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(短編集)
私に似た人
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私に似た人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.63pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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すごい作品です。 それは僕かもしれないし、隣のあの人かもしれない。 フィクションの世界とは思えませんでした。 | ||||
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テロが身近に起こるようになった日本という、そう遠くない将来現実になり得る社会を舞台にした短編集です。 テロの実行犯や傍観者、さらに裏から操る者やそれを追う刑事と、様々な登場人物がそれぞれの視点で物語が描かれています。 全体的に読みやすく、テロの犯人の気持ちも、それを憎む人達の気持ちも両方共感できました。 黒幕に関わる部分では中盤叙述トリックがあり、個人的にはいい意味で予想を裏切られ満足でした。 | ||||
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小口テロと呼ばれるテロが頻発しだした日本。それを唆しているネット上の人物がミステリーの中心。 テロリズムはなにも過激な宗教の専売特許ではなく、差別を感じる人間とそれに憤るひとにぎりのインテリがいて出来上がるのかもしれない。 物語は、この2種類の人間をうまく描いていて面白かった。だが、やはり駒となるのは、底辺にいる人間であるというのがなんとも皮肉。 思想を植え付けて動かすのは、頭の良い人間であるのだ。 だからこそ、エリートでかつ義憤を感じて自ら行動したチェ・ゲバラは特異であり、英雄視されるのかもしれない。 | ||||
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貧困層と中間層、裕福層がしっかりと分けられ、貧困層は日々生きていくだけで夢も希望もない社会。そんな社会に抵抗するために無差別な小規模テロが頻発する。小規模テロを実行する者、扇動する者、別の手段を考える者、そんな様々な人間を描いた物語。 各地で起こる小規模テロは接点がないと思われていたところ、それを扇動する「トベ」という存在が明らかになる。そんな「トベ」が他の「トベ」をつくり、小規模テロが広がっていく。 今の日本で起こってもおかしくない社会背景をしっかり描きつつ、登場人物の微妙な心理がうまく描かれていておもしろかった。最後はどう収束するのか楽しみだったのだが、意外とあっけなく終わったのが残念だった。物語の諸所に出てくる、白黒はっきりさせる物言いをする総理大臣が事件にうまく絡んでいたらもっとおもしろかったかもしれない。 | ||||
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未来に希望の抱けない若い貧困層による「小口テロ」が相次ぐ日本のお話。 若い貧困層がどんどん増えて、人とのかかわりも少なくなり、ネットでしか人と繋がれない人も増えてきた今、 誰でもいい、計画性もない、ただ自分の命や未来を投げ打ってでも社会への不満を示したい・・・・。 一歩間違えば似たような行動を起こしてしまいそうな崖っぷちの人はたくさんたくさんいる。 この物語はフィクションですでは済まされない気がしました。 連作短編のような形になっていて、 テロを起こすもの・被害者・被害者の元恋人・テロ犯の家族・・・など様々な角度で語られます。 それにしても語り手の人数多すぎ?なかなか話が進まなくてイライラ。 語り手の人数減らして、もっと短くまとめてもよかったような気がします。 モヤモヤを抱えたままやりきれない思い出生きる若者をネットで見つけ出し、 言葉巧みに小口テロへと誘導する《トベ》という人物がカギを握っているのですが、 最後の最後で《トベ》の正体までたどり着くんだけど、この正体がなんとも・・・・。 ポカ~(o'д'o)~ン...でした。 読者に《トベ探し》もさせてくれない予想外の結末ってどうなんでしょ? ちょい拍子抜け。 面白かったけど、もっとコンパクトにできたこと。 そして、読者をまったく置いてけぼりにした展開が残念なので☆は4つで。 | ||||
