンフェア、といいかねない 真相部分なのです。 でも、著者は「あること」を言っていないのです。 屁理屈といえば屁理屈ですが、推理をする上では それぐらいの柔軟な頭がなければならない、というのを 教えてくれる作品ではあります。 そのほかには一風変わった 不思議系の作品もあります。 「絵のない絵本」がそれに該当します。 ありえない系のミステリーですが 世界観には引き込まれるはずです。 長さを感じない作品でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『五つの時計』に続く創元推理文庫「短編傑作選」第2集。編者は北村薫。 「地虫」「赤い密室」「碑文谷事件」「達也が嗤う」「絵のない絵本」「誰の屍体か」「他殺にしてくれ」「金魚の寝言」「暗い河」「下り゛はつかり゛」「死が二人を分つまで」が収録されている。 好編を集めた贅沢な短編集と言える。 鬼貫警部、星影などお馴染みの探偵たちが出てくる。 「達也が嗤う」、「他殺にしてくれ」、「死が二人を分つまで」などが良かった。 「地虫」と「絵のない絵本」のメルヘンチックなのが不思議。 他の選集と重なっている収録作も多いので、よく注意して買うべきだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『赤い密室』の完成度は並大抵でなく、日本の密室ものの中でも絶対、20傑に入っている。しかし一番、心動かされたのは『地虫』という、本格ミステリではない一編だった。面白いし、笑えるし、哀しいし、切ない。泣いちゃったよ。鮎川先生、トリックもロジックも凄いけど、プロットも美しすぎだよ…。宝物です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
横溝正史が得意とした草双紙的な「地虫」 乱歩的なグロテスク怪奇譚の「絵のない絵本」 無頼探偵が登場する「他殺にしてくれ」など、鮎川作品の 別の一面が見られます。 しかし、やはり真骨頂は「密室」「アリバイくずし」といった 本格物でしょう。 日本探偵作家クラブ定例会の席で、犯人当てのテキストとなった 「達也が嗤う」のオチには思わず「やられた!」と額を叩き ました。 知名度は低いですが、「金魚の寝言」という本の注文が鍵を握る 同名作品は印象深く、養老院を尋ねて来た若い女性会社員が殺害される 「死が二人を別つまで」に至っては鮎川短編の中でも屈指の作品だと 思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
美しきものを蝕む地虫を描く『地虫』が印象的。鮎川作品の犯人は、美しいものを汚すもの、逆に汚されたものが復讐するものと言うパターンが多い。そうした意味でも一読をお勧めしたい。 童話の型式で残酷な殺人を幻想的に描く『絵のない絵本』は、実は初めて読んだ鮎川作品であり、個人的には印象が深い。 上記に二編の幻想小説を除く8編は、いわゆる本格物で傑作選に選ばれているだけあり、レベルの高い。どれを読んでも読んで損をしたと言うことはないだろう。 特に『誰の屍体か?』『赤い密室』の2編は傑出した出来であり、本格物の真骨頂を味あうこと請け合いなしであろう。これを読んでピンと来ないなら、そもそもこの手の小説に向かない方というべきないだろう。 『誰の屍体か?』の題名が提示する、誰が死んだのか?という雲をつかむような事件がその実、緻密な計画犯罪である点に驚愕する。しかもその悪魔的な犯罪が、あまりに明瞭な事実から解体していく手際が巧い。いや、巧いなどということで済ましていいのだろうか?巻末の対談で山口氏が「神の領域」と言っている。言い過ぎな様な気がするが、気持ちがわからないでもない。それぐらい巧い。 『赤い密室』は、個人的には史上最高の「密室小説」である。トリックの切れもさることながら、解明のロジックがすごい。複雑な事件を見事に解体していく。「解体の美学」といいたい。 これらの作品を読むにつけ思うのは、本格物で重要なのはトリックも然る事ながらロジック、レトリックだということだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
