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(短編集)

光の帝国 常野物語



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光の帝国 常野物語の評価: 4.14/5点 レビュー 108件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.14pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全108件 41~60 3/6ページ
No.68:
(4pt)

ルネ・マグリット。

『常野物語』という副題は勿論『遠野物語』を踏まえたものであるだろうし、実際続く長編『蒲公英草子』では柳田国男の名前が登場するし、久美沙織の解説においても柳田国男『遠野物語』に言及されている。従ってこのことは確かなことだろう。しかしそれよりも気になるのは『光の帝国』というメインタイトルの方である。解説の久美沙織は「帝国軍と反乱軍だか革命軍だかがさんざんドンパチやりながら、最後はやっぱ光が勝つ」ような物語を想像したようだが、此方が連想したのはルネ・マグリットの手になる、まさに『光の帝国』という一連の絵画作品である。

 画面下半分に、闇に沈んだ家並みがある。街灯が一つ、ポツンと灯っている。しかし空は青く、白い雲が浮かんだ昼の明るさである。夜と昼の共存、マグリットはそんなテーマで幾つもの作品を描き、それらを悉く『光の帝国』と名付けた。不思議に静かな印象を受けるその絵が、この物語を読んでいる間頭を離れなかった。

 作者がマグリットの『光の帝国』について知っていたか否かは不明である。が、この物語にも「不思議な力を持つ人々の、普通の人々との共存」というテーマが読み取れるわけであって、それゆえマグリットの作品が実に似つかわしいこともまた、確かなことではないだろうか? そもそも何故タイトルが「帝国」なのか? そのことを考えたとき、作者もまた、マグリットの作品を知っていたのではないかと勘ぐりたくもなるのである。

 後のシリーズのプロローグとしての位置にある短編集。
光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)より
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No.67:
(4pt)

郷愁をひきだす確固たる「世界」の表出☆

はじめて恩田陸さんの小説を読みましたが
『光の帝国』というタイトルと
不思議な能力を持つ一族という設定から
五木寛之の『風の王国』の類に属するもの
という印象を受けながら読んでいました。

構想と流れはもちろん違いますが
底に流れるテーマの一つは 案外近いところに
ある書のように思います。

何百年も生きているツル先生を象徴的な長に据えながら
「常野」一族は 現実社会といろいろな接点を
もちながら みな何かの役割を背負っています。
お話は
ファンタジーだったり 東北地方のもつ不可思議な
世界を彷彿とさせたり ミステリアスだったり
それぞれの短編が 独立していたり 思いがけなく続きだったり・・
読者をいつの間にか「常野」の住人にしてしまう魅力が
満載です。
光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)より
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No.66:
(5pt)

こんなにおもしろいとは!

なんとなく手にとって読み始めましたが、こんなにおもしろいとは!超能力や不思議な力といったのが好きな人ははまります。海外ドラマ、ヒーローズのような感じ。でもジーンと感動する物語がいくつもあり胸が熱くなりました。一気読みしてしまいました。また読み返したいと思える作品です。
光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)より
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No.65:
(5pt)

恩田陸 最高作品

後半、常野の子供たちが孤立していく部分では涙が止まりませんでした。
この頃の恩田さんの作品は素晴らしいものが多く、たくさん楽しませていただきました。
近年(5,6年?)に発表された作品は、全く面白くなくなってしまったので残念です。
私の感覚のせいかもしれませんが、最近この作品を再読してみて改めてこの頃の作品は(MAZEや木曜組曲・・・)いいと思います。復活していただきたいです。
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No.64:
(5pt)

