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(短編集)
家族八景
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家族八景の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全110件 81~100 5/6ページ
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かなりの年代モノの作品。そういった「時の流れ」を随所に感じる。 それは「お手伝いさん」の存在自体にも感じるし、彼女が転々とする 家庭の調度品だったり、家族の言葉遣いだったりからも感じさせられる。 しかし、「時代の流れ」を如実に感じられるからこそ、 「人間」の本質や人間たちの抱えている問題の変わらなさを実感できるのだと思う。 そして、この時代の人たちが作り上げた「時代」が「今」に大きく影響していること、 同じときの流れに乗って「現代」があることを強く感じることができる。 「テレパシー」という切り口やコミカルで軽い文調のおかげで、 とても読みやすい。けれど、読み進めていくと、連続して見せられる「人間」の闇に、 心が少し悲鳴をあげてしまう。疲れてしまう。 だからこそ、七瀬が自分の能力を疎ましく思っている様子にも この力を悪用しようとしない様子にも共感できるのだと思う。 | ||||
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『七瀬ふたたび』がTVドラマが始まり、 とても好きな雰囲気だったので、 原作を手に取りました。 思ってたよりも、 大人なイメージでした。 短編連作で、 他人の心を読むことができる少女が、 その能力を知られないように、 お手伝いとして、 さまざまな家を転々としながら、 それぞれの家族の物語を観察(?)する、 というお話。 ぼくの好きな雰囲気のあるSFでした。 ある前提と、 それを裏付ける説得力を持って話が展開する。 人間の“エゴ”を鋭く描いており、 自分を省みるのが怖くなる。 こんな彼女と出会ってみたいけど、 どうしたら、 ずっと一緒にいられるかを考えると、 それは・・・難しい。 主人公の七瀬が、 ちょっと大人びていながらも、 まだま少女である部分が、 人間の欲望のいやらしさを、 際立たせている。 あっという間に、読めました。 | ||||
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この「七瀬シリーズ」三部作は、現在、累計450万部を突破しており、さらに、NHKで「七瀬ふたたび」の放映もスタートしているところを見ると、多くの人に支持されているのは間違いないのだろう。しかし、私は、これらの作品が、それほど魅力のあるものとはどうしても思えないのだ。 その理由の一つが、筒井康隆独特の文体に馴染めないということだ。これらの作品は、内的モノローグが括弧書きで表わされているのだが、モノローグ自体の文体が独特で取っ付きにくいというだけでなく、台詞の間のモノローグや心理描写が長過ぎて台詞の繋がりがわかりにくかったり、台詞とモノローグが混在してその違いがわかりにくかったり、誰のモノローグであるのかはっきりしなかったりと、とにかく読みにくいのだ。 一番大きい理由が、七瀬の人物設定と、その行動のギャップだ。七瀬は、「日曜画家」までに、「まだ男を知らず」、「清潔、潔癖で」、「男たちの眼をひきつけるに充分な美貌を備えている」と、その人物設定がはっきりしてくるのだが、通常、男というものは、こうした女性には、天使か女神のような存在を重ね合わせるのではないだろうか。ところが、七瀬は、冒頭の「無風地帯」から、見せかけの平和を破壊するためと称し、家族同士が互いを傷つけあうように仕向ける行動を取っており、こうした行動は、「水密桃」、「紅蓮菩薩」、次作「七瀬ふたたび」の「邪悪の視線」と、どんどんエスカレートしていき、悲惨な結果を生むのだ。もちろん、七瀬が聖人君子ではドラマにならないことはわかるのだが、私は、この「こわい」七瀬に、ずっと、共感できなかった。 「七瀬ふたたび」の救いのない暗いストーリーも、後味が悪い。最終作「エディプスの恋人」は、荒唐無稽とも思える物語ではあるものの、むしろ、私には、これが一番面白く読めた。強引ながらも、「七瀬ふたたび」との整合性も、最後にしっかり取っている。 | ||||
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「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」と続く一連の「テレパス七瀬もの」の第一巻目であると同時に、文豪筒井康隆の代表作のひとつでもある。既に何十年も前に読んだものであり、何度かテレビドラマ化されたものであるが、その作品の魅力は未だに色あせず、書店には新しい装丁になった文庫本が並んでいるのをみると、人事ながら嬉しくなる。 再読してみて、改めてその面白さに引き込まれる。 この初版が出たのは日本中が、超能力ブームに沸きかえっていた時期だったのではないだろうか。 あのお粗末なブームが去っても七瀬のもつ魅力は消え去らなかったということである。 | ||||
