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禁忌
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禁忌の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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本作でもシーラッハは、簡潔な文章で思わせぶりにストーリーテリングする才能は確かなものである。 が、評者が今まで読んだ他の作品と比べるとシーラッハが弁護士として不条理な事件など多く手掛けて「罪と罰」にたいして法の限界を感じて書いた小説と想像してしまったのです。 主人公のゼバスティアンが何故犯罪者と見せかけるようなパーフォーマンス(芸術作品として)司法の場で披瀝するのか? また、このような司法にたいして型破りのことが許されるのでしょうか? 税金の無駄使いだと非難されることはないのだろうか? などなど、真面目に考えだしたらこの小説は「ナンセンス」そのものと言えるのです。 奇をてらったこのような作品を、さも深く理解したような「フリ」は評者にはできません。 追記として書いておきますが、日本の読者に阿るような俳諧の知識を披瀝するのもどうかと思ってしまったのです。 | ||||
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正直、ミステリーとしての面白味に欠ける作品、題名と帯の感想と星数に騙されたって感じ | ||||
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『犯罪』『罪悪』『コリーニ事件』――。 フェルディナント・フォン・シーラッハは、人が罪を犯す背景の捉えどころのなさや、その罪を現代の司法制度で裁くことの限界と苦味について、乾いた文体を用いて冷然と描いてきたドイツ人作家です。巧みな物語構成にすっかり捕らわれて、私は新刊が出るたびに欠かさず手にしてきました。 フォン・シーラッハの作品は、翻訳出版元の東京創元社がカバーの内側に付している<あらすじ>には目を通さずに読み始めることが鉄則です。今回も私が自らに課したそのルールに則って頁を繰り始めました。 ところが今回はこれまでの著作とはかなり勝手が違いました。 物語は冒頭から主人公ゼバスティアン・フォン・エッシュブルクの生い立ちが延々と綴られます。ドイツのBildungsroman(教養小説)のような趣といえば聞こえが良いでしょうが、フォン・シーラッハの湿り気のない文体――そして酒寄進一氏によるいつもながら見事な日本語へと移し替えられた和文――を100頁近く読んでも事件が起こる気配がいささかもないことに、やきもきし、大いに戸惑うばかりだったのです。 後半、ゼバスティアンが逮捕されたあたりから、何か不穏な事件が起こったことがようやく見えてくるのですが、それでも彼をめぐる裁判劇の進展具合は、上質のミステリーと形容するにはほど遠く、これまで熱烈なフォン・シーラッハ信奉者だった私の落胆はそれだけ大きなものとなったのです。 これまで多くの読者を魅了してきた作家だけに、この物語の混迷ぶり、混沌具合を指摘することが憚れ、何かがそこにあるのではないか、それが理解できないのは読者である私の力量が足らないからではないかと恐れおののいてしまいそうです。そしていたずらに深く考え、深読みをしたくなるかもしれません。 しかし訳者あとがきによれば、作者の本国ドイツでも「二度読んでも理解できなかった」というDie Zeit紙の書評もあったとか。「王様は裸だ」と直截(ちょくせつ)に発言する書評子もいたということです。それも無理からぬことと言わざるをえません。 日本でのフォン・シーラッハ人気を彼自身も知っているからか、作者はわざわざ日本語版読者向けに特別な随想まで寄せてくれています。その文章で彼は、良寛の句を引いて日本人読者の心に寄り添おうとする努力を見せていますが、果たしてその句の彼の解釈が、多くの日本人読者の賛意を得られるかというと、私は大いに疑問です。日本文化に対して付け焼刃的知識で急ごしらえした文章という印象が残りました。 フォン・シーラッハの作品の翻訳は今後もいくつか予定されていると巻末に書かれています。今しばらく、その作品がまた酒寄氏の日本語で読める日を待ちたいと思います。 *76頁に「熱いオリーブ油で素揚げしたシシトウ、<ピメントス・デ・パドロン>」という文章がありました。スペイン料理pimientos de padronはカタカナ表記するならば<ピミエントス・デ・パドロン>とするべきです。 | ||||
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