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さよなら渓谷
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さよなら渓谷の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.58pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全88件 61~80 4/5ページ
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辛口な感想が多いようですが、私は「悪人」よりも この作品のほうが好きです。 ラストの「かなこ」が「尾崎」の元を離れていった くだりからは涙が出ました。 この作家さんは、男女の中の業の感情を表現するのが 本当に上手いと思います。 「悪人」同様切ないです。 | ||||
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読んでる途中で、だんだん登場人物のつながりが見えてきたのですが、細々した部分が少し私には 現実味がなかったというか、共感できませんでした。 被害者の女性は過去の悲惨な事件を背負いながら、不幸な人生を歩むのですが そこまで・・・・?ちょっと大げさ?だと思いました。 小説に常に現実味を求めているわけではないし、小説だからそれが成り立たない世界でもいいんだろうけど 私には共感できませんでした。 ただ、ラストの余韻は印象的でしたので二つ星。 罪を償わせるため、どこまでも一緒にいて不幸にさせる。 彼女は彼と幸せになることはできないんですね。切ないです。 せせらぎ郷温泉の情景が浮かんでくるような描写で温泉に行きたくなりました。 | ||||
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「週刊新潮」に’07年7月から12月まで連載された、純文学畑の作家吉田修一が『悪人』に次いで書いた“犯罪文学”。 はじめは我が子を手にかけた、現実に起こった事件をモデルにした、ある女の幼児殺人事件だったが、この小説のメインテーマはそうではない。この事件はきっかけにすぎず、実際は隣家に住む若夫婦の過去を取材記者が探り当てるところから始まる。その15年前の“事件”が歳月をかけてもいつまでも「傷」として残る“被害者”と“加害者”のふたり。 物語はこのふたりの過去とそれを調べる取材記者のエピソードなどを交えて、意外と静謐に進んでゆく。 次第に明らかになるふたりの関係と真実、そして結末はとても哀しい。「幸せになってはいけない。一緒に不幸になるって約束した」、「幸せになりそうだった」だから・・・。 なるほど“考えさせられる”重苦しいテーマの作品ではあるが、『悪人』でドラマチックに吉田修一が描いた“魂の叫び”みたいなものは感じられず、読後感はスッキリとしなかったし、あまり心が揺さぶられなかった。 | ||||
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『悪人』の次に、著者がどういう作品を書いたか、興味津々で手に取りました。 が、著者の現在の興味の対象が 読者が求めるものと乖離しているような印象を受けました。 「俗なるものを俗っぽくなく描いてみたい」 というのがこの作品の裏テーマのような気がしましたが、 著者の関心事項がそこに終始しているあまり “あなたはどう思いますか?”的な 読者にエンディングを委ねるような幕切れに、 どうしても未熟さを感じ取ってしまうのです。 別に『藪の中』的な手法に異を唱えたい訳じゃなく、 (実際に著者の『パレード』も、同様な幕切れではありますが 作品のクオリティとしては今作とは比にならないほど見事だった) あるテーマ(食材)を料理してこその 作家(料理人)だろう、と思ってしまうのです。 『静かな爆弾』にしてもしかり。 最近、著者にこの傾向が顕著なので、残念です。 なぜなら、読者は常に前作をしのぐクオリティを期待して本を取るのですから。 | ||||
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相変わらずの文章力。淡々としてリアルな描写力に一気に物語世界に引き込まれる。 舞台設定は、畠山鈴香の幼児殺人事件を連想させる。幼児殺人事件の被疑者の隣には、大学時代に集団レイプ事件を起こした男が住んでいる。それを取材する裏ぶれた週刊誌記者。かつては全日本のラグビーメンバーだったが、落ちぶれ女房との関係も冷め切っている。そして、レイプされた女性の数奇な運命。 幼児殺人事件の周囲で、レイプ犯、被害者、週刊誌記者の人生が交錯していく。何かのボタンの掛け違いで運命を転落していく人々がいる。転落した人々の祝福された愛はない、倒錯した愛の世界がある。 欲を言えば切がないが、渡辺淳一のような男女の性愛ばかりを描いた世界があるのだから、吉田修一のような斜に構えた大人の世界の小説があってもいいのかなと感じる。 | ||||
