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あなたが消えた夜に
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あなたが消えた夜にの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全50件 21~40 2/3ページ
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評価が低い方々と同じ意見です。登場人物の刑事自体、とても魅力的で最初は読むのを止められない感じでしたが、犯人の「手記」によって事件解決??つまらなくて投げそうになりましたが、一応、最後まで読みました。結局、犯罪の原因は親・環境というのはリアルな世界でもそうでしょうが、登場人物が異常すぎませんか、、やれやれという感じ。地道な刑事ものだと思って読んだら裏切られます。 | ||||
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新聞に連載されていたときに本当のリアルタイムで読んでいました。 当時は一日ごとの展開なので、複雑な関係を理解できなかったのですが、今回文庫本(気になった作品は文庫化されるまで購入を待つ主義です)で一気読みして、ようやく事件のすべての概要が理解できました。 ・・・もしかして俺ってアタマ悪い? で。この作品を読み進める原動力(個人的に、ですよ)は、主人公の相棒、小橋さんです。 所轄の刑事である主人公(推定35歳、バツイチ独身男性)につけられた警視庁捜査一課の小橋さん(推定25歳、女性)。捜査の際、所轄と警視庁捜査一課とがコンビになるらしい。 この小橋さんの容貌、ほぼ最初に主人公の口から「美しい」と形容されてます。読んでいるうちに他の登場人物の証言からも、美人さんなのが間違いないことが確認されます。 で。この小説自体はすごく込み入った、わかりにくい、でも気づくと理解できるんですが、そこに小橋さんが入ることで、いい緩衝材になるんです。重い事件を扱っているのに、小橋さんの言動で笑える(いや、本当に)。 途中、小橋さんが結構長く出てこない場面がありますが、それは別の興味をかきたたせるので、読み進むのに支障はありません。でも、小橋さんが戻ってくると、ほっとするんですけどね。 というわけで、僕は新聞連載中、小橋さんに恋をしました。 小橋さんに再会したいがために、この文庫本を買いました。 しかしね。「おまけ」も含めて、小橋さんは中島(主人公)のことをどう思ってるんでしょうね。そこらへんの小橋さんのわからなさが、逆にこの作品の良さなのを認めるのがつらい。 | ||||
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作者のファンで 今までの本は読んでます 何か内容も普通で これなら他に 良い刑事物ありますね 個人的に この作者n短編は つまらなく読めませんが 長編には 期待してるので 今回は微妙でした | ||||
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250頁あたりでドラマが急変、急展開。でも、結局は精神異常者の話。そっち方面に逃げると、話が途端に嘘っぽく、つまらなくなる。 だって、精神異常とか心の闇みたいなところには、幾らでも逃げられるから。幾らでも現実離れしたストーリーにすることが出来る。クリエーターとしてずるい。 だから、こういう展開になるといつもため息をつきながら読み進めることになるのだが、本書は正直、全く興味が持てなかった。結末にも全く関心無し。 430頁もあるが、380頁くらいでやめても全く後悔なかっただろう。まあ、我慢して最後まで読んだけれど、「????」だった。こりゃダメだ。 | ||||
