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(短編集)
クリスマス・プディングの冒険
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【この小説が収録されている参考書籍】
クリスマス・プディングの冒険の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.90pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 1~20 1/2ページ
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クリスティの長編に比べると、いつもの見事な人物描写がコンパクトな感じになるので、感情移入や共感、嫌悪といった気持ちを抱きづらく、読んでいて物足りなさを感じます。 しかしこの少ないページ数でよくこれだけの内容を盛り込めるなと感動するくらい、どの話も楽しめました。 「クリスマスプディングの冒険」 古き良き時代のワクワクするような田舎のクリスマスの雰囲気が大変見事に描かれています。 終盤で起きた事件に「やっぱりこうなったか!予想通り!」と思っていたら、それをひねって見事なオチがついていました。 気持ちよく騙されたので読後感が最高でした。 「スペイン櫃の秘密」 ちょっと天然でイライラさせられるけど、男を惹きつける魅力を持つ一人の女性を巡る、色恋沙汰が中心の作品です。 面白かったのですが、証拠が無く、本人に話せば自供するよ、というラストはすっきりしませんでした。 「負け犬」 人間性が鍵となる話なので、人物造形と描写がとても上手く出来ていて大変楽しめました。 しかし、人との会話から推理するポアロらしからぬ方法をとって真相を導き出したのには、ちょっとがっかりしました。 「二十四羽の黒つぐみ」 レストランに出てくる食べ物の描写がたまりません。 それ以外はちょっと印象が弱い作品でした。 食べ物の印象が強すぎたのかも? 「夢」 自殺する夢を何度も見る男が、性格的に自殺なんて絶対にしないだろうに、その夢の通りに自殺してしまうお話。 微妙に胡散臭い雰囲気が面白かったです。 「グリーンショウ氏の阿房宮」 これはいろんな意味でトリックが素晴らしい作品です。 そんなのあり得ないでしょー!とツッコミたくなるくらい無理があるのですが、この清々しいほどの無理矢理感が逆に潔くて気に入りました。 | ||||
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日本語の文章そのものが、非常にわかりにくいです、、、 直訳も直訳、文章の違和感が気になってしまい、内容が全く入って来ません。 翻訳が残念です。 | ||||
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収録作品六篇は、以下のとおり。 ☃️ クリスマス・プディングの冒険(1960年。橋本福夫 訳。エルキュール・ポアロもの。原型の短篇「クリスマスの冒険」1923年作品は『マン島の黄金』に収録。深町眞理子 訳。) ☃️ スペイン櫃(ひつ)の秘密(1960年。福島正実 訳。エルキュール・ポアロもの。原型の短篇「バグダッド大櫃の謎」1932年作品は『マン島の黄金』に収録。中村妙子 訳。) ☃️ 負け犬(1926年。小笠原豊樹 訳。エルキュール・ポアロもの。) ☃️ 二十四羽の黒つぐみ(1940年。小尾芙佐 訳。エルキュール・ポアロもの。) ☃️ 夢(1937年。小倉多加志 訳。エルキュール・ポアロもの。) ☃️ グリーンショウ氏の阿房宮(あぼうきゅう)(1956年。宇野利泰 訳。ミス・マープルもの。) いかにもクリスマスらしい愉しさに満ちたポアロものの中篇「クリスマス・プディングの冒険」と、本書のトリを飾るミス・マープルものの短篇「グリーンショウ氏の阿房宮」。この短篇集のなかでは、この二篇が印象に残る作品でした。ほかの四篇は、可もなく不可もなしといった感じのミステリ。いまいち、期待はずれの作品でした。 | ||||
