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(短編集)
黒い画集
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【この小説が収録されている参考書籍】
黒い画集の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全67件 41~60 3/4ページ
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おそらく、登山に全くの素人故、読みきれないのだとは思います。でも、「遭難」はゾクゾクしました。 他の作品は、やはり古いため、どうしても現実感が乏しくなる。今の時代なら、有り得ないトリックや、会話が多出するからです。「けものみち」でも常にそう感じ続け、読み辛かったです。当時の情景が浮かぶ年代の方、あるいは当時の人々の風俗(貧しさなども)や風潮(男女格差など)などの情緒的なものも含めて、相応しく想像力が働かないとリアルに物語に入り込めないと思います。私はそうでした。 この星5は「遭難」へ捧げます。登山がわからなくてよかった! | ||||
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茨城県古河市の古賀総合公園では、ソメイヨシノとハナモモが美しく咲き競っていました。女房も、文字どおり桃源郷ねと、至極満足そうでした。しかし、この世に桃源郷などは存在せず、現実の世界は厳しいものであることを私は知っているのです。 このことを確認したくなって、書斎の本棚から短篇集『黒い画集』(松本清張著、新潮文庫)を取り出し、『天城越え』を40年ぶりに読み返しました。 「私が、はじめて天城を越えたのは30数年昔になる」と書き出されていますが、これは、川端康成の『伊豆の踊子』の主人公の高等学校生が天城トンネルを越えたのとほぼ同時期のことでした。もっとも、この後、展開されるストーリーは川端の純愛物語とは程遠いものですが。 生活が楽ではない鍛冶屋の三男で16歳の「私」は、親に黙って家出をします。その途中、天城の山道で22~23歳の女と出会います。「女の顔は白く、あざやかな赤い口紅を塗っていた。白粉のよい匂いが、やわらかい風といっしょに私の鼻にただよった」。この「黒瞳(くろめ)の張った、美しい顔」の女と同行することになりました。 暫く行った所で流れ者の男の後ろ姿が見えた時、女が急に私に向かって、「兄さん、悪いけれど、あんた、先に行って頂戴」と言います。びっくりして唖然とする私に、「あのひとにぜひ話があるんでね、先に行って頂戴。話がすんだら、また、兄さんに追いつくからね」と言い聞かせるのです。 「それから30数年経った。私は、現在、静岡県の西側の中都市で、印刷業を営んでいる。・・・私が、なぜいまごろ、30余年前のことを思いだしたかというと、最近、静岡県警察本部のある課から『刑事捜査参考資料』という本の印刷を頼まれたからだ。私は自分の所で印刷し、製本したこの本を、ある日、何気なく読んだのだが、4つか5つ集めた静岡県内の犯罪例の中に、思いがけなく、30数年前、私が天城越えのときに遭遇した土工と、きれいな女とのことが書いてあった。そして、そこには、私自身も登場していた」。 その資料集の「天城山の土工殺し事件」には、あの女が犯人と疑われ、取り調べを受けたが、証拠不十分で無罪となったことが記されているではありませんか。 最後に思いがけないどんでん返しが待ち構えているのですが、いかにも清張らしい練達の推理小説に仕上がっています。おかげで、やはり桃源郷などというものは現実には存在しないことを実感することができました。 | ||||
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読書を口実に旨い酒を飲む会が伊豆天城近辺に出張し、清張の「天城超え」を肴に盛り上がった。「天城越え」が収録されている「黒い画集」を結局全編読むこととなった。また、同時期にテレビで清張のドラマ放送があり、個人的には一瞬清張ブームの感がある。「黒い画集」は、全編を通して人間の業ともいうべき「悪意」をいろいろな形で展開している。不思議と「悪意」を持った登場人物に共感を覚えてしまった。人間の自然な感情の延長上にある「悪意」は読み手に抵抗無く入り込んで来る。そして、その「悪意」は緻密に組み上げられた構図のちょっとした糸屑から引きずり出され全てを崩してしまう所が清張ワールドの醍醐味であろう。 | ||||
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私は登山を趣味にしています。この本は、知人に教えられて手に取りました。 この本はレビューを読むと、不倫×サラリーマン×殺人、をテーマにしているようですが、中に「遭難」と題する山中の完全密室犯罪劇があります。 これは、山の調査もよくやったなと思えるほど詳細で、山行の流れも、山を良く知っている人にしか書けない感じです。 牛首尾根とか、鹿島槍北股本谷なんて出てきます。 とても印象に残る短編でしたので、鹿島槍山行のお供に最適です☆ 当方のブックレビュー 内容が詳細です。登山をする方に。 http://stps2snwmt.blogspot.jp/2013/09/blog-post_15.html | ||||