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長い語り(独白の部分)がとにかく圧巻で、非常に引き込まれる。 全編通して感じたのは、文体や語り口の変化が乏しいかな。登場人物の語りがどうしても人物を通してというより完全に作者が語っている印象になってしまい、内容は魅力的なのに少し感情移入しづらいと感じた。 人物それぞれの人柄に応じた細かな言葉遣いの使い分けがとても甘いと感じる もう僕を味わうな、この表現に絶望感の至高の到達点をみた 中島と小橋さん人柄の成り立ちや二人の関係性をもっと緻密に描いて欲しかった。 とくに二人の言葉遣いから些末だが不自然なアラというか違和感が目立つ かわいい、茶目っ気がふっと和ませてくれる。ただキャラクターの設定にムラがある 性格というより変に意味もなく失礼なこといったり、無意味に思える言動が目立ってそこは少し不快。 口癖であるほお、とか、序盤で中島に食ってかかるときとか、それにはちゃんとした理由があったんだと思わせてくれるような描写が欲しかった 中盤でお互いが子どもの頃のことを打ち明ける機会があるんだけど、 そこで2人の抱える問題は安易に片付けた感がある。 とくに中島の過去は何度も現在に割り込んで彼を苦しめる 事件全体と絡めて終盤で彼の心情やトラウマがどのように変わっていくのかをもっと丁寧に描いて欲しかったと思う だけど、人の暗部に迫る心理描写や出来事を紐解く圧倒的な描写には非常に満足できました。 謎を解いて犯人を特定するだけのミステリーだったらさほど読みたいと思わない 、犯人がなぜ、どうして、そこに至ったのか、それを余すところなく伝えてくれたことで作品への根本的な満足感は充分すぎるほど得られた。 | ||||
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芥川賞受賞の人気作家・中村文則さんの長編作品。話題作『教団X』発表後、最初に出版された単行本になります。 まず読んで思ったのは、以前中村さんが書かれたミステリー小説『去年の冬、きみと別れ』に少し似ているなということでした。本作も犯人を追う人間の視点と、犯人の視点(手記)が混在したミステリーだったからです。 主人公は警察の刑事。昔の作品とは違い、今度は追い詰める方が主役です。彼は謎の連続通り魔〈コートの男〉の捜査を、相棒になった警視庁捜査一課の新人女性刑事と共に担当します。 大勢の読者が対象の新聞連載だったこともあってか、相棒の女性刑事はキャラクター小説風の天然ヒロインになっています。これは、初期からの読者からすると信じられない作風の変化だと思います。 一方で、新しさが加わっていると思ったのは、警察という大きな機構を扱うことで、無数の人間の利害の交錯する組織という存在を描いている部分でした。(作中に何度も『システム』という言葉が出てきます) これは作者の問題設定が、個人から社会へ変わっている証拠かもしれませんね。 全体としては、軽い文章のミステリータッチの作品でとても読みやすかったです。でも、初期作品のファンとしては『銃』や『遮光』が少し懐かしくもありました。 しかし、物語後半の、真犯人の男が発狂してゆく様を描いた手記の部分はさすがですね。 やっぱりいつもの暗黒な中村さんだな、と納得しながら手記の章は一気に読みました(笑)。 ミステリーのエンタメ性と純文学のハイブリッドという、日本ではあまり書かれない、とてもユニークでおもしろい作品だと思います。 中村作品をまだ読んだことのない、でも純文学は気が進まないというミステリー好きの人は、イヤミス感覚で読めるのではないでしょうか? | ||||
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『あなた』の正体がわかったとき、グレアム・グリーンの『情事の終わり』(超名作!)で謎が解けたときに感じたのと同じ、驚きと喜びを覚えました。 純文学のようであり、上質のミステリーであり、恋愛小説のようであり、どれにもひとくくりにできない。中村文則作品としか言えない。 人物一覧でいちいち確かめないと覚えきれないほど登場人物が多すぎて、そのたび読書が中断されてしまったのが残念でマイナス1。 | ||||
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推理小説、ミステリー小説好きなので、純文学と知りつつついつい読んでしまいました。 純文学としての評価はどうなのかわかりませんが、ミステリーとしては十分楽しめました。 | ||||
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「掏摸」「王国」のような、エンタメ路線回帰かなと思わせるような展開で、登場人物のキャラ立ちもしていて良かったです。前半は。 後半は、最近の傾向のもっさりとした自己内省が大半を占めるようになり、最後は冒頭にばらまいた魅力的な伏線も回収せず収束。 ミステリー設定の甘さは仕方ない、にしても。にしても……読後にモヤつきまくりでした。 堂々めぐりする青年の苦悩の文章には、時代錯誤感を覚えます。 ドストエフスキーを意識しているとのことですが、不器用で行動原理不明の登場人物の内省に付き合わされ、ただ疲れました。 次回作に期待します。 | ||||
