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ゴールデン・フリース
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ゴールデン・フリースの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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宇宙船の中で、コンピュータが殺人を犯した――となれば、どうしたってクラーク『2001年宇宙の旅』を連想しないわけにはいかない。作者が好むと好まざるとに関わらずこの比較は避けられない。そして比較した上で本書もまた傑作だ、という判断をすることとになるだろう。意外にも倒叙形式を持つ物語の語り手は「犯人」であるコンピュータである。それゆえ焦点は殺人の動機となるのだが、それがまた『2001年宇宙の旅』と酷似しながらも納得のいくものである。子狐座から届いた通信が少なくとも本書ではコンピュータの不調を起こすものでしかないとか、果たして「時間の遅れ」はその時間の内にいる者にとって感知できるものなのだろうかとか、細かい点ではいろいろと疑問はあるものの、トータルとしてみれば間違いなく面白い。 | ||||
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超巨大宇宙移民船を制御するAIの一人称倒叙ミステリ。 ソウヤーは設定だけでわくわくさせるのが天才的だけど、本作もその例にもれない。まずそれだけで心をつかまれるし、その設定を十二分に生かしている。途中、捜査よりも寄り道にページが割かれるため、ちょっと中だるみする感は否めないが、それでも犯人を突き止める手がかりはちゃんと張られているし(SF的知識がないとかなり気づくのは難しいが)、結末は充分期待に応えてくれる出来だった。最大の謎は、「AIイアソンの犯行動機とは一体何か?」 SFミステリの秀作。星4.5にしたいけど、四捨五入で星5に。とてもおもしろかった。 | ||||
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惑星移民船「アルゴ」を舞台として、それ全体の世話をする第10世代コンピュータ「イアソン」の一人称視点で描かれたSFミステリーというところです。読み始めてすぐにわかるのでネタバレでも何でもないから書きますが、このイアソンが完全犯罪と言えるような殺人事件を起こし、主人公アーロンがその真相に迫っていく、というお話です。 30年ぶりに本棚から発掘して読みました。2度目でも退屈することなく最後まで一気に読める素直に面白い作品だと思います。ちょっと気になるのが、コンピュータのイアソンの人物?描写で、これが人間に過ぎると思います。第10世代だから相当すごいコンピュータなのでしょうが、宇宙船全体が身体と言う意味での目や手足の能力のすごさはともかく、発想や思考が自然すぎて、心は単なる(人間の)天才犯罪者と感じてしまいました。どうしても比較せざるを得ない HAL9000 と比較すると、コンピュータらしさ…というか異質さは HAL の方が格段にそれっぽいです。もっとも HAL はせいぜい第 6, 7 世代というところでしょうから比較しちゃいけないのかも。コンピュータが正常進化すると、けっきょく心・精神は人間のそれへと収斂進化しちゃうのか? …いやそんなことはないだろう、と考えさせられました。 SF的にはイアソンの一番の切り札が、さすがにやっぱりオーパーツ過ぎなのが無理がある感じです。この辺りはグレッグ・イーガンが上手だなとあらためて思いました。 あと本編とは関係ないですが、全体をとおしてもはや人類はコンピュータに世話してもらわないと生きていけない、という世界観は、そうなのかもなぁ、と思わずにはいられませんでした。 | ||||
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【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
