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風紋
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風紋の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 21~40 2/3ページ
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乃南 アサは、ミステリーや犯罪小説のなかでじっくりと心象描写をする作家だが、この作品は彼女の真骨頂といっていいと思う。 女子高生と、予備校に通う姉の姉妹をもつ母。姉の家庭内暴力やゴルフと仕事でまったく家庭をかえりみない夫を持つ平凡な妻が、ある日娘の学校にいった帰りに殺されてしまう。 母が家に帰らなかった日は姉も父親も外泊で一人だけ残される妹の真裕子。やがて母の死体が車の中で発見される。そして犯人は驚くべき人物であることが判明し、母はその人物と不倫の関係にあったことがわかる。 母親の死をきっかけに、マスコミや社会から同情だけでなく、家庭の事情もあからさまに暴露され、父と姉妹はぶつかり合い、親戚は同情しながらも死んだ母を攻撃する本音もでてくる。やがて暴力的だった姉は妹を思いやることで大人へと成長していき、妹の真裕子は人間不信、しいては生物への興味をなくし、「水槽を泳ぐ」ような生活感を覚える。 一方、犯人の妻は、突然の強引な警察の捜査にはじまり、社会からのバッシング、兄と兄嫁からの冷たい仕打ちに耐えかね、家を退出しホテル住まいを転々とするうちに、義弟と関係を持ち、水商売へと転落していく。 上下間で1000ページの大作であり、ただの犯罪ミステリー小説として書くならばおそらく200ページもあれば書けてしまう内容であり、被害者や犯人の心理描写はほとんどなく、ほとんどが、その周りの人々の描写に使われている。 一般的に犯罪が発生すると犯人と被害者にしか目を向けることはないが、いかにその家族が人生や人間性を変えられてしまうほどの影響を受けるのかということがよくわかる。 逆にハラハラ・ドキドキを期待している読者には向かない作品であるし、現実感を出すためとはいえ、まわりの家族の変化も非常に緩慢としていて、少し読むのがしんどい気がした。 | ||||
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他の作品と同様に人の描き方に驚かされます。 作者本人の人柄にも興味が尽きません。 | ||||
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他の作品と同様に人の描き方に驚かされます。 作者本人の人柄にも興味が尽きません。 | ||||
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鞄についた血痕が見つかることで裁判で検察が形勢逆転するわけですが 捜査の際に最初に鞄などは調べるような気がしてその部分にどうしても納得がいきませんでした。 姉や父の心の描写が少ないのと、殺された母のことについてももっと書いてほしかったです。 おもしろかったですがもう1つという部分があり☆は4つにさせて頂きました。 | ||||
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乃南アサさんは本当に描写が巧い作家だと思う。 本筋に関係ないような些細な描写も丁寧に描かれていて 活字を追っているにもかかわらず その情景が鮮やかに脳裏に浮かび まるでドラマを見ているような錯覚をしてしまうほどだ。 テーマもひとつの事件がまわりのさまざまな人たちの生活に波紋を広げていく、という心理描写を中心とした重厚なものを扱っている。 上巻を読み終えた段階では 文句なく星5つの作品だと思った。 もちろん下巻も小説としては素晴らしいものである。が 個人的には釈然としない部分がいくつかあって迷った末 星3つにした。 一番 しっくり来なかったのは 真裕子が最後までただただ母の死を悲しみ 母に生き返ってほしいと願っている点である。 確かに最初はそうだろうと思う。 けれど 裁判が進み不倫の事実が明るみになり そんな中で なぜ 母に嫌悪感を抱かないのかが不思議だった。 真裕子は純情で素直ですれた所が全くない いわゆる良い子である。 しかも繊細な年頃 そして不倫相手は自分の学校の教師 さらに母は事件の日 帰りが遅くなるからと 真裕子に家事を頼んでいる。不倫相手と会うために 真裕子に家事を頼んだのだ。 こんな母を許せるのだろうか? 真裕子があまりにも善人に描かれてるのに対し 香織はどうだろう。 だんだん派手になったり 義弟と関係を持ってしまうところまでは理解できるのだが ラストで殺人犯である夫の血を引くわが子を実家に残し 自分だけが新しい人生を歩もうとしている。 いくら気が強くわがままな女性でも ちょっと、という感じがする。 建部記者の心情もいまひとつ掴めなかった。 ひとえに私の想像力の無さによるものかもしれないが。 ただ この小説は決して他人事ではないし 何か事件があったときに こんな人だからとか つい思ってしまう自分がいたことに反省させられた。 犯人は塀の中で守られているが 関係者は暴風にさらされている。この事実をしっかりと認識しなければならないと思った。 | ||||