超能力一族の最高峰

超能力一族のお話って結構ありますが、岩明均の七夕の国と並んで、最高峰の小説だと思います。(岩明均は漫画家ですが。)
 あくまでも静かに。淡々とした語り口。詳しい背景が語られないので、何故?なぜ?と言った感じで引き込まれます。読むほどにその力と、背景が伝わります。あくまでも静かに、そして淡々と。
 短編は、短編に終わっていません。それぞれのつながりがはっきりとした意思を持って、融合する。一つの方向を向かう。その周りに一つの世界を形成する。これこそがファンタジーだと思います。一つの流れ星が大きな姿を現して、静かに過ぎ去っていく感じです。
 作者は、この手の短編の連続、違う場面の融合と言った古典的な手法を高めることに力を注いだ時期が間違いなくあると思います。このように渦を巻くように一つの方向に収束するこの作品で大きな成功を収めていると思います。
 数列でも、∞になるとき、収束する方が発散するより、分かりやすいものです。
 夜のピクニック、六番目の小夜子と読んで、この本を教え子に薦められました。全くイメージの違う、この世界。教え子と、この本を通じて、一つの世界を共有した感じでした。
 世代を超えて、共感を呼ぶこの作品は、誰に勧めても喜ばれています。
 静かなファンタジーをどうぞ。
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No.63:
(4pt)

続きが気になる!

東北地方をモチーフに、超常的な力を持つ一族のことが描かれる。

登場人物は一人一人魅力的だし、各エピソードも盛り上がる。
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No.62:
(4pt)

東北に、想いを寄せる

作中の「常野」は、著者の出身地でもある宮城県のどこかにある。

3.11の震災・大津波のあとで。なにかに導かれるように、本書を手に取った。
東北の人々の心が、まさに東北人である著者をして、息遣いとともに伝わってくるようだった。
不思議な能力が在るゆえに引き起こされてしまう死、絶望と、小さな希望。
その一々も、大いなる自然に抱かれながら、やがて、次の生へ輪廻していく―。
現代の東北伝説が、著者独得のやさしい語り口で展開している。
もっとも、古来偉大な自然に抱かれ、厳しい環境下で命をつないできた東北の人々には、ちょっと不思議な力が備わっていても納得してしまいそうだ。

さて2011年5月現在。東北の被災地からは、いまも他県へ避難・流出する人が絶えず、東北の人々はバラバラになっていく。ちょうど小説の常野一族が、散り散りになってしまったように。
しかしそれでも、東北というルーツに、誇りを持って生きて欲しいと願わずにいられない。
日本のどこかに埋もれながらも、常野一族はその素晴らしい力をひけらかすことなく、誠実に生き続けているのだから。

『・・・そして、いつかこのまばゆい光の生まれたところに、みんなで手をつないで帰ろう』

少年のお祈りが、いまは心に深く沁みる。

昔から、東北には浄土があるといわれる。

帰る日は、来るだろうか。

東北の人びとに想いを馳せ、あたたかい気持ちになれた物語。
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No.61:
(4pt)

ストーリー・テラーの才能

恩田陸さん、凄いストーリー・テラーですね。
「才能は温泉のようなもので、有る所には有るけれど、無い所には無い。」という事を聞いたことがありますが、本当に温泉のような「創造力」の才能を感じました。
恩田さんはあとがきで、「ゼナ・ヘンタースンの「ピープル」シリーズのような話を書こうと思って始めた」と書いていらっしゃいますが(私はこのシリーズを知らないのですが)、私は「常野物語」を読んで、萩尾望都さんの「ポーの一族」シリーズを思い出しました。
ポーの一族はヴァンパイア、つまり吸血鬼なのですが、時代とともに変わりゆく社会の中で、人間と同じ形をしているが特殊な存在である自分たちを、その特殊性ゆえに目立たせず(目立つと抹殺されますからね)、生きていることの業と闘いながら、一族の血を絶やさず繋げていく・・・その感じが常野一族と重なります。
小説というのは、そもそもフィクションであり(ノンフィクションのものもありますが)、フィクションを書くには膨大な創造力が必要なのは言うまでもありませんが、ファンタジーになると、普通の創造力では行けない世界だと思います。
読者は全く現実世界と離れた場所に連れていかれ、逆にそこでしか表現できない「真実」を著者に見せられます。
「現実」が「真実」とは限らない。「真実」を知るために、敢えて「現実」と別の場所に行く。
普通の人間と違う能力を持つ人々の苦悩の中に、普通の人々が抱えている苦悩、社会の問題点が映し出されています。
また、全ての人間は「普通」ですが、逆に全ての人間は一人ひとり違うという点で「特殊」でもあります。
そんなことを感じながら、生きることの業を、特殊な能力を持つ一族を通じて、改めて考えさせられた物語です。
とにかく、話が面白かったです。
光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)より
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No.60:
(5pt)