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確かに賛否両論があるテーマの本ではあるけれど、 中途半端な恋愛小説を書くよりも、この本のほうが吉田修一らしい。 元職員と構造的には似ているけれど、 (犯罪を犯した人間の、ストーリーと回想が交互に混ざる) この本のほうが、読み応えがある。 吉田修一の中では、 パレード (幻冬舎文庫) 悪人 に次いで、3番目に入るだろうか。 | ||||
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初めて、吉田修一の本を読みました。感想は、何と言ったらいいのか・・。 別に、面白くないわけではありません。人物描写も風景描写もストーリー展開もこなれており、ものすごい長編でもないので、さっと飽きずに読める本です。 幼児殺人を持ち出す意味が希薄ではありますが、そこ以外は、別に問題がある訳ではなく、読後感が悪いわけではありません。面白く読めます。 が、それだけと言ってしまえばそれだけです。 暇つぶしというには失礼な、まとまった出来栄えですが、必ず読むべき本とも思いません。 吉田ファンに失礼な言葉だったらすみませんし、上手く言えないのですが、譬えるなら、まあ、「美味しい酒を飲む為の、邪魔にならないツマミ」といった感じの本でしょうか。 機会があれば、読んでみても別に損はしないと思いますし、負担にはなりません。 | ||||
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過去と現代がいくつかの視点から展開されていて読みやすかったが、早い段階で事件の全貌が見えてしまったのが残念だったし、過去の事件を詮索するキッカケとなった幼児誘拐事件との関わりも薄かったと思う。ページ数も200ページくらいしかなかったので、ちょっと物足りなかった。ただ、過去の事件で人生がが変化した男女が、事件後にどのような人生を歩んできたのか、どんな風に事件に向き合ってきたのかは興味深く読むことができた。 | ||||
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細部の描写とか、相変わらずの文章力で目に浮かぶようでした。しかしながら、やはり内容的には、幼児殺人事件という最近の際物題材を背景にして、エキセントリックな男女の関係を描いただけの作品に見えてしまいました。幼児殺人事件にしろ、「背景」にするだけで、思考の線が深くまで伸びていないように思いました。何より、違和感があったのは、主人公二人の男女です。この二人が、「共にいなくてはならない」という心理設定については、かなり工夫をして筆を割いているようですが、やはり「ごく単純に考えて」二人は、最も共にいられない関係のような気がしてしまいます。万が一、一緒にいたとしても、肉体関係があるのが理解できません。この二人は、もっとも肉体関係を結び得ない関係ではないでしょうか。もしも、もしも、肉体関係が結び得たのならば、その肉体の「拒絶」「許容」を、濃密に描ききってほしかったです。 | ||||
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タイトルに釣られて読んでしまった釣り人です。(笑) 吉田さんが芥川賞作家と言うのも知りませんでした。 さらに内容は釣りには全く関係のない、犯罪、男女関係、人生と言う文脈の生き様を綴っています。 ネタばれになるので内容は記載しませんが、文章は非常に上手く、物語の展開が非常に滑らからに進み引き込まれていきます。 ただ、読み終えた時に心の疲労感とでもいうような空気に包まれてました。 これも事前に吉田さんの作品を読んでいれば回避出来たのかもしれませんね。 | ||||
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このレビューには賛否両論あるようですが、私は個人的にはすごく好きです。 『悪人』のときもそうでしたが、主人公達の「心の叫び」が文章から滲みでていて、自分の心の奥をふるふると揺さぶられます。 主人公ふたりが一緒に暮らしているという状況に、普通は違和感を感じてしまうのでしょうが、思わず「そんなこともあるかもしれない」と読者に思わせてしまう文章力は、さすがの一言に尽きると思います。 この二人の関係を、果たして「愛」と呼べるのかということについては議論が分かれるだろうと思います。私は単純な恋愛関係や、罪悪意識、利害関係を超えたところにある、ふたりの強い「絆」を感じました。それを「愛」の一言で表現してしまっていいのか、今でもまだ答えは出ていません。 また俊介の献身的な姿、かなこの揺れる心があまりに切なく、悲しく、涙がとまりませんでした。 いずれにしても、この本を読んだ人とこの本についてたくさん議論したくなる、そんな作品だと思います。 | ||||
