シミュラクラ
- タイムトラベル (143)
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1980年、米中間で起きた衝突により勃発した第三次世界大戦。戦後、世界はワルシャワを中心とする共産主義体制と、ヨーロッパ・アメリカ合衆国(USEA)とに二極化された。 90年代には、USEAでは大統領ではなくそのファーストレディの方が民衆の圧倒的な信頼と絶対的な地位を持った母権性に移行していった。 21世紀半ば、ニコル・ティボドーが大統領夫人を務める世の中に於いて、物語は始まる。 念動力を以て楽器演奏をする国民的名音楽家でありながら、深刻な精神的病理を抱える超能力者。 彼の音楽を録音すべく、かつて中国による核攻撃の為に雨林地帯と化し、ネアンデルタール人に退行したミュータントを生んだ北カリフォルニア海岸地帯へと飛ぶレコード会社の三名。 世界で一番の大企業である、シミュラクラと呼ばれる模造人間の製造会社に勤務する弟、対して小規模のシミュラクラ製造会社に勤める兄と、その兄弟の間を揺れ動く弟の妻。 二番目のカルテルであるAG製薬が、医療用合成化学薬剤の寡占を図り、政府に施行させた新法によって職を奪われた精神科医。 これらの他、国家警察(NP)の長官による暗躍や、新興宗教のリーダーの不可思議な行動、はたまた、政府の極限られた上層部だけが扱えるタイムトラベル装置の存在と、それによりニコルによって過去から呼び寄せられたドイツ国家元帥などの複雑なプロットの数々がそれぞれ、或いは時に重なり合って物語が進行していく。 主要人物だけで20名以上。しかし、特定の主人公らしい人物が存在しないだけでなく、それら登場人物の誰もが確固とした目的を持って行動をしていくというよりは、状況や現象に対して各々思考し、迷いながらなんらかのアクションをしていく。だが、考えてみれば現実の人間社会に於いてでも殆どの人々は同じ様に生きていると言える。 その場当たり的な筋書きは、先行きの展開が全く読めないままに進んでいくことになり、相互に関係性を育んだりもするが、場合によっては投げ捨て気味にされることもあったりと、それら全てが混じり合うことはない辺りは、ディックらしさのある群像劇である。 終盤に訪れる状況の大転換。そして静かに迎える意外なラスト。 他にも、超小型違法宇宙船、火星生物などのSF素材を満載した、読み応えのある異色の作品である。 | ||||
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一般に粗製乱造期とされても、雑多さが却ってカオスに次ぐカオスの果て訪れるオチに寧ろ強い説得力が付与された気がした。 | ||||
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ディックの作品の世界観はほぼすべてが壊れている。いわゆる統合失調症の人間が見ている世界をそのまま写しているようなものが多い。 だから彼の作品はしばしば支離滅裂で、完璧に意味不明なシロモノになりがちだが、この作品はちゃんとオチがある。壊れた世界がぶっ壊れるというアクロバティックなオチが。 おすすめです。 | ||||
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作家本人も認めているように、とにかく登場人物とSFガジェットがてんこ盛りです。そしてどんなちょっとした人物もガジェットも、パズルのように関連してパッチワークのようです。 最初読みはじめて誰もが挫折するところは、登場人物の名前とそれぞれのストーリーが、前半から全速力で平行して始まるので、覚え切れなくて、誰が誰やら、何が何やらわからなくなる。これまでこの作品が過小評価されてきたのは、その一点に尽きます。 でも、とにかくノートに登場人物の名前と所属など属性、あと出て来た機械、会社名、理論の名称を書き留めて下さい!立ちどころに格段に面白くなります。中南米文学でも百人近く登場人物が出てきてメモ必須の小説ありましたが、同じです。 その全ての人物とガジェットが絡み合って怒涛のラストまでなだれ込む異様なスピード感と、それでいて登場人物のやるせなさが滲む情感(ディックのお家芸ですよね)は、他の作品を凌駕しているかもしれません。 しまった、傑作だった。ディックファンとしてはそういう感想です。 | ||||
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