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(短編集)
家族八景
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家族八景の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全110件 61~80 4/6ページ
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小説家 筒井康隆(1934-)の連作短編、1972年。 精神感応能力(他者の心を読む能力)をもつ少女七瀬が、様々な家庭に家事手伝いとして訪れ、その一家の人々の内面を覗いてしまう。外面によって取り繕うとしている内なる俗物性が、彼女の"感覚"の前には剥き出しになる。しかし、それぞれの家庭の俗物性がどれも類型的なもので、人間の俗物性の醜悪さが繊細な感受性で描かれているとはとても云い難い。 作者はフロイトの精神分析理論に学生時代以来の関心があったようで、その理論を通俗化したような記述が散見されるが、それもこの連作に感じられる単調さの一因であろうか。人間の俗物性に対する作者の想像力の貧困さばかりが目につく。或いは、時代的制約を差し引いても、作中には性の記述に於いて世間的なジェンダー規範をなぞっているだけの個所も多く、作者自身の貧困な人間観の裏返しが本作の退屈さにつながっているのか。 作者の代表作の一つとして挙げられ人気もあるようだが、凡作であるというほかない。 | ||||
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登場人物は、読心能力を持つ火田七瀬と各家庭の人々。 七瀬は、手伝い(家政婦)として、様々な家庭を渡り歩く。 七瀬の読心能力を通して、家族のエゴや駆け引きなどが描かれる。 かなり、読むに堪えない内容もある。 だが、実際の家庭でも少なからず起こり得ることだと思う。 ここで、主人公はあくまで各家庭の人物たちであり、七瀬の読心能力は小説を成り立たせるための道具に過ぎない。 そう考えると、小説として興味深くもある。 しかしながら、七瀬が自分を守るために、ある男性の精神を破壊したり、夫が不倫していることを子育てしている妻にばらしたりするのは、やりすぎだと思う。 また、テーマが古すぎて、現代には即していない。 | ||||
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家族八景から始まる七瀬三部作。3作とも、異なった切り口、スタイルで、とても楽しめます。 家族八景は、お手伝いさん七瀬の目から見る現代社会。 七瀬再びは、スリル満点。素晴らしいリズム感。 エディプスの恋人は、シリーズを総括するような長編。 僕は、仕事の移動時間に夢中になって、アポイントに遅れかけました・・・ | ||||
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面白いの一言に尽きる。陰鬱で悲惨な話ばかりで、巧みに描かれる人間の醜悪な心理描写に空恐ろしさを覚えながらも、作者のトートロジーを含めた軽妙な筆致ですらすら読めてしまい、時には度を過ぎた醜悪さのため声を上げて笑ってしまう。 どんなに文明が発達しても、どんなに科学が進歩しても、人間が格段に善良になることがなく、本質的には大きく変わることができないのは歴史が証明していることからも周知の事実で、そのため人間の醜悪な心理描写を巧みに描いた本作は、これから時代が変わったとしても、相変わらず傑作として読み続けられるのでしょう。 | ||||
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一気に読めました。このシリーズは多くのことを考えさせてくれますね。 | ||||
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主人公は、他人の心が読めるテレパスの能力を持つ少女。その能力を知られるのを恐れ、家政婦として家庭を転々とする。 その過程で出会う人々が揃いも揃って心が醜く、自己中心的で、読んでいると人間が嫌になるほどだった。それでも読み進めてしまう吸引力と、後に残る強い印象を持つ作品。 ちなみに、筒井康隆の作品においては、美しい女性に対して男性はすべからく卑しい心を持つものであり、女性は男性の雄々しさにエロスを感じるものらしいが、そこに著者の厭らしさを感じ引いてしまう。残念。 | ||||
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中学生の時に読んで、45歳で再読。読心能力を持つ主人公を通して、普通の人々の内面を、容赦のない形でえぐり出している。内面的に成熟するのは大変だと改めて思った次第です。 | ||||