超能力者物好きの方へ

不思議な力をもった人々を描いた連作短編集。
なにげないふつうの言葉をつかっていながら、イメージを広げる手腕は恩田陸の特質ですよね。素晴らしい。
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No.59:
(3pt)

目に見えない大きな力。

自分の周りに起こることがあまりにもつながりすぎているとき、
これは偶然じゃなく、必然なのではないかと思うことがある。
知らないうちに何か大きな力によって動かされているのかもしれない。
光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)より
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No.58:
(4pt)

不思議な本

初めて読んだ恩田陸の作品で、その後何冊か読んだ中でも最も好きな作品。

読みやすく、入り込みやすい。
不思議な現実感があって、本当にこういう人たちがいるように感じてしまう。

ちょっとした気分転換にオススメ
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No.57:
(4pt)

本家本元は『ポーの一族』(?)

作者は萩尾望都ファンで、とくに本書は『ポーの一族』に似ているという話を以前から聞いていて、一度読んでみたいと思っていましたが、今回読んでみて、成程、部分的には確かに似ていると思いました。
似ていると思ったのは「手紙」という話で、いろんな時代にあちらこちらの場所に出没するツル先生が、果たして同一人物だろうかという話ですが、これは『ポーの一族』の「ランプトンは語る」にそっくりです。

「いったい、日本中、どれだけの場所でこの先生は草履を履いて校長をしていたのだろう。」(「手紙」より)
「世界のどれほどの地域、どれほどの年代にわたって、偶然にもエドガー・ポーツネルという名が書類にちゃんと記されているのか?」(「ランプトンは語る」より)
この相似は決して偶然ではなく、作者は『SF Japan』06年秋号での萩尾望都との対談で、「私は『ポーの一族』のなかで、とりわけ「ランプトンは語る」が好きなんです。」と語っていることからも、「手紙」の設定や上記文章の相似は、「ランプトン〜」を意識してのものであるのが明らかです。
また、「常野(TOKONO)一族」の母音も「ポーの(POONO)一族」とまったく同じです。
ただ、似ているのはここまでで、後はそれほど似ているとの感じはありません。

本書の中核は表題作「光の帝国」で、これは超感動作で、この話だけでも本書を読む価値はあろうというものです。
逆に他の話は今ひとつというか、中途半端な感じのものが多いのですが、「常野物語」というシリーズのようなので、本書の中の話の大半が序章のようなもので、これから物語が膨らんでいくのでしょうね。何にしても、続きもまた読んでみたいシリーズです。
光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)より
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No.56:
(5pt)

続きが読みたい

不思議な能力を持った常野の人々にまつわる連作短編集。とはいっても、一話一話に終わりはなく、次を感じさせる構成になっています。何でも記憶できる春田一家、先のことが分かる美那子、200年も校長をやっているツル先生、自分の”飛ぶ”力を思い出した亜希子、裏返すか裏返されるかの戦いを続ける瑛子。これら、常野一族の能力はなんのためにあるのか。これから彼らはどう生きていくのか。話はどんどん広がりそうで、この先ずっとシリーズ化してほしいなあと思うような作品でした。

 タイトルにもなっている「光の帝国」の章では、悲しい出来事に思わず涙ぐんでしまいましたが、最後の「国道を降りて・・・」は、常に在野にあれとあちこちに散らばっていった常野の人々が、これから徐々に居場所を求めて集結しそうな気配を感じさせるとともに、過去と現在がつながる不思議な因縁に少し心があたたまりました。最後は清々しい終わり方で、私まで心穏やかな常野の人々とふれあったような不思議な感覚が残りました。

 恩田陸の作品は、いつもジャンル分けができないなあと思いますが、これもそうですね。ファンタジーという一言ではくくれない、奥の深い作品なんです。何度も読み返したくなる、ステキな作品でした。
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No.55:
(5pt)

