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虎よ、虎よ!
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【この小説が収録されている参考書籍】
虎よ、虎よ!の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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SF的なアイデアは文句なしですし、展開のテンポも良いのですがせっかく構築した未来世界の書き込みが不十分なので読者に伝わりにくくもったいないです。 舞台である25世紀の世界では交通手段が革新されています。「ジョウント」と呼ばれる精神感応移動(テレポーテイション)で誰もが瞬間移動出来るようになっています。そのおかげで犯罪の多発しています。さらに宇宙圏に進出している人類は内部惑星連合(金星、地球、火星の3つと月)と外部衛星同盟(木星のイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト、土星のリア、タイタン、海王星のトリトンの7つ)で対立し、終わりの見えない戦争が続いています。この魅力的な設定だけでも十分楽しいSF小説が書けるはずなのですがベスターは一人の特殊能力人「ガリヴァー・フォイル」を復讐の鬼として登場させ、さらには世界を一瞬で破滅できる最終兵器「パイア」の争奪戦へと物語を加速させます。 主人公・ガリヴァー・フォイルは、貧民街育ちで、この世界では下流な階層の粗野な人物、最初は爆破されて遭難した宇宙輸送船「ノーマッド」を操縦する最後の生き残りとして登場します。彼は半年間一人で宇宙を漂流したあと、ついに「ヴォーガ」という同じ会社の宇宙船が通りかかったので狂喜します。ところが「ヴォーガ」は「ノーマッド」を認識しながら何故か無視し見捨てます。その深い絶望とヴォーガへの復讐心が、凡庸な三等航海士に過ぎなかったフォイルを、強固な意志を持つ男へと変え、この後世界を揺るがす厄介者とさせるのです。 ここまでが導入部ですが、「ヴォーガ」を恨むのも筋違いで、そもそも「ノーマッド」が遭難するに至る原因である、攻撃してきた敵の戦艦を恨むのが本筋じゃないかと思うのですが・・・・こんな風にストーリー中にちょいちょい不自然で無理やりな展開があるのですが、これには目を瞑って話を続けましょう。 このあとサーガッソ小惑星群に住む旧科学人により救助されるフォイル(なんだ結局助かるなじゃないか)ですが、旧科学人たちの奇怪な風習により、顔に虎のような模様を刺青されます。(これが結局題名「虎よ虎よ」の謂れになるのですが、この風貌と彼の活躍、ストーリー展開にはなんら影響を与えない不思議で不要なエピソードです)。 彼らの元を脱出したフォイルは、ヴォーガとそれを所有するクリスタイン財団への復讐のために動き始めるのですが、実はフォイルには彼自身もまだ気付いていない特殊な能力があって世界中から追われる存在となっていきます。フォイルの真の敵は誰でその復讐は果たされるのか?フォイルの謎の能力と最終兵器「パイア」の発動はどうなるのか・・・。といった興味がてんこ盛りのSFサスペンスとなっております。 さてラストでは彼の隠れた能力が卍解(ばんかい)しますがその表現に添付写真のような「タイポグラフィ」が使われます。筒井康隆先生が実験的に使った手法(七瀬シリーズ)のオリジナルかもしれません。文章では 遠方でカチャカチャという足音が縦になった北極光の柔らかいパターンになって眼に入ってきた。 というような表現になっています。フォイルが「共感覚」という特殊な知覚現象を体験している様子を描写しているのです。 小説中に出てくるジョウントや加速装置(サイボーグ009、島村ジョーの必殺技)などのアイディアは本当に素晴らしいだけに、この25世紀のベスター世界を詳しく著す長編にしたほうが面白いと思えました。アイディア200点、テンポ100点、翻訳100点ですが、プロット50点、文章力50点で残念です。アイデアだけは飛びぬけて素晴らしいのでもっと尺の長い小説として読んでみたいと残念です。 | ||||
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入口通りの復讐ものではない。だがトンプスン評者が本著者と比肩し評するのも分かるグラフィカルな破綻の物語であるのには違いない。 | ||||
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60年前の作品ですが序盤は中々楽しめました。が、中盤から後半にかけては読むのが苦痛に感じてきました。 まず、翻訳が直訳みたいな文が多すぎて一部内容が理解できない。また、作者のSF作家としての腕が高くないためか、世界観や場面々の状況説明がすごく分かり辛い。設定的やキャラクター設定は凄く良いんですが...何分他の要素で読みづらくてしょうがないです。 何回か読み直せば慣れてくるかと思いますが、私はあまりもう一度読もうという気になりませんね... | ||||