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本書『クリスマス・プディングの冒険』は、アガサのおとくい料理集です。 その「添えもの料理」としての「グリーンショウ氏の阿房宮」を読みたくて、購入。 「このクリスマスのご馳走の本」(3頁)では、 「グリーンショウ氏の阿房宮」という短篇は「添えもの料理」。 「グリーンショウ氏の阿房宮」にはミス・マープルが登場するのに、 <ミス・マープル>シリーズには入っていません。なぜでしょう? 本書は、クリスマス・プレゼント用の本です。 「グリーンショウ氏の阿房宮」は、 アガサ自身が「添えもの料理」にたとえ、位置付けしたものです。 「グリーンショウ氏の阿房宮」は、58頁の短篇小説。 本書『クリスマス・プディングの冒険』の巻末に、ひっそりと静かに収まっています。 「グリーンショウ氏の阿房宮」のタイトルにある「阿房宮」って何でしょう。 「グリーンショウ氏の阿房宮」は、英語では ”Greenshaw’s Folly” 調べると、《フォリー》とは、建物の様式の名前らしい。 遊び半分で建設した、偽物っぽい、目立つ建物らしい。 どこか人間の愚行を感じさせるような建物みたいです。 「まともな名前」(407頁)ではないようです。 「阿房宮」は、秦の始皇帝の時代に実際に建設されたお寺風の建物らしいです。 ”Folly” を「阿房宮」と訳すのは、中国的。 エジプトのピラミッド風の《フォリー》な建物というのも、実在するようです。 本書中から《フォリー》の使用例を拾ってみます。 「このばかでかい建物」(407頁) 「こんな途方もないもの」(407頁) 「ばかでかいあの邸」(424頁) 「ばかばかしいほど巨大な建物」(460頁) 「化けものみたいな家」(460頁) 《フォリー》とは、そんな意味で使われる言葉のようです。 | ||||
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〇電子書籍版発行……2011年12月10日 Kindleの「メモとハイライト」「栞」機能……×(本文のどこに入れても、「目次」と表記) Kindleの表紙……〇(Amazonの表示と同じ、紙Ver.の表紙画) Kindleのページ表記……〇(あり) 電子書籍版の発行日が『愛の探偵たち』と同一日時なのに、表紙とページ表記はまともだ。 担当が別人で、『愛の探偵たち』担当がよりボンクラだったのか? 表題作の感想のみ。 1923年に雑誌掲載された初期短篇「クリスマスの冒険」を1960年にリビルドして発表された作品。ページ数が二倍強に膨らんだ。 原作の感想で、「一体YOUはどーしてそんなとこに」の興味からはじまると書いたが、本作ではその依頼を受けるシーンから始まる。つまり最初のWHYの興味はなくなるのだが、寒さに尻込みするポワロが可愛いし、それを巧みに説き伏せる政府関係者とのやりとりがおかしくて、その点ではプラスマイナスゼロといったところ。 そして、わたしの興味についてである。 ヘイスティングスに関するコメントは残されているかどうか? 元の作品からして、発表当時33歳だった著者が、自分の少女時代の思い出を被せた作品だったが、本作はそれから四半世紀、つまり一世代分ほどさらに時が経っているので、1960年の読者に対しては、「はじめに」で著者の少女時代のクリスマスの思い出を紹介するとともに、孫娘のお相手をひたいてらてらの赤ら顔のおっさんから、都会風の青年に変更して、彼に(旧態のクリスマス・パーティーなんて)古臭いと何度も言わせている。レイシイ夫人の台詞でも、彼らの家が旧態のクリスマスパーティーに拘っていることが何度も示唆される。 しかし読者に対してはともかく、物語の時代設定を現代(1960年当時)にする必要性はない。第一ポワロが『カーテン』で他界したのは、第二次大戦中だった筈だ……。 ところがこのひっかかりへの懸念は、レイシイ夫人の台詞、「あの子たちはこれからテープレコーダーで遊ぶつもりでしょうよ」(P.33)で確信に変わった。 うすうす臭いとは感じていたが……やりおったな、クリスティw 戦前からトーキー映画もあったんだし、テープレコーダーや映写機を所持している家庭があってもおかしくはなかっただろうが、こどもたちが遊ぶようなものではなかった筈だ。 これは本作の時代設定を作品を発表した1960年付近にしているからだろう。 なのでヘイスティングスロスの言及なんて、当然消えている。 この時点で『カーテン』は発表されていないとは言え、『スタイルズ荘の怪事件』で初登場したポワロは、第一次欧州大戦の戦禍を避けるためにイギリスに疎開していたのであって、その時点でベルギー警察を退職していたのだから、1960年に元気で活躍していたとは怖ろしい。つまりは当時の多くの作家のように、著者もまたポワロを永劫回帰、わかりやすく云えばサザエさん的な年を取らないキャラクターにしていたということだ。 自分で『カーテン』を書いた後だというのに……。 このあたりの現実との乖離が、シャーロック・ホームズのように活躍の年表が作られない(かどうかは知らないが、少なくともわたしは目にしたことがない)理由なのだろう。 一方、ミステリ的な仕掛けについては新旧でほぼなにも変わっていない。 登場人物名は一新されていて、人数配置にも若干の変更があり、ポワロのターゲットの最後の行動に関しても違いがあるが、物語の根幹に関わるものはない。冒頭のWHYがなくなった分、ひとつ薄くなったと云うことも可能だろう。 文量が二倍になっても、冗長さなどはまるで感じなかったから、物語的によりクッションが効いて良質になっているのは間違いないと思うが、さりとて個人的には加点になるほどの印象差は受けなかった。冒頭部のポワロが可愛いだけだw つまり作品全体でも、――霜月蒼に反抗するつもりはないのだけれど――新旧比較はプラマイゼロという感想である。 | ||||