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一気に読み終わった後、表紙の模様が「火を点けて燃やして、端が焦げてしまった紙」のように見えました。 この表紙デザインは、椎名めぐみの墓の前で燃やされた二冊の手記と関係あるのでしょうか? もしかして「あなた」は、神ですか? 本文中に何回も登場する「太字のセリフ」を語る人、「あなた」なんでしょ?神さま。 「黙れ」 そういうセリフは、神さまからしか出ない言葉。 昔はホステスだった、今は痴呆の椎名啓子、めぐみの母が言うセリフではないです。 目撃者は「コートの男」と言いました。しかし「コートの女」ではないとする根拠はありますか? いったい「コートの男」とは、誰なんですか?最後まで読んでもわかりません。 刺す相手は誰でもいいのが「通り魔」なので、この本の殺人を「通り魔」の犯行と決めつけた理由は、何ですか? 『罪と罰』のポルフィーリイのような名探偵は現実にはいない、と著者は言います。 著者なら、そのような万能の名探偵を簡単に創り出せるじゃないですか? 本書末尾で、その名探偵に、犯人は「あなた」だ、と言わせてほしい。 ラーストシーンで科原さゆりの最後の言葉。「携帯電話をつかみ、震える声で電話に出た。」 なんなん、こんな終わり方。新しい小説の「始まりのセリフ」でしょうが。 本署をすっきり終わらしてほしかった。 本文で、旧約聖書の「生きよ」という一節を引用し、あとがきで「共に生きましょう」と書く著者の意図は、何ですか? 「書く」ことは罪ですか?「書く」ことの罰は何ですか? 本書を読み終わったボクの、こんなにも、たくさんの疑問。 自分なりの「答え」を探して、本書を再読中。 追記: 原作で、新聞の挿絵を描いたゴトウヒロシさんをインターネットで検索して挿絵を見ました。本書のあとがきに「絵に感化されて書いたシーンもあった」と著者が書いていたからです。確かに、挿絵というやつは、原作者のイメージにかなり影響するだろうな、と納得しました。実際の捜査では、犯人像から人相書きを描くことがありますが、かなり危険なことです。犯人を取り違えるリスクがあるし、真犯人を取り逃がす可能性があるからです。この意味で、本書から挿絵を削除したことは賢明だったと思いました。 | ||||
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罪と罰のような話。 難しいテーマを複雑な構成で深く、でも分かりやすく書かれています。 ミステリー仕立てがなかなかうまく生きているのではないでしょうか。 昔から今も、こういう小説が読みたいんだよなあとあらためて思いました。 伊坂幸太郎さんや角田光代さんとどこか共通するものを感じます。 | ||||
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中村文則さんを読んだのはこれが3冊目で、前の2冊は文学の方。だからミステリー作品はこれがはじめてです。 最初の方は刑事物らしく、次から次に謎また謎で、これはいったいどうやって解決するのかとドキドキするんです。ところが、話が進むにしたがって文学か心理小説的になっていく。そして全ての謎はまあ一応解決するけど、なんつうか解決の仕方が刑事物らしくない。こういうものは最後に刑事が「犯人はあなただ!」と名指すのが定石だろうと思うんだけど、刑事がそこに至る前に、実に純文学的な方法で事件が解決する。 心理小説としてはとても面白いんだけど、そんなら刑事はいらなかったんじゃ?主人公は刑事なのか犯人なのか、ミステリーなのか文学なのか迷う作品でした。 | ||||
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当時、毎日新聞をとっていたため、毎回結構楽しみにして読んでいました。 今回単行本となり、買ってあらためて読んでみました。 正直言っていまひとつです。 この作者の作品を読んだのは2つ目ですが、同じような感想です。 物語が表面的で浅いです。 きわどいテーマを描きたいのであれば、もっと読者の心を深くえぐるような、描写や表現が欲しいです。 そこは小説家の力量だと思います。 例を挙げれば、現時点では阿部和重には遠く及びません。 新聞連載にはもってこいの物語でしたが、新聞連載のイラストがよかったのでせめて単行本でも載せてほしかったです。 | ||||
