(短編集)
変数人間 ディック短篇傑作選3
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変数人間 ディック短篇傑作選3の総合評価:
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本書では、前半が短めでスッと読める短篇が続く。アイデア・ストーリーの達者なディックらしく、ユニークな設定やシチュエーションの連続で、中にはコメディとしか思えないおバカネタもちらほら。しかし、後半には超能力アクションSF中篇などが控えており、一粒で二度美味しい一冊だ。 戦後の灰だらけの地球。生き残った人々は、戦勝した火星人がせっせと上空から撒いている物資だけで生き延びており、地下シェルターに暮らし、ただただ毎日を人形と模型を使ったゲームに明け暮れるだけの生活を過ごしている。生き残りを”まぐれもの”、シェルターを”まぐれ穴”と呼ぶ。たまたままぐれで助かった人々として。と、なかなか凝った世界観の『パーキー・パットの日々』で、まず煙に巻かれる。 日々のストレスに加え、宇宙通勤路上でも地上に降りても、ロボット等によって繰り広げられる過剰なCMの応酬に打ちのめされて疲れ切った会社員の男と、実演販売で自らを売り込むロボットとの、まったく噛み合わない遣り取りがブラックな笑いを誘う『CM地獄』。 どうでも良さそうな科学論理のパドルをしていた二人の教授が証明実験を行なうおバカSF『不屈の蛙』。 知能指数の低さ哀れと笑いを誘うコメディー『あんな目はごめんだ』。 エイリアンとの価値観の違いによる小さな騒動を描く、短篇集初収録の『猫と宇宙船』。 自分たちが戦っている敵は何者だ。果たして本当に敵はいるのか。ディック定番の不確定な現実を怪しむ『スパイはだれだ』。 取り締まりを受ける超能力者を題材とした『不適応者』。 ここ迄が軽快な短篇たち。ここからは中篇群が控えているのである。 地球からの独立を願う後進植民星では、超能力者たちは植民星に特有の存在となっていたが、そんな彼等にまた特異な進化が訪れるというのが『超能力世界』。 『ペイチェック』は、ジョン・ウー監督によって、2003年にSFアクションものとして映画された。2年間の建設会社での勤務。それが終了した時、その間の記憶は無くなっていた。それは契約によるものだった。そして2年間の報酬5万クレジットは7つのガラクタに取って代わられていたが、それは自分自身で望んで契約変更をしていたのだった。一体何故? また、2年間の勤務の内容はなんだったのか。 表題作『変数人間』は、或る兵器の完成によりコンピューターが弾き出した自軍の勝利判定を受けて、星間戦争を決定した地球が舞台だ。アクシデントによって2世紀前の遠い過去から一人の男がやってきたことにより、コンピューターの予測は空白となってしまった。過去からの男は不確定要素とされた為なのだ。変数人間と呼ばれた彼は、開戦前に抹殺すべき対象にされた。 ディックお得意の超能力、タイムトラベル、アクション、サスペンス、それから夫婦不仲などなどの一級品揃いの全10篇なのである。 収録作品 『パーキー・パットの日々 The Days of Parky Pat』 『CM地獄 Sales Pitch』 『不屈の蛙The Indefatigable Frog』 『あんな目はごめんだ The Eyes Have It』 『猫と宇宙The Alien Mind』 『スパイはだれだShell Game』 『不適応者 Misadjustment』 『超能力世界 A World of Talent』 『ペイチェック Paycheck』 『変数人間 The Variable Man』 | ||||
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短編集をたまに読みたくなる。 文庫本も持っているがスマホで気軽に読める良い時代になりました。 | ||||
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この短編集で、一番いかしているのは、ヴァン・ヴォークト流「変数人間」に尽きます。思わずうまい、と唸ってしまう面白さである。本家のヴァン・ヴォークトも真っ蒼な出来栄えである。変数人間とは、現在の人類のことで、高度に組織化された未来社会では、コンピューターは変数人間の情報を処理できない。この結果より、スリリングな軍事戦争が勃発し、めくるめく未来社会の崩壊と再生が走馬灯のように展開する。ディックの文句無しの快心作である。 | ||||
