■スポンサードリンク
白昼の死角
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
白昼の死角の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.37pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全91件 81~91 5/5ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
横溝正史・森村誠一に続く第3の男として登場したのが、高木彬光氏でした。 本作はその高木氏の代表作でもあり、角川お得意のメディアミックス戦略の下、 映画化もされました。 物語は戦後まもなく話題となった『光クラブ』事件を下敷きに主人公、鶴岡七郎が 奇想天外な手口と胆力で遂行した悪事を彼を取り巻く多彩な人間模様とともに 一気に読ませます。 戦後まもなくの混乱期、日本のその後の高度成長を窺わせるようなやり取りや 描写もあり、大変興味深いものがありました。 現在の複雑な金融事情やモバイル・ツールの犯罪への応用ぶりからすればかなり “アナログ”な印象はあるものの、その着想や人間の心理を読み尽くして臨む 一連の“犯罪”はもはやアーティストが作品を紡ぎ出すかのようです。 高木彬光氏のその他の代表作といえば『検事・霧島三郎』シリーズが有名ですが、 他にも『邪馬台国』や手相や易学にも造詣が深いことでも知られています。 悪事に魅かれる人間の弱さ、悪事によって得たものの儚さや脆さを 最後には鮮やかに描き切っています。 正統派もいいですが、変化球も悪くないと思ってる人には 絶対おススメです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
素晴らしいピカレスク小説です。 今となっては、難しい犯罪もありますが、 読んでいて、主人公になりきっていました。中学2年の時です。 テレビ版も良くできていました。ラストは、原作と違いましたが。 なんせ、渡瀬恒彦氏が、トマトジュースを大量に飲んで、吐血の 演技をしたような、がんばった作品です。 単行本もあるし、早くサントラもテレビもCDやDVD化を 期待しています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
冒頭はこの小説の主人公である鶴岡が、推理小説の作者にこれまで自身が首謀した犯罪を語り聞かせる場面からはじまり、その告白を元に書かれたものとされています。 序盤に描かれる金融犯罪(ヤミ金)は、実際に起きた「光クラブ事件 / 山崎晃嗣」として知られる(白昼の死角では太陽クラブ)現役大学生による金融犯罪がほぼ事実通りで、主人公鶴岡はこの太陽クラブ(光クラブ)の残党という設定です。 このように事実を小説序盤のプロットに用いたことで、その後描かれる奇想天外な詐欺・金融犯罪の数々がいかにも真実をおびていてグイグイ引込まれていきます。また殺人は犯さず、法律の盲点を隠れ蓑とし「丸見え」の尻尾をつかませませず、理論武装であるときは立ち向かい、ある時はのらりくらりとかわす鶴岡の姿はまさにアンチヒーロー。脇を固める仲間、協力者、女性、被害者はみな個性的で物語を引き立てています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
高木彬光という作家は知られているようで案外知られていないような気がしている。 高木の仕事を振り返ってみると その多彩な作品に時に驚きを感じる。「ジンギスカンの秘密」「ノストラダムスの予言」「連合艦隊ついに勝つ」そうして 本作である「白昼の死角」を同じ方が書かれたということは 実は相当の事件なのではないかと思う次第だ。 本作を高木彬光の代表作に推す声は多いし 大きいと思う。確かに金融犯罪小説としての本作は 時代を劃した作品であったと今でも思う。 但し 本作が長生きを得ているのは 単なる金融犯罪小説には止まっていないからだと思う。 「光クラブ」という戦後の史実を踏まえた冒頭から 最後に至るまで 高木彬光はきちんと終戦以降の昭和という時代を踏まえている。その時代の風物を見る目の確かさが 21世紀の現在に本書を読む際の大きな興味の一つだ。ざらりとした「昭和の肌触り」が本書の徳なのだと思う 繰り返すが 案外 高木彬光は忘れられている。但し 見直しがされる時代も来るのではないか? そんな期待も個人的には持っている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「法は正義ではない、法は力である 私はそれを実証してみせる 神も悪魔も恐れざる男 鶴岡七郎」 冒頭に記されたこの言葉から、皆さんは何を連想するでしょうか? 