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SFとミステリを融合した作品を発表している著者の記念すべき第1作。 1990年発表。 22世紀後半、人類はスターコロジー計画として、47光年かなたの惑星コルキスを目指し、1万人あまりの人々を乗せた恒星間宇宙船「アルゴ」で宇宙へ飛び立つ。 この船内で事件が発生。 コンピュータの「イアソン」が物理学者のダイアナを殺害したのだった。 事故か自殺かで揺れ動く船内で、元夫アーロンは次第に疑いの目を向け始めるが…。 この作品で描かれるコンピュータ「イアソン」は、「2001年宇宙の旅」のHAL9000のような存在で、人工知能を持ち、船内全体を掌握しています。 物語は「イアソン」の一人称で描かれ、「倒叙ミステリ」という形式を執ります。 ただ、普通のミステリとの違いは、「殺害動機」が伏せられていること。 「倒叙ミステリ」でありながら、動機は不明、という設定です。 これは、SFならではの設定であると思いました。 つまり、人間の視点で、その人物が殺人を犯すという物語を描こうとした場合、一人称ではその人物の「心情」が色濃く反映されますから、例え動機を直接的に表現しないまでも、被害者のことが、「憎い」とか、「死ねば遺産が入るだろう」とか、何らかの感情が描写されることでしょう。 描写しないということも、もちろんできますが、極めて不自然な文章になってしまうと思います。 その点、本作品の犯人は、「コンピュータ」なのですから、人間とは違う思考形態でもおかしくはない訳で、「動機を伏せた」設定をうまくクリアしていると言えます。 もちろん、その「動機」には著者のアイデアが詰め込まれており、物語のラストで真実が明かされる中、きちんと読者の期待に応えていることは、高評価に値します。 以後、著者が次々と「SF+ミステリ」の小説を発表していく契機となった、記念すべき作品と言えると思いました。 | ||||
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冒頭の第1章で宇宙船内の殺人事件の様子が描かれ、犯人の名前が明かされ、以降はずっと、犯人の視点で進んでいくストーリー。ミステリで、倒叙ものと呼ばれるタイプの作品ですね。 犯人の正体は、だから最初に分かってしまうので、そこからの話のキモは、なぜ犯人は殺人を犯したのかという動機の謎と、探偵役の人物を監視する犯人の心理描写にあります。で、一番面白かったのは、犯人が殺人をせざるを得なかったその動機が明らかになる件りでしたね。犯行の裏に隠されていた意外な真相。唖然とさせられました。 それと、心理的に次第に追いつめられていく犯人が、探偵役の人物の複製を作り出して、彼の次の行動を探るところも面白かったな。この犯人、SFもしくは幻想小説でなければ登場できないだろう非常な変り種で、人間のコピーを作ってシミュレーションすることが出来るんです。また、狼狽のあまり頭をぽりぽりかこうとしたりするところとか、そういう、妙に人間くさい動作がおかしかった。なんだか、『刑事ゴロンボ』に出てくる犯人の悪あがきを見ているみたいで(笑) ミステリ小説がお好きな方に、これも面白いっすよとおすすめしたいSF。終盤の犯人と探偵の対決シーンは、わくわくしますよ。 | ||||
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SFのコンピュータと言うと、HAL9000が有名だが、 ノイローゼの被害妄想になって殺人する心の弱い香具師でイマイチだよな。 本書の宇宙船のコンピュータはいいぞ! 人類全体の利益の為に、 美少女を事故に見せかけて殺すイカした奴である。 自分を崇めよと言う神は、人類の敵だとこの本読んで再認識しました。 肝っ玉の大きい奴は、わざわざ味方だと主張せずに、 コソーリ守ってくれるもんですよ。 | ||||
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非合理なことをするはずがないスーパーコンピューター「イアソン」が、なぜ殺人 を犯さなければならなかったのか、という点が最大のミステリーです。 きっと合理的な理由があるに違いないけれども、宇宙船内では絶対的な存在である 「イアソン」を出し抜くことは不可能に近いという、絶望的な状況に読者はスリル を感じます。コンピューターが枕元で催眠まがいのささやきをつぶやくなんて、、、 ラストは少し考えさせられました。気の遠くなるような膨大な時間と空間、テクノロ ジーの可能性と、コンピューターの限界に想像をめぐらせて下さい。 | ||||
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のっけから船内コンピュータ「イアソン」による殺人のシーンが描かれます。刑事コロンボのように、殺人事件を犯人側から描く手法を「倒叙」と言いますが、本作は「コンピュータによる倒叙」という非常に珍しいスタイルです。 ポイントになるのは、「なぜイアソンは殺人を犯すのか」「イアソンは何を隠しているのか」です。ミステリとしての捻りはさほどないのですが、驚きの真相が最後に待っています。SFミステリの新たな秀作として、双方のジャンルのファンに読んでもらいたい作品です。 | ||||
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