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多分再読だと思うが、この面白さはなんだ、見事なまでの、登場人物の心理描写二、先をいそいで読み進める。 | ||||
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大変面白かった。別冊黒い画集では「事故」、「熱い空気」、「形」、「陸行水行」、「寝敷き」、「断線」の6作、ミステリーの系譜では「闇に駆ける猟銃」、「肉鍋を食う女」、「二人の真犯人」の3作品を収録。 一般文学通算20作品目の読書完。1973/03/01 | ||||
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大変面白かった。個人読書履歴。 一般文学通算17作品目の読書完。1973/02/01 | ||||
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以前から気になっていた松本清張「天城越え」をやっと読み終えることが出来ました。 というのも、あまりにも有名な、この作品、清張の代表作品だとおもっていた程でした。 しかし書店で、この作品名を捜せど捜せど見つかりません。こちらの勝手なイメージで大長編物語だと思っていましたが、意外にも文庫本で四○ページ程の短編小説でした。なので「天城越え」というタイトルでは本になっていません。 なるほど、そこでネットで調べてみると「黒い画集」というタイトルの短編集の中に収まっているようです。 最近では書店で注文するという感覚はなく、ネットで調べると、そのまま注文し家でじっと待っている、といった具合です。 数日経って楽しみにしていることを忘れかけると茶封筒に入れられて、文庫本がポストに入っていました。と、いつもこんな感じです。 物語は男が三○年前の少年時代に母親に小言を云われ嫌になり、家出するところから始まります。 川端康成「伊豆の踊子」の青年のように紺飛白(こんがすり)を着て天城を越え、静岡に向かい、それも裸足で歩いたようです。 今でいえば二千円程をもって・・・。 いくら少年といえど十五、六歳。二千円では、そんなに遠くまで行けないことなど分かっていよう、その時の家出とは、ただ少年を叱った母親に心配をかけたかったのでしょうね。 歩いていると、そこに大きな風呂敷を背負った呉服屋に出会いました。 「兄ちゃん、どこまで行くか?」 静岡と答えると呉服屋は途中まで一緒に行こうと誘ってきました。少年はそれを頼もしく思い、近くの茶屋で呉服屋に餅をおごってあげました。 ふと民家を見かけた呉服屋はそこに寄っていくと少年に別れを告げ、調子よく、さっさと離れて行きました。少年は呉服屋になけなしのお金でおごった餅が急に惜しくなってきて、無性に損した気分にかられました。もう、宿に泊まる金もありません。 諦めて家に帰ろうと引き返す少年に一人の女が話しかけてきました。 「兄さんは、どこまで行くの?」 少年は家のある方向、下田と答えると女は、下田まで一緒に行きましょう、と答えました。そこで少年は家に帰ることを決心しました。女に一目惚れしたからです。 歩き疲れた少年は、女が裸足であることに気付き、裸足の方が楽なことを教えられ、少年も履いていた草履をしまい、女と裸足で歩きました。女と同じようにするのが嬉しかったのだと思いました。 後ろから大きな男が、ゆらゆらと二人に追いつきました。 ここから殺人事件へと発展していきます。被害者は?犯人は?一体何のために? 謎が謎に包まれ、清張劇場の終劇はラスト二頁程に集約されています。これ以上は書きません、乞う御期待下さい。 清張はどちらかというと短編を好んで書いたようです。私も清張作品の魅力は長編でも短編でも、かわらない感動があるように思います。お薦めです。 | ||||
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高校生の時読みました。衝撃の一冊でした。今もその衝撃は忘れられません。推理小説と言うイメージは私にはなく、なぜ殺したのか、その主人公の心理描写に引き込まれました。誰にでも起こり得る日常の中での出来事だからこそ、将来自分の身の上にも起こりそうで怖かったのだと思います。人の心より恐ろしいものはない、そう知った小説です。短編集ですので、高校生の私にも読みやすく、松本清張さんと言えば、私はこの黒い画集が断然お勧めです。 見開きのページに、松本清張さんの小説はどれも、実際にあった現実の事件をもとに書かれたノンフィクションに近いフィクションです、と説明書きがあり、高校生だった私には、世の中、こんな事が現実にあるのか、と恐ろしく、読んだ日は興奮で寝付けませんでした。衝撃の順番ですが、私は「坂道の家」「遭難」「天城越え」」「証言」の順番です。 「坂道の家」は、真面目一筋に生きてきた初老の男性が、たまたま店に訪れた一人の若い女性に溺れ、あっと言う間に人生のすべてを失う話です。高校生の私にはかなり衝撃でした。いかりや長介さん、黒木瞳さん主演のテレビドラマも見ました。 「遭難」は、自然現象を利用した完全犯罪の話です。他人から見て許せる事でも、自分にはどうしても許せないと思う事があるものです。人の心は誰も(自分でさえも)どうすることもできない、そんな恐ろしさを描いた作品です。 「天城越え」は、何度も映画化されている名作です。娼婦、土工、少年の3人が、ある日天城峠で出会い事件は起こります。少年の純粋な恋心が胸につきささります。 「証言」は、1つの嘘を隠す為に次々と嘘を重ね身を滅ぼしてゆくサラリーマンの話。最後は恐ろしい結末に。 | ||||