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綺麗な本をありがとうございました | ||||
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クリスマスの前という事もあり、本屋さんで特設していたクリスマス小説コーナーに置いてあった本作を選びました。 アガサの小説は大概、評価も良くハズレは殆ど無いんだなと思いましたが、翻訳にガッカリ。こんな翻訳で良く皆さん、話が解るね。 こういう事かな、こういう事を言っているんだろうなと、想像して読むのに疲れました。 申し訳ないが、翻訳が下手過ぎる。 | ||||
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アガサの短編集で、やはりどの話も 内容が良く、満足感でいっぱいです。 | ||||
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傑出した出来の作品はなく、すべて平均点程度の出来で、一番良かったのは「クリスマス・プディングの冒険」。 「クリスマス・プディングの冒険」 ある国の王子の高価なルビー盗難事件を秘密裏に解決してほしいとの依頼を受けるポアロ。推理物ではなく、ポアロが巧みな策略で事件を解決する話。奇妙な手紙が置かれていたり、子供たちが殺人事件の芝居でポアロをかつごうとしたリと、楽しめる筋書き。 「スペイン櫃の秘密」 スペイン櫃の中で殺された男の妻が容疑者の無実を信じ、その無実の証明をポアロに依頼する話。偽装された手紙の謎や衝立が動かされた謎など、シェークスピアの「オセロ」になぞらえて、ポアロは意外な真相を暴き出すが、証拠は不十分。 「負け犬」 殺人事件の容疑者の無実を直観で信じた女性より、無実の証明を依頼されるポアロ。アフリカでの鉱山の出来事、医者による催眠術の聞き取り調査など、色々と話を膨らませてはいるが、真相は腰砕け。推理ではなく、ポアロの策略によって、解決する話。 「二十四羽の黒つぐみ」 料理店に毎週火曜日と木曜日に現れる男が一度月曜日に現れ、その2週間後から姿を見せなくなった謎にポアロが興味を持ち、解決する。 「夢」 3時28分にピストル自殺するという、同じ夢をずっと見続ける男から相談を受け、事件に関わるようになるポアロ。実際に、その男が3時28分にピストルで死ぬ。ポアロが間違えて渡した手紙が事件解決に結びつくところが面白い。 「グリーンショウ氏の阿房宮」 奇妙な建築物「阿房宮」の所有者、ミス・グリーンショウが弓矢で撃たれて殺される事件。容疑者3人には鉄壁のアリバイがあるが、事件の背景にあるカラクリをミスマープルが暴く話。既視感ありありのトリックだし、このように巧く騙せるのか、疑問に感じる。 | ||||
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クリスティが満70歳を迎えた1960年10月に発行され、ポアロ物5編、マープル物1編を収録しています。彼女の半世紀に及ぶキャリアの中でも晩期に当たり、過去に発表された短編を中編化したり、類似の物語構成を用いた作品が多く含まれます。従って、これからクリスティ作品に触れようと考えていたり、まだあまり多くの作品を読んでいない方は、後回しにされることをお勧めします。本書の魅力は、読者にとっておなじみのレシピをクリスティがどのようにアレンジしているか楽しむことにあると言っても過言ではなく、そのためには一定数彼女の作品を読んでいることが必要になってくるでしょう。言い換えるならば、謎解きや犯人当てなどから遊離して、作家としてのクリスティを味わう作品集である、といえます。特に表題作となっている「クリスマス・プディングの冒険」については、そうした視点を持たないとあまり楽しい時間が過ごせないのではないかと思います。どうか、そのような悲しいことになりませんように。 