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純文学作家がミステリー小説へ挑戦した今作だが、ミステリーとしては成立しておらず、純文学としても散漫な印象。 中盤から視点や書き方の印象ががらっと変わり、展開が不明。 ひらがなが多くスムーズに読みやすいが、内容に乏しい。 | ||||
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まず、内容が重すぎて正直胃もたれする感じでした。 また、登場人物が多すぎて、誰が誰だか分からなくなるのも大変でした。 最後の犯人の独白(手紙の部分)は、読むのがキツかった。 これでもかと人間の狂気を突き付けられるので、後味が悪すぎる。 純文学や重たい話が好きな方に合ってる作品ではないかと思います。 | ||||
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前半までは、「これは本当に中村作品なのだろうか」と、不思議に思いながら読んでいたが、 後半……「来たー!」(笑) これぞ中村文則!一気に読んでしまった。 中村さんの自問自答を繰り返す独白が大好きだ。胸の奥のどろどろしたものを全て掻き出してくれているようで、すっとする。 読み終わったあと、心が洗われたような気分になる。 こんな自分も歪んだ人間なのだろうが、中村作品を楽しめる自分で良かったと思う。 小橋さんも良い味出してる! こんな作家がいてくれることに感謝。 | ||||
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ミステリー小説でも警察小説でもない。日本のドストエフスキーたらんとし、その可能性が十分にある作家が書いた思想的な作品である。 中村作品はドストエフスキーの『罪と罰』から最後の『カラマーゾフの兄弟』まで、五長編小説を土台に刻み込んでいる。 本作品は、特に『罪と罰』が底流に音を立てて流れている。 また、本書に採り入れられているが、旧約聖書「エゼキエル書」(十六)も参考になる。 構成は一、二、三部、エピローグとなっている。登場人物が多く、いわゆる「多声部小説(ポリフォニー)」であり、人物関係が多層的に 表現されている。作者自身の複雑な心理が各登場人物に分配されている。 「エゼキエル書」の「姦淫の女」三人を中心に物語が進展していく。 夫の暴力から身を持ち崩していく横川佐和子、精神科医から洗脳され多くの男と関係を持つ椎名めぐみ、愛に生きたいが押し通せない 科原さゆり。それぞれ不幸な出自がありもがき苦しんでいる女たちを取り巻く巷の男たち。 そして、殺人、傷害事件が数件発生する。 警視庁のバツイチ刑事、中島(本人も出自に不幸をしょっている)とエリート女刑事、小橋が、警察組織に翻弄されながら事件解決に 奔走する。複雑な人間関係や事件の全貌は熟読しないと理解できない。 しかし、これらの事件は物語のさわりにすぎない。 中島が過去に取り調べた男(野川)から、「人間の堕落の不思議は語れない」「真実はいつも表層に隠れる」と嫌味を言われる。 すなわち、罪を犯した人間の深層心理まで解明されようとしないで「真実」はわかりやすさの中で語られていく。 小説の後半は「堕落の女」と男たちの関係が明らかにされ、「真実」(各登場人物の深層心理、犯罪の動機、手段等)が解明されていく。 「真実」の解明のなかで、「神の存在」について吉高亮介と椎名めぐみに語らせる。『罪と罰』のラスコーリニコフとソーニャの ように。「だが、それで神はきみに何をしてくれた」「だって、わたし神さまの御意(みこころ)を知ることはできませんもの・・・・」 そして、予審判事のポルフィーリーがラスコーリニコフに「自殺するつもりなら告白文を数行残しておけ」と云った如く、 吉高亮介は、「あなたが消えた夜に」すなわち「あなたに見捨てられた夜」に、燃やして「天」から「神」に届くようにと「手記」 を二通残して自殺をする。「あなた」の意味は「神」であり「めぐみ」でもある。 「神はすべてを見ながら、なぜ世界は悲劇にまみれているのか」「神はよそ見をしている」と吉高に言わせる。 神はありやなしや。人間の幸福は、小さな幸福を分かち合うことなのか、不幸をともに分かち合って生きることなのか。 一人では生きていけない。「もう一度、誰かのやしさに触れたい。生きていきたい。」と科原さゆりは中島刑事の携帯電話に 出ようとしている。 全編を通して「愛」について、「神」について考えさせる感動的な小説である。 中村文則は『銃』からますます進化している。中島と小橋両刑事の「愛」はどうなるのだろう。 | ||||