自らの中に潜んだどす黒い悪の本性を燃え上がる炎の中から感じ取った鶴岡 舞台は戦後の混乱期、システムが行き届いた現在ではその現実性は少ないとは思いますが主人公の犯罪者としての心の動きと彼を取り巻く周りに人間模様 犯罪小説史上に残る傑作です | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恐ろしい本があったもんです。 確か、「狼は生きろ、豚は死ね」ですよね。 ここまで、非情に犯罪美学を追求する小説があったとは・・・。 今、工業から情報の時代に移ろうとしています。 そんな現代だからこそ、今一度「鶴岡七郎対策」が必要なのかも しれません。 七郎が使ったテクニックは今では使えないものも多々あります。 しかし、その発想法は依然として斬新であり、猟奇的です。 今後を生き抜くためのも、一読しておく価値のある一冊だと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
映画&ドラマ化もされておりとても面白い作品です。確か主人公鶴岡役を、映画では夏八木勲が、ドラマでは渡瀬恒彦が演じていたと記憶しています。逆かな?当時の映画コピー「狼は生きろ、ブタは死ね!」が強烈で、ダウンタウンブギウギバンドの主題歌も印象的でした。有名な「光クラブ事件」を題材にとって、戦後のドサクサのなかで大掛かりな経済詐欺に手を染める東大生がのし上がり、破滅していく様を息もつかせぬ筆致で描いています。大部ですが全くあきません。法の抜け道をつき巧妙に仕組まれた数々の詐欺手口の描写もスリリングなのですが、鶴岡の尻尾を掴もうとする検察官との駆け引きも見所。なにより、「悪の哲学」を身に帯びた主人公鶴岡の造形が一番の魅力になっています。高校生の時に初めて読んだのですが、この本で初めて手形の何たるかを知りました(「裏書譲渡」とか「善意の第三者」とか)。復刊したのはおめでたいが、なんか復刊する度に値段があがっているような気がします・・・ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「光クラブ」事件を題材にした三島氏の「青の時代」は山崎の内側を探りその死を以って小説を結んだが、本書は虚構と現実を融合させた犯罪小説(大仰ですが)となっており、プロットの巧者である著者の力量が存分に発揮されています。本書でも矢張り山崎は弱さゆえ自らの死を迎えてしまう。彼は単なる枝葉にすぎず、鶴岡七朗という頭は切れ精神的タフネスさをも備えた男を軸に物語は展開します。どんな困難な事態をも乗り越えようとする彼のバイタリティーには例え悪とは判っていても惹かれてしまいます。かなり分量のある作品ですが彼らの巧妙な手口、鶴岡は最後どうなるのか引き込まれる事請け合いです。現在入手困難なようですが多くの方に手にて頂きたい作品です。(多くの名作を絶版とされているK書店さんお願いします) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
終戦直後と言う異常な時代に生まれた怪物有り余る才能を犯罪に情熱を注いだ時代の異端児。この男を超える人物は、いまだ日本に誕生していない・・・ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本が出版されたばかりの頃に読んで、「頭の勝負」に憧れ、羨ましく思ったりしたものだった。作品のモデルは、三島由紀夫も『青の時代』で取り上げた「光クラブ」の山崎晃嗣。三島は山崎晃嗣の自殺に意外さや、失望を感じたという。もっと線の太い人物を創造していたらしい。高木彬光は、山崎役の隅田にはやはり自殺させたものの、その後を継ぐ鶴岡七郎という主人公を考案することで、三島の「夢」に応えたとも言える。鶴岡七郎は隅田(山崎)の知性を持ち、そして神経の強さも併せ持つ。そして隅田(山崎)が陥った陥穽にはまらずに時代を生き抜く。ピカレスク、と言えばそうなのだが、単純なオメデタ・ピカレスクとは異なり、鶴岡七郎のひととなりから、彼の「強さ」が伝わってくる。四半世紀ぶりくらいに読み返してみたが、この作品は現在でも十分に受け入れられる作品だと思う。いくつかの出版社が出しているが、いずれも入手困難ないし不可能なのはさびしい限りだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
天才的犯罪者の美学。作者高木彬光が単なる辻褄合わせの推理小説を嫌って仕上げたこの作品の緻密なプロットが、一気に読ませてしまう。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!