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敗者の告白 弁護士睦木怜の事件簿



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【この小説が収録されている参考書籍】
敗者の告白  弁護士睦木怜の事件簿
敗者の告白 (角川文庫)

敗者の告白 弁護士睦木怜の事件簿の評価: 3.25/5点 レビュー 12件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.25pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(5pt)

ホワイダニット+リーガルミステリの大傑作

なぜ事件が起こされたのか、ホワイダニットはそのなぜに焦点を当てる作品です。東野圭吾氏の「悪意」、横山秀夫氏の「半落ち」などが代表的な傑作ですが、本作はそれらに勝るとも劣らぬ傑作といえます。

山荘でエリート男性本村弘樹が妻子を殺した罪で逮捕される。妻が残した手記が決定打となり本村の有罪は濃厚。窮地の本村を無罪にするために弁護士が関係者達の証言を求める。以上が大まかなあらすじです。

本作は関係者の証言のみによって構成されます。人の印象と実態はここまで異なるのか。証言の食い違いの多さに元弁護士の作者の経験が滲みます。新証言が出るたびに反転する構図にページをめくる手が止まりません。

これらの証言の中にある人物の殺意が巧妙に隠される構成力は脱帽ものでしょう。
ここは本格ミステリの伏線と回収がバッチリ嵌まっています。あることに気づいた時に殺意が浮かび上がる瞬間こそが本作最大の読みどころだと思います。
まさに島田荘司氏が提唱した「幻想的な謎を日常の論理で解体する」お手本そのものです。普通はハウダニットでなされるべき解答を、本作はホワイダニットで達成してしまいました。
「どうあがいても出てこない殺意という謎がなんてことはない日常的物理的な方法で明らかになる」
自分の論を応用してしまう作者を「ばらのまち福山ミステリー」で見いだした島田荘司氏の慧眼の凄まじさたるや。

またリーガルミステリとしても優れています。被告人の無罪を信じるのか、被告人の罪を知った上で最大の防御をするのか。検察側の立証責任と合わせて非常に重い問いですが、長年現場でそれに向かい合ってきた作者の解答(文庫版318p)は唸らされるものがあります。

タイトルも素晴らしい。「敗者」とは誰なのか。それが分かったとき、人生における勝利敗北とは何かを揺さぶられることは必至です。
文章が非常にこなれており違和感のある表現などが一切なく誰もが読みやすいのも素晴らしいです(ここめっちゃ重要)。
突飛なキャラクターや近年流行りの特殊設定がないのも、流行りや時代性を追わないがゆえの堅実性があります。

謎と解決、人物描写、文章力、重厚なテーマ、リーダビリティ、正直非のつけどころがなく近年読んだミステリの中ではトップクラスに面白かったです。深木章子氏の最高傑作ではないでしょうか。ホワイダニットのオールタイムベストに食い込んでもおかしくないほどの大傑作だと思います。あらゆる読者にオススメします。
敗者の告白 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:敗者の告白 (角川文庫)より
4041056152
No.6:
(5pt)

真実と嘘と主観と保身がぶつかりあう人間ドラマ

信頼ならざる語り手達の言葉から、真実をあぶり出していくミステリが好きなので読みました。深木先生の作品に出会えたことは今年いちばんの収穫です。

個性ある語り手たちのちょっとしたところにすさまじいリアリティがあります。溝口の着古したポロシャツ、とか、美容院に行っていないのかボサボサになった髪、とか、子を成した男女の気安い表情、とか。心の中は見えないけど、如実に体の外に出てくる。言葉で描かれないリアルがある。著者の前職の中で培われた観察眼が活きています。特に女性や、ちょっと崩れた感じの男性の描き方が好きです(笑)

真実の中に嘘や保身や主張が入り混じり、人間というものの愚かさ、愛おしさを感じさせてくれます。それがぶつかりあう裁判というものの面白さが凝縮されています。

深木先生の作品には恐ろしいことを平気でする人達がよく出てくるのですが、今回の作品では溝口夫妻が底抜けに強く、あたたかい人たちなので読後感がよかったです。
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4041056152
No.5:
(4pt)

元弁護士というのが救い

途中の話が面白いだけに、事の顛末は予想通りで、意外性に欠け少し残念ではあったが、
元弁護士の方が執筆したと知り、無意味な時間ではなかったように思われ救われた。
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4041056152
No.4:
(4pt)

心理小説の傑作

供述、手記、手紙といった小説のすすめ方なので文語体が多く読み進めがたくもあったが、それぞれの立場での記述が興味深くもありました。
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4041056152
No.3:
(4pt)

証言だけでなりたっているお話

家族内で転落事件が起こり、それについてのいろいろな人の証言だけで真相がどうだったかを探るお話。
最初に一番の嘘つきが出てきて、違う人の証言でどんどんひっくり返っていくというのはよく見るパターンだなとは思いますが、全部が話し言葉で構成されているので、読みやすいことには間違いないです。
まあ、あまりにも展開が二転三転するのも頭が混乱して困るので、そんなに目まぐるしい変化がないのはいいのですが、なさすぎるのもちょっと退屈なかあ、と。予測を超えてくる何かしらの仕掛けがあれば、より楽しめたのではないかなとは思いました。
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4041056152
No.2:
(4pt)

結末と動機に疑問

きびきびした文章で物語を二転三転。すでに150ページ時点で仮の解決となっており、ここまでだけで刊行しても(少し短いけど)並の推理小説として通用したのではないかと思わされるレベルである。ここからさらに引っくり返っていくわけだが、後半約6割の分量をそこに費やしているので、いわゆるサプライズ感はない。いわば悠揚たるちゃぶ台返しで、弛緩した印象をあたえないだけでも大した筆力だと思う。ただ、悲痛な結末のわりに、今ひとつ二人の主人公の愛憎に血肉が通わず、特に動機に説得力の弱さを感じてしまった。引き換え誰しもが悲痛な哀れさを覚えるのが●●だと思うが、ここも描写不足。引き換え、生き残る二人の人物には逆に強い違和感を感じてしまった。特に男のほうは、悪意なき悪人といえるのじゃないか。
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4041056152
No.1:
(4pt)

緻密な構成

誰が犯人かはある程度はじめから推定できるが、そこにいたるまでの過程が興味深いので一気に読んだ。
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4041056152

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