以下、収録作品のレビューを載せます。なお、並びは初出の年代順です。 負け犬 ポアロ物の短編は、まず1923年の1年間で一挙25本がThe Sketch magazineに掲載されますが、本作はそれに次ぐ26作目にあたります。資産家の貴族が殺害され、相続人である甥に嫌疑がかかるものの、被害者の妻は犯人は別にいると主張。派遣された秘書を通して依頼を受けたポアロが事件の真相へ迫っていきます。すでにヘイスティングスは南米に移住したことになっており、代わって2人目のパートナーとなった従者のジョージが初登場。彼のいかにも英国人然とした従者っぷりは、これまたいかにも英国らしいカントリーハウスが舞台となっていることと合わせ、米国の読者へのサービスだったのかもしれません。というのも、この作品はクリスティの著作では初めて、英国に先行して1926年4月、米国のMystery Magazine(エラリー・クィーンやアルフレッド・ヒッチコックの名が冠された雑誌とは別)に掲載されたのです。これは『アクロイド殺し』の初版が発行される2か月前のことでした。なお、英国では同年10月、1732年の創刊以来、現在まで続くThe London Magazineにて発表されましたが、今度はこの2か月後、クリスティはよく知られた失踪事件を起こします。このような時期に発表された作品を34年も経って本書に収録したとき、クリスティは何を思っていたのでしょうか。 夢 ポアロ物の短編第39作で、1938年2月、The Strand Magazineに掲載されました。自殺する夢を繰り返し見たという大富豪がその夢の通りに死亡してしまいます。性格的に自殺とは考えにくいものの、他殺だと断じるにも無理がある、という状況下、催眠術による殺人なども視野に入れながら、ポアロの推理が展開します。事件の構成、使われたトリックともクリスティが他作で用いた方法のバリエーションですが、真相が示されるまでそれに気づかせない手腕はさすがです。 二十四羽の黒つぐみ 1940年11月、米国のCollier's Weeklyで発表され、1941年、“Poirot and the Regular Customer”のタイトルでThe Strand Magazineに掲載されました。ポアロ物の短編としては51作目に該当します。毎週同じ曜日に来て同じ料理を食べるという常連客の行動が、ある日突然変化。店のウエイトレスを通して、たまたまそのことを知ったポアロは好奇心から独自に調査を開始、隠されていた殺人事件を暴き出します。なお、原題である“Four and Twenty Blackbirds”は英国では非常によく知られたマザー・グースの歌、6ペンスの唄(Sing a song of sixpence)からの引用です。クリスティはこの歌を好んだのか、短編「六ペンスのうた」(『リスタデール卿の謎』収録)、長編『ポケットにライ麦を』でも材を求めています。 グリーンショウ氏の阿房宮 通算20作目となる、最後のマープル物短編です。1960年8月、女性向け月刊誌Woman's Journalにて発表されました。複雑なトリックは実現性という点でやや疑問が残るかもしれませんが、物理的な仕掛けではなく、心理の陥穽を突いてくるあたり、非常にクリスティ的です。事件のきっかけを作る人物として、シリーズのレギュラーキャラクター、マープルの甥のレイモンドが登場します。 スペイン櫃の秘密 1932年1月にthe Strand Magazineに掲載された「バグダッドの大櫃の謎」(『黄色いアイリス』収録、改訳版『マン島の黄金』収録)を中編化した作品で、ポアロ物の短編としては53作目にあたります。1960年9月から10月にかけて、女性向け週刊誌Women's Illustratedに3回に分けて掲載され、連載終了の2週間後、本書に収録されました。本作に関しては、先に原型となった「バグダッドの大櫃の謎」を読まれることをお勧めします。その上で、クリスティが何を加え、何を削り、何を変えて中編化したかを読み比べると、彼女の作劇における思考の一端を伺えることができ、ほぼ同内容の話にも関わらず、2度楽しむことができるでしょう。 クリスマス・プディングの冒険 本書のために書き下ろされた、第54作目にして、最後のポアロ物短編(クリスティの死後発見された作品は除きます)。発刊後、Women's Illustratedに“The Theft of the Royal Ruby”のタイトルで3回に分けて掲載されましたが、初回は同じ年のクリスマスイブの発売号でした。内容的には、1923年にThe Sketch magazineにて発表された「クリスマスの冒険」(『マン島の黄金』収録)とほぼ同じで、違うのはページ数が中編規模まで膨らんでいることぐらいです。