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細かい作品描写が素晴らしいこの作品。もしかしたら日常に本当にあり得ることかも、と思いながら一気に読めてしまう。 | ||||
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衝撃的、という言葉がぴったりの作品。長編なので息つく暇なく一気に読みたくなる。描写の素晴らしさと細かさに感動。 | ||||
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基本、ミステリは読み終えると売ることにしている。手元に残すのは、わずかな作品だけ。しかも、現代のミステリはほとんどない。 本作は単行本を図書館で借りて読み、刊行直後の文庫を購入し、今も手元に残す評者にとって例外中の例外とも言える作品。 ただし、いわゆる“ミステリ”として読むと、謎解きそのものはそれほどインパクトを持たない。 本書に引き付けられてやまないのは、加害者家族、被害者家族が味わうことになる悲惨ともいえる凄まじい「報道被害」を見事に描いていること。それと、登場人物、特にヒロインの心に深く切り込む心理描写。 単行本刊行の約1か月後、「つくば母子殺人事件」が起き、被害者の過去を異様に暴き立てるテレビなどと本書の内容が重なったことを記憶している。 単行本は1巻のみで大部(600ページ超)だったが、後半部は翌日に仕事を気にしながらも、夜を徹して一気に読んだ。 これぞ“名作”と言える作品。 | ||||
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推理小説のつもりでこの作品を読むとかなり不満が残ることだろう。焦点はあくまで加害者と被害者それぞれの家族に当てられており、犯罪の動機や犯行の手口はほぼ明かされずに終わるからだ。凶器をめぐる一連のどんでん返しも加害者の性格を暗示するための展開に過ぎず、加害者は最後まで自分を語ることなく終わる。被害者も自分の娘の担任教師との不倫関係など口が裂けても他人に相談したり、日記に書き残しているはずもなく、文字通り墓場まで秘密を抱えて逝ってしまう。 どんなに警察が調べようと、マスコミが取材しようと、結局「本当に何があったのか」など家族ですら知ることはできない。 裁判とは第三者が罪の重さを決めるためのものであり、被害者遺族への償いではないのだ。それを改めて思い知らされる。なのに事件とは関係ない其々の秘密までもが暴かれ、互いを憎しみの連鎖に巻き込んでいくことになる。そしてそれはいつ誰にでも起きる可能性があるのだと考えると心が寒くなるようだ。 形のない風が砂地に果てしなく爪痕を残すように、姿の見えない周囲の悪意や好奇心によって心に繰り返し傷を負い続ける家族たち。題名の「風紋」とはそんな意味なのかなと思った。 | ||||
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やはり面白い、匠に人間の心理を描写して、最後まで超長編作品を、あきさせない、見事。 | ||||
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被害者となった家族は事件が起こる前にすでに崩壊 していたのだ。父親には愛人がおり、姉は浪人生でありながら 予備校にも行かず、乱暴な口をきく… 皮肉にも事件が起こったことで家族が一致していく。 真ん中に置かれた真裕子… あまりにも周りの大人が頼りなさすぎである。 学校の先生いでさえも… 事件によって普通の高校生から大人にならざるを得なかった 真裕子と頼りない大人たち… そのバランス加減がうまく描き出されている。 | ||||
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乃南さんの作品は、とても好きになれるものと、ちょっと嫌だと思う事があります。 この作品は、とても好きになれる作品でした。 殺人。もちろん、犯人と被害者には大きな大きな出来事だし、文字通り人生が変わったり終わったりするわけですが、犯人の妻や子供や兄弟、被害者の家族、警察、検事、裁判官、弁護士、記者、などなど、周囲の人たちにもものすごい影響がある事を真面目に真面目に描いて下さったと思います。 重い、重い、とても考えさせられる作品だと思います。 自分の周りでこんな事が起きたらどうしよう、とも思わされました。 何が出来るって、毎日を精一杯生きるしかないと思いました。 | ||||
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乃南さんの作品は、とても好きになれるものと、ちょっと嫌だと思う事があります。 この作品は、とても好きになれる作品でした。 殺人。もちろん、犯人と被害者には大きな大きな出来事だし、文字通り人生が変わったり終わったりするわけですが、犯人の妻や子供や兄弟、被害者の家族、警察、検事、裁判官、弁護士、記者、などなど、周囲の人たちにもものすごい影響がある事を真面目に真面目に描いて下さったと思います。 重い、重い、とても考えさせられる作品だと思います。 自分の周りでこんな事が起きたらどうしよう、とも思わされました。 何が出来るって、毎日を精一杯生きるしかないと思いました。 | ||||