美しきものを蝕む地虫を描く『地虫』が印象的。鮎川作品の犯人は、美しいものを汚すもの、逆に汚されたものが復讐するものと言うパターンが多い。そうした意味でも一読をお勧めしたい。 童話の型式で残酷な殺人を幻想的に描く『絵のない絵本』は、実は初めて読んだ鮎川作品であり、個人的には印象が深い。 上記に二編の幻想小説を除く8編は、いわゆる本格物で傑作選に選ばれているだけあり、レベルの高い。どれを読んでも読んで損をしたと言うことはないだろう。 特に『誰の屍体か?』『赤い密室』の2編は傑出した出来であり、本格物の真骨頂を味あうこと請け合いなしであろう。これを読んでピンと来ないなら、そもそもこの手の小説に向かない方というべきないだろう。 『誰の屍体か?』の題名が提示する、誰が死んだのか?という雲をつかむような事件がその実、緻密な計画犯罪である点に驚愕する。しかもその悪魔的な犯罪が、あまりに明瞭な事実から解体していく手際が巧い。いや、巧いなどということで済ましていいのだろうか?巻末の対談で山口氏が「神の領域」と言っている。言い過ぎな様な気がするが、気持ちがわからないでもない。それぐらい巧い。 『赤い密室』は、個人的には史上最高の「密室小説」である。トリックの切れもさることながら、解明のロジックがすごい。複雑な事件を見事に解体していく。「解体の美学」といいたい。 これらの作品を読むにつけ思うのは、本格物で重要なのはトリックも然る事ながらロジック、レトリックだということだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
北村薫が編纂した鮎川哲也の短編集第2段です。代表作『赤い密室』が収録されている一方で、本格推理ではないファンタジックな作品『地虫』『絵のない絵本』も収録されており、本格の驍将と呼ばれた彼の意外な多面性をかいま見せてくれます。なんとなく、こういうナンセンスなものを解する人にのみ、初めて論理的な本格推理が書けるような気もします。 まるで本格推理の見本集のような本作を読んでいて気づくのは、鮎川が“トリックは犯人にとってきちんとメリットのあるものでなければならない”という規則を自分に課して書いていることです。推理小説は所詮読者の為のものであって犯罪者のものではないから、面白いけれども、冷静に考えるとそんなことやっても別に犯人にメリットはないと思えるようなトリックが結構多いです。しかし、鮎川は丹念に犯人にとってのメリットと、真相が発覚した時の読者の驚愕というものを見事に両立させるよう、骨を折っていることがよくわかります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
北村薫が編纂した鮎川哲也の短編集第2段です。代表作『赤い密室』が収録されている一方で、本格推理ではないファンタジックな作品『地虫』『絵のない絵本』も収録されており、本格の驍将と呼ばれた彼の意外な多面性をかいま見せてくれます。なんとなく、こういうナンセンスなものを解する人にのみ、初めて論理的な本格推理が書けるような気もします。 まるで本格推理の見本集のような本作を読んでいて気づくのは、鮎川が“トリックは犯人にとってきちんとメリットのあるものでなければならない”という規則を自分に課して書いていることです。推理小説は所詮読者の為のものであって犯罪者のものではないから、面白いけれども、冷静に考えるとそんなことやっても別に犯人にメリットはないと思えるようなトリックが結構多いです。しかし、鮎川は丹念に犯人にとってのメリットと、真相が発覚した時の読者の驚愕というものを見事に両立させるよう、骨を折っていることがよくわかります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
北村薫氏編鮎川哲也の第二短編傑作選。 巻末には鮎川哲也の作品ノート、解説2名、鼎談・有栖川有栖+北村薫+山口雅也までついた豪華版である(●^o^●)。いかに鮎川哲也が重鎮かつ愛されているか解る。鮎川哲也はある意味外国作家と同じテーマに基づき自分なりのものを作り上げて挑戦したり、江戸川乱歩の依頼に基づき短期間で秀逸な短編を連続して発表したりと常に厳しい条件を突きつけられる名探偵のような立場にあったのが感じられる。しかもそれを鮎川哲也はものの見事にこなしてしまうのである。それらがこの傑作短編集である。 この第二短編傑作選では特に文体の光る『地虫』と短編ながら本格直球勝負の『赤い密室』が好みだ。(●^o^●)いずれも文体鮮やか。そこが外国翻訳ものにはない魅力だと再確認出来る。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