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筒井康隆氏は、今読むと結構古臭い文体なのですが、それに目を瞑ってでも読むべきです。 論理力が傑出しているのです。 作家には、「感覚で書く作家」と「論理で書く作家」の2タイプが居ますが(ハイブリッドも有)、この人は間違いなく後者。 「異性の感覚」というのは、絶対的に論理でしか暴けないもの。 それが筒井康隆氏は超能力レベルで出来る。七瀬がそれを証明しています。 オチのつけ方も上手いので、もうなんというか、お手上げです。 こんな夢をある文化人を、用語規制などというケチなルールで抹殺してしまったこと。 「差別関係者」は、恥ずべきだと思います。 | ||||
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テレパスの超能力を持つ主人公、火田七瀬が、様々な家庭に女中として働きに行く話。 8組家族が登場するのだが、なんとすべて取りこぼしなく家庭環境が最悪である!! そして登場人物は皆、あまりに人間的すぎる醜悪な欲望で心が満たされているのだ(筒井らしい)! グロテスクな人間関係が筒井康隆の凄まじい人間観察によって非常にリアリティあるものとなっている。 | ||||
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エスパーもの、というよりも、そういう道具立てを使った 人間のいやなところを満載した素晴らしい文学ですね。 昭和40年代の作品とは思えないのもすごい! 細かな道具立てはほとんど使われておらず、そのあたりも 古さを感じさせないところでしょうか。携帯電話がないことが 致命的な古さを感じさせる作品も世の中に多々ありますが、 これに限ってはそういう感じは全く受けませんでした。 時代に縛られない傑作の条件を満たしてあまりあります。 僕は何回か読んでいますが、今回40をすぎて読んでみると、 書き込まれた人間心理(いうまでもなく七瀬が覚知する他人の 心理ですが)に対する怖さとか醜さというのは、年をとって こそ味わえるものもあり、大変に感心しました。 若者が読んでも中年が読んでも面白いと思います。 老人になっても読み返すと思いました。 | ||||
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はじめは主人公・七瀬の行動原理には違和感を感じました。テレパスであることを知られたくなければひっそりと田舎にでも引っ込めばいいのです。しかし読み進めていくうちに納得しました。おそらく七瀬も無意識下で自分の能力を楽しんでいるのです。でなければ能力を伸ばそうとしたりわざと人間関係をこじらせる実験をするはずがありません。また彼女は自分の保身のためには他人に容赦しません。つまり七瀬も理想化された人物ではなく、彼女の犠牲者と同類の心を少なからず持つのです。以上のように彼女を通してみた各家族の情け容赦の無い破綻ぶりと理想化されていない等身大の主人公、これが本作の最大の魅力です。 | ||||
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他人の心が読める19歳の「テレパス」七瀬が、家事手伝いとして働く8つの家庭・住民同士の物語。 七瀬が覗いてしまう家族・住民関係は、大抵ドロドロとこじれている。七瀬は住民それぞれの心理を明らかにすることで、こじれやねじれを加速させる。 なぜこじれを加速させるのか。その理由は、自分の超能力や人間の心理について知りたいという探究心と、女としても能力者としても狙われ得る自分自身を守るため・・・ではないかと。面白さについては、期待を上回らず下回らずということで☆は3つ。 初の筒井康隆作品。故・今敏監督の作品から興味を持って手に取りました。 | ||||
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人間の心理や闇について鋭く指摘している緊張感あふれる作品でした。 しかし、批判している方が言っているように感情や考えが極端すぎる面もありますが ドロドロの昼ドラをリアルで見ている気分になりちょっとスリリングな気分を 味わえるのでこれはこれでいいと思います。 家族、夫婦、親子、兄弟、親戚、…複雑な人間模様の風刺にはただただ圧巻されました。 人間にとって一番大切なものと言われている家族という物も 「所詮はこんな物か」と思わせる鬱作品でした。 しかし何故か読んではまってしまう。 これが昼ドラやサスペンス好きな人の心境という物なんでしょうね。 | ||||
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他人が心の中で思っていることが聞こえる美少女のお話の短編集です。 主人公の七瀬は、家政婦として色々な家族の元へもぐりこみ、そこに渦巻く醜い感情を知ることになります。 七瀬と一緒に、聴こえてくる男たちの妄想に「こんな思考回路・・・のぞきたくもない。」と、 うんざりしつつも、ついつい好奇心そそられてページをめくり、それが醜ければ醜いほど「いやだ〜」と思いながら、 読み進めてしまうお話でした。 結果的には、彼らの狂気染みた思考をエスカレートさせて、崩壊させてしまう感じの書き方に、妙にスッキリしました。 | ||||