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「悪人」がとても面白くて、この作家の作品はサイコ−!!と 絶賛していた私でしたが、この作品を読んでがっかりしました。。。 何がどうとかではなく、全体的にぼやけていて中途半端で、 なんだか気持ちの悪い作品でした。大体読んだ本はコレクション しておく私ですが、こればっかりは二度と読み返さないだろうと 思い即刻手放しました。。。ちなみに雫井脩介の「犯罪小説家」に通じる つまらなさです。 | ||||
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物語は現実社会でも珍しいことではなくなった母親による子殺し事件に端を発する ワイドショー的陳腐な話かと思いきや、あっさりと裏切られる 日常生活から切り離されてしまったようなさびれた地区で事件は起こるが、 その影響は近所に住む住人にも飛び火していき思いもよらない方向へ発展していく 登場するのはみな過去に傷を持つ人間ばかり 一見普通に暮らしているように見える人たちに秘められた過去の出来事に たまたま取材にあたっていた記者が興味をひかれ引き寄せられていく… 彼自身、妻とうまくいっておらず私生活に行き詰っているのだが、 その原因も複合的に物語に絡まっていて、物語に奥行を与えている 「悪人」を思わせるような吉田修一さんの洞察力の深さと 人間への優しくも温かいまなざし 罪は贖えるかという深く難しいテーマをさらっと読ませる技術に脱帽です 読後もじっくりと考えさせられる内容でした | ||||
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すでに他の人の書評を読んでしまった後に読み始めたので、 「尾崎俊介」と「かなこ」の関係については、最初からわかっていた。 むしろ、なぜそうなっていくのか、その描写に期待を込めて読んだといってもいい。 人間の業の深さをえぐりだすような作品なのかどうか。 どういう状況で、そんな選択をすると作者は考えるのだろうか? 女性読者としてはすっきりしない読後感だ。 はっきり言って、それほどの深みのある作品ではなかった。 読んだ後にかなり強い「もやもや感」があって、 それを「考えさせられる作品」と表現してもよいのだが、納得がいかないところも多い。 登場人物たちは皆よどんで暑苦しくやりきれない雰囲気を出していて、 さわやかな渓谷の風景描写と対照的なのが、いいのか悪いのか。 変に心に残って「こんな温泉地はいいなぁ」とか思ってしまう。 最後の「かなこ」の行動と俊介の気持ちなどは、「静かな爆弾」と同じで、 描ききることを避けてしまった作者の「逃げ」という気もする。 記者の渡辺の心情をもうちょっと掘り下げて、 男性特有の心理をあぶりだしてくれたら良かったと思う。 | ||||
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ストーリーがしっかりしているので、最後まで楽しめました。途中のどんでん返しには驚いたが、それもありだと思った。というより、納得させられてしまう力量がこの文章から伝わってきた。 吉田氏の作品は次回も必ず読ませて頂きます。 | ||||
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「悪人」が面白かったので、読んでみましたが、正直いまいちでした。事件の中心となる男女について共感できなかったのが大きいと思います。特に女性についてですが、男性から過去あのようなことをされ人生を狂わされているのに一緒に生活しているということが信じられません。女性読者はこの話を読んでどう思っているのかが気になりました。 帯には「悪人」を凌ぐと書いてありましたが、個人的には、「悪人」のほうが出来は上だと思いました。 | ||||
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レビューを読むと賛否両論のようですが、わたしは面白く読みました。 はっきりいってそれは、わたしが全くの部外者だからです。 もし被害者や加害者そのどちらか、または近親者に同じ様な境遇の人がいたら そうではなかったと思います。 なので、これを単純に物語として読んだ場合限定ですが、切ないな、深いなと思いました。 被害者がいくら過去を消そうと思っても、噂はずっと付いて回る。 加害者は”何故あの時あんな事をしてしまったのだろう”と後悔ばかりが残る。 その後の生活が平静であればあるほど、 汚点となって、消すことが出来ないのはどちらの立場でも同じだと思いました。 主人公・俊介は、自分の罪を一生背負って生きていくしかないし、 誰といても癒されない被害者の女性はさみしかったから、 なんとかして自分の居場所を見つけたかった。 そういう点で、この二人の選択は、仕方がない事だった気がします。 この物語は、マイナスの二人を足して、何とか「0」にした感じがしました。 でも決して「1」や「2」にならないという、つらい結末です。 | ||||