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まず1編。 読んでいる時はソレと気づかず。 そして2編。 やっとちゃんと読もうと腰を上げる。 気づけば3編。 なんとなく吸引力。 あっというまの8編八景。 まだまだ読みたくなって 次へ続けと言う気分。 | ||||
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興味深いテーマだったのと筒井さんの作品には 以前から興味があったので読んでみました。 他人の考えてることを読みとれる能力を持つ女性・七瀬が主人公の物語です。 読み終わるのに苦労する小説でしたが 性描写がやたらとリアリティーがあったので読み甲斐がありました。 筒井さんの文章自体は地味な印象ですが奇抜性や独創性が強くて 読み進めるのが面白いです。他の作品も読んでみたくなりました。 七瀬を天使と感じるか悪魔と感じるかは人それぞれです。 ちなみに僕は後者だと感じましたがね。 | ||||
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テレパシーを備えた若く魅力的な少女超能力者・火田七瀬のシリーズの第一作だ。 主人公は他人の心を読みとり、ぞれぞれの闇を照らし、家族を成立させる骨組みや結びつきを明らかにする。そこはお馴染みの、親子の確執があり、夫婦の嫉妬や疑心暗鬼、さらには性・金銭をめぐる欲に溢れている。主人公の能力をめぐり生い立ちに触れる物語もあるが、敢えて主人公の出自には深く踏み込まない。主人公は家族の心の語り部として、家庭から家庭へと移ろっていく。 それぞれの内面をストレートに描写することで、家族に生じている欺瞞をさらけ出し、主人公と読んでいる側からは表層的な家族関係の脆い実体がありありと分かる。この手法は、小説の基本的な描写方法を破壊する行為だと言えるかもしれない。SFの形を借りているが、作家の挑戦的な意欲を感じる。 | ||||
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家族八景が七瀬三部作の中で一番好きです。 これだけ人間の隠しておきたい見たくない心理をうまく描いて、しかも笑わせたり怖がらせたりできるなんて、天才だな・・・。 (すごく汚い家に家政婦七瀬が来る話が一番印象的です) 筒井作品を読んで影響を受けないクリエーターがいないだろうな、ってくらいほとんどのサブカルチャーに筒井康隆の残り香を感じる。 素晴らしい作品です。 | ||||
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1972年 新潮社初版だったと思う。 可愛いお手伝いさんの短編集 人の心が読める能力のある お手伝いさんを通してのいろいろな家族の話。中学生当時これを読んで 世の中 本音と建前があるのを痛感しました。 40超えても 建前を見抜けない 空気が読めない自分勝手人間の多さにはまいります・・・ この本は 10代に 読むべき本です。 「家族八景」の続編もありますが、僕の感想としては駄作な感がします。 70超えて また 武者小路がいいという人生がおくりたい今日この頃のワタクシでございます。 | ||||
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筒井康隆の代表作の一つです。 SF作家でもある著者の、実験的な意欲作で、 文体や、時系列の妙は、流石としかいいようがありません。 様々な問題を抱えている家庭を、 家政婦の目線で、その家庭の行く末を見つめていくのですが、 これが市原悦子だったら、テレ朝の2時間ドラマでげんなりしちゃうのですが、 主人公の七瀬は、うら若き美貌の少女。 しかも特別な能力を持っているのです。 人の心を読むことの出来るテレパシーの持ち主なんです。 人の心を読むことで、働く家庭が抱えている問題を、 外面と内面の2方向から見ることのできる七瀬。 この内面と外面を、絶妙な文体で表現していきます。 初めは、自分の能力のせいで、人間観察が主体だった七瀬が、 次第に自分の能力そのものについて、考えるようになっていく頃になると、 物語中では、特殊な能力ゆえに、決して理解者は得られないと思っている七瀬の 理解者になっている自分がいることに気づきます。 果たして七瀬は、最後にどんな心を読むことになるのでしょうか。 作者自身、このキャラクターが気に入ったらしく、続編『七瀬ふたたび』を書いています。 | ||||
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テレパス能力をもつお手伝いさん七瀬が行く先々で起きる出来事の連作。 どれもいまとかわらない目線で描かれています。 ただ、どうしてこの作品だけで七瀬を終わらせなかったのか。 | ||||
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筒井康隆好きにはたまらない作品です。 様々な家族と、お手伝いとして働くヒロイン七瀬の物語。 描写の生々しさと、筒井ワールド独特のエロティシズム。 活字ならではの世界が広がっている素晴らしい作品だと個人的には思います。 短編で読みやすいので、時間のない方にもお勧めです。 | ||||
