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さよなら渓谷



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【この小説が収録されている参考書籍】
さよなら渓谷
さよなら渓谷 (新潮文庫)

さよなら渓谷の評価: 3.58/5点 レビュー 88件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.58pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全88件 81~88 5/5ページ
No.8:
(3pt)

未完のように感じる作品

今年2月刊行された「静かな爆弾」と同じく、危ないバランスの男女が出てくる。
今回は隣家で起きた幼児殺人事件から、15年前の事件が時間を超えて明るみになるのだが、
一緒に不幸になるために結びついた男女に作品が揺れていく。
自分をレイプした男との暮らし。
本当にそれでいいのか?
かなこの裂けた心と、夏美の時呟いた言葉「大丈夫ですか?」
未完のまま中断されたような感想を感じるのは、「静かな爆弾」と同じくシュミレーションとしてこの作品を描いたように感じるからだ。
「大丈夫?」という不安が、今の吉田修一のテーマなのだろうか。
さよなら渓谷 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:さよなら渓谷 (新潮文庫)より
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No.7:
(5pt)

「悪人」よりおもしろい

吉田修一は一時期、毒にも薬にもならないようなさらっとした
おしゃれ(?)な文章を書いていた、ように記憶している。
が、ここにきて、ストーリーをガチッと決めて、最後に読者に
アッと言わせるような作品を書き始めた。純文学から、卒業し
ているように見えるが、文章のうまさは変わらない。

今回の作品は、個人的にはかなりおもしろかった。
被害者が堕ちるところまで堕ちたところで加害者と接点を持つ。
設定に無理はあるかもしれないが、被害者・加害者の心が救わ
れる展開を期待してしまい、ページをめくる手が止まらない。
さよなら渓谷 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:さよなら渓谷 (新潮文庫)より
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No.6:
(5pt)

出遭った不幸・出会えた幸せ?!

かなこと俊介が一緒に居る理由・・・不幸になる為。二人で幸せになってはならず、どちらかが相手を残し死ぬことも許されない。世間から隠れたように暮らしていた二人。その二人の隣家で起きた子殺しを取材していた雑誌記者の渡辺は犯人の母親と微妙に絡んだ俊介の過去を調べていくうち、信じがたい現実を目の当たりにする。かなこと俊介は15年前に起こったある事件の憎んでも余りある加害者とその後の人生を失くしてしまった被害者だった。何故二人が一緒に・・・?かなこのついた嘘で警察の取調べを受けても、何の抵抗も抗議もせず「かなこが、かなこがそう言ったんですか?」と言ったきり、全てを認めた俊介。拘留中、かなこを訪ねた渡辺が聞いた二人の過去・・・。最後、俊介を訪ねた渡辺の問い「あの事件を起こさなかった人生とかなこさんと出会った人生と、どちらかを選べるなら、あなたはどっちを選びますか?」ただ見つめ返す俊介の瞳の中の光が後者を意味していたら・・・決して幸せにはなれない辛く哀しい愛がそこにある。
さよなら渓谷 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:さよなら渓谷 (新潮文庫)より
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No.5:
(4pt)

一般論じゃ語れない「不幸」と「幸福」

舞台となるのは老朽化した平屋家屋の並ぶ市営団地。
母子家庭で幼児殺人事件が起こり、母親が逮捕。
ある記者が事件の真相を調べていくうちに、
事件のあった家の隣りに住む夫婦のとんでもない秘密が浮かび上がる・・・。

彼女の場合、犯罪被害者であっても同情されるのではなく、汚いものを見るように見られてしまう。
誰かと知り合い、恋をするたびに自分が犯罪被害者であることがいつか知られてしまうのではないかとおびえて暮らす。
誰かと寄り添って生きていくのは幸福だと思ってきたけれど、そうすることでどんどん不幸になっていく人もいる。
不幸な人ほど幸せになれそうな予感があるのにそうはせず、むしろ幸せのチャンスを自ら望んで切り捨てる。
そんな生き方しかできなくなってしまった悲しさが切ない。
二人の幸せはどこにあるのだろう・・・。

テーマが重く、読みごたえもあるのに短くまとめちゃったようなのが残念。
もっとずっしり重たい長編にしてもよかったのに・・・。
さよなら渓谷 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:さよなら渓谷 (新潮文庫)より
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No.4:
(5pt)

考えさせられる

とても読みやすい文体、内容にもかかわらず、
途中何度もページをめくる手を止めて、
いろいろと考えさせられました。

表面的な印象だけで、
他人をああだ、こうだと批判したり、断罪するのは、
なんて愚かなことなんでしょう。

過去の体験によって、
癒えない心の傷を抱えている方には、
ほんとうに頑張って幸せになって欲しいですね。
さよなら渓谷 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:さよなら渓谷 (新潮文庫)より
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No.3:
(5pt)

「悪人」以上!

個人的には「悪人」を超えた秀作だと思います。圧倒的な表現力、描写力、悪人のレビューでも書きましたが、読んだ後に誰かと内容について語り合いたくなる本です。深い!
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4101287546
No.2:
(5pt)

幼児殺害事件のお話と思ったら…!?

幼児殺害事件…。そこから隣人の過去があばかれて行く!?☆大学時代のレイプ事件の加害者と被害者という設定からして後味が悪いです。そして、人が思いもよらぬ衝撃の事実!?☆それぞれの立場からやるせない過去が告白されて行くのですが、加害者がその後も罪の意識を持っているという点では救われました。「不幸」「幸せ」とななんだろうと考えさせられます。相手を幸せに出来ない、そして相手を不幸に落とそうとする辺りからもう自分自身を不幸にさせていますよね。☆ラストは、救われるものがあったかな。☆個人的には『悪人』よりも考えされられる事が多く良かったです。
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No.1:
(5pt)

背負うこと

最近は新作が出る頻度も増えて嬉しい限りだが、やや社会派なネタによってきているような気がする。誰もが思い浮かべることができる事件を中心に話は広がりを見せる。
どうしても変えることが出来ない事実と、つぶされそうになりながらもギリギリのところでつぶれきる事は出来ない強さ。
誰しもが幸せを手に入れる権利を持っているが、幸せにならなければならない義務はない。ただ、人は生まれながらにして形がないそれを、そうあって欲しい何かを求め続ける。
さよなら渓谷 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:さよなら渓谷 (新潮文庫)より
4101287546

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