火星のタイム・スリップ
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| 一説によると、フリップ・K・ディックが友人に語ったところでは、「自分のお気に入りの小説を3冊選ぶなら、 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(1968)、『火星タイムスリップ』(1964)、『高い城の男』(1962)だ」と言ったという話があります。もちろん本当かどうかはわかりません。しかしこの話を聞いて、『火星タイムスリップ』を読んでみたくなったのは事実です。 ストーリーの核は、ある少年の特殊能力“タイムスリップ”を主人公が利用して過去を変えようと企てるところにあります。ところが・・・と物語は思わぬ方向に投げこまれ、「ディック感覚」と呼ばれる独特の悪夢的な感覚が特徴的な、崩壊する現実、現実の虚構性、そしてアイデンティティ・クライシスに引きこまれていきます。 ディック・ファンなら、これはやはり一度は読んでおきたい本だといえるでしょう。 | ||||
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| 大昔のSF小説では、近未来には火星くらいには地球人も到達していて、植民地にしているだろうというのがいかにも当たり前的だった。 1964年発表の本作の舞台も火星であり、どうやって環境を整備したかは語られはしないが、普通に人類が大気の下に暮らしている世界だ。 優れたアイデア作家であるディックらしく、その設定は突飛というか、精神分裂病患者の中には、健常者とは異なる時間の進行の中で生きている者がおり、さらにその中には過去や未来を行き来できる者がいるとする学説がある、という前提が作品を支えている。 火星の或る街の実力者アーニイ・コットは、分裂病の上に自閉症で他人に心を開かない少年を利用することにした。 未来を予見して儲けようとしたのだが、それを実現させる装置を作る前に、地球から来た山師に先を越されて大儲けの機会を失ってしまった為に、今度は過去に戻ってやろうと考える。 しかし、少年の特殊能力は、単純なタイム・トリップではなかった。 ディックの作品は様々な登場人物たちが割と均等に描かれ、多層的に展開するものが多い。 本作も同様で、アーニイの企みに巻き込まれていく人々にもそれぞれドラマがあって、誰が主人公とかというのがはっきりしなかったりするし、途中まで何を描こうとしているのか判じ得ないまま読み進めることになる。 しかも、本作ではもう一人の主要人物であるジャック・ボーレンが、少年の影響で過去に経験した分裂病が再発しかけ、この二人の分裂病者による幻想が、物語を現実と悪夢が入り混ざった混沌とした世界にするので、なかなか複雑、そしておどろおどろしい感覚に包まれた独特の世界観を持っている。 評価も高く、読後感はスッキリとしたものではないが面白かった。 ちょっと翻訳がイマイチという感アリなのが残念。 | ||||
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| ディックは十代のころにはまり代表作といわれるものを一通り読んだが、そのなかでも特にお気に入りがこの「火星の…」と「ユービック」であった。再読してみて確かに面白いのだが、以前ほどの興奮や感動までは感じなかった。書かれた時代を考えれば止むをえないが、「自閉症」「精神分裂症」などの扱いが医学的・コンプラ的に大丈夫なのかというのもあるし、登場人物のキャラも前半と後半で急に変化したりしているのが気になる。自閉症児がトラクターを運転できるのだろうか?ディックはよくプロットの破綻が語られるので、そこは承知しながら読むべきだとは思うが…。とはいえ、このディックならではの雰囲気、フィーリングは大好きだし、いかにもディックらしい作品だと思う。 | ||||
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| . 水不足に苦しむ火星植民地で絶大な権力をふるっている水利労組組合長アーニイ・コット。彼は、国連の大規模な火星再開発にともなう投機で地球の投機家に先を越されてしまった。そこで、とほうもない計画をもくろんだ。時間に対する特殊能力を持っている少年マンフレッドを使って、過去を自分に都合のよいように改変しようというのだ。だが、コットが試みたタイム・トリップには怖ろしい陥穽が……!? ディックの傑作長編 (ハヤカワSF文庫版うらすじより) ------------ アメリカのSF作家フィリップ・K・ディック(1928 -1982年)が1964年に発表した長編小説です。邦訳は1966年にハヤカワ・SF・シリーズ3129として出た後、1980年にハヤカワ文庫版として再版されました。 舞台設定は、本国アメリカでの出版からちょうど30年後の1994年8月。すでに人類は火星での植民を進めています。植民にあたっては肌の黒いブリークマンと呼ばれる火星原住民との共棲が図られています。なにしろ現実世界ではアポロ11号が月面着陸する(1969年)よりも前に執筆されていますので、90年代初頭に火星植民地化が成功しているという話は荒唐無稽といえば荒唐無稽です。 しかしこの物語の核となるのは、自閉症児マンフレッドです。その障害のために彼は周囲の登場人物と(私たち読者が考えるような)通常の会話はできません。しかし作家ディックが描くのは、彼の見つめる世界は「普通ではない」のではなく、私たちとは「異なる」ということ。 「われわれの目に動きが見えるものは、その子には、ものすごい勢いで動いて見えるから、結局、なにも見えないのか。反対に、その子の目にはこの種みたいなゆっくりした過程が、ちゃんととらえられるんだな。きっと庭先にしゃがんでいると、植物がぐんぐん伸びていくのが、はっきりと見えるにちがいない。その子の五日間は、われわれには十分にしか感じられないんだよ」(171頁) むしろマンフレッド以外の大人たちは、インサイダー取引的な情報によって経済的利益をいち早く獲得しようとしたり、絶大な権力を握って植民地社会を牛耳ろうとしたり、配偶者以外との関係にうつつを抜かしたりと、彼らが形作る社会が真に「普通」であるかどうかは疑わしい様子が淡々と描かれていきます。 そうした描写と並行して、現実世界がループ現象を起こすなどしてSF的な仕掛けをほどこされながら溶解していきます。現実世界が認識不能な対象となり、何が現実で何が虚構なのかが特定できなくなります。『 パーマー・エルドリッチの三つの聖痕 』、『 アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 』、『 高い城の男 』といった作品でディックが手腕を発揮したのは、人間の認識力のあまりの脆弱さを強く読者に自覚させることでした。この『火星のタイム・スリップ』もその系譜に連なるものです。 ディックらしい作品に幻惑される読書でした。 ------------ *54頁:「おれたちが蛇のようにのたりくたりと這っているすきに」という訳文がありますが、原文は “We creep along like snails”です。つまり「snakes(蛇)」ではなく、「snails(カタツムリ)」です。 . | ||||
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| これは凄いSF小説だ。どちらかと言えば、自閉症を扱った重ぐるしい展開だけに、ラストはどうなるかハラハラしていたが、ディック一流の、大どんでん返しが鮮やかに決まり、ホットしたと言うのが正直な感想である。鬼才ディックには、毎回驚かされるが、今回は本当に最高傑作と言えるでしょう。 | ||||
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