殺す
- 予言 (120)
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 | 1998年09月01日 殺す (海外文学セレクション) ロンドン郊外に新設された、超高級住宅地で発生した大量殺人事件。家政婦、ガードマンを含む三十二人の大人全員が殺害され、十三人の子供が誘拐された。警察の捜査では迷宮入りしかけたこの事件に、内務省は精神分析医グレヴィルを招聘する。さまざまな仮説が検討されるが、捜査は一向に進展をみない。だがある日、行方の知れなかった子供の一人が、心身喪失状態で発見された。少女との対面のなかで、精神分析医が見出した残酷な真実とは。現代社会の病に挑んだ、鬼才作家の予言の書。 (「BOOK」データベースより) |
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| なにしろ本の裏表紙(もしくはAmazonの説明文)に記されたあらすじを読んだだけで、犯人はもとより、その犯行動機の背景まで何となく想像が付いてしまうんですから(汗) 実際、この商品の説明文をヒントに犯人と動機を予想してみて下さい。それ、正解ですよ。 テーマの現代性や深遠な思想を胚胎させている(ように見える)点で、今なお高い評価を受けているバラードですが、テーマ云々以前に、少なくともミステリ仕立ての作品にするからには、謎とその解明の手掛かりの配置に細心の注意が必要だし、やはり真相(犯人や動機)は読者の意表を付く形で描けなければ駄目でしょう。 いや、少し突っ込んで言うと、テーマの切り口とその射程がストーリーそのものに否応なく反映されるものだとすれば、この作品の“つまらなさ”は、それが言及するテーマのパースペクティヴの凡庸さを図らずも露呈しているとも言えます。いとも容易くテーマを要約出来てしまう事、またそれ自体に否み難く“既聴感”を感じてしまう事が、その何よりの証拠でしょう。 | ||||
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| 負の独裁力となる。人の成長には毒やバイ菌の力も必要という視点は「病理社会の心理学」シリーズの系譜上に位置。 | ||||
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| 監視カメラと優しい、行き届きすぎる両親により育てられた子供たちの驚愕の衝動が表現されている。 マスコミや様々な映像の影響で人の命自体が軽くなりつつあるこの現代社会において、我々の心の奥底には同じような願望が潜んでいるのではないかということを考えさせられた。 それは人間が本来もつ野生の本能をどのように処理していくべきかということにもつながっていく。 うまく処理できないとこの小説で書かれたような事件が起きるであろうということが予想できる。 | ||||
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| 結晶世界やハイ・ライズ、そして何と言ってもヴァーミリオン・サンズなどの超絶名作を残しているバラードにしては軽い作品。 ミステリー読者なら、読み出してすぐに事件の真相はわかり、動機も作者がつけようとする理由も読み取れると思う。 言わんとすることにはある程度共感できるが、そうはならないのではと説得力不足も感じた。 | ||||
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| 「強風世界」や「結晶世界」の飛翔するようなイメージの広がりはここにはない。 だがこの寓話的な書の示唆する世界は確実に我々の目前に、周囲にある。 戦慄すべき予言性と優れたリーダビリティがいつもながら両立されている。 やはりバラード畏怖すべし。 | ||||
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