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ジョン・ル・カレのスパイ小説がそうであるように、優れたエンターテイメント小説には文学の薫りが漂っている。 作者初の刑事ものである本作は、ほどよい緊張感と舞台転換が合わさって、良い出来に仕上がっている。 多分、単体としての評価は満点でも良い。 しかし、中村ワールドに親しんだ読者にとっては、大きな不満が残る。 文体に変化がないのだ。 この間の作品には、文体上の斬新さがない。 あえて文体という迷路を避けているのだろうか。 | ||||
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魅力的。実に魅力的な謎が、次々と、これでもかと、これでもかと、襲ってくる。お決まりの人物のトラウマ、悲劇的な過去のエピソードあり。キリスト教の狂気的な雰囲気あり。主人公たちのあり得ないほどに面白い会話あり。5分の4までは、何百冊に及ぶミステリ読書歴の中でも、トップ級の面白さ。登場人物が複雑になってきたところで、初めて登場人物一覧が出るという、気配りもただただ感心! それだけに、ラスト5分の1の、脱力系解決編は、驚異的といえるほど。登場人物が次々と、なんでこんなことするんだろう? と独白するんじゃ、そりゃ、謎になるわ。犯人の心理も、作者が頑張りすぎちゃって、理解不能。感情移入不能。新聞の連載小説と知って、なるほどと。毎回、毎回、楽しませなくちゃいけないものね。でも、5分の4まで、最高に幸せな読書時間をいただけたので、星4つ。幸せな時間をありがとうございました。 | ||||
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この小説は、一つ前に出された小説「教団X」の後半とほぼ同時期に書かれており、その為いくらか互いに影響しあっているように感じる。 「教団X」の方は作者にとって最も長い長編小説となっており、大きな試みをしているためか、少々無理があるように感じたが、 この「あなたが消えた夜に」はとてもスムーズに読め、こちらの関心を捉えて放さないような強い吸引力がある。 ミステリーとしての魅力を十分に備えていながら、人の暗部や生きることへの強い希求など、人間というものの存在意義を問いかけるような強い テーマ性を有している。 主人公といえる刑事の中島にある暗く重い罪の十字架、共に事件の捜査にあたる小橋の人生を大きく変えたつらい過去の記憶、そして事件に関わった人間たちが与えられた神の悪戯のような運命、それらのエピソードの重々しさと痛みは、私たち読者の傷の痛みを撫でていく。 最後の最後、救いようのない現実にやるせなさを感じ息苦しさを覚えたとき、最後の一行によっておそらくあなたは救われるだろう。 中村文則氏の小説には、常にほの暗い翳がつきまとう。 それは光が存在するとき、必ず存在する影のようだ。 その影が暗ければ暗いほど、光の美しさは際立つ。 人間の暗部を描けば描くほど、彼らが求める光、生への渇望が際立っていく。 私は過去、いつも「死にたい、死にたい」と考えていた。 しかし、この小説を読んで、それは逆に「生きたい、生きたい」と願っていたのかもしれないと気づかされた。 中村氏はいつも、小説のテーマに悪や孤独を置いていると感じていたが、なぜそれを執拗に描くのか考えていたのだが、 この小説を読んでいると、それは生への希求なのだと思わされた。 私は一度、氏の「何もかも憂鬱な夜に」で、この生きづらさから救われたのだが、 今回もまた、この「あなたが消えた夜に」で救われたような気がする。 氏はいつも、あとがきの最後に、「共に生きましょう」と書いてくれる。 私はいつもそれをお守りのように大切にしている。 夜に、人は朝を望む。 明けない夜はないはずだ。 私もまた、朝に向かって共に生きてみよう。 これからも、中村文則氏が書き続ける小説を読み続けよう。 | ||||
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