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密やかな結晶



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【この小説が収録されている参考書籍】
密やかな結晶
密やかな結晶 (講談社文庫)

密やかな結晶の評価: 3.92/5点 レビュー 74件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.92pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全52件 41~52 3/3ページ
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No.12:
(5pt)

忘れることの恐ろしさ

小川洋子の作品の中で最も好きなもののひとつです。

記憶を奪われることの恐ろしさ、

そしてそれをもう思い出せないことの恐怖。

そんな極限状態を、小川洋子特有のしっとりとした美しい言葉たちで

つづられています。

記憶をなくさないR氏を秘密警察から必死にかくまう私・・・

この情景はアンネフランクの日記を彷彿とさせます。

私はこれまでにいくつのものを忘れてしまったのだろう…

普段忘れることなんて特に気にしていないことだけれども、

とても悲しいことだと感じてしまいます
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No.11:
(4pt)

消えていくものたちにまつわる切ない物語

舞台となる「島」では人々はある種の諦観を持って静かに暮らしているのですが、「消滅」という理不尽な現象が断続的に起こります。ある朝目覚めると世界から何かが失われているのです。心の中に空洞ができてその何かに関する記憶が一切失われてしまいます。自分にとって何の感慨も価値観も見出せなくなったものたちは廃棄したり焼却処分します。さもないと秘密警察に連行されてどこかへ連れ去られたまま町に戻ってくることができないからです。秘密警察の使命は完全なる「消滅」です。主人公の「わたし」は小説家。彼女の担当編集者が「消滅」の影響を受けない(記憶が残りつづける)、特別な人であることを知り、秘密警察から守る為彼を匿うことになりました。そこからこの物語が始まります。最後には何が消えていくのでしょうか・・・。
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No.10:
(5pt)

冷たく、静かに、そして密やかに

次々とあらゆるものが、ひっそりと、静かに失われていく孤島。この島の中では失うことが必然であり、そうでないものは異常である。
 人、物、体の一部... 物を失うことが当然とされ、失わない者達は「記憶狩り」という秘密警察に排除されていく。
 何故?といった私の疑問を置き去りに物語は進んでいく。答えらしいものは描かれてはいない。唯々すべては失われてゆく。冷たく、静かに、そして密やかに。

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No.9:
(4pt)

何をなくしたのか私にもわからない

この文庫の帯に「何をなくしたのか私にもわからない」というコピーがありますが、読み終わったあと、これほど考えさせられる言葉もないでしょう。
 本文を文字づらだけ読み進めていけば、島の人々から時折脱落する「記憶」、ナチスの焚書ばりに燃え盛る「本」に代表される捨てられる物、記憶を失わない異能者に対する秘密警察の弾圧など、娯楽作としても一流の要素を含んでいるのです。
 しかしやがて娯楽そのもが消滅していきます。進む喪失が深まったとき、主人公の若い女性や彼女がかくまう異能者の「彼」、二人を助けるおじいさんの三者の苦しみと存在の意義そのものが、どこに帰着するのかがまったく見当がつかなくなり、最後に哀しみだけがそこに漂うような結末に導かれていきます。読書と同時に進行する読み手の喪失感は、今までの小説には見られなかったものでした。
 もうこうなってしまうと読み手としては、何をなくしたか、というよりも、彼らが、そして私たちが何を得たのかがわからないという一種の惧れを感じてしまい、あらためて帯の一文を眺めてしまう、そんな不思議な小説です。いや、勉強させられました。
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No.8:
(4pt)

不思議なお話でした

ストーリーを説明するのが非常に難しい作品ですね(^_^.)
抽象的でつかみにくくはあるけれど美しい作品でした。
全体の持つ静かで空気の澄んだようなイメージは村上春樹さんの「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」に似ている気がします。「忘れる」
「記憶を失う」
「認識できなくなる」
この3つの違いを考えてみると、この作品の中で起こる「認識できなくなる」がいちばん切なくはかない。より一層の喪失感があります。ぼんやりと自分までもが世俗から切り離されたような雰囲気の中で読みすすめましたが、ラストは意外にも希望に満ちてました。爽快で後味がよかったです。これはハッピーエンドと捕らえていいのでしょうか?
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No.7:
(4pt)