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松本清張の本のなかでも、評価が高かった本書を購入しました。 読み始めるとやめられません。ぞくぞくする恐怖感が湧き上がります。 いい文章なのでしょう。 犯罪の手口自体に関しては、そんなに、「アッ」というほどのものはありません。 いつもの「完璧すぎるアリバイはそれ自体がおかしい」というところから、謎解きが始まるので、おおよそ、犯人が推測できるのも事実です。 しかしながら、清張の良さは、犯罪の手口のあざやかさにあるのではなく、その心理の描写にある。 だからこそ、時代を超えて読み継がれているのだ。 お勧めします。 | ||||
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松本清張の本のなかでも、評価が高かった本書を購入しました。 読み始めるとやめられません。ぞくぞくする恐怖感が湧き上がります。 いい文章なのでしょう。 犯罪の手口自体に関しては、そんなに、「アッ」というほどのものはありません。 しかしながら、清張の良さは、犯罪の手口のあざやかさにあるのではなく、その心理の描写にある。 だからこそ、時代を超えて読み継がれているのだ。 お勧めします。 | ||||
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本書に収められた「事故」の、他の松本作品にも共通する特徴は2つあるように思う。 ひとつは「事件篇」と「解決篇」の大きく二部にわかれていること。 もうひとつは、完全犯罪と思われ、捜査が行き詰まりをみせたかに思われる事件が、予期していかなかったほんのわずかな糸口から綻んでくること。そうして糸口をとらえられたが最後、捜査員が一気に真犯人のもとに殺到し、その予感とともに作品があさやかに幕を下ろすのである。 この手法は「鬼畜」など、他のいくつかの優れた短篇の松本作品にもみられるように思う。 「事故」はこれら構成上の工夫のほかにも細々とした細工がなされ、そのひとつひとつになるほどと頷かされるところにも読み進めていく醍醐味がある。「事件」は著者の工夫や意匠に知の部分で共鳴する。対して「熱い空気」は女性の嫉妬を軸に共感をあおるトーンになっている。 たしかにテレビ向けは「熱い空気」のほうだろう。だが僕は本書なら「事故」のほうを推す。また、酒井順子の解説はいわずもがなの典型で、せっかくの余韻が覚めるので読まない方がいい、と付け加えておきたい。 | ||||
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真相にじわじわと近づいてくる推理の足音に戦慄する犯人。身の破滅と分かっていながら、何かに魅入られたように人生を転げ落ちてゆく男。など、登場人物の心の動きをつぶさに追い、心のうちを鋭くえぐり出して行く清張サスペンスの醍醐味が堪能できる中・短篇集。昭和33年(1958年)から34年にかけて書かれた作品が収められています。 「遭難」「証言」「天城越え」「寒流」「凶器」「紐」「坂道の家」の七篇。ロアルド・ダールの短篇を彷彿させる「凶器」も面白かったけれど、最初と最後の二品が格別、スリリングな読みごたえがありましたね。鹿島槍(かしまやり)遭難の表面上の事実の裏側にある真実が、次第にあぶり出されてくる「遭難」。若い女に溺れて、人生の坂道を一気に転落していく男を描いた「坂道の家」。これぞ清張!とでもいう迫力とサスペンスに満ちていましたね。 本作品集のマイ・ベストは、「遭難」。遭難の出来事の裏に秘められていた真の意味が、徐々に浮かび上がってくる緊張感に、たまらないサスペンスの妙味を感じました。読み進むうちに、ぐいぐいと引き込まれていった中篇(文庫で130頁)。山岳ミステリーの名品ではないでしょうか。 | ||||
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真相にじわじわと近づいてくる推理の足音に戦慄する犯人。身の破滅と分かっていながら、何かに魅入られたように人生を転げ落ちてゆく男。など、登場人物の心の動きをつぶさに追い、心のうちを鋭くえぐり出して行く清張サスペンスの醍醐味が堪能できる中・短篇集。昭和33年(1958年)から34年にかけて書かれた作品が収められています。 「遭難」「証言」「天城越え」「寒流」「凶器」「紐」「坂道の家」の七篇。ロアルド・ダールの短篇を彷彿させる「凶器」も面白かったけれど、最初と最後の二品が格別、スリリングな読みごたえがありましたね。鹿島槍(かしまやり)遭難の表面上の事実の裏側にある真実が、次第にあぶり出されてくる「遭難」。若い女に溺れて、人生の坂道を一気に転落していく男を描いた「坂道の家」。これぞ清張!とでもいう迫力とサスペンスに満ちていましたね。 本作品集のマイ・ベストは、「遭難」。遭難の出来事の裏に秘められていた真の意味が、徐々に浮かび上がってくる緊張感に、たまらないサスペンスの妙味を感じました。読み進むうちに、ぐいぐいと引き込まれていった中篇(文庫で130頁)。山岳ミステリーの名品ではないでしょうか。 | ||||
