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能面殺人事件
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能面殺人事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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それなりに面白く読んだが、海外ミステリのネタバレがひどい。戦後まもない作品で、当時はネタバレへの意識が低かったろうけど、じゃあ江戸川乱歩や横溝正史もそうだったかといえば、そんなことはない。要はデリカシーの問題だと思う。 しかもネタバレをやったうえで、まさかのパクリ。よく言えば名作への挑戦なのだが…(読んでいる途中から薄々感じさせるものはあった)。また、精神疾患に対するすさまじい偏見は、時代というものを考慮する必要はあるけれど、バカバカしい限り。 と、気がつけば文句しか書いていないが、本当は思いのほか面白かったということを言いたいのだ。あまり期待せずに読んだら意外に楽しめた、ということをもっと強調したいのだ。それを帳消しにしてしまうデリカシーのなさ、ということなのだろう。 短編が2作、併録されている。『第三の解答』はポーの『盗まれた手紙』への挑戦で、一応なるほどねと思わせる。そして『大鴉(おおがらす)』は「顔のない死体」という横溝正史お得意のトリックへの挑戦。いずれも若書きの作品だけに意欲や熱は伝わってきた。 | ||||
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本作品は、作者の処女作『刺青殺人事件』に次ぐ長編第2作にして、第3回日本探偵作家クラブ賞(現・日本推理作家協会賞)受賞作品である。 『刺青殺人事件』は前年にやはり同賞の候補作品として坂口安吾『不連続殺人事件』、横溝正史『獄門島』と最後まで争った作品で、最終的には『不連続〜』に敗れはしたものの、片や文壇の巨匠、片や無名の新人作家では、審査員が安吾の方に肩入れしたのは当然で、そうでなければ『刺青〜』が受賞したであろうと思われるぐらいの傑作である。 しかし本作品は、どうやら『刺青〜』で同賞を受賞しそこなった作者に対する審査員たちの計らいでしかなかったようで、密室トリックこそ前作『刺青〜』の肩透かしなトリックに比べ秀逸ではあるが、前作を凌ぐのはこの点だけである。 作者が仕掛けた叙述トリックは、おそらくクリスティーの『アクロイド殺し』を意識したものだろうが、『アクロイド』と違って、アンフェアな虚偽の(としか思えない)記述が随所に見られ、その点、同年に発表された横溝の『夜歩く』と同じ失敗をしている。 また、『夜歩く』との類似は驚くべきばかりである。 『夜歩く』は顔のない死体、本作品は密室トリックをメインにした作品だが、『アクロイド殺し』を意識したプロットに加え、犯人の動機、狂女の存在と発狂の原因など、全体の設定がそっくりである。 『夜歩く』は昭和23年2月に『男女』に前半が、後半が翌24年6月〜12月『大衆小説界』に掲載され、本書は昭和24年4月『宝石』に掲載されている。始まりは『夜歩く』が先で、完結は本作品の方が早いわけだが、このように近接した時期に非常によく似た設定の作品が掲載されたにも関わらず、よく問題にならなかったものだと、別の意味で感心している。 | ||||
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第三回日本推理作家協会賞受賞作、つまり日本の推理小説の古典の地位を占める名作です。旧家に伝わる秘宝伝説、激しく憎み合う家族たち、陰惨な伝説に血塗られた能面、素人天才探偵高木彬光などなど、90年代以降新本格派の作家たちが登場してくるまではもう死に絶えたかに見えたわくわくするような“典型的な”香り高い探偵小説です。私も期待して読み進んでいったのですーーーが。若き探偵小説の大ファンが、海外の大作家たちをお手本に密室の謎解きを主軸におき、専門の科学的知識を取り入れ、日本の探偵小説の主流であった怪奇趣味をも盛り込み、さらにいかにも若い作家らしくロマンティシズムの衣をかぶせーと、本当に盛りだくさんなのですが、いかんせんラストのどんでん返しがクリスティの超有名小説の焼き直しになっていることはやっぱり否めないと思います。さらに第二のどんでん返し、これもまた内容的にはヴァン・ダインの代表作が大きなヒントになったことは明らかで、解説に山村正夫さんが、世界でも前例のない独創的なプロットのトリックの妙が見られるーと、書いておられますが、元ネタがはっきりしている以上、それをさらに一歩押し進めてみたところで、どうしても“過ぎたるは及ばざるがごとし”という印象が拭えませんでした。 ただ、この作品を読むと、日本の昔の推理作家たちも海外の作品を模倣しながら日本独自の推理小説を生み出そうと試行錯誤していたのだなあーと、いい意味で涙ぐましい思いを抱かされます。推理小説を体系的に読んでみようと言う方には一読の価値ありでしょう。 | ||||
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