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彼女のいない飛行機
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彼女のいない飛行機の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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ビュッシは2作目ですが、「悪の猿シリーズ」でさんざん嫌気がさした日記手法が登場し、現在・過去を行ったり来たりさせるので、物語が複雑になるだけで「黒の睡蓮」の様に切れ味がなく、残念でした。 | ||||
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飛行機事故でたった一人生き残った赤ん坊が、どちらの家族の孫なのか? という単純な謎解き物語かと思いきや とんでもなく複雑な展開になっていく。 653ページもかけて何が書かれているのか。 二組の家族の奪い合いが、 探偵のノートに書かれた調査内容に焦らされながらも止められない。 登場人物も少なく、エログロ、虐待も無いので読みやすいが 、読むほどに謎の深みにはまっていく。 過去と現在が繋がる時物語は疾走する。 このてのフランスミステリーは大好きだ。 | ||||
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飛行機事故で生き残った赤ん坊は二人のうちのどちらなのか? 話運びは巧みでストリー展開はひきつけられるものがあった。 それだけに、結末が少し肩透かしを食らった感じ。 それにしてもこんなに人が死ぬ必要があったのだろうか? 生き残った赤ん坊の正体が今一つなため無駄に死人を出して話を盛り上げた感じ。 それに登場人物ももう少し魅力的になってればなあ。 期待しすぎかなあ。☆4にちかい3 | ||||
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表紙やら高い評価やら、ちょっと気になってつい買ってしまったのが間違いでした。 思わせぶりたっぷり。技巧を凝らしてるでしょって作者のにんまり顔が浮かんできそう。 でも人物は薄っぺらく、説得力も魅力もなく、イマ風の軽い描写も共感できず、まるで気持ちに入ってこない。 これが フレンチ・ミステリーです、なんちゃってほんとにいいのですかね? | ||||
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面白いか面白くないかで言えば、面白い。でも好きかどうかで言えば、好きじゃない。 だって焦らし過ぎなんだもん。作家が三人称で語る地の文はもちろん、挿入される探偵の日誌で焦らされ、その日誌に登場する情報提供者の語りに焦らされと、まるで焦らしのマトリョーシカ人形。探偵が「わたしのくどくどしい思い出話に、みなさんはうんざりしていることだろう・・・」と独白しているシーンからもわかるように、作者は意図的に焦らしのテクニックを多用している。 もちろんそれが功を奏して作品のリーダビリティは高い。でもあまりに焦らしが繰り返されるせいで、焦らしが出てくると『どーです焦れてますか?まんまと私の術中にはまってますね』とほくそ笑む作者のにやけ顔が浮かんでくる始末。すると必然的に、気持ちは没入していた作品世界から引きはがされスーッと醒めてしまう。 せめて探偵の日誌だけは、それらしく簡潔明瞭に淡々と事実を記していれば素晴らしく楽しめる作品になったのに。 | ||||
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飛行機事故で生き残った赤ちゃんが二つの家族の内のどちらの物かで揉め・・・というお話。 所謂真贋鑑定物のジャンルに入ると思うミステリ。生き残った赤ちゃんがどちらの家庭の血を引く赤ちゃんかを巡って展開される物語でした。この手の作品は焦点になる登場人物がどちらの家庭の血筋かが謎解きになるように思えますが、最終的にどちらの家庭の物かが判るだけだとイマイチ物足りないので、多くの場合は+αが求められると思いますが、本書の場合は赤ちゃんがどちらの家族の物かを巡るプロットをお話しの最初から最後まで続けるという展開で読ませる手法をとっております。それで物足りないかというとそんなことはなく、最初から最後まで一気に読める快作に仕上がっていてそこら辺にこの著者の筆力を感じました。 最後に明かされる真相は、私みたくミステリを読みすぎた人間にはあまり衝撃はないですが、こういう話ならこういう結末が妥当であろうという納得の終わり方で好感をもてました。まぁ人によっては喰い足りないという人もいるかもしれませんが。 文章も読み易く、記述も簡潔で、それでいて通俗に流れない文体にも好感が持てました。 まだ、ジャプリゾやアルレーの才気を受け継ぐ作家のいる事に嬉しくなる、フレンチ・ミステリの秀作。機会があったら是非。 | ||||
