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ポアロとグリーンショアの阿房宮
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ポアロとグリーンショアの阿房宮の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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本書『ポアロとグリーンショアの阿房宮』と 「よく似たタイトルの短篇にミス・マープルものの『グリーンショウ氏の阿房宮』(『クリスマス・プディングの冒険』クリスティー文庫刊)があるが、これは先に述べた教会のチャリティーのために別の機会に執筆された短篇で、両者の内容に関連性はまったくない」(164頁) 本書「解説」を書かれた(A)氏はキッパリ言い切ってくれました。 本書と「グリーンショウ氏の阿房宮(『クリスマス・プディングの冒険』)の両方を購入 してしまった読者としては、言い切られただけでは、複雑な気持ちです。 よく似すぎの、まぎらわしいタイトルはやめてね、という気持ちが残っているからです。 しかし、本書巻末の、ジョン・カランさんの筆による 「アガサ・クリスティーとグリーンショアの阿房宮」という解説を読みました。 そうだったのか、と納得しました。 来歴を知ると、似たようなタイトルになったのも、やむを得ないかな、 という気持ちになりました。 アガサは、1938年にグリーンウェイの土地を購入しました。 その土地を愛し、作品の中に「詳細に描くつもりだった」とのこと。 アガサが小説の構想を練るのに使った「秘密ノート」には、 「(可能な)タイトルとして『阿房宮』あるいはもう少し手のこんだ『サンダーソンの阿房宮』や『グランディソンの阿房宮』がノート47に登場している」(155頁)そうです。 結果はともかく、いろいろ構想されていたことが理解できました。 グリーンウェイ、グリーンショア、グリーンショウ。 「よく似たタイトル」の作品が複数あって、最初はなんだよー、と感じました。 しかし、タイトルの経緯がわかった今、 「ポアロとグリーンショアの阿房宮」というタイトルが かえって味わい深く感じられるようになりました。 両方を購入したおかげで、深く読めたような気がします。 | ||||
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1954年に執筆されてお蔵入りしていた幻の中篇小説。田舎屋敷の犯人探しの座興でおきた殺人事件のなぞに名探偵ポアロがいどむ。 長篇『死者のあやまち』(1956年)の原型であり、ほとんどおなじ内容だが、これはこれで単独のミステリ作品として完成しているから、必読とまではいわないけれども一読の価値はあるだろう。 特に目新しいトリックは使われていないが、じつによくできたパズラーだと感心させられた。クリスティーの創作活動の脂の乗った時期の作品だけのことはある。 とにかく無駄な描写や逸脱がひとつもなくて、いたるところに張りめぐらした伏線の回収が非常にあざやかだ。人間関係の陰影をただよわせた会話の巧さが印象に残る。 巻末のジョン・カランによる詳細な解説も示唆に富んでいる。 羽田さんの訳文は、いつもながらこなれていて読みやすいですね。 | ||||
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クリスティーの未発表小説が、2015年になって日本語で出版される。それは大いに慶事だが、内容は真新しいものではない。本書は長編『死者のあやまち』の原型となった中編であり、同工異曲というか、大同小異というか…要はリミックスの違う同じナンバーを没テイクの中から掘り起こしてきました、という感じである。などと書くと、まるで本書を歓迎していないようだけれど、僕はクリスティーの大ファンなので、楽しく読んだ。 ところで、これはポアロに限らず、あらゆる外国小説のキャラクターにいえることだが、訳者によって言葉づかいが全然違うことがある。ポアロも活躍する作品数が多く、いろんな人たちが訳しているので、作品によってずいぶんイメージが異なるんだよなあ…。ということを、僕は昔からずっと思っていたのだが、最近はドラマ『名探偵ポワロ』の影響で、あの日本語吹き替え版の口調が浸透しているのではないだろうか。 だから、今このタイミングで本書が訳されるということは、完全にドラマのイメージの言葉づかいに倣っているはず、と思いきや、そうでもなかった。ドラマではミス・レモンやジョージに対しても丁寧なポワロだが、小説では完全に主人の口調だったりする。ついでながら、ポワロとポアロの日本語表記の混在もそろそろどうにかならないのかしらん。ワトスンでもワトソンでもいい、というくらいのもんだろうけど、気になる問題ではある。 | ||||
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アマゾン御中!商品破損あり後日ご連絡致します!! ★評価は1。書籍評価は別。 取り急ぎ・・またです! | ||||