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七瀬三部作といわれるそうですが、その中でもやはり本作が最高の出来だと思います。 よくよく考えると、超能力者七瀬の視点を通して、人間に対してかなり厳しい見方をしているわけですが、それでも読む側に嫌悪感を与えることも無く「うんうん、そうだよな」と思わせます。途中からはSF作品であることも忘れて引き込まれます。それもたぶん、七瀬という絶妙なキャラの恩恵だと思うのですが、筒井康隆のすごさをまざまざと見せ付けられました。 ただ二作目「七瀬ふたたび」以降は普通のSFっぽくなりすぎてて、個人的にはガッカリしました。一作目の日常っぽい雰囲気のままで続編を書いてほしかったです。 | ||||
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七瀬3部作と称される、七瀬が主人公の第1作が本書です。 人の心が読めるテレパス七瀬が、家政婦として幾つかの家を渡り歩く中でのエピソードを短編形式で数編収録しています。 人の心を読んでしまえるが故に思い知らされる七瀬の、怒り、失望、葛藤、などの描写を通じて、人間の持つ天使の半面(悪い面)が、異様な心理的迫力を伴って描かれています。 プロットも手堅くまとまりがあり、娯楽的要素にも落ち度なく、筒井短編の中では出色の出来だと思います。 | ||||
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初めて読んだ筒井康隆作品がこれだったので、“重い”というのが正直な感想です。決して面白くない訳じゃないし、事前にどんな作品かを調べてから読めば星5つをつけたかもしれないけど、『富豪刑事』のドラマのイメージが強かったので、そのイメージで読んでしまった私的にはあまり好きとは言えない作品でした。 | ||||
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テレパシーの能力を持つ美少女七瀬をヒロインをそえた華のあるべき短編集の名前を「家族八景」という地味な題名にした作者。筒井らしくない、と思うのは早計で、作者の意図はエスパー七瀬をある意味狂言回しにして色々な家族の人間模様を描き、人間・家族の問題を正面から見据えた、正攻法の作品なのである。 読者は魅力ある女へと変貌しつつある七瀬の行く末を心配しながらも、物語に吸い込まれる。読みごたえがある。特に七瀬が、同じエスパーではないかと疑う主婦が、ワザとであるかのように日常の瑣末事ばかり頭の中に思い浮かべる様子に、自身の将来を見るようで慄然とするシーンが印象的。 しかし、作者自身も(読者も)七瀬の魅力に抗しきれなかったのであろう。2作目(七瀬ふたたび)、3作目(エディプスの恋人)とシリーズ化され、打って変わって本格的SF路線に走ってしまった。2,3作目もSFとして良く出来た作品だが、七瀬の魅力・作者の真の意図を味わたいならやはり本作がお勧めである。 | ||||
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この本を最初に読んだ時は本当に驚き、恐ろしくなりました。 SFには超能力物のジャンルがありますが、超能力を持ったための 恐怖を知らしめてくれた本です。心理状態の表現も筒井康隆でなければ、 できないものがあります。 三部作の最後には、とんでもない領域まで行ってしまいますが、これは 日常の普通の家庭に起こることが主な設定なので、余計に怖い。 筒井康隆の才能がとんでもないものだとわかる作品です。 | ||||
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美少女テレパス火田七瀬――彼女は生まれながらに目の前の人の心を読みとることができるのだ。世間の迫害を恐れた七瀬はテレパシー能力に勘づかれないよう、お手伝いさんとして様々な家庭を転々とする。一見ごく平凡で幸せそうに見える8つの家庭で七瀬が見たものは、小市民たちの欲望と狂気に満ちた猥雑な心理であった・・・・・・ コミカルな筆致で人間の心の暗部を残酷に抉る、恐ろしくも哀しいオムニバス作品である。テレパス七瀬初登場の作品で、他にも七瀬シリーズは『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』があるが、この続篇2つは駄作だと思う。ただ『家族八景』は素晴らしい作品なので、ぜひ読んでいただきたい。直木賞候補作にも上った。 | ||||
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超能力者で家政婦を生業とする主人公七瀬の短編物語集。 1家族の出来事が一つの物語になっているのですが、どの家族編も最後 の七瀬の身の振り方が見所で、本当にワクワクしました。 超能力者であることをひた隠しにしているのですが、気づかれそうにな る物語もあり、超能力者である事の苦悩も描かれています。 登場人物一人ひとりのメンタル的な面も丁寧に書かれていて本当に引き 込まれました。 | ||||
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シリーズ物は第1作が一番良いことが多いが、七瀬シリーズも例外ではなく本書が一番面白いと思う。人間の醜いところをこれでもかとえぐりだす様はまさに筒井流。 | ||||
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