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評価も高いし、古典的なSFの傑作と新聞でも絶賛してあったので 普段は図書館で済ます本も多いのですが、めちゃ期待して購入。 で・・・まあ、面白いとは思いましたが、朝まで一気に読んでしまったみたいな のめり込みはありませんでした。もちろん好みというのもありますが。 ほんとに面白くて惹きつけられる本は、どんなに長編でも三日三晩寝なくても それこそ、食事も忘れて読み込むんですが、今回はちょっと期待が大きすぎたかも。 この本が出たころより、今はもっと刺激的でパワフルで、インパクトのある世界が広がる 映像や本に囲まれているためか、そこまでの興奮もないです。 発刊当時に読んでたら、もっと夢中になれて、それこそ衝撃ものだったんだろうなと思うと、ちょっと残念。 | ||||
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確かに、時空を駆け巡るイマジネーションに溢れる作品かもしれない。でも、この復讐の一念に取り付かれる主人公に今一歩共感できない。従って自分には楽しめない作品である。 | ||||
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往年の名作が新装版になって登場して、本書を知らない読者は新刊かと見まがうくらいで、カバーのデザインもクールです。 読んでいたSFに引用されていたのが、読むきっかけでした。読んでいると後年に多くの書き手に影響を及ぼしたが分かってきます。私が反応したのは、主人公が怒ると貌に虎のような模様が浮んでくるところと、歯のスイッチを操作することにより加速装置が起動して周りが極端にスローモーションになってしまうところです。前者は「仮面ライダー」、後者は「サイボーグ009」の原作がオマージュしています。今は亡き石ノ森章太郎先生は本作をこよなく愛していたのだと思います。 では、私の感想はどうかといえば、全体を俯瞰してみると「あまり面白くなかった」というのが正直な感想です。ですので、このレビューもUPするのは当初止めようかと思ったのですが、私一人が面白くなかったといっても本作品の価値が下がることはないだろうという結論に達し、本レビューを書いています。その理由ですが、自動車などの工業製品にたとえると、往年の名車を現在の公道で走らせたときの感覚に近いのではないのでしょうか。その名車を以前から知っており、憧れの対象だったり、歴史的価値を十分知っている人にとっては、それを運転することは、大きな喜びとなるのだと思います。一方、名車の技術を基に進化した現代のハイテクノロジー車に乗りなれている人にとっては、時代遅れで、クールでないという評価をつけられてしまうかもしれません。 しかし、往年の名車を同様、関心の低い人にとって冴えないものであっても、その価値というものは揺るがないというのが本書なのだと思います。 | ||||
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最後の解説文にあるように、確かに色々なアイデアが ぎっしり詰め込まれていて、きっと初出時は斬新な 小説だったのだろうなぁ、と感心する事しきりです。 しかし、大づかみな話としては、 「太陽系巌窟王やや不幸版」で、 それほど驚く様な事は有りませんでした。 最後があまりハッピーではないので、 あまり自分の趣味には合いませんでした。 | ||||
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SFにワイドスクリーンバロックというジャンルを確立した傑作。 科学をネタにしても合理性には拘らず、 空想力の赴くままに、作者が暴走するのがワイドスクリーンバロックの魅力。 この作品では誰もがテレポート能力を持ち、犯罪しほうだいのアナーキーな社会が描かれる。 その暴力的世界での復讐譚である。 怒りで顔の刺青が浮かび上がるという設定は、 石森章太郎が仮面ライダーでオマージュしていた。 ちなみに仮面ライダーが仮面を被るのは、醜い顔を隠す為ざんす。 サイボーグ009の加速装置もこれへのオマージュ。 私はワイドスクリーンバロックに哲学的マンガチックアクションSF小説という 異名を提唱しているが、 へたなマンガよりぶっとんだ、凄い世界とストーリーが展開されるのが、 ワイドスクリーンバロックである。 私は認めないが、ワイドスクリーンバロックこそが、もっともSFらしいSFであるという説もある。 | ||||
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あらゆるアイデアを詰め込み、八方破りな展開ながら、めまぐるしい展開で 読む者を飽きさせません。ただし人物関係が複雑なため、理解するためには、 じっくり読む必要があるかもしれません。 後半になればなるほどぶっ飛んだ展開で、分かりづらい箇所もありますが、 最期に散りばめられた伏線の謎が明らかになります。 SF史に燦然と輝く名作で、今でも決して古さは感じませんが、どちらかというと SF上級者向けと感じました。 | ||||
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