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「事故」 日常のちょっとした秘密が殺人を招く。 清張さんの作品は決して遠い存在の事件じゃないところに面白さを感じます。 この作品も無難な感じで仕上がってます。 もう一編の作品は 「家政婦は見た」的な作品ですね。 女性の嫉妬心は怖い・・・。 | ||||
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「事故」 日常のちょっとした秘密が殺人を招く。 清張さんの作品は決して遠い存在の事件じゃないところに面白さを感じます。 この作品も無難な感じで仕上がってます。 もう一編の作品は 「家政婦は見た」的な作品ですね。 女性の嫉妬心は怖い・・・。 | ||||
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酒井順子氏の解説で、2編収録されている。 2編目、熱い空気 というのが家政婦はみたシリーズの原作 とおもわれる作品である。あまりの下世話度に少々ショック、というか 食傷気味になった。女性誌の連載風であるが、 よく巻末をみたら、なんと『週刊文春』昭和38年4月から 7月の連載であったそうだ。 当時相当愛読者が多かったろう。今でもこんな話はかけそうである。 内容自体はまったくフルさを感じさせない。 さしずめ、現代の林真理子さんあたりが、この作風に似ていやしないか。 自分で書きながらへんに納得をする私である(酒井順子ふう?)。 | ||||
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イイ!!短編を収録した一冊。 殺人に至るまでのプロセスが、人間的で黒くて素敵だ。 子供のときに読んだとしても、この小説の根底は分からなかったはず。 トリックを見破るとか、そういう類の構成ではない。 事件に至る過程の人間の心を描写した物語なので “大人”向けの作品に仕上がっている。 人を愛したことがない人にはこの作品の良さは分からないと思う。 これは主に男女の愛(不倫が多い)をモチーフにした短編集だ。 読んでいて、愛情の微妙な掛け違えが生む不幸に 「それはあり得ることだよね」と同意できるのなら、 この物語において手を下した人物たちを批判することはできないと思う。 収録作品では『遭難』が一番好きだ。 何が起こるのだろうかと、わずかなページのなかでドキドキさせられる。 江田槙田の心理的駆け引きが見事。 次点が『坂道の家』。 キャバクラや風俗がアングラ商売として大きなマネーを握っているのは、 この作品当時(昭和35年)から変わっていなかったのだろうか。 この文化は続くのだろうか。この寺島のような男がいる限り。 殺意のきっかけは、日常の中にある。 | ||||
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イイ!!短編を収録した一冊。 殺人に至るまでのプロセスが、人間的で黒くて素敵だ。 子供のときに読んだとしても、この小説の根底は分からなかったはず。 トリックを見破るとか、そういう類の構成ではない。 事件に至る過程の人間の心を描写した物語なので “大人”向けの作品に仕上がっている。 人を愛したことがない人にはこの作品の良さは分からないと思う。 これは主に男女の愛(不倫が多い)をモチーフにした短編集だ。 読んでいて、愛情の微妙な掛け違えが生む不幸に 「それはあり得ることだよね」と同意できるのなら、 この物語において手を下した人物たちを批判することはできないと思う。 収録作品では『遭難』が一番好きだ。 何が起こるのだろうかと、わずかなページのなかでドキドキさせられる。 江田槙田の心理的駆け引きが見事。 次点が『坂道の家』。 キャバクラや風俗がアングラ商売として大きなマネーを握っているのは、 この作品当時(昭和35年)から変わっていなかったのだろうか。 この文化は続くのだろうか。この寺島のような男がいる限り。 殺意のきっかけは、日常の中にある。 | ||||
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「黒い画集」シリーズは週刊朝日に連載されましたが、一篇の紙数や連載期間に制約がなく、松本清張が自由に執筆できたという有名なエピソードがあります。その結果、この作品集は松本清張の推理短篇集として最高の作品集になりました。有名な名作「天城越え」も収録されています。とりあえずこの巨匠の真髄に触れたい方にお薦め致します。決して損はしないでしょう。 | ||||
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