結晶世界
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
結晶世界の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 A ランク
結晶世界の総合評価:
8.61/10点 レビュー 23件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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この作品、科学技術やキャラクターやストーリーで読ませる普通(?)のSFというよりは、独特の雰囲気で読ませるSFです。
《海にむかって開かれたマタール河の河口を初めて望んたとき、サンダース博士の心をなによりも強く打ったのは、河の暗さだった。「暗い河」》という冒頭の一行が、作品のすべてを象徴していると言っていいほど。
とにかく、冒頭数ページの風景描写から、暗い不思議な独特の世界が立ち現れてくる。この「結晶世界」としか呼びようのない奇妙な雰囲気は確かにクセになり、私もですが、読者は何度も読み返さずにはいられなくなります。
この点、ストーリーだけで読ませる作品なら一、二度読めば話の筋を覚えちゃって新鮮味が失せますが、本作のように雰囲気で読ませる作品は、何度でも同じ雰囲気に浸りたくなるのが人情かも。
アフリカの病院でハンセン病の治療に携わっている医師のサンダーズ博士は、忘れ得ぬ不倫関係の人妻スザンヌを追い、カメルーンのマタール港までやって来る。
マタール港からマタール河一帯は前述のとおりの不思議な奇妙な暗さに包まれ、市場には見事な宝石細工の植物が売られている。人妻を追って内陸に進もうとすると道は閉鎖されている。
不審に思いながらも、ジャーナリストのルイーズと共に同僚夫妻の暮らすモント・ロイアルを目指すのだが……。なぜか町を囲む森は結晶と化し、その結晶化は人の住む区域へと徐々に広がっていく。
サンダースってイケメンなのか、到着早々、港のホテルで知り合ったうら若い女流ジャーナリストのルイーズ・プレとベッドを共にする。彼女は二十歳になったばかりで、彼の追う人妻スザンヌより10歳も若い。ちなみにスザンヌとの不倫関係は2年間続いていた。
メイクラブしたあと、真夜中にふと目ざめ、若いルイーズに促されてサンダーズが窓から満天の星空と燦然と輝く風船衛星を見上げて、その日の午前中に見た花形の宝石を思い出すシーンでは、
《かたわらでは、ルイーズの白い体が無数のダイヤモンドをまとっているかのようにきらめき、下に見える河の黒ぐろとした水面が、眠っている蛇の背中さながらに輝いた》という描写に出くわす。
まあ、一事が万事こんな具合で、事物や人間の結晶化作用が、女性の裸体美をもふくむ豊饒なイメージと結びつき、何ともいえない雰囲気を醸し出しているのです。
雰囲気主導とはいっても、ストーリーがないわけでもなく、スザンヌを探す旅は、そのまま内地への冒険の旅、さらには時々刻々と結晶化する世界を目撃する旅と重なってゆく。オールタイムベストSFです。