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ディックファン歴は非常に短い小生ですが、幾つか読んだ印象ではディックは重たい話はかなり重たいと感じました。 バットエンドや後味の悪い話でこそ、この人にしか描けない唯一無二のストーリーが見えてくるのだと思います。 その点、この短編集は明るい結末やあっけらかんとしたユーモアのあるラストが多くて却ってホッとしました。 最初にある「パーキー・パットの日々」は他の短編集でも読みましたが、編者が「中期の傑作」と呼ぶ意味がよく分かりません。終末ものとしては然程で無いような。奇妙な話ですが。 「不屈の蛙」「あんな目は御免だ」「猫と宇宙船」は人を食ったようなラストが魅力でこういう軽快な話が多いのが良いですね。 「スパイは誰だ?」のテーマは晩年ディックに起こった事を考えるとマジでゾッとしますね。自分がああなる事を予感してたんでしょうか。狂人は自らが狂人である事を自覚しそれを克服できるか?ラストとディックのラストが重なります。いや、本当怖い。 「不適応者」も「スパイは誰だ?」のテーマと似てるかも。 自分の当たり前だと思う世界の在り方が他人と同じ姿をしてるとどうして分かるだろう?いいや、分かりはしない。 そう言う話。そしてそう言う視点を持ってすら、自分の狂気を自覚する事は出来ないようだ。 「超能力世界」 こういう素直に良い話、ハッピーエンドってディックの作品にはあんま無いのでほっとする。 「ペイチェック」 報酬って昔の短編集ではあった話ですが、映画化のせいでこうなったんですね。 途中までは非常に面白いのですが、結末がそのまんま過ぎるのが残念。後二転三転して良いと思います。ディックの作品はハッピーエンドの場合結構雑。 「変数人間」 スーパーコンピューターによって人類有利という数値が出ていたケンタウルス帝国との星間戦争。 しかし過去からある一人の男が偶然送り込まれてから、コンピューターは星間戦争における人類の勝率を導き出せなくなる。 たった一人の「いないはずの男」つまり、「変数人間」が星間戦争に予測不能な結果をもたらす事になる。 これはディックの話でもかなり好きな話。結構強引でラストも粗いがディックのこの手の話にしては珍しく主人公がヒーローになるので。 ディックの話には、一人の男が陰謀にや絶望的な運命に巻き込まれていく話があるが、大概そう言う話は「流れよ涙、と警官は言った」のように、自分に何が起こったのかも分からず犬死する話が多い。下手すると作中の誰もその男の悲劇に注意を払わなかったりする(歴戦の勇士、など)。要するに社会を相手にした個人は自然の理法に従い負けていくと言う何の希望も無い考え方があるのだろう。 だからこの作中の男もその論理に従い、無残に死んでいくんだろうだあと思ったら最後まで読んで驚いた。そしてホッとした。こういう作品ばかり書く人ならそれほどディックにのめり込んでいないだろうが、偶にはこう言う強引なハッピーエンドも良いね! 総じて初めて読むと明るくライトなエンタメ作家と誤解しそうなのでお勧めしませんが、ある程度ディックを読んで「ディックの明るい話も読んでみたいな」って人にはぴったりだと思います。 | ||||
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ドタバタ系のSFからアクションや言葉遊びを交えたSFなど 短編中編含めて楽しめる。 特に気になったのは表題作である「変数人間」と色んな超能力者が出て来る「超能力世界」。 あとは主人公の機転のよさに感心しながら読んだ「ペイチェック」。 ペイチェックは2003年に映画化されていたんですね。たしかに短いながらも非常に中身があって読み応えがあった。 この短編集は内容も面白いけど、表紙のデザインも凝っててとてもカッコイイのがいいと思う。 | ||||
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