それにしても、奇抜な発想の物語でした。何かがなくなるなんて

すごく抽象的な話で、作者の本当に伝えたかったことは何だろうと、
いつもこの作家のものを読んだ後は考え込んでしまいます。
(といってもまだ殆ど読んでませんが)
読後はしばらくぼーーっとして、意味を考察してみるけれど、
何か掴み取れない感がずっと続くのです。
本を読んでいるとそういうことって多々あると思うけれど、小川さんの作品の場合はより一層、といった感じ。
しかしそのもどかしい感じが心地よいのも事実。
特に小川さんの場合は、彼女の独特な世界にずっといれる感があって、
良いのですが。。この作品の結末も、「それで?それで?!」って
色々作者に解説を頼みたくなるような形で閉じます。本当にむずむずします。
誰か、教えてくさだい(笑)(なぜ、むずむずするかは読んでのお楽しみです。)
それはともかく、物語の真意はわからないとしても、
彼女の作品の持つ独特な妖しい雰囲気はたっぷり堪能できたし、いいか。
(彼女の作品は、特に女性の官能を呼び起こすようななめらかな表現が
突出しているように感じます。この物語でも例外ではありません。)この作品は、現実的な部分もあるようでいて、
しかし全般に渡り抽象的で非現実的で、しかも最後は全くもって不確かで
更に抽象的で非現実的に終わってしまう。
読み手としては不安なまま放り出されてしまうことになりますが、
それがまた魅力でした。
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No.6:
(5pt)

どこか知らない土地の、ドキュメンタリー映画を見ているよう

ある日何かが消えていく・・・・
それは、物理的に消えていくのではなく、人々に認識されないようになってしまうのです。
島の人は、消滅したものを目の前に見せられても、それが何かわからない・・・・。
仕方なく、その目の前にあるなんだか分からなくなってしまったものは破棄する・・・・。
私のどこか知らない土地の、ドキュメンタリー映画を見ているよう・・・・。主人公の女性は、小説家で、彼女の小説も一緒に進行していくのですが
この小説のはなしと、彼女達に起こっている出来事、両方とも同じ雰囲気をもっていてどっちも現実に起こっているような感覚になります。最後には、島の人たちはすべてを失ってしまいますが、その最後はとても透明。
切ないはずなのに、美しい。
ハッピーエンドとはいえないと思うのですが、不思議と私は後味が悪くありませんでした。
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No.5:
(5pt)

遠くへ逝ってしまったものもの

一気に読んでしまってから、こっち(現実)の世界に意識が戻ってくるまで、時間がかかりました。
文章の良し悪しはよく分からないのですが、細かい描写やそれらから受ける印象が、独特の一個の世界をこの本の中に作り上げていきます。ただ、小説を読むときって読みながら「画」を想像しながら読むのですが、
なんとなく日本とか西洋とかそういう現実の世界とはまったくべつの(次元?っていうの?)話と思って読んでいたのに、
いきなり「和室」とか「畳」が出てくるので、「日本だったのか・・・・!」と思いました。結局、ものすごく論理的な人や現実的な人は気に入らないと思います。
日々常々「現実には起こらないこと」など空想しているような、幻想的な人はとても気に入ると思います。
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No.4:
(5pt)

失うことの切なさ

色々なものが唐突に消えていく島を舞台にした作品。
鳥が消え、帽子が消え、フェリーが消え、
虫食いのように、あいていく穴を見つめながら、
何かを失ったという記憶も失いながら生き続ける人々。
不安定で、はかなく、切ない、美しい世界の物語。
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No.3:
(5pt)

密やかに映像化希望

とてつもなく透明で美しい作品。
この世界を遜色無く映像化できるならばとても儚く美しい作品が出来るでしょう。
CGやら人形やらアニメーションやら実写を織り交ぜて、全体的にはロシアのアニメ作家が作るアニメのような簡素で寒々しい空気が覆ってて・・・なんて妄想をしてしまいました。この透明感と美しい世界を構築した点で☆5つ!!!読みながら何度も感動のため息をつかされました。
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No.2:
(5pt)

最後の一点に向かって

その島では記憶狩りによってものが一つまた一つと消えてゆく。
人々の記憶からその消滅したものは消え去り、消滅したという
事実さえ記憶に残らない。
記憶狩りに遭っても記憶を失わないR氏。
R氏を捕らえようとする秘密警察から、R氏を守るため隠れ家を
提供する主人公。最後の一点へ向かって、物語はたんたんと
進んでいく。
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No.1:
(4pt)

失われていくものたち

小川洋子さんの小説世界は、どれもとても変わったものです。この物語では、ひとつずつものが消滅していきます。たとえば小説、声、など。あらゆるものが、次々と取りさらわれていき、やがて人々の記憶からもそれらのものは消滅します。しかし、その中にも忘れる事ができない人たちもいます。彼らは危険人物とみなされ逮捕されてしまうのです。主人公は忘れることができない男性に恋し、彼をかくまいますが、やがて、自分自身の体の一部も失い始めます。物語は、しずかに、そして大きな消失感をともなって進んでいきます。小川さんの文章には、身体感覚がとても鮮明に描かれていて、それでいて、限りなく透明です。
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