しかし、それにも関わらず、本作は150を超えるクリスティの短編の中でも、ひときわ味わい深い一本となっています。ここに描かれている、クリスティが特別な思い入れを込めたという子供時代の、すなわち1900年頃のクリスマスの風景の素晴らしさ! 広大なカントリーハウス、クリスマス・ツリー、ヤドリギ、大きな靴下、七面鳥、クリスマス・プディング……そして庭を詰めつくす一面の雪。クリスティはここにとある王子が失態から盗まれてしまったルビーを取り戻すという事件を絡めてきますが、この前時代的な謎も含め、すべてがひとつの童話を形作っています。まさに老婦人が孫に読んで聞かせる絵本の如く。ホワイトクリスマスの夜、本物の薪が赤々と燃える暖炉を前に本作を読むことができたなら、作家としてのクリスティを愛するファンにとって、これ以上ない至福の時となるはずです。 | ||||
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クリスティが大好きで、クリスマスにでも読もうと思い、 初めて短編を手に取りましたが、トリックが、あれでいいんですか、 何だかびっくりなくらい面白くなくて読むのやめました。 表紙が素敵でワクワクしたのに。 | ||||
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1960年に発行された短編集。ミス・マープルが探偵役の「グリーンショウ氏の阿房宮」以外の5篇は、ポアロもの。「はじめに」では、クリスティー自らこの短編集全体を『料理長のお得意料理集』と名づけてもよろしいなどと書いている。メインディッシュとしてをあげられた表題作「クリスマス・プディングの冒険」と「スペイン櫃の秘密」は、設定舞台が華やかというか大がかりだ。「負け犬」は、疑わしい人物が複数いるので謎解きの面白さあり。「夢」は毎晩同じ夢を見るという被害者が出てくる奇妙な話で、トリックは巧妙。 イギリス料理のクリスマス・プディングはおいしいのだろうか。物語ではとてもおいしそうだった。 | ||||
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『クリスマス・プディングの冒険』…ある国の王子がロンドンで遊んだ女にルビーを盗まれた。ポアロはその女が潜む屋敷のクリスマスパーティーに参加する。 『スペイン櫃の秘密』…パーティーの翌日、スペイン櫃の中から男の死体が見つかる。ポアロが調査開始。 『負け犬』…ルーベン・アストウェル卿が殺害され、甥が逮捕された。 『二十四羽の黒つぐみ』…いつも店にいる老人が違う曜日に現れ、違う料理を注文した。老人は一週間店に来ない。 『夢』…有名な大金持ちがピストル自殺をする夢に悩まされているとポアロに相談。 『グリーンショウ氏の阿房宮』…グリーンショウ氏の阿房宮と呼ばれる建造物を訪ねたレイモントとホレイスは館の主に遺言書の署名を頼まれ、隠し場所を教えられた。レイモンドはミス・マープルを紹介する。 | ||||
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ミステリーの女王クリスティー女史がクリスマスの贈り物として著した名探偵ポアロ物5編と老嬢探偵ミス・マープル物1編を収録する傑作中短編集です。私の考えではクリスティー女史の殺人ミステリーが意外と暗さを感じさせずに楽しく読めるのは名探偵ポアロの道化師めいた滑稽な存在感に負う所が大きいと思います。本作では少々変わり者ながらも茶目っ気たっぷりな彼の意外な人間的魅力に触れられますので、読者は安心して読めるミステリーの素晴らしいテクニック以外の部分でも大満足される事でしょう。 『クリスマス・プディングの冒険』イギリス政府から異例の依頼を受けた名探偵ポアロは散々迷った挙句に渋々引き受け、とある親族一家のクリスマス・パーティーが開かれる田舎屋敷へと赴くのだが、またもや彼にはお馴染みの他殺死体に遭遇してしまう。本作は初めの内ポアロの目的がイマイチよく解らずにイライラする面があり、このお膳立ての情報の出所にも多少の疑問は残りますが、最後は完璧なハッピーエンドですっきりとして気分爽快になりましたね。エラリー・クイーンもある短編で似た趣向に挑んでいますのでやはり一流作家は同じ事を考えるのだなと思いますし、女史の解決の仕方にはさすがに女性らしい優しさが感じられますね。『スペイン櫃の秘密』スペイン櫃の中から見つかった死体の事件に強い興味を抱いた名探偵ポアロは自ら積極的に調査に乗り出して行く。冒頭ポアロが味も素っ気も無いミス・レモンの態度に失望して「旧友へスティングズがいてくれたら!」