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(短編集)
天鬼越 蓮丈那智フィールドファイルV
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天鬼越 蓮丈那智フィールドファイルVの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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大好きなシリーズで、全て何度も読み返している。特に北森鴻の民俗学に対する知識と考察力の鋭さは、舌を巻くばかりである。また、単に民俗学の知識に頼った作品でなく、登場人物のキャラクターのたっていることや、話の構成もよく、作品として非常に楽しめるものであった。 この作品は初めの2編が北森鴻オリジナルで、表題作の「天鬼越」が作者が残していたプロットをもとに、後の2編浅野里沙子による作品なのだが、やはり北森鴻と浅野理沙子の作品の落差が非常に大きい。民俗学の知識や洞察に差があるのは仕方がないとして、登場人物のキャラクターが立っていないうえに、物語も状況説明ばかりで起伏がなく進んでしまっている。蓮杖那智の個性はやはり助手の内藤三國のきわめて人間味あふれるキャラクターがいることによって浮かび上がるものであった。浅野作品の内藤は驚いたり、落ち込んだりといった感情表現がほとんどなく、このシリーズの大きな魅力を欠いたものになっている。他の登場人物もどうもキャラクターがはっきりせず、行動原理を理解しにくいものになっており、北森鴻の筆力の素晴らしさを逆説的に認識させられてしまった。今後、新たな北森鴻作品が読めなくなることの喪失感はとても大きい。 | ||||
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北森鴻の作品は、長編も悪くはないのだが、短篇、特に連作短篇が一番おもしろい。その意味で、本シリーズの前作「邪馬台」は、作者急逝により後半部分を浅野里沙子が書き足すという異例の形式で書かれた長編のため、消化不良な感じが否めなかった。本シリーズは、「邪馬台」で最後だと思っていたので、まだ短篇が残っていたのかという驚きと期待を持って、さっそく文庫版を購入した。 本シリーズの面白さは、ミステリーに民俗学の要素を取り込んでいることにある。似たような要素を取り入れている作家は他にもいるが、北森鴻の知識の該博さはぬきんでている。そうでなければ、「銭形平次はなぜ神田明神に住んでいるのか」という設問を、本筋のトリックではなくトリビアとしてさらっと出すことなどできるはずがない。そうした意味で、北森鴻の自筆と浅野里沙子の補作では、この民俗学の知識の落差があまりに明白で、浅野里沙子作品が創作した古い伝承が、北森作品と比べると何となくウソっぽく浅薄に見えてしまうのである。特に、表題作の「天鬼越」は、北森鴻が生前2時間ミステリー向けに残していたわずかなプロットを頼りに肉付けがされた中篇だというが、古代の伝承はとにかく嘘くさく、結末も横溝正史のある名作をパクったとしか思えない代物である。作品としての出来は決して良くはない。 「偽蜃絵」など、浅野作品のなかにも面白い作品はあった。とはいえ、筆者の浅野里沙子本人が言うように、彼女が書いた部分はあくまで補作であり、むしろ同人誌の二次創作に近いものがある。今後、浅野里沙子自身が、北森鴻作品の補作者ではなく、独立した作家として文筆活動を続けていくのかどうかはわからない。しかし、北森鴻の民俗学の豊富な知識に多くを負った本シリーズを、彼女が補作者として書き継いでいくことはおそらく能力的に不可能だろうし、後書きを見ると、本人もそれを望んでいないように思える。ファンにとっては残念だが、本作で蓮丈那智シリーズは打ち止めということだろう。 | ||||
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物足りない感あり。 なんと言うか・・・浅いんだよな~、話が。 もうちょっと捻ってほしかったかなと。 | ||||
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