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峠越え



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【この小説が収録されている参考書籍】
峠越え

峠越えの評価: 3.92/5点 レビュー 39件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.92pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全25件 21~25 2/2ページ
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No.5:
(4pt)

己の凡庸さを自覚していたからこそ乗り越えられた「切所」の連続

桶狭間・姉川・三方ヶ原・長篠といった生き残りを賭けた激しい戦闘や、妻子の処断を求められた信康事件などにおいて、生殺与奪の権利を握っている信長の鋭利で非情な知略に家康は何度となく翻弄されながらも、どうにか薄氷を踏む思いで生き残ってきた。
しかし武田が滅び信長にとっての緩衝地帯としての意義を失った家康は、少数の家臣と共に信長に呼び出され安土から京、堺へと連れ回されるうちに信長の真意に気づき始めるのであった…。

本能寺の変の成り行きに著者なりの新たな推理が加わった作品。「峠越え」とは本書の最後の伊賀越えだけではなく、家康の前半生の苦しい「切所」(=難所)の連続を指している。それを乗り越えられたのは家康に才能があったからでは無く、己の凡庸さを自覚していたからこそと著者は強調している。本能寺の変前後の推理構成にはやや無理を感じるが、それ以外の場面の史実を重ねたリアリティ溢れる心理描写が緻密で、登場人物の実像がまざまざと浮かび上がってくる。
峠越えAmazon書評・レビュー:峠越えより
4062187639
No.4:
(5pt)

家康の前半生を真っ向から描いた力作

本書は、徳川家康の生涯屈指の正念場と云える伊賀越え(本能寺の変で混乱する畿内から三河本国への脱出行)をクライマックスに置きながら、桶狭間、姉川、三方ケ原、長篠などの過去の戦を振り返る場面を挟んで、家康の前半生を描き出している。家康本では後半生がメインとなることが多い中で、家康の人生観や人物像がこうした前半生において構築されたという解釈でのストーリー展開は正攻法な人物伝として完成度が高い。

家康の人生と云えば「重荷を負いて遠き道を行くが如し」が広く知られており、明らかにそこを狙った「峠越え」という題名は何度も台詞としても登場することから、著者の真剣勝負な気持ちが伝わってくるものであり、かつその意気込みに恥じぬ出来映えと高く評価したい。前半では、よく似た意味合いで「漬物石」という言葉が登場する。今川、織田、武田と常に列強の圧力で人生どころか自分や家族の命も侭ならぬことを嘆く家康というのは、家康本の中でもかなりネガティブシンキングで面白い。そのネガ家康が、いつしか「峠」という言葉に言い換えを始めていく。そう、峠は越えれば次の展開があるし、自身の足で越えていけるのだ!弱い凡人という自分像をいつしかポジティブに捉え、峠だらけの遠き道を歩み出す家康の生き方は、現代の読者にリアリティを以って伝わるものがある。(山岡版でのキーワードとも云える欣求浄土は本書では登場しない。平和を求め忍苦を重ねる家康は戦後日本の終身雇用モーレツサラリーマンの共感を得たのとは好対照)

そうした真っ当な家康の前半生を描きつつも、著者の面目躍如なところで実に面白いストーリーをかましている。正直ラストの仕掛けはリアリティを欠く気もするが、家康@ネガシンから見た信長という描写はとても面白かった。この信長像は、彼の家臣達を主人公とした短編集「王になろうとした男」にも通底するところであり、本書に大きく厚みを与えているところでもある。

そして、いつもながら、著者は脇役の描写が上手い。雪斎師の使い方しかり、家康に主君とも思わぬ言葉遣いをしながらも三河武士らしい忠義を尽くす家臣達のキャラ立ちがあってこそのラストの伊賀越えのスリリングな展開だろう(この辺は、案外と山岡版を踏まえていたりするのが意外だが面白い)ほとんど登場しない秀吉と合わせ、ポスト本能寺から小牧長久手、更には関ヶ原へと続く遠き道を更に描いて行って欲しいと期待させられる出来栄えだ。
峠越えAmazon書評・レビュー:峠越えより
4062187639
No.3:
(5pt)

家康の切所とは

割とマイナーな武将が主役の多い伊東潤先生ですが今回は徳川家康との事でちょっとびっくりしながら読みました。
武田家滅亡後の1582年4月から物語は始まり回想シーンを挟みながら運命の6月へと向かっていきます。
物語の所々で「切所」というキーワードがでてきます。この切所を見極め、峠を乗り越えたからこそ家康は天下を取る事ができたのでしょう。

今回も伊東潤先生ならではのダイナミックなストーリーと本多重次や太原雪斎など名脇役が健在で一気に読み進める事ができました。
そして毎度お馴染みの感もある嫌な奴キャラもちゃんと登場します(笑)

この本を読んでから著者の「虚けの舞」や「戦国鬼譚 惨」を読むとより一層楽しむ事ができると思います。
峠越えAmazon書評・レビュー:峠越えより
4062187639
No.2:
(4pt)

人生訓となる

徳川家康が何故、人質という領主として最低の立場から、征夷大将軍にたどり着けたのか、今から考えると不思議なことです。偶然の他、本人の忍耐や三河武士のような優れた家臣団の存在など様々な視点から多くの人が描いてきました。
 伊東さんはユニークな視点で歴史を捉える好きな作家でしたので、家康をどのように描くのか興味を持って読みました。今川家軍師の雪斎の遺言を基に人生を切り開いていき、伊賀越えを達成するまでを描いており、その後の上昇を示唆して本書は終わります。
 三方原の戦いなど歴史のイベントのたびに、家康の心の中での自問自答を作品の中心にもってくるスタイルは大変面白く読みました。ただ、歴史のイベントで桶狭間の戦いや本能寺に家康が黒幕として関与したとのストーリーはやりすぎと思い、星マイナス1としました。
 しかし、「凡庸でなければ超えられない峠がある。」など家康が道しるべとした雪斎の言葉は凡庸な私には伝わってくる言葉です。本書では雪斎が家康に遺言を残す場面が山場です。家康の人物を分析し、今後の時代の予想とそこでの身の処し方を伝授します。家康はそれを拠り所としていくのですが、最後に雪斎が自分自身に向けた悲痛な言葉が印象的でした。皆さんはいかがでしたか。
峠越えAmazon書評・レビュー:峠越えより
4062187639
No.1:
(5pt)

天下人家康に挑む伊東潤

注目作家、伊東潤の最新作。
なだたる有名作家が書き尽くした「徳川家康」を著者独自の視点で捉えた歴史小説。
家康の最大の危機、伊賀越えをメインにして、苦悩の日々を所々に回想として挿んでるのが面白い。
さらに、家康と信長のやり取りや家康のつぶやきが笑えました。
「峠越え」とは様々な問題を乗り越えて現代社会を生き抜かねばならない我々への道しるべではないのでしょうか?
峠越えAmazon書評・レビュー:峠越えより
4062187639

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