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敗者の告白 弁護士睦木怜の事件簿
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敗者の告白 弁護士睦木怜の事件簿の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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なぜ事件が起こされたのか、ホワイダニットはそのなぜに焦点を当てる作品です。東野圭吾氏の「悪意」、横山秀夫氏の「半落ち」などが代表的な傑作ですが、本作はそれらに勝るとも劣らぬ傑作といえます。 山荘でエリート男性本村弘樹が妻子を殺した罪で逮捕される。妻が残した手記が決定打となり本村の有罪は濃厚。窮地の本村を無罪にするために弁護士が関係者達の証言を求める。以上が大まかなあらすじです。 本作は関係者の証言のみによって構成されます。人の印象と実態はここまで異なるのか。証言の食い違いの多さに元弁護士の作者の経験が滲みます。新証言が出るたびに反転する構図にページをめくる手が止まりません。 これらの証言の中にある人物の殺意が巧妙に隠される構成力は脱帽ものでしょう。 ここは本格ミステリの伏線と回収がバッチリ嵌まっています。あることに気づいた時に殺意が浮かび上がる瞬間こそが本作最大の読みどころだと思います。 まさに島田荘司氏が提唱した「幻想的な謎を日常の論理で解体する」お手本そのものです。普通はハウダニットでなされるべき解答を、本作はホワイダニットで達成してしまいました。 「どうあがいても出てこない殺意という謎がなんてことはない日常的物理的な方法で明らかになる」 自分の論を応用してしまう作者を「ばらのまち福山ミステリー」で見いだした島田荘司氏の慧眼の凄まじさたるや。 またリーガルミステリとしても優れています。被告人の無罪を信じるのか、被告人の罪を知った上で最大の防御をするのか。検察側の立証責任と合わせて非常に重い問いですが、長年現場でそれに向かい合ってきた作者の解答(文庫版318p)は唸らされるものがあります。 タイトルも素晴らしい。「敗者」とは誰なのか。それが分かったとき、人生における勝利敗北とは何かを揺さぶられることは必至です。 文章が非常にこなれており違和感のある表現などが一切なく誰もが読みやすいのも素晴らしいです(ここめっちゃ重要)。 突飛なキャラクターや近年流行りの特殊設定がないのも、流行りや時代性を追わないがゆえの堅実性があります。 謎と解決、人物描写、文章力、重厚なテーマ、リーダビリティ、正直非のつけどころがなく近年読んだミステリの中ではトップクラスに面白かったです。深木章子氏の最高傑作ではないでしょうか。ホワイダニットのオールタイムベストに食い込んでもおかしくないほどの大傑作だと思います。あらゆる読者にオススメします。 | ||||
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陳述書/手紙形式で全て書かれていて読みやすい。それぞれの意見が気になるので読ませる力はあるけど、オチがあんまり面白くなかった。トリック自体は予想できるもの。解説に「これはホワイダニットミステリだ」という旨書いてあったが、動機もあまり共感できるものではなく、心に響かなかった。 | ||||
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信頼ならざる語り手達の言葉から、真実をあぶり出していくミステリが好きなので読みました。深木先生の作品に出会えたことは今年いちばんの収穫です。 個性ある語り手たちのちょっとしたところにすさまじいリアリティがあります。溝口の着古したポロシャツ、とか、美容院に行っていないのかボサボサになった髪、とか、子を成した男女の気安い表情、とか。心の中は見えないけど、如実に体の外に出てくる。言葉で描かれないリアルがある。著者の前職の中で培われた観察眼が活きています。特に女性や、ちょっと崩れた感じの男性の描き方が好きです(笑) 真実の中に嘘や保身や主張が入り混じり、人間というものの愚かさ、愛おしさを感じさせてくれます。それがぶつかりあう裁判というものの面白さが凝縮されています。 深木先生の作品には恐ろしいことを平気でする人達がよく出てくるのですが、今回の作品では溝口夫妻が底抜けに強く、あたたかい人たちなので読後感がよかったです。 | ||||
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途中までは★5だったが、最後の謎解きが酷かった。 「奇面組」のラスト夢オチ 「ウシジマくん」ラスト レベルの酷さ。 著者はおそらくPC関連には全く知識がないんだろうとは思う。 悪い意味でレベルが低すぎて予想外のオチだった。 ラストを期待して読んだ時間を返して欲しい。 | ||||
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途中の話が面白いだけに、事の顛末は予想通りで、意外性に欠け少し残念ではあったが、 元弁護士の方が執筆したと知り、無意味な時間ではなかったように思われ救われた。 | ||||
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供述、手記、手紙といった小説のすすめ方なので文語体が多く読み進めがたくもあったが、それぞれの立場での記述が興味深くもありました。 | ||||