北村薫氏編鮎川哲也の第二短編傑作選。 巻末には鮎川哲也の作品ノート、解説2名、鼎談・有栖川有栖+北村薫+山口雅也までついた豪華版である(●^o^●)。いかに鮎川哲也が重鎮かつ愛されているか解る。鮎川哲也はある意味外国作家と同じテーマに基づき自分なりのものを作り上げて挑戦したり、江戸川乱歩の依頼に基づき短期間で秀逸な短編を連続して発表したりと常に厳しい条件を突きつけられる名探偵のような立場にあったのが感じられる。しかもそれを鮎川哲也はものの見事にこなしてしまうのである。それらがこの傑作短編集である。 この第二短編傑作選では特に文体の光る『地虫』と短編ながら本格直球勝負の『赤い密室』が好みだ。(●^o^●)いずれも文体鮮やか。そこが外国翻訳ものにはない魅力だと再確認出来る。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
近年に起こったミステリ・ルネッサンスとよばれる新進の作家たちの台頭の、その礎を築いたのが鮎川哲也ということになろう。 本格ミステリの潮流を遡れば、必ず鮎川の名は出てくるのだ。 逆に、現代の系譜を俯瞰するとき、そこに鮎川の存在を知って見るのと、見ないのでは、その認識の精度も変ってくる。 もちろん、ミステリフアンにとって鮎川は「知るべき存在」に違いないのである。そんな偉人鮎川哲也を知るのに、東京創元社文庫から刊行された2冊の短編集は理想的だ。 前編といえる「五つの時計」に次ぐ本作には代表作として名高い「赤い密室」「達也が嗤う」などが収録されている他、「地虫」のような異色作もあり、そして、ここに収録された全作が、現代ミステリへ脈々とエネルギーを供給する「本格の源泉」であると感じられる。 文章、文体の気高さ、無駄な虚飾を排しながらも、闇をみつめる慧眼。 そしてトリックそのものの質の高さがなんといっても素晴らしい。最近の作家であれば、こんな素晴らしいトリックをおもいついたのであれば、当然長編として仕上げるであろうアイデアを、惜しげもなく短編に降り注いでいる。 もちろん、いまとなっては時代を感じさせる部分も多いが、トリックそのものの着眼点の秀逸性は現代の読み手をも十分満足させるに違いない。なお、末尾に収録されている鮎川に多大な影響を受けた、有栖川有栖、北村薫、山口雅也の三氏の対談も、非常に興味深いものになっている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
近年に起こったミステリ・ルネッサンスとよばれる新進の作家たちの台頭の、その礎を築いたのが鮎川哲也ということになろう。 本格ミステリの潮流を遡れば、必ず鮎川の名は出てくるのだ。 逆に、現代の系譜を俯瞰するとき、そこに鮎川の存在を知って見るのと、見ないのでは、その認識の精度も変ってくる。 もちろん、ミステリフアンにとって鮎川は「知るべき存在」に違いないのである。 そんな偉人鮎川哲也を知るのに、東京創元社文庫から刊行された2冊の短編集は理想的だ。 前編といえる「五つの時計」に次ぐ本作には代表作として名高い「赤い密室」「達也が嗤う」などが収録されている他、「地虫」のような異色作もあり、そして、ここに収録された全作が、現代ミステリへ脈々とエネルギーを供給する「本格の源泉」であると感じられる。 文章、文体の気高さ、無駄な虚飾を排しながらも、闇をみつめる慧眼。 そしてトリックそのものの質の高さがなんといっても素晴らしい。最近の作家であれば、こんな素晴らしいトリックをおもいついたのであれば、当然長編として仕上げるであろうアイデアを、惜しげもなく短編に降り注いでいる。 もちろん、いまとなっては時代を感じさせる部分も多いが、トリックそのものの着眼点の秀逸性は現代の読み手をも十分満足させるに違いない。 なお、末尾に収録されている鮎川に多大な影響を受けた、有栖川有栖、北村薫、山口雅也の三氏の対談も、非常に興味深いものになっている。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!