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家族八景とはいうものの、結局どの家族も同じように自己中で世間体を気にする孤独な屈折したタイプの人たちばかりで、色で例えるとみんなそろって冷たい灰色。一貫して「人間なんてララッラ、ラララ、ラ〜ラ〜」みたいな視点で、浅ましく愚かなうわべだけの薄っぺらい登場人物が描かれていて、そういうのが人間の心理の一部であるとしても、あまりに視点が一辺倒。反抗期の高校生じゃないんだから。 その種の人たちもいるんだろうけど、人間模様って灰色だけじゃなくて黒もあれば赤も黄色もあって、もっと色彩豊かじゃないのかなと。 デフォルメさせて書いただけのことかもしれないけど、それにしても灰色一色で単調すぎる。 人間心理、抉るならもっと抉ってほしかったし、どうせ心が読めるという設定なら同種の人間ばかりじゃなくもっと色んなタイプの人間心理を描いてほしかったし、……本から聞こえてくる「所詮人間こんなんっすよ。偉そうにしてたって、心の中で何考えてんだか」みたいなつぶやきに対して、「そうかもしれないけど、人間それだけじゃないと思うよ」って、何度も応答するのが途中で面倒になってきた。 面白いとは言えない本だった。 | ||||
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七瀬三部作の中で、やはり本作が最高のだと思います。 様々な家族の心の動きを短いイメージで表現する方法がとても新鮮です。 超能力者七瀬が見る心象風景の部分は意識も無意識もイメージも様々に出てきているので、自分自身の心を読む以上に深い視点で人の本音が語られています。 ですから、汚い部分も建前の部分も全て表出されているので、かなり強烈なインパクトを受けますが、自分の心の中でも起こっているようなことなので、少し安心できるのかも知れません。 自分に対する人の本音が聴けるというのは、よほど強い自我がなければ駄目だと思う反面、七瀬が美しくなっていく秘訣のような気がします。 七瀬シリーズでなくていいので、人の心がわかるという人の心象描画の作品を筒井さんにはもっと書いて欲しいと思います。 | ||||
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まさに自分のナニを切り落としたくなるような作品ですね。 七瀬はテレパスのうえ美人なので、奉仕先のオヤジ、若者たちにたびたびエロい目で見られます。このときの男たちの思考がとてもリアルで、男なら一度は女の人に対して思ったことがあるようなことが書かれています。 とても人気のある作品だと聞いていましたが、話の内容はとても生々しく、たいていがエロ関係でねじれていきます。 男性なら絶対に自分の性欲がいやになると思いますよ。気をつけて。 | ||||
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七瀬三部作の第一弾。 七瀬ふたたびが有名なので名前だけは知っていたのですが、 今回その世界に初めてふれました。 人の心を読めてしまう精神感応能力者七瀬が家政婦として 八つの家族の内面にふれる物語です。 三部作のなかでは一番評価が高く、 人の醜悪さ、狂気、内面の汚さが描かれています。 僕のなかでは、七瀬ふたたびの次に家族八景をお勧めしますね。 もし自分が同じ能力を持っていたらとしたら、 その醜悪さに耐えられなくなってしまうかと思いますよ。 | ||||
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人が何を考えているのかすべて分かってしまう不思議な能力を持つ七瀬。 彼女はこのことを他人に知られないように生きてきた。お手伝いさんとして いろいろな家庭を転々とする日々の中で、彼女が経験したことは・・・? 8つの短編を収録。 仲がよい夫婦に見えるのに実際は・・・。真面目そうな人なのに心の中で 考えていることは・・・。他人の心の中がすべて分かってしまったら、 普通の人なら人間不信に陥るのではないだろうか。19歳の七瀬にとっても 過酷なことだと思う。だから、内容はもっとミステリアスで深刻な展開かと 思ったが、読んでみるとたてまえと本音が交錯する不思議な感じのする話 だった。七瀬は自分の能力を使い、人の本音を引き出そうとする。そのことが その人の運命を左右し、時には不幸な結末を引き起こしてしまう。彼女の 行動がはたして正しいのか、疑問に感じる部分もあった。人は知らなければ ならないこともたくさんあるが、知らなくていいこともそれと同じくらいあるのでは ないだろうか。七瀬には希望が持てる未来があるのか?人としての幸せを 望むことができるのか?否定的な答えしか浮かばないのが悲しい。 | ||||
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テレパスってこわいですね 七瀬のように、他人の心がわかるとしたら こんなにこわいことってないですよね そしてそんなテレパスのお手伝いさんに心 を読まれて、自分の考えていることが見透かされて いるとしたら・・・ | ||||
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