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家族内で転落事件が起こり、それについてのいろいろな人の証言だけで真相がどうだったかを探るお話。 最初に一番の嘘つきが出てきて、違う人の証言でどんどんひっくり返っていくというのはよく見るパターンだなとは思いますが、全部が話し言葉で構成されているので、読みやすいことには間違いないです。 まあ、あまりにも展開が二転三転するのも頭が混乱して困るので、そんなに目まぐるしい変化がないのはいいのですが、なさすぎるのもちょっと退屈なかあ、と。予測を超えてくる何かしらの仕掛けがあれば、より楽しめたのではないかなとは思いました。 | ||||
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きびきびした文章で物語を二転三転。すでに150ページ時点で仮の解決となっており、ここまでだけで刊行しても(少し短いけど)並の推理小説として通用したのではないかと思わされるレベルである。ここからさらに引っくり返っていくわけだが、後半約6割の分量をそこに費やしているので、いわゆるサプライズ感はない。いわば悠揚たるちゃぶ台返しで、弛緩した印象をあたえないだけでも大した筆力だと思う。ただ、悲痛な結末のわりに、今ひとつ二人の主人公の愛憎に血肉が通わず、特に動機に説得力の弱さを感じてしまった。引き換え誰しもが悲痛な哀れさを覚えるのが●●だと思うが、ここも描写不足。引き換え、生き残る二人の人物には逆に強い違和感を感じてしまった。特に男のほうは、悪意なき悪人といえるのじゃないか。 | ||||
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誰が犯人かはある程度はじめから推定できるが、そこにいたるまでの過程が興味深いので一気に読んだ。 | ||||
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私はここ4~5年、警察探偵ミステリー等の作品を毎月20~30冊ほど読んでます。が、この作品の全体的な評価は低いです。この作者の作風は記事を読んでるみたいで、評価しません。特に結末(犯人・動機)に無理があると思います。よって評価は星1つです。 | ||||
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ミステリーとして読んだ場合、面白いかつまらないかと聞かれれば、一応「面白い」といえるだろうが、なんとなく違和感を感じる作品というものがあるとすれば、まさにそんな作品が本作だろうと思う。 謎の提示も、明かされるトリックとそれに至る動機も、完全に理に落ちたものであることは間違いないのだが、どうも頭の中だけで考えただけの作り物感がどうしても拭えず、その辺、同じ作者の過去の作品にも見られた欠点とも共通するものであった。 特に一点どうしても納得できないのは「〇〇術っていうのはそんな万能なものじゃない」ということ(その辺はちょっと調べればすぐ分かること)で、この点が事件の最大のトリガーとなっているというのはミステリーとしては一番の欠陥であろう。 ある伏線から、〇〇術をトリックの一つとして使いたかった気持ちも理解できなくはないが、使わなくてもミステリーとして本作を成り立たせることは十分可能であったはずで、もう少しその辺は慎重に行って欲しかったところである。 一時は「この作家、大丈夫か?」と思ったが、前作で見事に復活し今後の期待が掛かっていた作者であるが、本作の評価としては、ちょっとまた悪い癖がでてしまったかなという感じがする。 | ||||
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供述調書、メール、陳述書、さらには手記といった、事件に関する様々なドキュメントの内容が作中に提示されることで、ストーリーは組み立てられています。 「法廷もの」と言えば、実際の裁判の場で、検察、弁護士との丁々発止のやりとりが多く描かれますが、この作品には、裁判のシーンは描かれず、審理に関する色々なドキュメントの記述を通した、事件関係者の供述や告白によってストーリーが進行していきます。 読み手としては、この事件の裁判員や弁護人といった、法廷審理の関係になったかのような気持ちになります。ここで述べられていることが、果たして、事実かどうか、しっかりと洞察しようという気持ちになりながら読み進めました。 それゆえ、妻子殺害の容疑がかかった被告人の運命を決する最大のポイントが、現在のIT、サイバー系の捜査技術からすれば、このストーリーのとおり(作中の被告人の目論見どおり)に本当に成立するかどうか、やや疑問を感じた、というのが正直なところです。 (詳細は割愛しますが、パソコンの操作とネットへのアクセス履歴に対してサイバー系の捜査が詳細に行われるでしょうから、果たして、このストーリのとおりに展開するかどうか?) 終盤の展開と、話のオチも少々強引なような気がします。 夫婦間、そして男同士、女同士の人間心理の”あや”については、非常に巧みに描かれていたと思います。この部分の説得力の高さや、供述書などを通した、それぞれの登場人物の主観の食い違いを絶妙に織り交ぜることで、予断を許すことのない斬新な展開になっていたのは良かったと思います。 その分、上述した「疑問を感じた」部分と、経緯が描かれず、突然に訪れる終幕部分の唐突さのせいで、どうにも、あまり納得のできない読後になってしまいました。 | ||||
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