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この作品が、長編「死者のあやまち」と同じ始まりをし内容だという事ですが、この作品の映像化されたものどころか、原作も読んでいないので、「ポアロとグリーンショアの阿房宮」と言う中編の評価しか出来ません。 ただ、「はじめに」「まえがき」「アガサ・クリスティーとグリーンショアの阿房宮」と言った3つの文章が、この作品の成立・幻の原稿となった原因・長編「死者のあやまち」との関係が、良く解る様に構成されています。 それだけに、125ページほどの中編が非常に深みを持った作品として読むことが出来ます。 内容的には、アガサ・クリスティーの作品らしい作品になっていて、大いに楽しめます。 プロット、トリック共になかなか面白いと思います。 伏線も効いていて、素晴らしいと思います。 | ||||
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英国ミステリの女王・クリスティの中編。 書店で目についた帯紙には、発見された幻の原稿を初書籍化、などとある。中学生のときにクリスティ作品に出会って、結局全作(ミステリのみ)を早川文庫で集めたものとしてはもう買うしかない状況である。 さてこの本は発刊によせての前書きなどがだいぶ長いが、これはこの出版の特性上しかたないのでしょう。あとがきなどにも明記されているが、ポアロもの長編「死者のあやまち」の原型となったというものだからだ。 作品は冒頭、ポアロのオフィスにオリヴァ夫人から要領を得ない電話がかかってくるところから始まる。確かにこんなシーンを遠い昔に読んだことがある気もするが、超現実派秘書のミス・レモンとの対比もあって、つい笑ってしまうところだ。パディントンからの汽車に乗り、現地に到着したポワロは屋敷の面々に紹介されるのだが、その面々はなかなかひとくせある者ばかり。イベントの余興として行われる殺人犯人当てゲーム、とくれば察しの良い読者なら展開が読める。果たして事件は発生し・・・という、もうクリスティの王道的な展開である。 かつてクリスティ作品を読み込んだわけでもあるし、たぶん翻訳も良いのでしょう、かなり古典的作品といえるはずだがいまでも違和感なく読み進められる。トリックもちゃんと意表を突いたもので、急転直下の鮮やかな解決もポアロらしくてうれしい。実は「死者のあやまち」のストーリはほとんど全くと言っていいほど記憶から抜けてしまっている(30年以上前ですので…)こともあり、とても楽しめたのである。(まだ実家に文庫が置いてあるはずなので、今度読み直してみようかしらん。) | ||||
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元々はミステリマガジン2014年11月号に一挙掲載された中編「グリーンショアの阿房宮」・・・レヴューしています・・・ が文庫化されたものです。 当初、クリスティーが教会への基金への寄付のために掲載しようと企画されていた作品らしいですが、 作品が少し長すぎたため、お蔵入りになってしまいました。しかし、作品そのものは、長編に引き伸ばされ「死者のあやまち」となり、 無事出版されています。なお、本作と「死者のあやまち」は、ほとんどないように相違がなく、 作品の長さから、本作のほうが、結末を端折った様な感じがします。 内容は、旧友であるミステリ作家、オリヴァ夫人から、急遽事件の依頼で、ランプリーンのグリーンショアの屋敷へ呼び出され、 飛行機嫌いのポアロは、おっとり刀で駆け付け、事件の解決にあたるというものです。 なお、本書は、本作だけでなく、クリスティーの挿画を長らく担当したトム・アダムスの「はじめに」、 クリスティーの孫、マシュー・プリチャードの「まえがき」、さらには、ジョン・ラカンの「解説」を収録し、 作品の成立、お蔵入りの理由、「死者のあやまち」との関係がよく理解できるようになっています。 | ||||
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テレビ版のデヴィッド・スーシェのポワロ役の最終制作作品は『死者のあやまち』でした。本来のポワロものの最後は『カーテン』ですが、ポワロの死で撮影が終了するのはあんまりだというスタッフの総意により、最後の撮影作品は『死者のあやまち』になったのでした。本文庫版のマシュー・プリチャード(アガサの孫)の「まえがき」にも撮影終了の場面が述べられています。 本作は1955年に執筆されましたが、中篇という長さのために出版されなかった作品です。後に長編『死者のあやまち』に書き直されました。基本的なプロットはほとんど同じです。映像化作品を先に見てしまった者にとっては、シノプシスを読んでいるような感じがしました。 短編集『クリスマス・プディングの冒険』にマープルものの短編「グリーンショウ氏の阿房宮 Greenshaw's Folly」がありますが、題名はグリーンショウとグリーンショア Greenshore と似ているものの、まったく別の作品です。両作における阿房宮の位置づけも異なりますが、邸宅のモデルはクリスティーのグリーンウェイ邸で、『死者のあやまち』のロケ撮影もここで行われました。 『アガサ・クリスティーの秘密ノート』の著者ジョン・カランのクリスティーの創作の秘密の分析論(14ページ)が収録されています。 | ||||
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