ひそやかに生き、つないできた特殊な能力を持つ常世の人々を描いた短編集

一つ一つの物語は短くて、時系列に並んでいるわけではないので、人物とその能力、物語同士のつながりの把握のため二度読み直しました。世界の端々でそれぞれの物語や生活を持つ常野の血をひく人々が、知らず共通した何かに大きな仕事に向かっているという大きなくくりの中、彼らの壮絶で悲しい過去と謎が解き明かされてゆくのですが、わたしは表題の「光の帝国」と不思議な一家とこころある先生との交流があたたかい「大きな引き出し」が好きでした。それから、何十年も校長先生をしているツル先生が見殺し(ではないけれど)にしてしまった子供たちとの邂逅が描かれる「国道を降りて…」も。常野の人々は遠くの音を聞き分けたり、知識を際限なく覚えたり…といった特化した能力を持っているのですが、多くのファンタジーのように不死身でも、一般よりも丈夫なわけでもなく、ある意味では一般の人々と同じです。彼らは、静かに目立つことをせずに暮らしていても、しらず見出され、一部の目立つ能力のおかげで、ひどいめにあったり阻害される可能性を持ち続けています。常野の人々はいつのまにか、わたしの住む世界のある人々と次第にかさなってゆきました。すべてを読んだ後で、「光の帝国」の中の「お祈り」を読むとすべてが凝縮されたものを見たような気持ちになりました。苦渋の中の自己肯定の継続という難しいことをしてきた常野のこどもたちには頭がさがる思いでした。はじめは、「光の帝国」のあまりの辛さに安全さを感じないと書いたのだけれど、それをがんばって読んだあとには贈り物をもらった気持ちになりました。
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No.54:
(4pt)

いつかこの場所へ

もしかしたら、自分の居場所はほかにあるのではないか。今ここではなく、どこか遠くに。子どもの頃、そんなファンタジーを持ったことはありはしないか。
なにか特別な力を与えられ、なにか特別な運命の元に呼ばれ、なにか特別な使命を背負い、なにか特別な仲間と出会い、なにか特別な私が生まれる。
しかし、少数派であるというだけで「特別」になってしまう側から見ると、迫害される悲しみがあるかもしれぬ。ただ当り前に生まれただけであるのに、特別なものを勝手に用意されてしまって。
そんな葛藤を織り込みながらも、すっきりと淡く優しく儚げに、幻が田舎の風景に描き足されていくと、とても魅力的な人々が透けて見えてくる。

常野の一族の伝説や噂話のような、遠くのほうに位置する物語から始まり、読み進むにつれて、少しずつ、どのような一族であるのかがわかるような順序で収められている。
読み終えて思う。光の帝国は子どもたちの帝国。子どもが子どもらしく、その子らしく過ごせる、そんな世界であるのではないか、と。
読み終えたときは、きっと少しきれいな顔になれるだろう。
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No.53:
(4pt)

永遠の光を求めて

東北の名もない村、「常野」から来た人々には、不思議な力が備わっていた。
膨大な書物を記憶する力、未来を見通す力、遠くの出来事を「見る」力、空を飛ぶ力…。

彼らは、一様に穏やかで、知的で、権力への志向を持たず、普通の人々の間に、
ひっそりと生きているのだが、その能力ゆえ、時として過酷な運命や
果てしない戦いに挑み続けることとなる…。

不思議な能力を持った「常野」の一族をめぐる連作短編集。著者は「ノスタルジアの魔術師」
と称されているらしいが、確かに「夜のピクニック」や「六番目の小夜子」にも通底する
ノスタルジー色を感じる。

また、「しまう(仕舞う)」とか「裏返す」とか、常野一族の能力とそれをあらわす言葉が
また面白い。

それと、お約束かもしれないが、「超」能力者たちが能力ゆえに直面する苦悩や
悲劇についての、十分共感できる「お話作り」の手際の良さは、ストーリー・テラーの
面目躍如であろう。

全部で10の短編が収められており、一部関連のあるものもあるが、基本的にはそれぞれが
独立しており、また、いずれもto be continued といった終わり方なので、続編を
早く読みたくなる。

しかし、これだけ様々な物語を作ってしまうと、これをすべて収束させるのは大事業だなと
ひとごとながら心配してしまう。全10巻、ぐらいじゃすまないのではないだろうか? 