と嘆くシーンが愉快ですね。恋多き女を巡る殺人事件の真相を暴くポアロの鮮やかな心理分析に成る程!と目を開かされます。『負け犬』常に家族との口論が絶えない気難しい家長の男が殺された事件の調査を進める名探偵ポアロは意味深な言葉を発し容疑者達に圧力をかけて揺さぶるのだった。題名の意味が最後になってわかる仕掛けの巧妙な一編でポアロのエキセントリックな面が強調された面白さが存分に味わえます。『二十四羽の黒つぐみ』名探偵ポアロが友人と会食したレストランで見かけた常連客のじいさんが店に来なくなり自宅で死体となって発見される。珍しい料理ミステリーの逸品で(童謡殺人の趣向ではありませんが)題名に隠された手掛かりが誠に鮮やかですね。『夢』ピストルで自殺する夢を見るとポアロに相談していた男が奇怪にも実際に死体となって発見される。ポアロの観察眼の鋭さは天下一品で容易な事では騙せる物ではなく巧妙な欺瞞工作を見破る名推理に何時もながら惚れ惚れしますね。『グリーンショウ氏の阿呆宮』土地の人々から「グリーンショウ氏の阿呆宮」と呼ばれる巨大建築に住む一族の偏屈な老女が何者かに殺され、老嬢探偵ミス・マープルが長年の人生経験を生かして犯人を推理する。動機のある人間が全員犯行不可能と言う難解な謎を理路整然と解き明かして見せるミス・マープルの名推理はとても素人とは思えないプロの捜査官も顔負けの最高に天晴れな素晴らしさでしたね。 | ||||
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かみさんが独身時代に買った本で、読まずに本箱に寝ていたが、「字が小さくてもう読まないから処分する」といってたのを譲り受けて読んで見た。アガサ・クリスティは過去に「そして誰もいなくなった」しか読んだことがなかったが、ポワロに関してはTVドラマでよく見ていたので、読みやすいのではと思って読み始めたら、案の定、すっと入っていけた。 あれだけの名作と呼ばれる作品を数多く残した作者ゆえに、外れることはないだろうとの読みは当たって、どれもしっかりしたオチがあって、常識や思い込み、錯覚をうまく利用してきれいに読者を欺いてくれる。殺人事件でも読後感がいいのは、血なまぐさい描写を避けているせいだろう。「負け犬」ではご夫人に催眠術をかけて供述を引き出すという、ほとんど反則技も飛び出すが、供述内容は女性ならではの視点を描写していて思わず微笑ませる。全部で6篇の短編が収まっているが、作者が短編でも一流の書き手であることを物語る短編集である。 | ||||
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クリスティの短編集。ポワロもの5作(『クリスマス・プティングの冒険』『スペイン櫃の秘密』『負け犬』『二十四羽の黒つぐみ』『夢』)、マープルもの1作(『グリーン・ショウ氏の阿房宮』)併せて6作の短編が収録されています。 今更ですが、このハヤカワ文庫さんのクリスティ文庫は、世界初のクリスティ個人文庫全集ということで編集者さんも気合が入っていて、表紙のデザインもとてもお洒落ですよね。ちゃんと作品の内容をイメージした写真を使っているのも素敵です。他の版よりちょっと値段が高くても、この表紙で揃えたくなります。 クリスティの短編集はミス・マープルものの『火曜クラブ』、ポワロものの『ポワロ登場』(この全集文庫でのタイトル。10年くらい前に私が読んだ版はタイトルが違いました)に続き3冊目でしたが、個人的には本作が一番面白く読めました。 特に、トリックは見抜けたけれどクリスティ得意の<意外性>がしっかり楽しめた『スペイン櫃の秘密』と『負け犬』がお気に入りです。『クリスマス・プティングの冒険』は古風なイギリスのクリスマスの描写が詳細で、聖夜を包むきらきらとした賑やかな雰囲気が楽しく、探偵の登場にはしゃぐ子供たちも活躍しますし、かつ珍しく死人が出ないお話で、爽やかな読後感の秀作。プティングといえば、イギリス生まれの喜劇王チャップリンの映画『独裁者』にも、プティングとその中に入った銀貨を使った面白い場面があったなあ〜、と読みながら懐かしく思い出しました。一般にイギリス料理は美味しくないと言いますが、フィッシュ&チップスとスコーンとプティングだけは一度食べてみたい、とまんまと思わせられました(笑)。 それにしても少ないページ数でこれだけの情報と起伏ある起承転結を盛り込み、かつ決して説明が多いとか、文章がうるさいとは感じさせない作家クリスティの技量に感服します。 ただ本書は、他のレヴュアーさんも書いておられるように、僕等の愛する<ポワロものの良心>ヘイスティングス大尉が出てこないのがやはり寂しいです(笑)。作中の様子を見ると、ポワロもこのノリのいい、想像力豊かな友の不在が寂しいようです。今回は秘書のミス・レモンや従僕ジョージに助手としてスポットが当たりますが、想像力を働かせる習慣のない彼等とポワロの今ひとつ噛み合わないやり取りが、何とも言えず喜劇的で面白かったです。 全体に、<阿房宮>や<スペイン櫃><王家のルビー><塔の部屋>など、子どもが読んでも楽しめそうなワクワクする舞台や小道具の多く登場する短編集だと思います。 今は真夏ですが(笑)いつか<クリスマスにクリスティ>としゃれ込みたいものですね。 | ||||
