義烈千秋 天狗党西へ
- 幕末 (129)
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表題のとおり、重い物語です。幕末の知られざる歴史を活写して私の知らなかった水戸藩の幕末の状況を教えてくれました。ただ、面白いと言うにはあまりに悲惨な歴史です。水戸藩の武家の内ゲバはすさまじく、有為な人材が殺し合いを続けたあげくに藩士の半分以上(数字忘れましたが本書末尾に書かれてます)が無力化されてしまう様子は凄まじすぎます。日本の明治維新は流血少なかったように思っていたのですがとんでもない、フランス革命のような抗争と流血があったのですね。立派な作品ですし、読者に伝えようという作者の意欲と配慮も感じますが、やはり理解しにくいのは作者のせいではなく、天狗党の騒動そのものが訳が分からない、時代の変動の荒波に翻弄された人々の一連の動きであったせいです。よって速読は難しく、丁寧に時間をかけて読むべき本です。なお、ネットでWikipediaなどを見ながら、また、読後に同じ主題を扱った山田風太郎の「魔群の通過: 天狗党叙事詩」を読むと、天狗党の争乱がより分かりやすくなりました。伊藤潤さんはコンサルタントから転じた小説化でしたよね。視点と主題への切り込みが鋭く、私たちが表面的にしか知らなかった史実にスポットライトを当て、歴史の中に埋もれそうな、でも埋もれてはならない厳粛な事実を教えてくれる好きな作家です。 | ||||
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サイズが小さく文字だらけでしたが、内容は良かった。 | ||||
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この人は時代考証本を何冊も書いているくせに、時代考証が出鱈目。 女が三つ指を突いているのがNG。三つ指を突くのは、そもそも吉原の遊女が始めた作法で、極めて不作法な挨拶とされる。両手を「ハ」の字状にして掌をしっかり床に着け、額を床すれすれまで下げるのが最も礼儀正しい作法。三つ指を突くのが丁寧な礼儀だと思い違いをしているとしか思えない。 江戸時代は年を取るのは正月で、誕生日ではない。それなのに、誕生日に年齢を重ねたように書いてある。こんなのは時代小説作家には常識のはずで、呆れ果てた。 その他「武骨」と書くべきところを「無骨」と書いている。「無骨」だと「無作法で無礼」の意味。 「天領」は明治五年の『和英語林集成』の造語で「天皇領」の略。幕府直轄領は「御料」「公領」でないと。 その他、時代考証NGワードを列挙していくと、朱色・活躍・姿勢・否定・視界・展開(夏目漱石の造語)、無駄・暗礁(国木田独歩の造語)、協力(慶応四年(一八六八)の幕府御親征の詔の造語)、実力行使(林芙美子の造語)、憮然(福沢諭吉の造語。それまでは「意外な出来事に驚いて茫然とする」「失望してぼんやりする」意味)、唖然(織田純一郎の造語)、優秀(石川啄木の造語)、脱藩(明治二年の岩崎茂実の造語で、一般に使われるようになったのは明治八年以降だが幕末に使われている)、視線(松原岩五郎の造語)、緊張・情報・奇襲(森鴎外の造語)、冷静(徳富蘆花の造語)、提供・提案(伊藤博文の造語)、居場所・文句・蛻の殻(樋口一葉の造語)、厄介・説明(坪内逍遙の造語)、無視・疑心暗鬼・そっぽを向く(内田魯庵の造語)、図星(里見弴の造語)、反応(岩川友太郎の造語)、到底(『新聞雑誌』の造語)、原因(西周の造語)、甲高い(谷崎潤一郎の造語)、理由(山縣有朋の造語)、軍資金(染崎延房の造語)、連絡(末広鉄腸の造語)、処罰(明治二十二年の大日本帝国憲法の造語)、警護(萩原乙彦の造語)、交渉(日露戦争の宣戦布告の造語)、縁台(矢崎鎮四郎の造語)、空白・同じ穴の狢(高見順の造語)、農作物(明治三十七年の『英和商業新辞彙』の造語)、突破(矢野龍渓の造語。それまで「突破」は忍者の意味(突破・乱波・素破・透破など)、平行線(田中義廉の造語)、誤算・拍車を掛け(菊池寛の造語)、反論(伊福吉部隆の造語)、戸惑う(尾崎紅葉の造語)、苛立ち・普段(若松賤子の造語)、合流(小林多喜二の造語)、移動(井上哲次郎の造語)、宣戦布告・発展(中江兆民の造語)、捕縛(明治四年の『新聞雑誌』の造語)、戦線・前線(大日本帝国陸軍の造語)、反対(中村正直の造語)、逆光(渋沢秀雄の造語)、視力(奥山虎章の造語)、白兵戦(『風俗画報』の造語)、反芻(高木卓の造語)、一線を画す(正宗白鳥の造語)、信頼(徳富蘆花の造語)など、物語の三分の一までで、これだけ大量にあっては、しらける。 | ||||
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登場人物が多すぎる。把握しきれない。 あと、前半部分で気になったのは、地の文でほとんどのことを説明してしまっているところ。出来事を時系列に沿って、小説風の文体で羅列しているだけのところが非常に多い。その一つ一つを単なる解説ではなくて、エピソードとして描くことで多すぎる登場人物も把握できるようになるはず。 こういう書き方をするなら、地図のように、人物相関図をつける必要がある。 この作品は少なくとも初心者向けではない。 | ||||
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これ、本当におもしろい! 薩長史観(西南史観)でばかり幕末を読んできた私は、桜田門外の変、東禅寺事件、坂下門外の変、そして天狗党事件と繋がっていく幕末水戸藩の血で血を洗う内部闘争の歴史については、知っているようで実は深くは理解していなかった。 そこには、たしかに国の未来を憂う志士たちの熱い思いがあった。 史実として結果を知っているので、ひたすら破滅へと向かっていく登場人物たちの純粋でひたむきな情熱に、ただ胸が震えるばかりだ。 本作はそれを淡々と描いているようで、実は躰中の血が沸き立つほどに熱い。 著者のメッセージがたくさん盛り込まれている。 天保十年(1839年)の水戸藩家臣団名簿には、3,449人の名前が記されているのが、慶応四年には892人に減っているそうだ。 薩長土肥に先んじて尊攘思想が盛んだった水戸藩が、明治維新後の新政府に要人をほとんど輩出できなかった謎がここにある。 思いのあるたくさんの若き人材(人財)を失ったことは、日本にとって大きな損失だったはずだ。 争わず、異なる言葉に耳を傾けることこそ、未来への道だと改めて思った。 | ||||
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