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書かれてからずいぶんと経っていたのですね。主人公とも言える被害者の次女の言葉遣いにかなり違和感がありましたが、それを除けば、いつ書かれたものだと意識することもなく読み進められました。 とにかくリアル。その一言に尽きます。一見したところ平凡そうな家庭、その中に潜む危険、人間関係の危うさ、思春期の少女の難しい心理、そういったものを丹念に描き出しながら、殺人の被害者家族、加害者家族に襲いかかってくる様々な出来事が綴られていきます。取り調べについても、そのときに出す書類にしても、裁判にしても、とても丁寧に調べて書いてあるのだということが伝わってきました。 殺人を除けば、どこにでもいそうな人たちの話なのですが、奇抜な登場人物たちが出てくる小説以上に強く惹かれて、ページをめくる手が止まりませんでした。読み進めるうちに、被害者家族と加害者家族がどうなるかって話か、と思いはじめていたのですが、下巻に入っていきなり、凶器が見つかっていないことによるトリックのようなものが出て、ミステリの味わいもありました。 最初から最後まで、どうなるのだろうという興味がまったく薄れませんでした。凄い作家さんだなあ、と今更ながら認識しました。 | ||||
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日常が切り取られる怖さ切なさ月日がたっても消えない思い・・ とても良い本でした | ||||
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物語にどんどん引き込まれ 読み始めたらやめられません ただ私の場合は 何度も読み返せそうも ない本なので図書館で借りることをお勧めします ってAmazonレビューで買わないでって ダメかな (^_^;) | ||||
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単行本で読みました。かなり分厚かったのですが、途中からは夜更かしをして一気でした。次の日、仕事が大変だった記憶があります。 読んでいた当時、ある殺人事件で、被害者のプライバシーを次々とマスコミが暴いていくのを見て、本作で書かれたことが、小説の世界のことながら、とてもリアリティをもって感じられました。犯罪被害者およびその家族・関係者に対する報道の在り方について考えさせられました。こういった悲惨な状況を描き、必ずしもハッピーエンドではないラストにも関わらず、読後に充実感を味わえ、作品への妙な不愉快さが残らないのは、著者の人間に対する基本的な姿勢が真摯だからだと思います。 大部ですし、題材そのものが少し地味に見えるせいか、大勢の人に読んでもらえていないのがとても残念です。もっと評価されるべき作品だと思います。 | ||||
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著者の作品は「凍える牙」以来だったのだけれど、その作風の違いに驚いた。 淡々とした語り口に巧みな心理描写を忍ばせるのは共通しているが、「凍える牙」が捜査風景を主軸にしているのに対し、こちらは人物の心理の揺れ、変化に重きを置いている。 それがまた、「犯罪被害者」というテーマも相まって、読んでいるこちらの心を揺さ振ってくるのだ。 一応、裁判の行方などといった、心理サスペンス的な要素もあるが、あくまでもそれはおまけ(にしても、それが飽きずに読める仕掛けだったりもするが)だ。 上下巻と分かれており、厚い本ではあるが、犯罪に巻き込まれた人々(特に被害者の娘)がどうなってしまうのか、気になって一気に読んでしまった。 それにしても、今から10年以上前に本作品が書かれているのも驚きだ。 ポケットベルといった小物には時代を感じるが、扱っているテーマはいまなお現在に存在している問題なのだ。 | ||||
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主人公は高校生の女の子。 彼女は毎日を楽しく生きていた。そしてこれからも生きていくはず… だったのに。 突然の母の死。そしてその死が病気や事故ではなく、殺人だった。 幼い女子高生の身に降りかかった母の死という現実。 母のいない生活。バランスを欠く家族。被害者であるにも関わらず冷たい社会。 マスコミの存在。彼女の中にうずまく恐怖と、周囲からのプレッシャーの中、 彼女はどのように母の死という現実を受け止めるのか。 ミステリーという形態をとりながらも、その本質は母の死に直面する幼い娘の 心情の推移を描く作品である。 | ||||
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好きな作家です。女性作家らしい細やかな描写・表現と男性的なストーリーの組み立て方が飽きさせずに先へ進ませてくれます。 登場人物のキャラがそれぞれ際立つので、「あれ?これ誰だっけ?」と迷わず感情移入しやすいので読み進むほど先へ進みたくなる作品だと思います。 | ||||
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