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作者の短編集の中では上質の部類ではないか。ポアロもの5篇とマープルもの1篇、いずれも平均以上の作品が並んでいる。 その中で突出していると私が思っているのは、毎晩同じ時刻にピストル自殺する夢を見、そしてそのとおりの事件が起きる「夢」。オカルト的な要素を交えながら、シンプルなトリックと解決が小気味良い。 他では、表題作の「クリスマス・プディングの冒険」とマープルものの「グリーンショウ氏の阿房宮」が、いずれも読みやすくて面白い。やはり短編は推理よりも直感で真相を突き止めるマープルものの方が向いているような気がする。 表題作はジュブナイル的だが、それがかえってクリスマスの雰囲気に合ってて良かったのかも知れない。 「二十四羽の黒つぐみ」は、作品としてはまあまあだが、タイトルは無意味。マザーグースにちなんだタイトルのようだが、はっきり言ってポアロ(と作者)のこじつけでしかない。このマザーグースはマープルものの長編「ポケットにライ麦を」にも用いられているが、その使われ方は雲泥の差で、本作での使われ方にはちょっと呆れてしまう。 | ||||
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作者の短編集の中では上質の部類ではないか。ポアロもの5篇とマープルもの1篇、いずれも平均以上の作品が並んでいる。 その中で突出していると私が思っているのは、毎晩同じ時刻にピストル自殺する夢を見、そしてそのとおりの事件が起きる「夢」。オカルト的な要素を交えながら、シンプルなトリックと解決が小気味良い。 他では、表題作の「クリスマス・プディングの冒険」とマープルものの「グリーンショウ氏の阿房宮」が、いずれも読みやすくて面白い。やはり短編は推理よりも直感で真相を突き止めるマープルものの方が向いているような気がする。 表題作はジュブナイル的だが、それがかえってクリスマスの雰囲気に合ってて良かったのかも知れない。 「二十四羽の黒つぐみ」は、作品としてはまあまあだが、タイトルは無意味。マザーグースにちなんだタイトルのようだが、はっきり言ってポアロ(と作者)のこじつけでしかない。このマザーグースはマープルものの長編「ポケットにライ麦を」にも用いられているが、その使われ方は雲泥の差で、本作での使われ方にはちょっと呆れてしまう。 | ||||
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短編を見ていると良作と、煮え切らない作品集とのどちらかに分かれてしまっているんですよね。なのでダメな作品集を引いてしまうとちょっとがっかりしてしまうものです。この作品はその「ダメな作品集」に残念ながら入ってしまうものです。なぜならばなんとなく結論部の甘さがめだってしまっているから。解説がどうも足りないように感じてしまうのです。でも設定とかは決して悪くはないんですよ。意外な秘密が隠されていたり、せっかくの犯罪が看破されてしまったり…と。ただはずれの作品が多いように見受けられましたので評価は☆3つとさせていただきます。 | ||||
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短編を見ていると 良作と、煮え切らない作品集との どちらかに分かれてしまっているんですよね。 なのでダメな作品集を引いてしまうと ちょっとがっかりしてしまうものです。 この作品はその「ダメな作品集」 に残念ながら入ってしまうものです。 なぜならばなんとなく結論部の甘さが めだってしまっているから。 解説がどうも足りないように感じてしまうのです。 でも設定とかは 決して悪くはないんですよ。 意外な秘密が隠されていたり、 せっかくの犯罪が看破されてしまったり…と。 ただはずれの作品が多いように見受けられましたので 評価は☆3つとさせていただきます。 | ||||
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