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『悪人』には、魂を揺さぶられたので、皆さんのレビューを見て、楽しみにして読みました。『悪人』に感動できた方の中で、『悪人』以上と評する方と、私のように「うーん」と思ってしまう読者とが出てしまうのはなぜでしょうね。気になります。 私には、「幼児殺害事件」という際物題材を添え物にして、ショッキングな設定の男女を描いた作品にしか見えませんでした。そのショッキングな設定の男女というのも、共感できずに終わってしまいました。この設定がなんとか読者の中で納まりがつくように様々な工夫をしているのはわかるのですが……。 「不幸になるために一緒にいる」と言う一方で、二人が肉体関係を持っているのも分かりません。この二人は、最も肉体関係を結びえない関係のように思えます。もしくは、肉体関係があるのであれば、そのときの心理の拒絶・許容、肉体の拒絶・許容、そのあたりをもっと濃密に描写しきってほしかったです。 | ||||
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私は「悪人」のレビューで、これ以上の作品を世に問うならば、覚悟が必要だと申し上げました。然るに本作は依然として人間的な話題(人によっては人間の業と述べられていますが、それはどちらでもかまいません)をテーマにするだけで、相変わらず哲学的な深い洞察が見て取れません。この著者はこれで十分だとでも思っているのでしょうか?つまり問題を提起し、あとは当事者の気持ちのうねりや苦しみ、もしくは労わりや悔恨などの諸々の感情を書き連ねるだけで(文学としては)、十分役割を果たしたと……。 最後も充足感のない半端な終わり方です。帯に書かれている文言の趣旨がよく分かりません。「どこまでも不幸になるために、私たちは一緒にいなくちゃいけない」って何ですか?こんな馬鹿げた趣旨で、人間の業を描き切っているとでも云うのでしょうか?敢えて本文に忠実に論理的に語ってみたら、不思議にもこんな非論理的な文言になっちゃったとか?そこがまた割り切れない人間の業なんだよな〜とか。 内容の展開も、実にワンパターンです。つまり視点を変える際に、本文に○印を付け、前後一行ずつスペースを入れると舞台の主人公が変わります。視点が変わり「おおっ」と驚くのも最初のうちだけで、こういう描写の仕方をしていると、さも時間軸を自由に操り、話に奥行きがあるように感じられますが、これは単なる著者の覚えたテクニック。あとはどこにでも転がっている陳腐な感情の吐露を入れてあげると、はい、一丁(冊)出来上がり!時折見られる誰かに向かって語りかける言葉、“〜なんです”、“〜だと思います”という回顧録のような気持ちの揺らぎや本音が添えられると更に本の体裁がよくなる。でもマルクスではないけれど、これではどうしても、「哲学の貧困」を感じてしまう。またしても人間の業についての哲学の貧困につき考えさせられる。 私が古いのかな?今時流行りの文学はこんなものなのでしょうか? | ||||
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「悪人」が衝撃的だったので、楽しみでもありつつ、「でも二番煎じになるのでは?」と過度な期待はしていませんでしたが…、ぐいぐい引き込まれ、一気に読み上げました。 幼児殺人事件をきっかけに、過去の集団レイプ事件を紐解いていく(紐解かれていく?)様は、類似した実際の事件とリンクして、読み手に 文章以上の想像力を与えます。 描写力も素晴らしいですよね。私の中では、各場面の風景や家の間取り等、イメージがハッキリ出来上がりました。 もう少し長編であってもいいですね。内容の深さに対して、ちょっとまとまり過ぎた感もあります。(それだけ面白く感じたということでしょうが) 後読感がスッキリしないところも、個人的には好きです。 「何が幸福で、何が不幸かなんて、他人には理解できない。当人たちも本当のところは、解らないのかも…」 と、考えさせられました。 私の母も読んでいましたが、「これからのあの二人の事が心配だ…」と。 ただ、書店のポスターや帯にある「どこまでも不幸になるためだけに、私たちは一緒にいなくちゃいけない…。」という文章から受ける印象は、恋愛小説っぽくも感じ、本の本質とはちょっとズレているのでは?と思います。 | ||||
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