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どんでん返し系のミステリーにはまっていた頃、貫井氏の「慟哭」を読んだことがあり、新聞の書評で取り上げられていたので読んでみました。 ラストで多少の驚きはありますが、どんでん返しというほどではなかったです。 そこに期待していた訳ではないのですが、読んでみると、全編を覆っている、真っ黒い雨雲、かといってすぐには降りだしてこないもどかしい雲がそこここにあり、読者を暗くて深い筒の中に押し込んでいきます。 貧困ゆえのテロという、現代の日本で明日にでも起こってもおかしくないリアルさをもって描かれる世界観が、本当に救いようがありません。 そしてこれが決してフィクションではないのだなという現実に気付かされ、問題提起の大きさを噛み締めます。 よくある連作短編と違い、登場人物の絡み具合が絶妙で、2度3度と読むことで新たな発見と日本が抱える闇の深さを思い知ります。 この本を読んですべてをわかった気になってはいけませんが、今の日本を知り、これからの日本を考えるきっかけとなる著作であると思います。 | ||||
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小口テロにかかわる人々の全10篇の連作短編集。テロの被害者のもと恋人、加害者、その関係者、公安刑事、テロを追うもの、踊らされるもの等、実に多様な人々が描かれています。 中盤以降、やや中だるみの感はありましたが、各編50ページ弱ながらも心理描写もしっかりしており、エッジのきいた話もありテーマは一つながら、ストーリーはバラエティーに富んでいます。 テロや貧困層など暗く重いテーマながら、こと小説の世界に限って言えば、本作はエンターテイメント性も高く、ラストも分かりやすく、見事に着地しているように思い、さすが直木賞候補作と思います。 | ||||
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個人的には、すごく好感の持てる作品だ。時間とお金が許すのであれば、是非とも読んでいただきたい。 社会への不満から、日常的に小規模なテロが起こっている日本が舞台になっている。 もちろんフィクションなのだが、近い未来、ノンフィクションになることもリアルに考えられる。 現代の若者はかなり苦しい立場にある。このままの状況が続けば、近い将来、暴動が起こってもおかしくないと思う。それが大規模な革命的な行動か、本作のように小規模なテロが乱発するのかはわからない。 この作品が優れているのは、あるいはもっと正確に言うならば、この作品に好感を持てる理由は、弱者への視線である。通奏低音として、弱者への視線が流れる本作は、優しい小説である。 ただ、今回の直木賞で候補にあがっている米澤穂信の満願と比べた時に、どちらが面白いかと言われると、満願に軍配が上がるように思う。 繰り返すが、もし少しでも興味が湧くのであれば、個人的には読んで欲しい作品である。 | ||||
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「空白の叫び」を初めて読んで以来、貫井さんの本を読みあさりました。警察小説が好きなこともあって、好きな作品が多かったんですが、 最近は作風が変わったのかなと思うほど、読み終えて、よかったと思える作品に出会えませんでした。他の方も書かれていますが、あっさりと 終わってしまった感がしないでもないですが、逆に私は派手な展開よりも淡々と進んでいく展開に好意を覚えました。それぞれのストーリーがあって、別のストーリーと少しつながっているが、、独立した話として成り立っているのがよかったです。最後はたたみかけるように話が終わってしまいますが、だからこそ、派手な終わり方よりも、これで良かったと逆に私は思います。次はどんな作品を書いてくれるのかとても楽しみです。 | ||||