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No.52:
(3pt)

短編には大き過ぎる題材

人の情とはまた違う、常野村の人々が持つ温かさ―

短編で収めるには大き過ぎる世界観を、一つに凝縮し切れていない感じがする。
もう少し中編〜長編で纏めたオムニバス辺り構成とか使い、一話か二話辺りの話をもっと広げた方が面白そうだと思ってしまった。

しかしながら、世界観とストーリーの高さには肝を抜かれた。
超能力が活躍するでも人情を説くでもないのに、何故こんなにも温かさを感じられるのだろう?

暫くは、涙が止まらなかった。

もしかしたら、長編や中編を書いて初めて゛生きる゛作家なのかもしれない。

あったら探して読みたいと思う。
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No.51:
(2pt)

文章が読み易いだけ

家族愛や男女の愛をマンセーしたありふれたオムニバス。
初めて小説を読む小学生にはお勧めだが、
スレたおっさんが読んでも何も残らない小説。
恩田陸がこんなに馬鹿だったとは期待外れも甚だしい。
小澤征爾のエピソードは逆効果である。
小澤征爾の父小澤開作は、
板垣征四郎と石原莞爾のファンなので、
息子に征爾と名付けたのですよ。
愛を賛美する小説なので当然戦争には批判的だが、
小澤征爾をマンセーしては自己矛盾である。
ユダヤ人の超能力者一族がアドルフ・ヒトラーを褒め称える小説があったら、
変だと思うだろ?
例えが飛躍しすぎたが、この小説はそういうような無神経なことを平然とやっているのだ。
単純に恩田陸に教養が無いだけの問題かもしれないが、
知性と教養溢れるおっさんには恩田陸は必要ありません。

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No.50:
(4pt)

超越した世界・・・

特殊な能力を持つ常野(とこの)という一族を描いた連作短編集。
膨大な書籍を記憶することができる能力、遠くの出来事を知る能力
未来を予測する能力・・・
しかし、その一族は、その特殊な能力をつかって権力を得ようとするのではなく、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らしている。
「彼らは何のために存在し、どこへ帰ろうとしているのか?」

凄惨な話もあるけれど、不思議とドロドロせず
読み終わって穏やかな優しい、
それでいてどこか懐かしい感じのする本。

巻末に、久美沙織という方が寄せた「解説」のサブタイトルが
−もう人間でいたくないあなたに− とあって笑えるのだけど
何か的を得ているようでもあり、妙に納得します。

でも、この世には決して目立たないけれど、こんな魅力的な人達が
どこかにいるかもしれないと思うと、生きていくのも悪くない。
人間いつかは死ぬけれど、死に方がどんなに悲惨であっても
理不尽であっても、もしかしたらそれって不幸なことでも何でもなく
「進んでいく」「続いていく」ために通過する出来事の一区切り
なのかもしれない。
人の世の善悪、幸不幸、貧富や生死すらをも超越した世界って
あるんじゃないかなぁ。

・・・なんて、いろいろ妄想しました。

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No.49:
(4pt)

「達磨山への道」がよかった

「常野一族」を巡る連作になっていて,読んでいくと「ツル先生」の意味がわかったり,ああ,あの人がこう関わってくるのかとわかったり,という風になっているが基本的には各話独立した短編となっている(著者が「あとがき」で「手持ちのカードを使いまくる総力戦になってしまった」と書いている)。

 中でも,ゾッとする読後感の「達磨山への道」が一番よかった。
 常野の聖地一族・達磨山は,人生の転機にある人間が登ると,その人間にとって重要な場面が目の前に現れるという。父親の場合は,靴が現れたらしい。それは,妻と友人が死ぬ(トラックにはねられて,血まみれの2人の靴が路上に転がる)ことの予見だった。「俺」の場合は,7歳くらいの少女が現れた。どういう意味かと考えてみると……
 常野の物語の本筋とはズレているが,読後にジワッと怖さが来る作品だった。

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