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読み始めると、食事をするのも忘れ、トイレへ行くのも我慢して、一気に読破してしまう。まさに、最高級の傑作である。それも、殺人事件の犯人を捜すためではなくて、一人の娘の身元を知りたいがためにである。もちろん殺人事件はおきるが、それはまるで付け足しみたいなものだ。 飛行機事故でただ一人生き残った赤ちゃんがどちらの孫娘であるかをめぐって、富豪一家と貧しい一家が争い、裁判では貧しい一家の子供と決定される。(まだDNA鑑定がなかった時代です。)しかし富豪夫人は探偵を雇って、自分の孫である証拠を発見させようとする。18年後、探偵は自殺しようとした瞬間に、真実に気づくが、殺される。探偵が残したノートを読みながら、姿を消した娘を探す兄。そして、未だに自分の妹だと信じる富豪の孫娘(赤ちゃんの姉)。二人が争いながら、娘が本当は誰なのかを追い求める。そして真実が明らかになった時、ここで止めておきます。 まさに、私にとって、「今年のベストミステリー」です。お薦めします。 | ||||
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著者ミシェル・ビュッシは「訳者あとがき」によると2014年一年間にフランスでもっとも売れた作家ベスト10の第五位に入る人気作家なのだ。(ちなみに「その女アレックス」のピエール・ルメートルは第九位) 私立探偵クレデュル・グラン=デュックは表紙に<リリーへ>と書かれた緑色のノートを前に、自殺しようとしていた。百頁にも及ぶノートは彼がこの十八年間調査してきた、十八年前の飛行機事故でただ一人の生存者に関する記録だった。 「恐怖の山の奇跡の子」とよばれた生後数ヶ月の女児とは一体誰なのかを執拗に調べた記録なのだ。仮の名「リリー」とは誰なのかを。 しかし多額の報酬を支払ってきた調査の依頼人からの最終期限は「リリー」が十八歳になるまでだった。その期限が来た。 <どこかに証拠がある、方程式は解けるはずだ、何かをみのがしているだけなのだ。>しかし結論は<わたしはできる限りのことをした。>だった。 銃に弾丸を込め、最後に事故当日の十八年前の新聞を開いたとき、 <想像を絶する衝撃がグランデュックを襲った。> <今、この目は、ありえないものを見ている。> 何かを見つけてしまったのだ。 <この十数年間、何百という仮説を積み上げてきたが、ようやく今、正しい出発点を見つけることができた。> 生存者一名しかいない一九八十年に墜落した事故機には、実はほとんど同じ日に生まれたフランス人の乳児が二人乗っていた。 リズ=ローズ・ド・カルヴィル エミリー・ヴィトラル 生き残った乳児は資産家カルヴィル家の孫なのか、それともクレープ屋を営むヴィトラル家の孫なのか。 血液型は同じ女児で一九八十年当時にDNA鑑定はまだなかった。それ故リズ=ローズとエミリーの名を合わせ「リリー」と呼ばれているのだ。 「クレデュル・グラン=デュックのノート」は「リリー」の手に渡り、次にエミリーの兄「マルク・ヴィトラル」の手に渡る。 「リリー」は自分の人生の記録を知り失踪。 「マルク」はノートに書かれた道を辿って謎を追求していくが、その内容が気を持たせるような、わざとらしい書き方で彼の心を焦らせるのだが、読者も同じ感覚で焦らしにじらされ振り回されることになる。 さらに「リリー」に起きた変調によりタイムリミットサスペンスも加わり、ノートに書かれた内容は妄想か嘘ではないかという疑問もうまれてくる。 しかし冒頭の事故当日の新聞に何が書かれていたのかという一点に収束していく結末は、奇跡というよりもあまりに現実的な事実を読む者に突きつける。 物語のラストで主人公の<胸に熱いものがこみあげてくる。>のだが読者も同じ感情の昂りを覚える。 二つの家族は争い憎しみ合っているように見えるが、実はどちらも自分たちの家族の再生を願っていたのだ。 大量の死で始まり、いくつかの生の証で終わるこの物語は、家族とは何か、生命とは何かを問いかけるフランス・ミステリの大作である。 | ||||
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