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『私に似た人』は、2014年に朝日新聞出版から刊行された貫井徳郎の長編だ。10人の登場人物の視点から描かれた、10の章で構成されているので、連作短編集という見方もできる。 「あらすじ」にあるように小規模テロが頻発するようになった(近未来の、あるいはパラレルワールドの)日本を描いている。 まず、書き出しが巧い。テロが頻発するのが日常になったことを、スマートフォンが日常生活に浸透した自然さに喩えて描かれている。ぜひ「なか見!検索」で1ページ目だけでも読んでもらいたい。 テロといっても本作で描かれる《小口テロ》は、私たちが想像するような特定の宗教や思想団体によるものではない。 自暴自棄になった貧困層(無職、非正規雇用者、ワーキングプアなど)が起こす無差別通り魔事件である。私は2008年に起こった秋葉原無差別殺傷事件を思い起こした。現実と小説が違うのは犯人が自らを《レジスタント》だと名乗っている点である。 《小口テロ》被害者の元恋人、《小口テロ》を起こした派遣社員、現場で被害者を介抱したOL、《小口テロ》を起こした犯人の勤め先の上司の妻、《小口テロ》事件を担当する公安刑事……様々な登場人物が描かれるが、その中に確かに「私に似た人」がいた。誰が自分に似ていると感じるかは人それぞれだと思うが、きっと自分に似ていると感じる登場人物がいるはずだ。 非正規雇用が増え将来に夢や希望を抱けない若年層の描写や、スマートフォンやSNSなど現代のネット社会の描写はリアリティがあり、貫井徳郎が常に時代と真摯に向き合ってきた作家だということを再認識した。 最後の章では一応ミステリー的な円環を閉じて終わるが、閉塞した日本社会に対する明確な「答え」とはなっておらず、やや消化不良だった。ここで強いメッセージを打ち出すことができれば傑作になりえたと思う。 | ||||
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「個人による小口テロが頻繁に発生するようになった日本が舞台。 10の短編から構成されており、それぞれの短編が少しずつ繋がっている。 その繋がりは絶妙で貫井さんらしさが出ていると思う。 ちょっとしたきっかけで「小口テロ」を起こしていく様子。 紙一重の幸せと不幸。 今の日本でいつ起こっても不思議ではないのかもしれない。 ちょっとした「きっかけ」があれば。 「トベ」はだれなのか。なぜ「トベ」になってしまったのか。 色々考えさせられる作品だ。 ちょっと尻すぼみな印象だが読む価値はあると思う。 | ||||
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男性の作家さんの中でもかなりお気に入りの貫井さんの新刊です。 小口テロと言う重いテーマなので難しいかと思いましたが、とても読みやすい。 10の短編から構成されていて10人の主人公が登場しますが、どの話にもすぐに引き込まれてしまいました。 いつもながら登場人物の人物描写・心理描写は素晴らしいです。 各登場人物が絶えず脳内映像で動いていました。 独立した短編ではなく、それぞれに関連性があり伏線も隠されています。 そして「トベ」の正体が気になり一気に読まされます。 テロはもちろん決して認めてはいけない行為だと思うけれど、ある主人公の言葉 「他人の痛みが想像できない人を、私は絶対に認めません」は常日頃から私が感じている事なので大いに共感出来ました。 エンディングもスッキリ、読後感も良かったです。 最近読んだ本の中では一番のヒットでタイトルも好きです。 貫井さんの次作も楽しみになりました。 | ||||
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「テロが日常的に起きるようになった日本」という舞台設定の元で、10人の主人公の物語がオムニバス形式で収録されています。 一つ一つは独立した話になっているのですが、繋がっている部分もあり、その繋がりの巧みさにハッとさせられました。 主人公達も当事者、被害者、傍観者など立場が多様で、性別、年齢などもバラバラですが、どの人物も心理描写が見事で説得力があります。 価格は少々高いですが、430Pというボリュームで読み応えも有りとても満足しているので、興味がある方は年齢問わず是非手にとってみて下さい。 | ||||
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個人による、小規模なテロが頻発する近未来の日本。 短編10篇により、今の日本社会が持つの歪みが描き出される。 物語の中核をなす、「トベ」。 もしかして、今、すでにこのような関係が生まれているかもしれない。 一般の。普通の人々の持つ恐ろしさ。 付和雷同の陥穽。 無頓着、無関心の導き出す脅威。 考えること、大事だなあ。 主婦北島和歌子の息子和久の進学はどうなるんだろう。 公安の猪原の娘寛海は学校に改めていけるのだろうか。 若い人のその後の生き方が気になる。 | ||||
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